当事業年度におけるわが国経済は、企業収益の改善傾向、設備投資の増加や個人消費の持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復基調が継続しております。また、米国及び欧州並びにアジア地域においても景気回復や持ち直しの動きが続いております。
景気の先行きにつきましては、国内企業の業況判断は改善するなか、景気回復への期待感も高まる一方で、原油価格の高騰や第4四半期における円高進行により、企業の景況感に低迷の動きもみられ、米国の通商政策の動向、中東・アジア・欧州における政治・経済の不透明感等から、今後の企業収益への影響には十分な留意が必要な状況となっております。
当業界においては、ITの有効活用が、顧客の既存事業に新たな価値を生み出し、事業の差別化と収益性向上に結び付くことが期待されております。AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)、IоT(モノのインターネット化)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、ビッグデータ等の技術要素が注目され、これらの積極的な活用が求められております。
また、企業の人手不足は深刻化し、企業業績の拡大や景況感にも影響を与えており、加えて、企業における働き方改革が求められるなか、ITを利用した業務の生産性向上や省力化・自動化についても期待が高まっております。これらを背景に、業界各社では様々な技術要素の活用や実務への適用が求められ、顧客の要求水準は多様化と高度化が一層進んでおります。
このような環境のもと、当社は、受注獲得の強化の観点から、当事業年度において事業部門と営業部門を分離し、「品質・技術、顧客満足度の向上」と「新たな顧客・サービスの開拓」の双方を進めてまいりました。また、中長期的な成長に向け、収益体質の改革、新規事業への取り組み等の施策も実施してまいりました。
当事業年度の経営成績は次のとおりとなっております。なお、当社の事業はシステム開発事業の単一セグメントであります。
売上高は、一部顧客で投資時期の見直しや案件縮小がみられましたが、基盤系ビジネスが堅調に推移したことから、前期から412百万円増加し、14,919百万円(前期比+2.8%)となりました。
売上総利益は、主に増収に伴う増益により前期から20百万円増加し、3,186百万円(前期比+0.6%(となりました。
販売費及び一般管理費は、前期から7百万円増加し、1,841百万円(前期比+0.4%)となりました。
営業利益は、以上により前期から13百万円増加し、1,345百万円(前期比+1.0%)となりました。
営業外収益は、前期から2百万円増加し、14百万円(前期比+25.3%)、営業外費用は5百万円(前期比+1.5%)となりました。
経常利益は、以上により前期から16百万円増加し、1,355百万円(前期比+1.2%)となりました。
投資有価証券売却損及び和解損失等の計上により、特別損失は15百万円となりました。
税効果会計適用後の法人税等は、前期から6百万円増加し、428百万円(前期比+1.6%)となりました。
当期純利益は、以上により前期から4百万円減少し、912百万円(前期比△0.5%)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、+1,073百万円(前事業年度比+600百万円)となりました。この変動は主に、営業収入の増加445百万円、法人税等の支払額の減少240百万円、人件費の支出の減少175百万円が、外注費の支払及び購入による支出の増加287百万円を上回ったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,140百万円(前事業年度比△1,287百万円)となりました。この変動は主に、有価証券の償還による収入の減少700百万円、投資有価証券の取得による支出の増加400百万円、無形固定資産の取得による支出の増加195百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、ほぼ前年同期並みの、△274百万円(前事業年度比+16百万円)となりました。この変動は主に、配当金の支払額の減少17百万円によるものであります。
これらの結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末から341百万円減少し、8,766百万円となりました。
資産合計は、前事業年度末に比べ866百万円増加し、14,056百万円(前事業年度末比+6.6%)となりました。
流動資産の減少268百万円のうち、主な変動要因は、現金及び預金の減少1,664百万円、関係会社預け金の増加1,322百万円であります。
固定資産の増加1,134百万円のうち、主な変動要因は、ソフトウエアの増加441百万円、投資有価証券の増加671百万円であります。
負債合計は、前事業年度末に比べ213百万円増加し、1,943百万円(前事業年度末比+12.3%)となりました。
