業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における世界経済は、国・地域や業種によるばらつきを伴いつつも、コロナ共生が進み、総じてコロナ危機からの回復基調を見せました。わが国経済においては、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の断続的な発令や、年度末のオミクロン変異株の感染拡大による影響はあったものの、感染症対策と社会経済活動の両立が進み、消費活動は回復傾向にあるといえます。しかしながら、ロシアのウクライナ侵攻など、世界情勢による物価上昇や感染再拡大の予兆もあり未だ予断を許さない状況です。

 このような環境のもと、当社関連市場であるBPO市場においては、DX推進やBCPへの継続的な機運の高まりなども相まって、IT関連業務を始めとしたノンコア業務外注の需要は継続しており、今後も安定した成長が見込まれます。当社においては、人財を惹きつける職場環境やデジタル技術の活用により、高い専門性が求められる業務においても高付加価値のあるサービスの提供を実現するべく、事業に取り組んでおります。当該年度末には、大手ガス会社との協業領域を拡大し、また「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」に認定されました。今後も既存事業の更なる拡大や、「人」を基盤とした価値創造企業を標榜した働きやすい環境の整備に取り組んでまいります。

 当連結会計年度は、社会の変化に応じて着実にサービス提供を行うことにより「継続的・安定的な成長」を実現いたしました。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

  ①生産実績及び受注実績

 当社グループの提供するサービスの受注生産は僅少であるため、記載を省略しております。

  ②販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

日本

44,111

114.5

米州・欧州

2,160

130.7

アジア・オセアニア

472

109.9

合計

46,744

115.1

 

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績などの状況に関する分析・検討内容

a. 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、連結決算日における資産、負債の報告金額及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益及び費用の報告金額に影響を与えるような見積り及び予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関しましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 追加情報」に記載のとおりであります。

 

b. 当連結会計年度の経営成績などの状況に関する認識及び分析・検討内容

①財政状態

当連結会計年度末における総資産は、54,028百万円となり前連結会計年度末に比べ7,272百万円増加となりました。流動資産は、現金及び預金が1,927百万円増加、立替金が1,087百万円増加し、流動資産合計では前連結会計年度末より3,927百万円増加しております。固定資産に関しましては、有形固定資産の建物及び構築物が2,243百万円増加、投資有価証券が844百万円増加し、前連結会計年度末より3,345百万円増加しております。

負債に関しましては、流動負債の未払法人税等が395百万円増加、前受金が3,106百万円減少、契約負債が4,633百万円増加いたしました。これらにより負債合計では前連結会計年度末より3,595百万円増加し、17,462百万円となりました。

また、純資産については、2021年6月及び12月に961百万円の配当の支払いが発生し、2022年2月には417百万円の自己株式を取得いたしましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が4,357百万円であったため前連結会計年度末に比べ3,677百万円増加しております。

 

②経営成績

 連結売上高に関しては、新型コロナウイルス感染症拡大の危機を乗り越え、カスタマー事業の躍進をはじめとして、すべての事業セグメントにおいて対前年増収となり、過去最高売上となる売上高46,744百万円(前期比15.1%増)を達成いたしました。営業利益についても、好調な売上を反映し、6,842百万円(前期比30.7%増)となりました。経常利益につきましては、7,151百万円(前期比31.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,357百万円(前期比46.8%増)となっております。

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

増減

売上高(百万円)

40,617

46,744

6,126

営業利益(百万円)

5,233

6,842

1,608

経常利益(百万円)

5,453

7,151

1,698

親会社株主に帰属する

当期純利益(百万円)

2,968

4,357

1,388

(注)記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。

セグメントの業績は以下のとおりです。

 1) 日本

 日本国内においては、カスタマー事業が大きく伸長したことを始め、国内事業セグメント全てが増収を果たし、売上高は44,111百万円(前期比14.5%増)となりました。

 営業利益につきましては、好調な売上に加え、DX推進による業務効率化も進み、8,592百万円(前期比42.9%増)となりました。

 2) 米州・欧州

 米州・欧州においては、米国のクレジットカード事業の回復により、売上は2,160百万円(前期比30.7%増)、営業利益についても同事業がけん引し、480百万円(前期比18.3% 増)となりました。

