当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が普及する一方、感染者数の急増の影響もあり足踏み状態が続いております。世界経済では日本よりワクチン接種が先行する米国、欧州では景気の回復が見られる一方、変異株による感染の再拡大と中国では感染拡大対策として都市封鎖を実施したことによる経済への影響、半導体等の原材料不足、ロシアによるウクライナへの侵攻とそれに対する制裁措置による原材料の供給不安、またそれに伴う仕入価格の高騰による影響が懸念されます。
当社グループの販売状況につきましては、国内ではワクチン接種の拡大もあり、顧客における生産活動は回復基調にあるものの、緊急事態宣言等の断続的な発出の影響により依然自粛ムードを引きずり、全体としては十分な回復には至っておりません。海外では自粛からの段階的な経済活動の再開により需要は回復しておりますが、海上運賃の高騰や一部でのコンテナ確保難等の物流の混乱は収まる気配がありません。感染症の再拡大や世界的な半導体不足による自動車の減産に加え、原料の価格高騰や調達懸念等が続く中、ウクライナ問題の発生により先行きの不透明感は更に強まっております。
当社グループとしましては、世界的な経済環境の不安定さと変動リスクの長期化を踏まえ、引き続き高品質で価格競争力のある製品の開発を行うとともに、新規顧客・用途開拓活動の推進により収益の維持・向上を進めているところであります。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高37,248百万円(前年同期比25.8%増)、営業利益5,758百万円(前年同期比45.9%増)、経常利益7,738百万円(前年同期比60.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,491百万円(前年同期比60.0%増)となりました。
売上高営業利益率は前連結会計年度より2.2ポイント増加して15.5%となりました。
営業利益が増加した主な要因は、原材料の高騰等による売上原価の増加の一方、為替相場が円安基調で推移したこと等により、売上高が増加したことによるものです。
総資産経常利益率は前連結会計年度より3.5ポイント増加して10.7%となりました。
経常利益が増加した主な要因は、営業利益が増加したこと、および為替差益が増加したことにより、営業外収益が増加したことによるものであります。
自己資本当期純利益率は前連結会計年度より2.9ポイント増加して9.0%となりました。
以上の結果、1株当たり当期純利益金額は1,697円19銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 日本
日本における当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は36,635百万円(前年同期比25.7%増)、セグメント利益(営業利益)は5,742百万円(前年同期比47.4%増)となりました。
陰イオン界面活性剤の分野におきましては、国内繊維での産業資材用途は自動車の生産量減少の影響を受け低迷しました。衣料用途は底を打ったものの十分な回復には至っておりません。海外向けは総じて堅調で、外部顧客に対する売上高は3,221百万円(前年同期比12.6%増)となりました。
非イオン界面活性剤の分野におきましては国内ではスポ-ツ衣料向けは好調に推移しているものの、ユニホ-ム・カジュアル分野はテレワ-クの増加により低調となっています。自動車向け資材も生産調整により回復のペースが落ちました。非繊維工業分野では自動車、トイレタリー向けは、販売縮小となりましたが、海外向けは総じて好調で、外部顧客に対する売上高は22,534百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
陽・両性イオン界面活性剤の分野におきましては、国内の繊維衣料用加工剤の販売が改善しました。また、シャンプー、家庭用洗剤向けが伸長し外部顧客に対する売上高は998百万円(前年同期比1.7%増)となりました。
高分子・無機製品等の分野におきましては、繊維工業関連では衣料の国内生産は引き続き低迷しました。非繊維工業関連では、メインの自動車用途において自動車メーカーの生産調整の影響を受けましたが、全体としては回復基調にあり前年同期を上回る販売となりました。設備投資関連資材は終売により販売縮小となりました。その結果、外部顧客に対する売上高は9,881百万円(前年同期比29.0%増)となりました。
② インドネシア
インドネシアにおける当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は612百万円(前年同期比30.0%増)、セグメント利益(営業利益)は21百万円(前年同期比51.4%減)となりました。
新型コロナウィルス感染症の影響で、インドネシア国内において大規模な社会制限(PSBB)が実施され企業活動が低下し、その後回復が見られたものの新型コロナウイルス感染症発生以前までの水準までは戻っておりません。
非イオン界面活性剤の分野においても新型コロナウィルス感染症の影響で、顧客のほとんどで生産量が落ち込んでいましたが、新型コロナウイルス感染症発生以前までの水準まで戻りつつあります。その結果、外部顧客に対する売上高は402百万円(前年同期比38.8%増)となりました。
高分子・無機製品等の分野は、国内市場が縮小したままで糊剤を使用しない生産が多く行われており大幅に出荷量が落ちた一方、輸出に関しては昨年より増加傾向にあります。その結果、外部顧客に対する売上高は197百万円(前年同期比14.6%増)となりました。
陰イオン界面活性剤及び陽・両イオン界面活性剤の分野におきましては、大きな進展は見られず、外部顧客に対する売上高はそれぞれ8百万円(前年同期比30.9%増)及び3百万円(前年同期比84.0%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
② 受注実績
当社グループは見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べて11.0%増加し、76,207百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて13.6%増加し、60,276百万円となりました。これは、有価証券が3,927百万円減少したものの、現金及び預金が7,095百万円、受取手形及び売掛金が1,774百万円、商品及び製品が597百万円、その他が1,083百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2.3%増加し、15,930百万円となりました。これは、機械装置及び運搬具が360百万円、建物及び構築物が216百万円減少したものの、投資有価証券が929百万円増加したことなどによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて25.9%増加し、11,404百万円となりました。これは、その他が422百万円減少したものの、買掛金が1,769百万円、未払法人税等が990百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて12.8%増加し、1,409百万円となりました。これは、繰延税金負債が140百万円増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて24.3%増加し、12,814百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて8.7%増加し、63,392百万円となりました。これは、利益剰余金が4,520百万円、その他有価証券評価差額金が384百万円増加したことなどによるものです。
