課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2022年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、長年培ってきた含窒素有機化合物群におけるコアテクノロジーをさらに進化させるほか、新たなコアテクノロジーの確立を図ることにより、新しい柱としての基幹化合物、機能製品、気相製品を創出し、高付加価値高機能製品を提供してまいります。これらを通じて社会の発展に貢献するとともに、株主の皆様のために公正な収益活動を営み、併せて地域社会と協調し、あらゆる取引先等の信頼と期待に応え、また従業員にとりまして働きがい、生きがいの感じられる企業を目指します。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

当社を取り巻く環境

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は、ワクチン接種率の向上や治療薬の進展などにより収束に向かっていくことが期待されますが、物流停滞に伴う供給面での制約、原油価格など国際商品市況の高騰、米中摩擦の激化、ウクライナ情勢等地政学的なリスクなどが懸念され、今後も厳しい経営環境が続くものと予想されます。

このような状況におきまして、当社は引き続き売価是正、拡販に取り組み収益の確保を図るとともに、中期経営計画に掲げたスローガン『伝承と挑戦』KX2.0のもと、事業成長戦略を加速するとともに、経営基盤強化及び人材育成強化を積極的に行い、企業価値向上に取り組んでまいります。

 

中期経営計画策定(2022年度-2024年度) 『伝承と挑戦』KX2.0

① 前中期経営計画(2019年度-2021年度)の総括

2021年度は、売上高200億円、営業利益20億円の目標を掲げておりましたが、売上高172億96百万円、営業利益5億8百万円と減収減益となりました。次世代製品販売の2022年度以降へのずれ、一部既存製品の需要回復の遅れのほか、定期修繕の実施時期変更に伴い、2021年度のみ2度の定期修繕となり固定費負担が増加したことも影響しております。

一方、設備投資計画は、事業拡大のための投資として意思決定した第4系列目のマルチプラント(CMⅣ)が計画通り2022年秋に稼働する見込みです。加えて、高経年化した基盤プラントの再構築をスタートさせ既存製品の競争力強化や作業性改善を推進しており、今後も継続課題として検討してまいります。

② 目指すべき方向性

中期経営計画(2022年度-2024年度)を策定するに当たり、前中期経営計画の継続課題を踏まえKOEI VISION 2030を新たに制定致しました。

≪ KOEI VISION 2030 ≫

「製造・販売・研究・間接部門すべての部門でイノベーションを加速し、新たな企業価値の創造を通じ自ら持続的な成長を実現するとともに、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献します。」

 

経営目標 2024年度 売上高 214億円  ROIC  8%

     2030年度 売上高 300億円  ROIC 10%

 

 

③ 中期経営計画(2022年度-2024年度)

≪ 中期経営計画基本方針 ≫

KOEI VISION 2030の実現を目指して、本中期経営計画においては、下記の3項目を基本方針として推進し、2024年度売上高で基盤製品105億円、機能製品・新規事業109億円を目指します。

 

(事業成長戦略加速)  

a)基盤製品の競争力強化/高付加価値化

 ・アミン・ピリジン類の拡販及び新製品、新規用途開発

 ・他社との事業提携による事業拡大策の追求

 ・合理化による競争力強化

b)機能製品・新規事業拡大

 ・CMⅣプラントの円滑な立上げによる有機金属触媒・医農薬中間体ビジネス拡大

 ・イオン液体の用途拡大・ウレタン樹脂低温硬化触媒の早期商業化

 ・新規分野探索や既存技術と新技術の融合による新ビジネスモデルの構築

c)事業ポートフォリオの高度化による収益性向上

 ・採算性や戦略性を重視した製品プライオリティの見直し

 ・自社製品のPLCM(プロダクトライフサイクルマネジメント)の徹底

 

(経営基盤強化)

企業変革、企業価値向上のため、①デジタル革新加速(DX)、②マネジメント力強化(MX)、③ガバナンス強化(GX)及び④サステナビリティ追求(SX)の4つのトランスフォーメーションを部門横断的に取組んでまいります。

 

(人材育成強化・加速)

人材育成強化のため、以下3点に取り組んでまいります。

a)マネジメント強化

 ・研修の充実等による管理社員のマネジメント力の強化

b)中堅・若手社員のスキル向上

 ・製造、研究、営業分野の育成プログラム見直し及び強化

c)人事制度見直し 

 ・キャリア開発システム新設

 ・評価基準の見直し

 

≪ 業績計画 ≫

2022年度以降の業績は、既存製品の需要回復に加え、CMⅣプラントの稼働が寄与し収益性が期待できる機能製品・新規事業の拡大を見込んでおります。また、事業ポートフォリオの高度化による収益性向上にも一層取組み、最終年度に当たる2024年度には売上高214億円、営業利益21億円、当期純利益15億円の達成を目指します。

なお、企業の収益力を図るEBITDAは、2021年度23億円から大幅にアップし2024年度は53億円となる見込みです。

 

 

原料価格高騰・サプライチェーン混乱への対応について

前述のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響や米中摩擦の激化、ウクライナ情勢等地政学的なリスクにより、原料価格の高騰やサプライチェーンの混乱に拍車がかかっており、当社を取り巻く環境は厳しい状況となっております。これらの懸念に対して、当社は以下のとおり取り組んでまいります。

 

・原材料、エネルギーコストの上昇について

国産ナフサは、2022年4-6月は、2008年以来の80,000円/kl台に達する見通しであり、加えて輸送コスト上昇や輸送遅延の常態化でサプライチェーンマネジメントに課題が生じています。当社としては、先ずは原燃料価格、物流費用の製品価格への転嫁を喫緊の課題ととらえ、顧客との交渉を粘り強く行ってまいります。また、海外への輸送の遅延については、相手先への前広な情報提供を行うことで理解を得ております。

 

・急激な円安の進行について

本年3月以降、為替ルートは急激に円安方向に動いており、原燃料価格上昇が更に加速しております。販売面では、前述のとおり、製品価格への転嫁を進めると共に、当社は輸出売上が売上高全体の5割を超えていることから、海外向けの拡販を精力的に進めることで、円安のメリットを享受すべく取り組んでまいります。

 

・原材料の安定調達について

中国等からの調達は環境問題等から急に制限されるケースがあり、原料の調達が今後困難になる場合も考えられます。当社は、BCPの観点から、原料調達の複数化を進めております。安定調達に向け、既存供給先の定期的なチェック、また、住友化学グループのシナジーを活かして中国・インド等における新たな供給先の探索を積極的に行う等、調達の安定化を引き続き推進してまいります。

 

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