 3) アジア・オセアニア

 アジア・オセアニアにつきましては、インドやフィリピンの日本人駐在員の帰国のためのPCR検査手配などの医療機関内のアシストが増えていたこともあり、売上高は472百万円(前期比9.9%増)となりました。

 営業利益につきましては、タイ国の24時間コールセンター開設準備による費用が発生し、22百万円(前期比77.7%減)となりました。

 

 

 

   事業別の業績は次のとおりであります。

 1) オートモーティブ事業

 主に損害保険会社や自動車メーカー向けロードサービスを提供しているオートモーティブ事業は、2021年10月以降全国的に行動制限が緩和されロードサービスの手配件数が拡大に転じ、同件数は対前年同期比が第3四半期は4%増、第4四半期は6%増と拡大傾向にあります。併せて大手自動車用品販売企業との取引拡大によって売上高は20,878百万円(前期比5.4%増)となりました。営業利益に関しては、12月以降各地で降雪量が増した影響で、自社対応以外の事業者への発注が増加し、外部仕入単価が上昇したこと、燃料高騰により費用が増加したことなども影響し2,557百万円(前期比12.1%減)となりました。

 2) プロパティ事業

 分譲・賃貸マンション・戸建ての修繕とコインパーキングのメンテナンスを提供するプロパティ事業は、主要クライアントの販売好調や共用部へのサービス提供開始等も売上利益に寄与しました。パークアシストについては既存クライアントの対応エリア拡大、カーシェア向けや駐車場の再構築業務等の対応サービス数の増加も貢献し、事業全体の売上高は5,982百万円(前期比11.3%増)、営業利益は557百万円(前期比9.8%増)となりました。

 3) グローバル事業

 海外旅行保険のクレームエージェント、駐在員向けの医療サポート業務(ヘルスケアプログラム)、クレジットカードの発行業務を行うグローバル事業は、海外旅行保険関連で取扱件数が増加し、ヘルスケアプログラムを始め各種プログラム利用の会員数が増加しました。また、米国のクレジットカード事業においても利用額が昨年対比で大幅に増加したことにより、増収は確保したものの、新型コロナウイルスの影響は依然残り、コロナ以前の水準には届かず、売上高は5,247百万円(前期比14.2%増)、営業利益は475百万円(前期比101.6%増)となりました。

 4) カスタマー事業

 国内のカスタマーコンタクトサービスを展開しているカスタマー事業は、インターネット関連企業を中心とする既存業務が成長し、新規獲得も順調に推移しております。また、自治体からのワクチン接種センター運営業務についても引き続き堅調に増加し、売上高は7,966百万円(前期比52.9%増)、営業利益は2,057百万円(前期比188.6%増)と、大幅な増収増益となりました。

 5) 金融保証事業

 金融に関わる保証サービスを提供している金融保証事業は、連結子会社の株式会社イントラストが運営する家賃保証が堅調に推移し、売上高は5,350百万円(前期比16.4%増)、営業利益は1,221百万円(前期比8.6%増)と、大幅な増収増益となりました。

 6) IT事業

 IT事業におきましては、連結子会社のタイム・コマース株式会社が運営するサプライチェーンマネジメントシステム関連において各種プロジェクトが順調に推移しており、売上高は794百万円(前期比43.3%増)、営業利益は278百万円(前期比120.6%増)となりました。

 7) ソーシャル事業

 女子スポーツチーム、保育事業等のサービスを中心としたソーシャル事業では、女子スポーツチームの事業運営体制整備の継続、ジュニア事業の体制適正化により損失削減が進み、売上高は524百万円(前期比10.1%増)、営業損失は△307百万円(前期は379百万円の損失)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、6,610百万円の収入となりました。主なプラス要因としては、税金等調整前当期純利益が7,118百万円、減価償却費が1,524百万円、契約負債の増加額が1,104百万円、主なマイナス要因としては、立替金の増加額が947百万円、法人税等の支払額が2,053百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,345百万円の支出となりました。主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出が3,904百万円、投資有価証券の取得による支出が570百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、763百万円の支出となりました。主な要因は、短期借入れによる収入が500百万円、長期借入による収入が500百万円、長期借入金の返済による支出が250百万円、自己株式の取得による支出が417百万円、配当金の支払額が959百万円等によるものであります。

