有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
ハードウェア及びネットワーク技術の進化、OSやミドルウェアと開発言語の進化、近年のクラウドに代表される新たな情報処理テクノロジーの急速な普及と変遷により、当社が開発に携わる情報システムは複雑化の一途をたどっており、システム仕様の考慮不足による手戻りや見積精度不良による不採算案件の発生リスクが高まっております。一方で、製品やサービスの品質や欠陥等に対する社会的関心並びに社会的影響の高まりから、品質保証に関する顧客の要求水準は年々高くなっております。このような状況に対し当社グループでは、ソフトウェアの品質の向上及び安定化につきましては従業員教育の徹底、見積・受注プロセスにおける審査機能の強化、見積技術の向上並びにプロジェクト管理の充実を含め細心の注意を払っております。しかしながら、これらによっても不採算案件や瑕疵等の発生を完全に排除できない可能性があり、これらが発生した場合、顧客への補償、製品の補修等に係る費用の増大並びに信用の低下により、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社では医療データを始めとする重要度の高い情報を取り扱っており、顧客及び従業員等に係る機密情報並びに個人情報の漏洩や、各種の過失による事故あるいは不正行為の防止については、社内規程の制定、従業員の教育、専門組織による定期的検査等によって徹底を図っております。また、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、サイバーセキュリティリスクが重要な経営課題となっております。このため、当社ではCSIRT(※1)組織として「JAST-SIRT」を設置し、サイバーセキュリティに関する脅威の監視や分析、対応能力の強化を行っております。加えて、最悪の事態に備え、情報漏洩賠償責任保険に加入しておりますが、事故や不正行為等を100%防止することは困難であり、これら事故等の事象が発生した場合、当社グループの信用低下あるいは賠償責任等が発生し、さらには当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
※1:CSIRT(Computer Security Incident Response Team の略称)
コンピュータセキュリティにかかるインシデントに対処するための組織の総称。
当社グループは、各事業分野において、事業運営に関する訴訟リスクが存在します。訴訟等を提起された結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる場合があり、その額によっては、当社グループの業績と財務状況に大きな影響を与える可能性があります。
中長期的に新卒者人口は減少傾向にあるため、業界一般の傾向として優秀な人材の確保が困難になる場合があり、当社グループにおいても、必要なシステムエンジニア等の人材が十分確保できず、また、業界内での人材流動性が高まることにより、当社グループの業務に支障を来たす可能性があります。また、システム開発において、顧客から請け負った開発業務を協力会社に対して再委託する等しており、システム開発案件の需要が増大した場合には、協力会社の確保が重要な課題となり、また、要員確保のための発注単価が上昇する場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対しては、優良な協力会社の確保のための専門組織を社内に設置するとともに、海外へのオフショアや国内へのニアショアによる技術者の確保も視野に入れ、リスクの軽減に努めております。
当社グループでは、付加価値の高い新製品やサービスをタイムリーに世に送り出すことが企業収益向上に貢献するものと考え、積極的な研究開発投資を行っております。しかしながら、変化の激しい業界の将来の需要を的確に予測し、技術革新による魅力的な新製品やサービスをタイムリーに開発・供給し続けることができるとは限りません。また、日進月歩で進化する技術動向にキャッチアップし、技術者のスキルを常に維持・向上する必要があります。これらの課題を解決する方策の一つとして当社グループの開発部門において実施している、市場の動向分析に基づく研究開発体制の構築や、開発テーマの選択と集中、技術者教育を行うためのマネジメントが有効に機能しない場合は、当社グループの業績及び成長見通しに影響を与える可能性があります。
当社グループは、連結財務諸表に企業買収等による株式取得に伴うのれん及び顧客関連資産等を相当額計上しております。企業買収等の実施に当たっては、対象となる企業の財務内容や事業について詳細な事前審査を行い、意思決定のために必要かつ十分な情報収集と検討を行った上で決定しております。しかしながら、企業買収等の実施後に当社グループが認識していない問題が明らかになった場合や、経営環境や事業状況の変化等により期待した成果を上げられなかった場合には、のれん及び顧客関連資産等の減損処理や関係会社株式の評価減を行う必要が生じる等、当社グループ及び当社の業績に影響を与える可能性があります。また、当社は、当社グループの各子会社について、グループ全体の企業価値向上を目指しておりますが、事業展開が計画通りに進まない場合や業績の不測の悪化等により、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、大地震等の自然災害や感染症の世界的流行(パンデミック)等が発生し業務遂行が困難となる場合に備え、事業継続計画やガイドラインを策定し、初期対応や迅速な業務の復旧を可能にするための対応体制や環境等の整備を実施しております。