業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」とのミッションの下、AIプラットフォーム事業においては、顧客課題解決を通じて、様々な業界の産業・社会課題を発見し、その革新を実現し続けることをめざして事業を推進しています。またAIプロダクト事業においては、広範な顧客向けに、最小限の追加調整で即座に業務で活用可能なAIソフトウエアを提供し、社会課題を解決することをめざして事業を推進しています。

 当社グループが事業を展開するデジタル・トランスフォーメーション(DX)及びAI活用に係る領域では、DXの推進にむけての企業投資意欲が高まっており、AIプラットフォーム事業、AIプロダクト事業の双方で顧客企業から旺盛な新規受注が期待できる良好な事業環境が継続しています。

 

(経営成績)

 

売上高

 当連結会計年度における売上高は4,810,893千円(前期比+84.1%)となりました。AIを用いたDX支援やAIプロジェクトによるイノベーション創出案件を多数の大手企業と取り組んだことにより、長期継続顧客(注1)を中心に顧客単価が向上しました。また、子会社化したエクスウェア株式会社(以下、エクスウェア)の売上高を2021年5月より取り込んでいます。

 

売上原価、売上総利益

 当連結会計年度における売上原価は1,761,412千円(前期比+85.2%)となりました。増加した主な要素は人件費等であり、エクスウェアの子会社化により同社の人件費を取り込んでいます。

 以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は3,049,481千円(前期比+83.5%)、売上総利益率は63.4%となりました。

 

販売費及び一般管理費、営業損益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,250,900千円(前期比+49.8%)となりました。増加した主な要素は人件費、採用費、研究開発費等となります。

 以上の結果、当連結会計年度の営業損失は201,419千円(前年同期は営業損失508,339千円)となりました。

 

営業外損益、経常損益

 当連結会計年度の営業外収益は159,231千円(前期比+133.5%)となりました。主な要素は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)等とのプロジェクトによる助成金収入となります。また、営業外費用は55,283千円(前期比+393.3%)となりました。主な要素は上場関連費用となります。

 以上の結果、当連結会計年度の経常損失は97,470千円(前年同期は経常損失451,345千円)となりました。

 

特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は194,353千円(前年同期は税金等調整前当期純損失589,122千円)となりました。特別損益の主な要素は、AIプロダクト事業における事業用資産のうち収益性の低下した一部のソフトウエア及び遊休資産について計上した減損損失53,493千円、及び中国子会社の株式持分を譲渡したことに伴う関連費用として計上した関係会社整理損40,672千円等となります。

 また、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、下記に記載する繰延税金資産の計上に伴い法人税等合計で19,192千円を利益方向に計上したことにより、137,443千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失592,688千円)となりました。

 

(注)

1.AIプラットフォーム事業において、当社が4四半期以上連続で契約している顧客(exaBase コミュニティによる収益等を除く)

(セグメント業績)

 

AIプラットフォーム事業

 当連結会計年度においては、機械学習・深層学習及び統計学などを用いた画像・データ解析技術等を活用したAIプロジェクトによるイノベーション創出を多数の大手企業と取り組みました。AIを用いたDX支援に関する企業の強いニーズも後押しとなり、長期継続顧客を中心に顧客単価が向上しました。

 この結果、売上高は4,180,233千円(前期比+85.2%)、売上総利益は2,789,770千円(前期比+63.6%)、売上総利益率は66.7%、営業利益は713,554千円(前期比+24.1%)、売上高に占める長期継続顧客売上の比率は

65.6%となりました。

 

AIプロダクト事業

 当連結会計年度においては、既存プロダクトの販売拡大に加え、AIプラットフォーム事業によって得られた知見をもとに、新たなサービス開発にも取り組んでまいりました。

 DX AIプロダクト群では、企業のDX人材の発掘・育成のための「exaBase DXアセスメント&ラーニング」、データ活用・分析のための「exaBase 予測・分析」を中心に導入企業数が増加しました。

 ソーシャルAIプロダクト群では、「CareWiz トルト」「CareWiz ハナスト」が、それぞれのパートナー企業との協業により、販売拡大が進みました。

 一方で、組織拡大に伴う人員増加、プロダクトの開発に係る先行投資に伴い人件費等が増加しました。

 この結果、売上高は630,660千円(前期比+77.4%)、売上総利益は259,710千円(前年同期は売上総損失43,979千円)、売上総利益率は41.2%、営業損失は914,973千円(前年同期は営業損失1,083,327千円)となりました。

 

(財政状態)

 

資産

 当連結会計年度末における資産合計は7,865,921千円となり、前連結会計年度末に比べ4,179,740千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所マザーズ市場(現、グロース)への上場に伴う公募増資等により現金及び預金の増加3,200,177千円、エクスウェアの新規連結に伴いのれんの増加212,217千円及び事業規模の拡大に伴う売掛金及び契約資産の増加311,373千円によるものであります。

 

負債

 当連結会計年度末における負債合計は1,232,275千円となり、前連結会計年度末に比べ70,610千円減少いたしました。これは主に、エクスウェアの新規連結ならびに事業規模拡大に伴う未払費用の増加76,544千円、未払法人税等の増加65,686千円、その他流動負債の増加135,715千円及び退職給付に係る負債の増加58,182千円等があった一方で、短期借入金の返済による減少500,000千円があったことによるものであります。

 

純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は6,633,645千円となり、前連結会計年度末に比べ4,250,351千円増加いたしました。これは主に、東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う公募増資等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ2,174,086千円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の64.6%から83.8%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,200,177千円増加し、5,537,876千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは24,212千円の収入(前連結会計年度は528,129千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失の発生194,353千円や売上債権の増加281,930千円等の減少要因があった一方で、減価償却費232,580千円、のれん償却額47,640千円、減損損失53,493千円ならびにその他の流動負債の増加116,370千円等の増加要因があったことによるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは701,151千円の支出(前連結会計年度は572,566千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出397,216千円及び連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出230,444千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは3,878,007千円の収入(前連結会計年度は1,800,260千円の収入)となりました。これは主に、株式の発行による収入4,329,800千円、短期借入金の減少500,000千円によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

AIプラットフォーム事業

4,180,233

185.2

AIプロダクト事業

630,660

177.4

合計

4,810,893

184.1

(注)

1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、当社グループが事業を展開する領域における企業投資意欲が高まっており、AIプラットフォーム事業、AIプロダクト事業の双方で顧客企業から旺盛な新規受注が期待できる良好な事業環境が継続していること、並びにAIプラットフォーム事業においてエクスウェア㈱を連結子会社化したこと等によるものであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度においては、総販売実績に対する割合が10/100以上の相手先はありません。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

アフラック生命保険株式会社

300,986

11.5

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りについては、連結財務諸表作成時に入手可能な情報及び合理的な基準に基づき判断しておりますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを新規開発、拡大していくための開発人員の人件費及び顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、自己資金、金融機関からの借入、社債及びエクイティファイナンス等で調達していくことを基本方針としております。

 

④ 経営成績に重要な要因を与える要因について

 経営成績、財政状態、キャッシュ・フローの分析については、前記「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

 経営者の問題意識と今後の方針については、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

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