当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益が減少しており、依然として厳しい状況が続きましたが、個人消費において一部で持ち直しの動きも見られました。引き続き国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動などの影響に留意が必要であり、先行きは不透明な状況にあります。
このような経済情勢の中、安全・安心に対する社会的ニーズは、ますます多様化・高度化しており、当社グループは、“いつでも、どこでも、誰もが「安全・安心・快適・便利」に暮らせる社会”を実現する「社会システム産業」の構築を目指し、質の高いサービスを提供することにより、業績向上に努めてまいりました。また、当社グループでは新型コロナウイルス感染症に対して、引き続き出勤前の検温やマスクの着用、手洗い励行、アルコール消毒といった就業時の対応を行うことで感染拡大防止を図り、サービスの提供に努めました。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ 14百万円(0.1%)減収の 24,345百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ 88百万円(2.0%)増益の 4,551百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ 94百万円(2.1%)増益の 4,658百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ 280百万円(10.1%)増益の 3,074百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ 2,979百万円(5.6%)増加し 55,773百万円となりました。負債総額は、前連結会計年度末に比べ 685百万円(10.6%)増加し 7,156百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ 2,293百万円(5.0%)増加し 48,616百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における連結ベースでの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローで 5,547百万円の資金増加、投資活動によるキャッシュ・フローで 2,451百万円の資金減少、財務活動によるキャッシュ・フローで 1,255百万円の資金減少となり、前連結会計年度末に比べ 1,840百万円増加し、当連結会計年度末には 16,324百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末現在実施中の主な部門別契約件数は次のとおりであります。
当連結会計年度の部門別販売実績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
[経営成績の分析]
当連結会計年度における売上高は、事業所向け・家庭向けのオンライン・セキュリティシステムの契約件数が順調に増加したほか、安全商品売上部門が増収となったものの、常駐システム部門において、臨時警備の受注が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ 14百万円(0.1%)減収の 24,345百万円となりました。営業利益は新型コロナウイルス感染症対策を講じながら企業活動を行う一方で、第1四半期の売上原価や販売費及び一般管理費の抑制の影響が続いたことなどにより、前連結会計年度に比べ 88百万円(2.0%)増益の 4,551百万円、経常利益は前連結会計年度に比べ 94百万円(2.1%)増益の 4,658百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に特別損失で投資有価証券評価損 407百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度に比べ 280百万円(10.1%)増益の 3,074百万円となりました。
当社グループの過去5年の営業利益率の推移は以下のとおりであります。
営業利益率の推移の主な要因は、2016年度の一部契約先のシステム設備の一斉更新、2017~2018年度にかけて実施したグループ各社の給与ベースアップ、2019年度における各種整備・強化による減価償却費の増加、当連結会計年度において新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、営業活動の自粛、研修等の中止・延期をした結果、売上原価や販売費及び一般管理費が抑制されたことなどによるものです。
また、優先的に対処すべき課題に記載のとおり、「品質維持・向上」と「人財育成」のための取り組みは、当社グループが将来に亘り安定的且つ着実な成長をするために必要不可欠なものと考えており、収益の拡大とともに引き続き行ってまいります。
また、当社グループはさまざまな経営環境に対応すべく、指標経営にとらわれない柔軟な経営判断を行うことにしていることから、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等は定めておりませんが、“「正しい仕事」「良い仕事」を通じて社会に貢献する”という企業理念の下、「安全・安心・快適・便利」な社会を実現する「社会システム産業」の構築を目指してまいります。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、2 「事業等のリスク」を参照ください。
部門別の状況について
<セキュリティ事業>
セントラライズドシステム部門
新型コロナウイルス感染症対策を講じた上で訪問活動及びオンラインツールを活用し、既存のお客様満足度の向上を図るとともに、新たなご契約先の拡大に注力しました。事業所向けでは、従来の高度な画像認識技術による無人時の異常監視に加え、入退室管理システムや働き方改革を支援する勤怠管理システム、スマートフォンによる監視カメラの画像確認など、昼間帯・有人時のセキュリティ強化や利便性向上につながるセコムならではの安全のノウハウをオールインワンでご提供する、システムセキュリティ「AZ」の拡販に努めてまいりました。また、サプライチェーン等に関わる施設の安全性を積極的かつグローバルに発信できる「SGSセキュリティ認証取得」をサポートするサービス「セコム・サプライチェーンセキュリティ・セレクト」にて、施設管理・サプライチェーン管理等に対する提案力を強化しました。家庭向けでは、健康管理や救急対応が可能なウェアラブル端末「セコム・マイドクターウォッチ」を付加できるほか、コミュニケーションロボット「Xperia Hello!」と連携し楽しさや便利さそしてゆるやかな見守りにつなげることができる、超高齢社会にも対応した「セコム・ホームセキュリティ NEO」、高齢者の不安と、離れて暮らす家族の不安に応えるサービス「セコムみまもりホン」の拡販に努めてまいりました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークや時差出勤が増えたことにより、社員やその家族の感染状況や出社可否などの情報を速やかに収集することができる「セコム安否確認サービス」などの受注が増加しております。