また、当社グループが入居する主要オフィスは事業を継続する上で高度防災機能を有しており、当社グループが利用するデータセンターはセキュリティ対策や耐震等の災害対策において高い水準にあります。しかしながら、当社の本社機構及び当社グループの主要な子会社が東京及び大阪に集中しており、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大災害が発生した場合、被災地域における当社グループ施設等の損壊、交通、通信、物流といった社会インフラの混乱及び途絶、委託先の被災等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症は、長期トレンドに大きな影響を与え、今後もその影響は継続するものと思われ、個人の価値観・消費行動におけるニューノーマル(新しい日常)化の流れは、当社グループのビジネスにとってリスクであると同時に変革の機会であると考えております。従業員その他のステークホルダーの安全を確保するため日頃の感染予防対策を徹底するとともに、テレワーク等の施策を推進し、事業活動への影響の低減を図った結果、現時点では当社グループの事業に大きな影響を与えるリスクとはなっておりません。しかしながら、一企業のコントロールを超える特別な事情や状況が発生し、業務の中断が不可避となった場合には、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループにおいては、特定の業種、技術分野、メーカー等に依存しない事業運営を行っており、景気動向の影響を比較的受け難い特長がありますが、国内外の景気が長期にわたり低迷すると、顧客企業の収益悪化によるシステム開発投資の抑制等で、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
当社グループの事業であるソフトウェアの受託開発及びパッケージ並びに機器販売の特異性として、顧客による製品等の検収時期が多くの企業の会計期末にあたる3月に集中するものの、当期より適用開始の「収益認識に関する会計基準(以下、同基準という。)」により履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益認識することとなった結果、四半期毎の売上高及び営業利益は、同基準適用前に比べ平準化の傾向にあります。しかし、開発工程の延長、顧客の予算執行状況並びに製品等受入検査の進行状況等に起因する収益計上の延期により、業績が変動する可能性があります。
最近2年間における四半期ごとの売上高、営業利益
(単位:百万円)
(単位:百万円)
当社グループが取扱うハードウェアは、メーカー及び代理店から調達しますが、最低発注量が大きい製品もあり、在庫の陳腐化リスクを負うことになります。当社グループでは、販売状況を見極めながら必要数量の予測を的確に行うよう努めていますが、調達したハードウェアが陳腐化した場合、または発注時期の遅延により適時に顧客に供給できず事業機会を逸失した場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ハードウェアに不具合等が発生した場合、顧客への補償、製品の補修等に伴い、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、投資その他の資産として、有価証券等を保有しております。これら資産の残高は、換金性の高い流動資産と比較して相当に少額ではありますが、予測が困難な市況の急変あるいは発行体の破綻等の事態が発生した場合、評価額の減少によって業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは、中国・アジア・パシフィック地域に複数の海外子会社を保有しております。各社が事業を展開する国や地域における、国際関係の変化に伴う政策や法規制の変更、経済的状況の変化や外国為替相場の変動等が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当社及び連結子会社の顧客との契約から生じる収益は、主にソフトウェアの受注制作等によるものであり、一定の期間にわたり履行義務が充足される契約については、期間がごく短い契約を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しております。履行義務の充足に係る進捗度による収益の認識の基礎となる工事原価総額の見積りについては、適時・適切な見積りを算出すべく、見積・受注プロセスにおける審査機能の強化、見積技術の向上並びにプロジェクト管理の充実を含め細心の注意を払っております。しかしながら、適時・適切な工事原価総額の見積りの誤りにより、履行義務の充足に係る進捗度による収益の認識を誤る可能性があります。プロジェクトの見積コストが収入見込額を上回るものについては、回収可能額を厳格に査定し、回収不能額を損失計上しております。将来的にコストが増加した場合には、損失の追加計上が生じる可能性があります。
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