この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より1,926百万円増加して18,218百万円となりました。

 

④経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営者の問題認識と今後の方針について

 新型コロナウイルス感染症により、経営環境は限定的ではあるものの一定程度影響を受けることが想定されます。

 BPO市場においては大都市圏での感染リスクが顕在化し、テレワークや時差出勤といった新たなワークスタイルが求められております。このような状況の中で、地方都市での安定した事業を継続している当社グループを取り巻く環境は、中長期的な視点からは厳しさを残しながらも堅調に成長するものと考えております。

 当社グループは、2015年4月に富山BPOタウンを、2019年4月には秋田BPO横手キャンパスを開設し、また2019年10月には新潟BPO魚沼テラス、2021年3月には山形BPOガーデンを500席増席し、山形BPOパークを開設いたしました。2022年4月には、秋田県にかほ市内3か所で操業していた秋田BPOメインキャンパスにかほブランチを統合し、秋田BPOにかほキャンパスを開設いたしました。

 これらの施策により、当社グループの従業員は5,000名を超える規模となっており、組織の隅々まで企業文化とコンプライアンス、ガバナンスの意識を徹底させることが重要と考えております。

 また、当社グループのサービスを魅力的にする為に、それぞれのBPO拠点の役割、位置づけを明確にし、人材育成の観点からも拠点間での品質及び効率を競わすことも重要と認識しております。これらの施策を効果的に運営し、事業基盤の更なる強化に取り組んでまいります。

 当社グループの経営の根幹は「人」によるサービスにあると認識しております。当社としては「地方都市」において「サービス業」の雇用を創造し、特に「女性」の活躍の場を提供し、継続していくことを社会貢献方針に掲げております。また、当社の必要とする人財は、コミュニケーション能力、気配り、心配りといったホスピタリティのある優秀な人財でもあります。これらの人財を確保するために、当社のBPO拠点では「地域でNo.1の職場環境」を目標に掲げ、様々な工夫に基づいた働きやすい環境の訴求や、地域に密着し、愛される企業として知名度を向上させるための活動を継続的に行ってまいります。同時に「人でしかできない仕事」に集中するために、システム化、効率化に資する投資に関しましても積極的に実施してまいります。

 以上を踏まえ、従業員一人一人が自ら体幹を鍛え、組織としてもそれを評価することで強いチームとして成長を続けることを目指してまいります。

 なお、新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種の普及やコロナ共生が進んでおりますが、今後も限定的ではあるものの経営環境は一定程度影響を受けることが想定されます。業績に関しては国内外において、感染拡大と共にエンドユーザーの活動量が抑制される傾向にあり、これに基づき事業計画を立案しておりますが、当社グループが提供するオペレーション量等が計画より大きく減少した場合、又は長期間に続く場合は、業績に対して以下のような影響を与える可能性があります。

(オートモーティブ関連)

・国内において、外出や旅行などの自粛で自動車を利用した外出が減少することにより、サービス利用者減少によるオペレーション量が大きく減少した場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。

・新車販売の低迷が続き、新車販売時に付帯するサービス加入が大きく減少した場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。

(プロパティ関連)

・再び緊急事態宣言等が発出された場合、分譲マンションへの設備の定期点検等のサービス利用が減少し、収益に影響を及ぼす可能性があります。

(グローバル関連)

・海外旅行保険のクレームエージェントサービスでは、海外への渡航者数は未だ低水準で推移しております。これに伴いサービス利用の減少が長期間続く場合、収益に影響を及ぼす可能性があります。

・ヘルスケアプログラムでは、新型コロナウイルス感染症の影響で現地医療機関等への日本人海外駐在員及びその家族の受診者数が減少しており、長期間続く場合は収益に影響を及ぼす可能性があります。

・米国におけるクレジットカード発行BPOサービスについては、2022年3月期はクレジットカード利用額が大幅に改善しましたが、コロナ禍前の水準には届いておりません。感染が再拡大すると、米国内外の移動に伴う航空機の利用や、それに伴うカード決済金額は減少し、これらが長期間続く場合は収益に影響を及ぼす可能性があります。