その結果、オンライン・セキュリティシステムの契約件数が順調に増加したことなどにより、同部門の売上高は前連結会計年度に比べ 72百万円(0.5%)増収の 16,128百万円となりました。
常駐システム部門
新型コロナウイルス感染症の影響による大型イベントなどの自粛で臨時警備の受注が減少したことなどにより、同部門の売上高は前連結会計年度に比べ 168百万円(3.6%)減収の 4,464百万円となりました。
翌連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症の影響により、既に当社エリア内で2021年度の夏の大型イベントを中心に中止が発表されており、当連結会計年度と同様に臨時警備の減少が見込まれますが、売上高合計に占める当部門の臨時警備の割合は数%であり、影響は軽微であります。
現金護送システム部門
契約件数の減少や既存の契約内容の変更などにより、同部門の売上高は前連結会計年度に比べ 59百万円(5.2%)減収の 1,072百万円となりました。
安全商品売上部門
新型コロナウイルス感染症対策として、「サーマルカメラ」や「非接触式出入管理システム」の需要が高まり、同部門の売上高は前連結会計年度に比べ 132百万円(5.7%)増収の 2,442百万円となりました。
これらの結果、セキュリティ事業の売上高は前連結会計年度に比べ 22百万円(0.1%)減収の 24,107百万円となりました。なお、全売上高に占める当事業の売上高比率は 99.0%(前連結会計年度 99.1%)となっております。
<その他の事業>
その他の事業の売上高は、メディカル事業部門が増収となったことにより、前連結会計年度に比べ 8百万円(3.5%)増収の 238百万円となりました。
[財政状態の分析]
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ 2,979百万円(5.6%)増加し 55,773百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ 2,246百万円(5.8%)増加し 41,269百万円となりました。現金及び預金が 1,945百万円増加したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ 732百万円(5.3%)増加し 14,503百万円となりました。投資有価証券が 357百万円及び退職給付に係る資産が 298百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末に比べ 685百万円(10.6%)増加し 7,156百万円となりました。現金護送業務用預り金が 229百万円及び繰延税金負債が 205百万円並びに未払法人税等が 186百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ 2,293百万円(5.0%)増加し 48,616百万円となり、自己資本比率は86.1%、1株当たり純資産額は 3,734円27銭となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは 5,547百万円の資金増加(前連結会計年度は 5,048百万円の資金増加)となりました。主な資金増加要因は、税金等調整前当期純利益 4,547百万円及び減価償却費 1,766百万円であり、主な資金減少要因は、法人税等の支払額 1,211百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは 2,451百万円の資金減少(前連結会計年度は 1,981百万円の資金減少)となりました。主な資金減少要因は、有形固定資産の取得による支出 2,315百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは 1,255百万円の資金減少(前連結会計年度は 1,230百万円の資金減少)となりました。主な資金減少要因は、配当金の支払額 1,222百万円です。
なお、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、サービス提供に関わる人件費、売却商品購入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用のうち主なものは、営業活動等に関わる人件費、親会社への技術援助料及び各種業務委託料となっております。
また、設備投資需要については、セキュリティサービス提供に際して、ご契約先に設置する警報機器の購入費用や、これらを監視する警報設備の購入費用等が主なものであります。
さらに、第2 「事業の状況」の1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題解決への投資を当社が持続的に成長し続けるための投資と考えております。
これらの資金については、自己資金又は借入金により資金調達することを基本方針としております。なお、当連結会計年度末現在においては、短期借入金及び長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)の残高はありません。
なお、当社の配当に対する基本方針については、第4 「提出会社の状況」の3 「配当政策」に記載しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、第5 「経理の状況」の連結財務諸表の「追加情報」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、第5 「経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」に記載しております。
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