業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、厳しい経済環境が続いたものの、ワクチン接種の進展とともに経済活動が段階的に再開され、景気は緩やかな回復傾向で推移しました。しかし、年明け以降、新たな変異株による新型コロナウイルス感染症の再拡大、世界的な半導体不足、原油高の影響の顕在化及び米国のインフレ懸念など、依然として不透明な状況が続いております。こうしたなか、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻による世界経済への影響も懸念されております。

当社製品関連分野におきましては、医薬関連製品の出荷は減少したものの、触媒関連製品及び農薬関連製品の販売が堅調に推移したことに加え、光学材料関連の出荷が増加しました。その他ファイン製品は、樹脂関連製品等の販売は増加しましたが、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、代理人取引に係る売上高が減少し減収となりました

このような情勢のもとで、当社は、売価是正、拡販に注力するとともに、生産の合理化・効率化による製造原価低減など一層のコスト削減に取り組み、全社を挙げて収益確保に努めてまいりました

この結果、当事業年度の売上高は 172億96百万円前事業年度比1.7%減収)となりました。利益面では、原燃料価格高騰に加え、年度内の2回の定修によるコスト増加などにより営業利益は5億8百万円前事業年度比65.8%減益)、経常利益は8億2百万円前事業年度比52.2%減益)となりました。当期純利益につきましては、株式売却による特別利益5億31百万円、固定資産除却損など90百万円を特別損失にそれぞれ計上した結果、9億40百万円前事業年度比49.2%減益)となりました。

 

製品グループ別売上高

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

前事業年度

当事業年度

増  減

製品グループ

金額

構成比

金額

構成比

金額

増減率

 

 

 

 

 

 

医農薬関連化学品

6,784

38.6

6,589

38.1

△194

△2.9

機能性化学品

6,766

38.5

(注1,2)7,862

45.5

1,095

16.2

その他 (注4)

4,038

22.9

(注3) 2,844

16.4

△1,194

△29.6

17,589

100.0

17,296

100.0

△293

△1.7

 

 (注1) 当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用し、従来は輸出許可日で収益を認識していた

       指定仕向地渡し条件の輸出取引については、指定場所での引渡日に収益を認識することに変更したため、当事

       業年度における売上高(174百万円)が減少しております。

 (注2) 当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用し、有償支給取引において対価の純額を表示

       するため、当事業年度における売上高(73百万円)が減少しております。

 (注3) 当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」等を適用し、代理人として行う取引において対価の純

       額を表示するため、当事業年度における売上高(2,181百万円)が減少しております。

 (注4) 従来の化成品部門は、売上高の金額的重要性が低くなったこと及び一体的な事業と捉えることが適当であると

       判断したため、ファイン製品のその他に含めております。

 

 

なお、当事業年度より、報告セグメントの区分を変更しております。この変更により、当社は単一セグメントとなることから、セグメント区分に基づく分析の記載を省略しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「(報告セグメントの変更等に関する事項)」をご参照ください。

 

流動資産は、売掛金及び預け金が増加しましたが、棚卸資産の減少などにより、前事業年度末に比べ57百万円減少し、 128億82百万円となりました。 

固定資産は、株式売却等により投資有価証券が減少しましたが、ファイン製品製造設備の新設など建設仮勘定の増加により、 前事業年度末に比べ27億6百万円増加218億23百万円となりました。

この結果、総資産は、前事業年度末に比べ26億48百万円増加347億6百万円となりました。

流動負債は、未払法人税等が減少しましたが、買掛金、未払金及び設備関係未払金の増加により、 前事業年度末に比べ5億94百万円増加60億34百万円となりました。 

固定負債は、ファイン製品製造設備新設に係る長期借入金の増加により、 前事業年度末に比べ21億85百万円増加67億37百万円となりました。 

この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ27億80百万円増加127億71百万円となりました。

純資産は、当期純利益の計上により株主資本は増加しましたが、配当金の支払い及び株式売却等に伴うその他有価証券評価差額金の減少により、 前事業年度末に比べ1億32百万円減少 し、 219億34百万円となりました。自己資本比率は前事業年度末の68.8%から63.2%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度の現金及び現金同等物の期末残高は5億77百万円となり、前事業年度末の2億60百万円から3億16百万円増加しました。これは営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローが、固定資産の取得による支出などにより15億68百万円の支出となりましたが、財務活動によるキャッシュ・フローが、長期借入れによる収入24億円などにより18億60百万円の収入になったことによります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益を12億43百万円、減価償却費を18億20百万円計上したことに加え、営業活動に係る運転資金需要が減少しましたが、投資有価証券売却益の調整及び法人税等の支払などにより、 26億17百万円の収入(前事業年度は19億22百万円の収入)となりました。 

投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入5億69百万円がありましたが、ファイン製品製造設備新設など総額48億2百万円の固定資産の取得による支出により、 41億85百万円の支出(前事業年度は39億8百万円の支出)となりました。 

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れにより24億円調達する一方で、配当金の支払5億38百万円により、 18億60百万円の収入(前事業年度は15億58百万円の収入)となりました。

 

 

③ 生産実績

当事業年度における生産実績は154億24百万円(前事業年度比6.8%減)であります。

 (注) 金額は、販売価格によっております。

 

④ 受注状況

当社は原則的に将来の予想に基づいて見込生産を行っております。

 