(金融保証関連)

・家賃保証プログラムにおいて、滞納家賃が大きく増加することにより貸倒引当金の積増しなどで収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

b. 中期経営計画に関して

 新型コロナウイルス感染症は、国内外においてワクチン接種が普及し、未だ予断を許さない状況ではあるものの、全体的に見れば世界経済はコロナ危機による落ち込みから回復の兆しを見せ始めており、ポストコロナを意識した社会生活が定着してきました。

 このような情勢の下、当社グループにおきましては、2021年5月に発表した中期経営計画に基づき事業を行っております。「価値創造企業」というテーマを掲げ、「PIでしか実現できないサービス領域の創造」「安定的・継続的成長」「地方都市での雇用の創造・維持」「女性が活躍できる職場環境の創出」の4つの戦略を展開しております。

また当社グループは、2022年4月4日より、東京証券取引所の市場再編成に伴い、東証第一部から新市場区分「プライム市場」へ移行いたしました。国内外の機関投資家のみならず、幅広い投資家の皆様とのエンゲージメントは、中期経営計画で掲げた経営戦略を確実に実行し、中長期的な企業価値を向上させる原動力となると考えております。ESG経営などを通し社会的責任を果たすとともに、ステークホルダーとの良好な関係を構築し、皆様からのご期待に応えられるよう努めてまいります。

 今回の中期経営計画では、2024年3月期までの目標として、連結決算ベースで売上高60,000百万円、売上高営業利益率13.3%、ROA10%、ROE13%の各指標を定めました。以上の経営戦略を実現することにより、「継続的・安定的成長」のため、全従業員が一丸となって目標達成に取り組むことを表明しております。

 

 以上の中期経営計画を踏まえ、当社グループの2023年3月期の連結業績予想は、以下の通りであります。

 

 

2022年3月期

2023年3月期

 

売上高

46,744百万円

52,000百万円

(前期比111.2%、5,255百万円)

営業利益

6,842百万円

7,400百万円

(前期比108.2%、557百万円)

経常利益

7,151百万円

7,600百万円

(前期比106.3%、448百万円)

親会社株主に帰属する
当期純利益

4,357百万円

4,500百万円

(前期比103.3%、142百万円)

 

各事業別については、以下のとおりになります。

(オートモーティブ事業)

 損害保険会社向けロードアシスタンスサービスの市場は、将来において技術革新が最も進む分野であると認識しております。一方で、緊急通報サービスなど自動車メーカー向けのサービスが拡大しており、成長分野として重点投資を継続する予定であります。このような環境のもと、当社としては、一番の強みである現場対応を行うグループ会社の体制強化を行うことで「人でしかできない」サービスとしての独自性を高め、将来においても社会に求められるサービスを提供してまいります。具体的には、2020年5月に竣工した「富山トレーニングフィールド」を活用し、新しい時代の適切なアシスタンスの技術を習得するとともにフランチャイズ展開を強化することで、「PREMIER Assist」のネットワークを拡大しブランド力を高めてまいります。また、アンドロイド端末やモバイルアプリを使用した自動手配システムとオペレーションの連携をより密にすることで、お客様からのお問い合わせから現場までの到着時間を短縮するなどの業務効率化ならびにコスト削減による競争力の強化も推進してまいります。更には、電気自動車や、自動運転、カーシェアリングが普及した新しいモビリティ社会の到来に向け、人財育成やシステム開発への積極的な投資を行ってまいります。

(プロパティ事業)

 不動産向けサービス(ホームアシスト)においては、居住者サービスへのメニュー拡充等、「PIでしかできないサービス領域」の実現を目指しております。機能修繕だけではなく、共用部の対応、延長保証や点検作業など当社のスタンダードとなるサービスを確立し、成長性を維持する方針です。サービスの差別化を図るため、現場対応を行うグループ会社の拡充やネットワーク構築を進め、エンドユーザーに品質の高いサービスを提供することで、新たなサービスメニューを提供し、同時に業務の効率化を進めてまいります。2022年2月には、大手エネルギー会社との協業によるホームアシスト事業を拡大いたしました。また、サービスの対象を管理会社から個人へも広げることで、既存サービスの利用顧客基盤を拡大してまいります。駐車場管理会社向けサービス(パークアシスト)におきましては、厳しい経済環境下で、コスト削減のために価格を重視する傾向になっております。既存クライアント企業との継続的な連携を強化するとともに技術進化やシェアリングビジネスの強化にも注力してまいります。