流動負債の増加248百万円のうち、主な変動要因は、未払費用の増加126百万円、未払法人税等の増加88百万円であります。
固定負債は、前事業年度末に比べ34百万円減少し、17百万円(前事業年度末比△66.2%)となりました。これは主に、退職給付引当金が減少し、前払年金費用として計上したことによるものであります。
純資産合計は、前事業年度末に比べ652百万円増加し、12,113百万円(前事業年度末比+5.7%)となりました。
主な変動要因は、配当金支払による減少274百万円、当期純利益の計上による増加912百万円であります。
当事業年度における生産実績を品目別に示すと、以下のとおりであります。
品目 |
生産高(千円) |
前期比増減率(%) |
システム開発 |
14,609,612 |
3.3 |
(注) 1 金額には、消費税等は含まれておりません。
2 生産実績は、販売価格に基づいて算出しております。
当事業年度における受注実績を品目別に示すと、以下のとおりであります。
品目 |
受注高(千円) |
前期比増減率(%) |
受注残高(千円) |
前期比増減率(%) |
システム開発 |
14,554,102 |
2.2 |
2,121,368 |
△2.3 |
製品販売 |
346,445 |
△3.8 |
210,798 |
16.7 |
合計 |
14,900,548 |
2.0 |
2,332,167 |
△0.8 |
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における販売実績を品目別に示すと、以下のとおりであります。
品目 |
販売高(千円) |
前期比増減率(%) |
システム開発 |
14,603,493 |
3.2 |
製品販売 |
316,285 |
△11.0 |
合計 |
14,919,778 |
2.8 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) |
当事業年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
日本アイ・ビー・エム株式会社 |
2,775,402 |
19.1 |
3,273,009 |
21.9 |
SCSK株式会社 |
2,016,758 |
13.9 |
1,817,005 |
12.2 |
株式会社野村総合研究所 |
1,723,936 |
11.9 |
1,646,418 |
11.0 |
2 金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する記載は、当事業年度末現在における判断によるものであり、今後の経済環境及び経営状況によっては、変更になる可能性があります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。作成にあたっては、財政状態や経営成績に影響を与える見積りを必要とします。当社は、過去の実績又は現在の状況下で最も合理的と判断される前提に基づき、財務諸表の作成を行っております。
しかしながら、見積りには複数の要素がからむことから、実際の結果が異なる場合があります。
当社のシステム開発に係る収益の計上基準のうち、請負契約に関するものについては、「工事契約に関する会計基準及び適用指針」に準拠し、原則として、工事完成基準又は工事進行基準を適用しております。また、損失の発生が見込まれる工事契約について、将来の損失に備えるため、その損失見込額を計上しております。
なお、当事業年度末においては該当がないため計上しておりません。
収益獲得目的の自社利用ソフトウェアについては、社内における見込利用可能期間(3~5年)に基づく定額法により償却しております。
当社は、財務諸表と税務上の資産負債との間に生ずる一時的な差異に関わる税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して繰延税金資産を計上しております。また、繰延税金資産については将来の課税所得の見積額に基づき合理的に回収可能な金額を算出し、それを限度として計上しております。
当社では、従業員の退職給付費用、退職給付に係る負債及び退職給付引当金は、保険数理計算により算出される退職給付債務に基づき計上しております。退職給付債務の割引率は、安全性の高い長期債券(AA格社債)の期末時点における利回りを基に決定しており、この割引率により将来債務の割引計算を行っております。
当社では、前事業年度より社内基幹システムの刷新に取り組んでまいりましたが、当事業年度末をもって開発等を完了し、本年4月より本番稼働しております。
これに伴い、開発関連支出661百万円をソフトウェアとして資産計上しており、翌事業年度以降、当該ソフトウェアの償却費が発生しますが、収益性や業務の効率性の向上等を通じ、引き続き経営成績の改善に取り組んでまいります。
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