課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、経営理念に基づき化学を通じて、当社にかかわる全ての人々とともに、社会の豊かな繁栄と、幸福な生活に貢献し続けます。

 環境、安全、健康に加え、更に品質面への諸対策を今後とも積極的に取り組むと同時に、コーポレート・ガバナンスの強化に基づく企業価値、株主価値の更なる向上を目指します。

経営理念    ・日本精化は化学を通じて社会に貢献する

・日本精化は我社をとりまく全ての人に貢献する

・日本精化は社員の自己実現に貢献する

 

(2)2019年3月期~2023年3月期中期経営計画

 当社は、2018年2月に創立100周年を迎えました。新たな100年に向けて更なる成長を目指し、2018年4月からはじまる中期経営計画をスタートさせました。

「新たな100年へ 持続的に成長する企業グループに」をスローガンに掲げ、「人々の美と健康、豊かな生活の実現をサポートする価値の提供を通じて、社会にとって必要不可欠な企業グループとなる」ことを目指し、以下の基本方針と事業戦略を定めております。

基本方針

コンプライアンスと安全・安心の徹底

イノベーションとマーケティングの追究

長期的視点に基づいた成長基盤の強化 -積極的な設備・人材への投資-

 

事業戦略

(工業用製品)

-香粧品分野-

・化粧用機能原料(「生理活性物質」「機能性油剤」「ナノ素材」)を供給するグローバルパートナーを目指した認知度向上と市場への浸透

-精密化学品分野-

・医薬用リン脂質、既存分野の競争力強化と事業領域拡大を目指した川下分野展開の強化

・機能性樹脂、機能性コーティング剤における新規事業領域の獲得

(家庭用製品)

-環境衛生分野-

・コア事業の更なる強化

・商品開発力の強化

・業容拡大と新規事業領域の獲得

 

設備投資

中期経営計画の2023年3月期までの5年間で総額100億円の目標に対して、医薬用リン脂質における生産増強投資を主に、5年間の設備投資総額(固定資産計上ベース)は約107億円となる見通しであります。

 

経営目標

中期経営計画の最終年度となる2023年3月期は、工業用製品において、香粧品事業の化粧用機能原料は、新型コロナウイルス感染拡大影響により世界的に化粧品市場が低迷し、特に国内市場は依然として低調な状況にありますが、「顧客の用事(対処すべき課題)」に対応したソリューションの開発や化粧品処方の提案などをこれまで積極的に推進してきたことが国内外拡販で実を結び、また、当社品が顧客の大型製品に採用されたこともあり、中期経営計画を上回る販売を達成する見通しにあります。事業領域拡大を目指すリピッド事業は、医薬用リン脂質の販売は海外向けを主に堅調な伸びを示しており、今後の需要増加を見据えた新工場建設も順調に進展しております。一方で、国内子会社の商事部門は、新型コロナウイルス感染拡大影響により、販売未達の見通しであります。また、事業ポートフォリオの見直しを行い、将来性の無い皮革事業からの撤退を決定し、国内市場からの撤退及び中国現地子会社の太倉日夏精化有限公司の出資持分譲渡を実行するなど、非戦略製品群の整理を推進してまいりました。家庭用製品においては、新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、衛生用品市場の規模が拡大し、手指消毒剤等の環境衛生商品の底堅い需要増加により、新規事業領域の獲得遅れをカバーする見通しであります。この結果、連結売上高は360億円(中期経営計画比7.7%減 中期経営計画390億円)と未達となりますが、化粧用機能原料、医薬用リン脂質などの高付加価値品に販売がシフトし、製品構成が良化したことなどにより、連結営業利益は48.5億円(中期経営計画24.4%増 中期経営計画39億円)、連結営業利益率13.5%(中期経営計画10.0%)と、中期経営計画を大幅に上回る見通しであります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大など大きな環境変化がもたらす影響も踏まえ、工業用製品では、香粧品分野においてはリン脂質素材、機能性油剤、生理活性物質、ラノリン誘導体などの注力分野においてグローバルに採用される原料メーカーになることを目指し、サステナブル製品の開発、新規・既存製品の各種機能性評価による新たな価値創造、「顧客の用事(対処すべき課題)」に対応した新たなソリューションの開発を強化するとともに、国内外学会での研究成果の学術発表なども積極的に推進し、当社ブランドの価値向上と販売拡大に注力致します。リピッド分野においては当社独自技術の「医薬用リン脂質」では、既存分野での競争力強化、事業領域拡大を目指したアンメットメディカルニーズ(いまだに治療法が見つかっていない疾患に対する医療への要望)やドラッグ・リポジショニング(既存の治療薬から別の疾患に有効な薬効を見つけ出し、新薬を開発すること)に対応する独自製品の開発及びこれらを用いた川下分野への研究開発を推進するとともに、公表済みの高砂工場における新工場の着実な立ち上げに注力致します。精密化学品分野においては脱炭素化に貢献するペロブスカイト太陽電池に用いられる正孔輸送材料、高速通信に必須な低誘電率や高耐熱等の機能を持つ樹脂材料といった高機能素材や、医療用保護メガネ向け防曇コーティングなどの機能性コーティング剤における新規事業領域の研究開発に注力致します。家庭用製品では、衛生管理へのニーズの高まりを受けて成長した衛生用品市場でのシェア拡大、医療分野向けの新製品をはじめとする環境衛生商品の開発と拡販に注力致します。また、新規事業参入に向けた取り組みを強化してまいります。

 また、当社グループは、新たな価値を提供できる企業を目指したデジタル化とサステナブル社会の実現と持続的な成長の両立を目指しサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。

 以上のように、更なる成長に向けて基盤構築を迅速に実行し、当社グループを取り巻く厳しい環境を乗り越える強固な経営体質を構築してまいります。

 

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