課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は「データを未来の知恵に変え 夢と感動 楽しい!で社会に貢献する」という経営理念のもと、企業経営を進めております。当社のかけがえのない資産・強みである膨大なデータと、その使い手としての希少なノウハウを駆使し、関わる全てのステークホルダーを「夢」と「感動」と「楽しい」でつなぎ、未来を変える期待感にあふれる存在となり、そして、先進的かつ独創的、何より人間的であることに価値を置き、新たなAI時代をリードする、社会から真に必要とされる企業集団であり続けたいと考えております。

また、企業目標を「チェンジング・カンパニー~未来に向けて変化し続ける会社~」とし、かつてないほどの速度で社会が変化していく時代において、当社自身が「未来に向けて変化し続ける会社」、「社会の変化を駆動するイノベーションの導き手」となることで、新たな社会を創出し、その結果、「お客様の満足(有益な情報とサービス)」と「社員の誇り(会社と仕事)」、そして「株主からの信頼(将来と実績)」を得られる存在となるよう努めてまいります。

 

(2) 経営戦略等(前中期経営計画の振り返り)

当社グループでは、前中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)において、デジタル化対応・AI機能の実装などによるサービスプラットフォームの構築をビジョンとして掲げ、「カーライフのトータルサポート」の実現を目指し、持続的な企業価値の向上を図ってまいりました。

また、財務面においては重要な経営指標とした売上総利益については計画を下回ったものの、ROE、EPS(1株あたり当期純利益)、営業利益については計画を達成いたしました。


 

事業面における主な成果及び課題については以下のとおりであります。

 

 

重点課題

成果

評価

今後の課題

新車領域:

利益創出の柱にする

オプション商品の開発・提供により顧客単価が向上

経営資源投入による導入拠点数・顧客単価の更なる成長

中古車領域:

収益性の強化

営業拠点の再編、紙媒体コストの見直しは一定の成果

商品・サービス開発の推進による再成長

整備領域:

①広告事業の事業基盤拡大

②予約サービスの構築

広告事業の有料掲載工場数を拡大するとともに、予約サービスの普及に着手

商品・サービス開発の推進

整備工場に対するグループシナジーの実現

AI領域への投資

MOTOR GATE AI等のAIプロダクトの提供を開始

AIプロダクトの開発を推進

新規事業への投資

CVCによる出資・提供の推進

M&Aを含めた新規事業の創出

 

 

(3) 経営戦略等(新中期経営計画)

当社グループでは、前中期経営計画の結果、多様化するユーザーニーズや今後の市場環境を踏まえ、「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」を策定しております。当該中期経営計画に基づき、当社が保有する各種データとAI技術を駆使することで、モビリティ領域のDX化に寄与する新商品・サービスの開発・提供を推進してまいります。さらに、中古車、整備、新車の各領域におけるシェアの更なる拡大を通じて、モビリティ領域のプラットフォームを構築するとともに、同プラットフォームを軸とするデータサービスの展開を進めてまいります。また、既存事業におけるノウハウを活用した新規事業領域の確立に向けた取り組みを強化することで、更なる事業成長を図ってまいります。

なお、具体的な成長戦略として、次の重点課題を掲げ、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。

① モビリティ領域のデータプラットフォーム構築

② データとAI技術を駆使した新商品・サービスの開発

③ 中古車領域、整備領域、新車領域のシェア向上

④ M&Aを活用した事業領域の拡大

なお、上記の重点課題の詳細につきましては、「(5) 経営環境並びに事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、持続的な企業価値向上を目指すにあたり、事業規模拡大に向けた売上高・営業利益の成長性とともに、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)では、最終年度において、売上高1,250億円、営業利益100億円、ROE12.0%以上を掲げております。

 

 

(5) 経営環境並びに事業上及び財務上の優先的に対処すべき課題

自動車流通市場は、近年カーユーザーのニーズやライフスタイルの多様化、MaaS、自動運転技術及びEV化の進展、中古車販売店、整備工場、新車ディーラー、カー用品店等の事業領域間における相互参入、情報技術の進化に伴う大手IT企業による自動車関連産業への参入など、外部環境が大きく変化しております。また、新型コロナウイルスの感染拡大は経済や人々の生活、価値観に大きな影響を与えております。