⑤ 販売実績

当事業年度における販売実績は172億96百万円(前事業年度比1.7%減)であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、原則として財務諸表に基づいて分析した内容であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
 財務諸表作成にあたり、当社が採用している会計方針において使用している重要な会計上の見積り及び前提条件は、以下のとおりであります。

(貸倒引当金)

当社は、支払実績及び信用情報等を査定して販売先から営業担保を預っており、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に債権の回収可能性を検討して貸倒引当金を計上しております。

販売先の財務状況及び支払能力に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。

(棚卸資産)

当社は、棚卸資産の貸借対照表価額については、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により計上しております。

当社は、得意先の需要予測に基づき生産計画を策定しており、また、当社の生産設備であるマルチプラントでは生産切替回数増加によるロスを極力抑えるため、まとめ生産を行っております。このため、生産から販売まで長期間を要する場合があります。長期保有在庫の販売予測の見積りにおいては、将来の販売数量が重要な構成要素となりますが、これらは国内外における需要等の外部経営環境の影響を受けることから不確実性を伴い、見積りにおける仮定の選択に係る判断が長期保有在庫の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(投資の評価)

当社は、長期的な取引関係の維持・強化のため株式を所有しております。当社は、投資価値の下落が一時的でないと判断した場合に株式の減損処理を実施しております。時価のある「その他有価証券」については、期末時価が帳簿価額を50%以上、若しくは3期連続で30%以上50%未満下回った場合に減損処理を実施しております。また、時価のない「その他有価証券」については、原則として評価対象となる純資産額が帳簿価額を50%以上下回った場合に減損処理を実施しております。
 将来の株式市場の動向、投資先の業績動向によりこれら投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(繰延税金資産)

当社は、繰延税金資産の計上にあたり、今後の事業計画及び将来減算(加算)一時差異の解消スケジュール等を基に合理的で実現可能なタックス・プランニングを検討し、将来の課税所得等の予測を行っております。その結果、将来実現が困難と判断される繰延税金資産については、評価性引当額を計上しております。
 将来の業績及び課税所得実績の変動等により、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(退職給付費用及び債務)

当社の従業員退職給付費用及び債務は、年金数理計算上で設定される前提条件に基づいて計上しております。この前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率が含まれており、退職給付債務を計算する際に用いる数理上の前提の変更、年金制度の変更による未認識の過去勤務費用の発生等により、退職給付費用及び債務の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(減損損失)

当社は、収益性の低下や時価の下落といった減損の兆候の見られる固定資産については、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
 将来の収益性の低下や時価の下落等により、これら固定資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(受注損失引当金)

当社は、受注契約のうち損失が発生する可能性が高く、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な受注契約について、損失見込額を受注損失引当金として計上しております。

将来の市場環境の変動等により製造原価が見積原価を超過することが見込まれる場合、追加の受注損失又は引当金計上が必要となる可能性があります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高、売上原価、売上総利益と営業利益)

当事業年度の売上高は、医薬関連製品の出荷は減少したものの、触媒関連製品及び農薬関連製品の販売が堅調に推移したことに加え、光学材料関連及び樹脂関連製品等の販売も増加しましたが、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、代理人取引に係る売上高の減少により、前事業年度に比べ2億93百万円減少し、172億96百万円となりました。

当事業年度の売上原価は、原燃料価格高騰に加え、年度内の2回の定修によるコスト増加などにより前事業年度に比べ6億45百万円増加し、136億45百万円となりました。

この結果、売上総利益は、触媒関連製品及び光学材料製品など、収益性の高い製品の販売増加、為替変動及び原燃料価格高騰に伴う売価是正などのプラス要因がありましたが、原燃料価格の高騰、年度内の2回の定修によるコスト増加などマイナス要因の影響が大きく、前事業年度に比べ9億38百万円減益の36億50百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、燃料高騰に伴う物流コスト上昇などにより、前事業年度に比べ37百万円負担が増加し、31億42百万円となりました。この結果、営業利益は5億8百万円となり、前事業年度に比べ9億76百万円減益となりました。

 

 

(営業外損益と経常利益)

営業外収益は、当事業年度末に円安が進行したため為替差益などにより、前事業年度に比べ1億12百万円増加3億21百万円となりました。営業外費用は、借入金増加に伴う支払利息の増加などにより、前事業年度に比べ12百万円増加27百万円となりました。この結果、当事業年度の営業外損益は前事業年度に比べ1億円増加の2億94百万円の利益となりました。

これにより、経常利益は8億2百万円となり、前事業年度の16億78百万円から8億75百万円の減益となりました。

 

(特別損益と当期純利益)

特別利益5億31百万円(投資有価証券売却益)、特別損失90百万円(固定資産除却損、設備撤去引当金繰入額)を計上した結果、税引前当期純利益は12億43百万円となり、前事業年度の24億52百万円から12億9百万円の減益となりました。法人税、住民税及び事業税3億55百万円及び法人税等調整額△52百万円を控除した結果、当期純利益は9億40百万円となり、前事業年度に比べ9億10百万円の減益となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社は、円滑な事業活動に必要な水準の流動性の確保と財務の健全性維持を資金調達の基本方針としております。

当社は、上記の資金調達の基本方針に則り、国内金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、短期借入金及び長期借入金により必要資金を調達しております。

直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、その時々の市場環境も考慮した上で当社にとって有利な手段を機動的に選択し、資金調達を行っております。

なお、ファイン製品製造設備(CMⅣプラント)を2021年3月に着工済みであり、2022年秋に稼働する見込みであります。今後も所要資金を金融機関から調達する計画であります。

 
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