有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
(介護保険制度について)
当社グループの主要な事業であるホーム介護事業及び在宅介護事業は、介護保険法の適用を受けるサービスの提供であり、介護保険法に定める居宅サービスを行うには、サービスの種類及び事業所毎に都道府県知事又は市町村長に申請し、「指定居宅サービス事業者」として指定を受けることが必要であります。指定を受けるには、「指定居宅サービス等の事業の人員、設置及び運営に関する基準」(介護保険法に基づく厚生労働省令)を満たしていなければならないため、当該基準に達せず、監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす場合があります。
また、各種介護サービス費用の大部分の支払いが公的機関より保障されているということで、安定した収入を確保することができます。しかし一方で、介護保険報酬は法律改正の影響を受けるため、当社グループの事業の状況にかかわりなく採算性に問題が生じる可能性があります。
介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるための措置として、5年ごとに介護保険制度の改正が行われ、3年ごとに介護報酬の見直しが行われることとされております。また、景気変動による保険料徴収の減少や少子高齢化による負担者層の減少が予想されるなど、今後の社会保障制度と税制との抜本改革により、介護給付体系の見直し等が進められた場合、その内容によって当事業に影響を及ぼす可能性があります。
(2)顧客情報及びスタッフの個人情報の取り扱いについて
当社グループの顧客には要介護者の比率が高く、特にグループホームの場合、入居者のみならず家族にとっても極めてプライバシーの高い情報が蓄積されます。また、登録ヘルパー等のスタッフの個人情報についても大量に保有しております。
当該情報に関しては、その取り扱いに細心の注意を払っておりますが、顧客の増加に伴って管理すべき情報の電子化やそれに伴うセキュリティの高度化が必要になるなど、情報管理に要するコストが増加する可能性があります。また、外部からの不正アクセスや社内管理の不手際によって、万一、顧客の情報が外部に流出した場合には、信用力が低下し、当社グループに対して損害賠償請求が提訴される可能性があります。
(3)従業員の確保について
当社グループが提供する介護事業の運営には、訪問介護員、看護師、介護支援専門員及び介護福祉士等の有資格者が必要不可欠であります。従って、事業規模を維持・拡大していくためには、それに見合った人財の確保が必要となります。
当社グループとしましては、有資格者を中心とする新たな人財の獲得を行っておりますが、介護業界の成長に伴い、介護サービスの需要の増大や競争激化による労働力不足が懸念されている状況であります。このような場合、新たな施設の増設ができないなど、提供する介護サービスの量的、質的な低下を招くおそれがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)安全管理及び健康管理について
当社グループの提供するホーム介護事業及び在宅介護事業のサービスは主に要介護認定を受けた高齢者を対象としており、サービスの提供時においては、体調悪化等が生じる可能性があり、また、不測の事故の危険性も否定できません。また、新型コロナウイルス・インフルエンザ等の感染症が流行した場合には、顧客の体調悪化等によりサービスの提供を中止しなければならない状況が生じるおそれがあるほか、スタッフが感染した場合には稼働が不可能となる状況が生じるおそれがあります。
当社グループは、介護手順や事故防止対策等については長年の実績に基づいて従業員の訓練や業務マニュアルの遵守による業務の実施を行っておりますが、万一サービス提供時に事故等が発生し、又は感染症が拡大し、過失責任が問われるような事態が生じた場合は、事業の展開及び業績に影響を与える可能性があります。
(5)災害等発生時の対応について
有料老人ホームやグループホーム等の施設において地震・洪水等の災害や火災が発生した場合、顧客は主に要介護認定を受けた高齢者であるため、避難させることが困難となる危険性を有しております。当社グループでは、施設においては、スプリンクラーを設置し、地震や水害等の大規模な自然災害が発生した場合に備えて、危機管理規程を定め、各施設において定期的に避難訓練を実施しております。しかしながら、想定を上回る規模で自然災害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)風評等の影響について
当社グループの事業は、お客様やそのご家族様、地域住民の皆様、医療機関及び行政機関の方々からの信頼のもとに成り立つものと認識しております。当社グループの従業員には、企業理念を浸透させ、また、定期的な研修により安定的かつ質の高いサービスを提供するよう指導、教育を行っております。しかしながら、従業員の不祥事等何らかの事情の発生や、当社に対して不利益な情報や風評が流れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)シンジケートローンによる資金調達に伴う財務制限条項への抵触に伴うリスク
当社が締結しておりますシンジケートローン契約には財務制限条項が定められております。
シンジケートローンによる資金調達においては、純資産の維持及び利益の維持に関する財務制限条項が付されており、これに抵触した場合には、利率の上昇や期限の利益の喪失等、当社の業績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
財務制限条項の内容については、以下のとおりでありますが、当連結会計年度末日において、当該財務制限条項に抵触しておりません。
(財務制限条項の内容)
①2017年10月に終了する決算期以降各年度の決算期における連結の貸借対照表における純資産の部の合計金額を、当該決算期の直前の決算期又は2016年10月期における連結の貸借対照表における純資産の部の合計金額の75%に相当する金額のうち、いずれか高いほうの金額以上に維持すること。
②2017年10月に終了する決算期以降の各年度の決算期の末日における連結の損益計算書における経常損益を2期連続して損失としないこと。
(8)新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症に関しましては、感染すると重症化しやすい高齢者のお客様に対するサービスを提供しているため、当社グループの重要課題のひとつであると認識しており、当社グループにおいて発足した「新型コロナウイルス対策本部」にて、「新型コロナウイルス感染症対策」を当社グループ内に配信し、グループ各社の全事業所と随時情報を共有しながら、感染拡大防止の対策を講じております。
具体的には、お客様及び従業員の安全を最優先とし、グループ各社の事業所へのご来訪時の検温・手指消毒等の徹底、面談時間の短縮化、また社内的にはテレワークの推進、時差勤務の推奨、WEB会議の積極的な活用、手指消毒・咳エチケットの徹底やソーシャルディスタンスの確保等の感染予防策を取りながら事業運営を行っております。しかしながら、本感染症の感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、営業活動の自粛等により新規のお客様獲得が低調に推移したり、グループ内の事業所等で集団感染が発生した場合には、当社グループの信用が低下するとともに、業績に影響を与える可能性があります。
(9)継続企業の前提に関する重要事象等
新たに「収益認識に関する会計基準」が適用されることで、次期(2022年10月期)の期首より剰余金が減少し、シンジケートローン契約に付されている財務制限条項において維持すべき純資産の確保が出来なくなる見込みであり、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在しております。
当社といたしましては、この状況の早期解消に向けて、各グループ会社が各セグメント市場において、売上拡大やコスト削減対策を実施し、収益向上に努めてまいります。同時に、取引金融機関との協議により、当該金融機関に財務制限条項に関わる期限の利益喪失の権利行使をしないことについて合意をいただけるものと判断しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
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