 

(グローバル事業)

 主に海外の日本人駐在員向けヘルスケアプログラムにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響を受けてまいりましたが、近頃、諸外国ではポストコロナ時代の経済活動の正常化に向けて動き出しております。このような背景から日本企業の海外事業展開もコロナ前の水準に戻りつつあり、日系企業のグローバル展開は南アジア・中南米及び中東地域を中心に更に加速することが予想されます。ヘルスケアプログラムを重点投資分野と位置づけ、アジア・中南米をはじめとする新興国を戦略的拡大地域とし、日系企業の進出が著しい地域の拠点における基盤強化を推進するとともに、世界18ヵ国に展開する海外拠点の役割を明確化し、コロナ禍で顕在化した日系海外進出企業の課題解決に必要な機能を獲得しながらオペレーション体制を構築してまいります。その一環として、赴任前から帰任後までのトータルサポートの展開、海外の主要医療機関にスタッフを配置するなどの施策を行い、日本人駐在員や帯同家族に一層手厚いサポートができるよう注力してまいります。また、主に海外の日本人駐在員向けに現地通貨で決済が可能なクレジットカードを発行しているカードビジネスにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響で減少した利用状況は回復の兆しを見せておりますが、コロナ禍前の水準には届いておりません。しかし、日系企業における生産拠点の海外シフトが加速されることから日本人駐在員が増加し、カード会員数の増加が見込まれます。サービスの向上を図り、海外赴任者に対して提携航空会社と共同で継続的なマーケティングを展開し、また新規会員獲得、利用頻度の増加のためプログラム特典の強化を推進するとともに、原価管理を強化し、収益力を高めてまいります。

(カスタマー事業)

 カスタマーサービスにおいては、サービスの差別化要素が少なく、顧客獲得競争は厳しい状況である上、間接コストを抑制するため、価格を重視する傾向になっております。厳しい環境下ではありますが、家電、通信機器等の製品保証ビジネスにおいて、独自のプラットフォームモデルを構築し、BPO設置拠点でのコロナワクチン接種センターサポートなどの自治体向けサービスを取り入れ、地域の発展・安定と共に成長を続けてまいります。今後も、大手コールセンター企業との競合は避け、当社が提供する付加価値サービスを評価いただき、長期的に関係構築のできるクライアント企業及び他の事業がサービスを提供している既存クライアント企業に対して、包括的なカスタマーコンタクトサービスの提案をしてまいります。特に新型コロナウイルス感染症の影響で都心部では継続的にコンタクトセンター運営が難しいことが浮き彫りになり、弊社の戦略である地方都市でのコンタクトセンターの運用が、事業継続性を確保する目的に合致して、順調に需要は増加しております。また、コロナ禍での自治体関連受託事業で培われた自治体との関係性も将来につなげてまいります。

(金融保証事業)

 金融に関わる保証サービスを提供している金融保証事業においては、家賃保証で培ったノウハウを、新規分野である医療費保証や介護費用保証、養育費保証へと展開し、「生活の安心=保証」の切り口で価値創造の領域を広げてまいります。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性

 ①資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、BPO拠点設置時の設備投資資金であります。当連結会計年度においては、受注能力の拡大を目的とした秋田BPOにかほキャンパスの2022年4月開設にあたり、投資を行いました。2023年3月期には、BPO拠点設備の維持管理・運営や、電気自動車への給電装置を備えた現場車両の拡充、業務効率化を目的としたシステムなどへの投資を計画しております。

 

 ②財務政策

 当社グループにおいては、資本需要に対しては原則として内部資金を充当することとしております。一時的な資金に関しましては、最も有利な調達手段を採用する方針であります。なお、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の業績への影響を考慮し、手元資金を十分確保しており、経営の安定化を図っております。

 

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