課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。中期経営計画につきましては2021年5月7日に公表したものに基づきます。

(1)基本方針

当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。

社是

「限りなき進歩と創造」

経営信条

一. 信用を重んじ確実を旨とする

一. 技術を通じて国家社会に貢献し

一. 社業の繁栄によって従業員の豊かさを築く

そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。

(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題

今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響、ウクライナ情勢の悪化、政治的対立の顕在化、インフレの進行等、経済の混乱要因により、先行きは見通せない状況にあります。

このような状況のもと、当社グループは従業員の健康・安全を確保した上で、生産・販売を維持、強化し、事業継続に注力します。

先行き不透明な状況ではありますが、新規設備の有効活用による国内外の需要取り込み、継続的なコスト削減を通じたコア事業の更なる強化、市場ニーズに適合した新規商品の開発、海外拠点を活用した海外展開、さらに新規設備投資計画を進め供給力強化に取り組みます。

昨年、当社は中期経営計画“FUSO VISION 2025”を策定しました。持続的な成長のため、目指すべき企業像に向けての方針を定め、中期経営計画のサブテーマである『社会課題の解決に貢献するFUSOであるために』を実現し、中期経営目標の達成を目指します。詳細は当社ウェブサイトに掲載しています。

2022年度の計画につきましては、インフレ進行、円安進行に伴う原料価格の上昇、それに伴う販売価格への影響、半導体市況の予測を織り込んで、下記のとおり計画しています。

 

〇連結業績計画および当期実績比較

(単位:百万円)

 

2021年度実績

2022年度計画

増減額

売上高

55,760

66,200

+10,439

営業利益

15,034

15,650

+615

経常利益

15,509

15,700

+190

親会社株主に帰属する当期純利益

10,890

10,800

△90

償却前営業利益

19,488

20,350

+861

 

〇ライフサイエンス事業連結業績計画

(単位:百万円)

 

2021年度実績

2022年度計画

増減額

売上高

31,430

38,000

+6,570

営業利益

4,940

5,700

+759

償却前営業利益

6,435

7,300

+864

 

〇電子材料および機能性化学品事業連結業績計画

(単位:百万円)

 

2021年度実績

2022年度計画

増減額

売上高

24,329

28,200

+3,870

営業利益

11,612

12,000

+387

償却前営業利益

14,496

14,950

+453

 

<中期経営計画>

当社グループの持続的な成長のためには、グループとして中期的に目指すべき方向性・指針を社内外のステークホルダーに対して打ち出すことの必要性を感じ、昨年「中期経営計画 “FUSO VISION 2025”」を策定しました。これを基に2025年度(2026年3月期)までを、『更なる飛躍のための足場固めと新規事業創出・第3の柱構築への挑戦のための5年間』と位置づけ、事業環境の変化への対応と新たな価値の創造に挑戦し続けることで、中期経営計画のサブテーマである『社会課題の解決に貢献するFUSOであるために』を実現していきます。

 

1.中期経営計画の概要

名称   :中期経営計画“FUSO VISION 2025”

サブテーマ:社会課題の解決に貢献するFUSOであるために

期間   :2021年度~2025年度(5ヶ年の中期計画)

経営目標 :売上高580億円、営業利益140億円、償却前営業利益200億円

経営方針 :①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応

②新規事業・分野への投資・挑戦

③持続的成長を支える経営基盤の強化(SDGsへの取り組み)

 

2.目指す企業像

「限りなき進歩と創造」の先にあるもの、当社グループが目指す企業像としては、その特定の分野で輝く数多くの金メダル製品と様々な価値観・アイデアを持つ社員がそれぞれの持ち場で活き活きと働き、社会に貢献し続けられる体力のある企業、そのような未来を思い描き下記の通り設定しました。

 

・グローバルニッチトップを追求する FUSO

 ・人々の暮らしの豊かさの向上・持続的な未来に貢献し続ける FUSO

 ・現状に満足することなくInnovationに挑戦し続ける FUSO

 ・既存事業に続く成長性ある第3の柱構築で倒れない強い企業である FUSO

 

※中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご覧ください。

 

3.中期経営計画の進捗状況

初年度の2021年度の業績は、期待以上の成果となりました。強い需要に支えられた販売量増加の影響もありますが、原材料価格や為替等の要因により売上単価の上振れが業績に大きく影響しました。2年目に当たる2022年度以降も原料価格の高騰は継続しており、為替も円安が進行しています。2022年度計画も上振れて進捗する計画ですが、コロナ禍の影響、ウクライナ情勢、政治的対立、インフレ、為替等、非常に不安定な状況が継続しており、2025年度までの計画は据え置きとさせていただきます。今後、外部要因の影響を慎重に検討し、見直しの是非を判断していきます。コストアップ等の要因も多く、厳しい状況が継続していますが、2022年度計画の達成に向けて注力していきます。