当社グループはこのような変化に対応するため、「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」において次の重点課題を掲げております。

 

① モビリティ領域のデータプラットフォーム構築

当社は、ユーザーデータをグーネットをはじめとした自社メディアを通じて収集するとともに、中古車・整備・新車の各領域に関する情報を自社サービスを通じて収集しております。これらの貴重なデータをプラットフォームとして統合し、データを軸にかつてない新しい価値、機能の創造を進めてまいります。


 

② データとAI技術を駆使した新商品・サービスの開発

当社は、前中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)において「MOTOR GATE AI」、「DataLine AI査定」といったDX商品を開発・提供いたしました。新中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)においても引き続き、当社が保有する様々なデータと当社のAI技術を組み合わせた新機能・新サービスを提供し、モビリティ領域のDX化に貢献してまいります。


 

 

③ 中古車領域、整備領域、新車領域のシェア向上

当社は、業界No.1のサービスプラットフォームの構築を目指し、中古車・整備・新車の各事業領域におけるシェアの拡大並びに顧客当たりの取引単価の維持・拡大に努めてまいりました。引き続き、各領域においてDX化を推進し、シェアの更なる向上を図ってまいります。


 

④ M&Aを活用した事業領域の拡大

当社は、M&Aを活用し、既存事業の更なる強化を図るとともに、当社が保有する事業資産を活用することが可能な新規事業領域や最先端のテクノロジー・ノウハウを活用した事業領域などへの進出による事業成長を図ってまいります。


 

また、当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。なお、運転資金及び投資を目的とした資金調達につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。また、大規模な設備投資が必要となった場合には、資本市場との対話を通じて、最適な資金調達方法を検討いたします。

 

 

(6) 株式会社の支配に関する基本方針について

当社は、買収防衛策を導入しておりません。

当社の「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は以下のとおりであります。当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、自動車関連情報をはじめとする当社グループの事業の全体に係る幅広い知識と豊富な経験を有し、また当社を支える株主、従業員、ユーザー、取引先、地域社会等の様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解した上で、企業価値及び株主共同の利益を中長期的に最大化できる者が望ましいと考えております。上場会社である当社の株主は、当社株式の自由な取引を通じて決定されるものである以上、特定の買付者等による買付等に応じるか否かについても、最終的には株主の判断に委ねられるべきものと考えております。

 

(7) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応について

当社グループは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つとして掲げ、事業運営における影響や対応を明確にするとともに、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」、「リスク管理」、「戦略」、「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。

 

① ガバナンス

代表取締役社長を委員長とする内部統制委員会において気候変動に関わる基本方針や対応事項等を検討・審議しております。また、その下部に気候変動リスク・機会の洗い出しや評価などの業務を遂行するための分科会を設置しております。内部統制委員会は毎月開催され、内部統制の状況や各種リスクへの対応を検証し、強化する体制を整えております。(気候変動)分科会についても、内部統制委員会の開催に合わせて、検討・報告を行っております。

 

② リスク管理

当社グループでは、リスク管理を企業価値向上の重要な取り組みと位置付け、内部統制委員会において各種リスクを分析し、重大な影響を及ぼす事項については対処を進めるとともに、適宜、取締役会に報告しております。当社のガバナンス、リスク管理の体制の模式図は、以下のとおりであります。


 

 

③ 戦略

中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)において、気候変動に伴う重要性の高いリスク・機会を認識し対応を進めていきます。今後シナリオ分析などを元に、当社グループ事業への影響及び、戦略や目標の検証を進める予定であります。

 

④ 指標と目標

当社グループの2021年3月期及び2022年3月期の温室効果ガス排出量総量は以下のとおりであります。今後、中長期的な視点で温室効果ガスの削減に貢献できる目標設定に向けて取り組んでまいります。

 

2021年3月期

2022年3月期

Scope1:直接排出量(t-CO2

2,941.1

3,037.0

Scope2:間接排出量(t-CO2

2,891.4

2,999.7

Scope1+Scope2小計(t-CO2

5,832.5

6,036.8

 

 

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