この結果自己資本比率は、前連結会計年度末の84.8%から83.0%となりました。自己資本比率は例年80%以上を維持しており、経営の高い安定性を示しているものと考えております。
期末発行済株式数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の17,986円18銭から19,544円43銭となりました。1株当たり純資産額は、2018年3月期15,302円55銭、2019年3月期16,291円48銭、2020年3月期16,951円76銭と年々増加しており、継続的に株主利益の増大を図ってきた結果であると考えております。
セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。
① 日本
日本における総資産は、前連結会計年度末に比べて11.0%増加し、74,513百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて13.7%増加し、59,927百万円となりました。これは、有価証券が3,927百万円減少したものの、現金及び預金が7,051百万円、売掛金が1,890百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.1%増加し、14,585百万円となりました。これは、機械及び装置が355百万円、建物が122百万円それぞれ減少したものの、投資有価証券が743百万円増加したことなどによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて26.5%増加し、11,470百万円となりました。これは、未払金が456百万円減少したものの、買掛金が1,820百万円、未払法人税等が994百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて12.3%増加し、1,436百万円となりました。これは、繰延税金負債が131百万円、退職給付引当金が27百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて24.7%増加し、12,907百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて8.5%増加し、61,606百万円となりました。これは、繰越利益剰余金が4,437百万円、その他有価証券評価差額金が384百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
この結果自己資本比率は、前連結会計年度末の84.6%から82.7%となりました。連結経営指標と同様に、自己資本比率は例年80%以上を維持しており、経営の高い安定性を示しているものと考えております。
期末発行済株式数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の17,549円29銭から19,040円36銭となりました。1株当たり純資産額も連結経営指標と同様に年々増加しており、継続的に株主利益の増大を図ってきた結果であると考えております。
② インドネシア
インドネシアにおける総資産は、前連結会計年度末に比べて17.6%増加し、627百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて20.3%増加し、567百万円となりました。これは、現金及び預金が43百万円、受取手形及び売掛金が31百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2.8%減少し、60百万円となりました。これは、有形固定資産が2百万円減少したことなどによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて67.0%増加し、144百万円となりました。これは、買掛金が60百万円増加したことなどによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて0.8%増加し、40百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が0百万円増加したことによるものです。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて46.1%増加し、184百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて8.8%増加し、442百万円となりました。これは、為替換算調整勘定が36百万円増加したことなどによるものです。
この結果自己資本比率は、前連結会計年度末の76.3%から70.5%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、4,192百万円増加し、当連結会計年度末には、44,873百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは4,335百万円の増加(前連結会計年度は5,043百万円の増加)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,775百万円、減価償却費929百万円、仕入債務の増加額1,762百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額1,820百万円、法人税等の支払額1,374百万円、為替差益1,477百万円、棚卸資産の増加額1,099百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは685百万円の減少(前連結会計年度は764百万円の減少)となりました。
収入の主な内訳は、定期預金の払戻による収入1,020百万円、保険積立金の解約による収入55百万円であり、支出の主な内訳は、定期預金の預入による支出1,020百万円、有形固定資産の取得による支出462百万円、投資有価証券の取得による支出224百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは983百万円の減少(前連結会計年度は987百万円の減少)となりました。
支出の主な内訳は、配当金の支払額970百万円であります。
当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備の新設、改修等に係る投資であります。
これらの必要資金は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金により賄うことを基本方針としております。
当連結会計年度におきましては、主に日本における本社工場及び静岡工場での設備投資を実施してまいりましたが、今後も継続的にこれらの拠点における設備の新設・更新を行っていく予定であります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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