 

 

2021年度(実績)

2025年度(目標)

売上高

557億円

580億円

営業利益

150億円

140億円

償却前営業利益

194億円

200億円

 

<対処すべき課題>

当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。

 

(ライフサイエンス事業)

ライフサイエンス事業では、生産体制の拡充、新製品開発と早期戦列化、ならびに市場環境の変動に伴う課題に対処し、さらなる売上および利益の拡大に取り組みます。

鹿島事業所のリンゴ酸新プラントは2021年1月に本格稼働を開始し、年間を通した安定操業を実現し、大阪工場と並ぶリンゴ酸生産拠点となりました。2023年3月期はメインプラントとしてフル生産体制を確立し、生産数量向上に取り組みます。品質面においては、国際食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を取得するとともに、米国FDA登録を完了しました。これによりリンゴ酸の輸出は大きく伸長し、新規輸出先への継続納入と需要の旺盛な東南アジアへの販売により更なる販売数量の拡大に努めます。

次世代新製品として取り組んできた有機酸のコーティング品については、2022年3月にコート果実酸M(リンゴ酸の油脂コート品)、コート果実酸C(クエン酸の油脂コート品)、コート果実酸V(ビタミンCの油脂コート品)の3製品を上市しました。今後は菓子、健康食品などへの採用による国内での早期戦列化と、海外各拠点も含めた海外への販売促進により、コート果実酸ビジネスの確立を推進します。

十三工場機能の大阪工場への集約につきましては、2021年8月に着工し、2022年末の完成に向けてこれまでのところ順調に進んでいます。

海外では、青島扶桑精製加工有限公司が2022年上期に上海食品調味料研究開発センター(仮称)を開設します。青島にあるテストキッチンと併せて活用することにより、中国国内での食品添加物製剤ならびに新規食品開発の加速を目指します。FUSO(THAILAND)CO.,LTD.では、周辺国での活動を強化し、タイ国内のみならず周辺国のローカル食品での食品添加物製剤の採用増と新規開発を進めます。PMP Fermentation Products, Inc.では、グルコン酸ソーダの販売において競合他社からのビジネスを取り返すとともに、新規案件の獲得により前期に落ち込んだシェアを回復しました。安定供給体制を確立し、シェアの維持に努めます。

 

(電子材料および機能性化学品事業)

電子材料および機能性化学品事業では、増加する需要へ対応するための生産能力強化、新規技術の研究開発活動に努めることで、さらなる売上および利益の向上に取り組みます。

2020年年初から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社グループの超高純度コロイダルシリカの主な最終顧客である半導体業界に大きな影響を及ぼしました。ウェブ会議、リモートワーク、巣ごもり生活といった行動様式の変化に伴い半導体の需要が伸長し、超高純度コロイダルシリカの販売も計画を大きく上回る結果となりました。この数年間の市場傾向が継続していくことに加え、各国家・地域が半導体に対する政策を打ち出したこともあり、当社では、当面の期間、半導体の生産量増加が継続すると予測しています。また、半導体の微細化の進展や、高積層化によるウェハプロセスケミカルの需要量も引き続き増加基調が継続するものと予測しています。

この需要の増加に対応していくため、2020年11月に超高純度コロイダルシリカの生産能力増強を決定し、BCP(事業継続計画)の観点に鑑み、鹿島事業所に新設備を設置することとしました。2023年4月に稼働予定の本設備は、2018年に京都第一工場および第二工場に完成した超高純度コロイダルシリカ生産設備と同じ高度な技術を終結した仕様で、製造条件を高精度にコントロールする事が可能であり、益々厳しくなるお客様の品質要求に応える事が可能になります。また、旺盛な需要に対応するため、京都事業所第二工場での生産能力増強も2021年7月に決定し、鹿島事業所の設備と併せて生産能力を従来に対し3割以上強化する計画としています。

研究開発については、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応すべく、さらに様々な大きさの粒子や硬い粒子、表面修飾した粒子等の製品開発を続けていきます。

半導体研磨用途以外の新分野への製品開発や今後のグローバルな研究活動への拡大を見据え、2022年7月に新たな研究拠点を神戸に開設することとしました。従来から活動している東京研究所とともに、今後も積極的に経営資源を投下し、当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かし、新規技術の研究開発を行います。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。

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