業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますが、参考までに、当連結会計年度の連結経営成績と前事業年度の個別経営成績の比較情報を記載いたします。なお、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、遡及処理後の数値で比較分析を行っております。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策に伴う各種制限の緩和により社会経済活動の正常化に向けた動きが見られましたが、同感染症の収束が未だ見通せないほか、ウクライナ情勢の長期化などが懸念され、世界的なエネルギー・原材料価格の高騰による消費マインドの低下、円安・金融資本市場の変動等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。このような状況の中、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンの下、主に印刷・集客支援のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」、テレビCM・動画の広告プラットフォーム「ノバセル」、物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」を運営してまいりました。

「ラクスル」では、引き続きノベルティ等の商品ラインナップの拡充とともに、主力のチラシ印刷においては「注文翌日午前中に商品が届く」といったお急ぎの印刷需要に応えるサービスを開始し、顧客の利便性向上に努めております。「ノバセル」ではテレビCMの効果分析ツールである「ノバセルアナリティクス」の機能を拡充するとともに、様々な代理店との業務提携を通じ、更なる顧客への獲得に努めております。また、「ハコベル」においても、登録車両台数の増加により運送キャパシティを確保するとともに、配送業務管理ツールである「ハコベルコネクト」を通じ、顧客の配車業務のデジタル化推進のための機能拡充に努めております。さらに、いずれの事業でも将来を見据え、登録ユーザー数増加や認知度向上に向けた広告宣伝投資を行っております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は33,980百万円(前事業年度比33.1%増)、営業利益は462百万円(前事業年度比109.9%増)、経常損失は167百万円(前事業年度は経常利益130百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,021百万円(前事業年度比538.6%増)となりました。

セグメント毎の状況は、次のとおりであります。

 

ラクスルセグメント

「ラクスル」においては、国内経済の回復に向けた動きを受け、堅調に拡大しており、取扱商品や法人向けサービスの拡大等、継続的サービスの拡充に努めております。また、より効率的な広告施策への再配分を実施したことで、セグメント利益の拡大につながりました。2022年2月に完全子会社化した株式会社ダンボールワンも堅調に売上高が伸長しており事業拡大に寄与しております。この結果、売上高は27,325百万円(前年同期比34.9%増)、セグメント利益は3,001百万円(前年同期比40.2%増)となりました。

 

ノバセルセグメント

「ノバセル」においては、外部環境の影響の少ない顧客層へのシフト、及びSaaS事業の順調な拡大により、業績は堅調に推移いたしました。引き続き顧客の新規開拓に注力するとともに、効果分析ツールの新商品のローンチ等、顧客ニーズに応えるサービスの提供を通じ継続利用の促進に努めております。この結果、売上高は2,824百万円(前年同期比38.4%増)、セグメント損失は131百万円(前年同期はセグメント利益9百万円)となりました。

 

ハコベルセグメント

「ハコベル」においては、各企業が輸送コストの増大に課題を抱えている中で積極的な提案活動を行ったことにより、顧客基盤は引き続き順調に拡大しております。この結果、売上高は3,478百万円(前年同期比18.5%増)、セグメント損失は181百万円(前年同期はセグメント損失114百万円)となりました。

なお、2022年8月に本セグメントを会社分割によりハコベル株式会社に承継し、同社をセイノーホールディングス株式会社と合弁会社として運営することに伴い、2023年7月期より同社は持分法適用会社となります。

 

②当期の財政状態の概況

a.流動資産

当連結会計年度末における流動資産は19,660百万円となり、前事業年度末に比べ2,743百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が235百万円、売上高の拡大に伴い受取手形及び売掛金が1,948百万円、前払費用が234百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

b.固定資産

当連結会計年度末における固定資産は8,973百万円となり、前事業年度末に比べ3,973百万円増加いたしました。これは主に株式の追加取得によるのれん4,708百万円増加、関係会社株式がのれんに振り替わったことなどにより2,011百万円減少、繰延税金資産が810百万円増加したことによるものであります。

 

c.流動負債

当連結会計年度末における流動負債は7,774百万円となり、前事業年度末に比べ2,705百万円増加いたしました。これは主に買掛金が887百万円、1年内返済予定の長期借入金が長期借入金からの振替により407百万円、短期借入金が新たな借入により800百万円、未払法人税等が123百万円、賞与引当金が135百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

d.固定負債

当連結会計年度末における固定負債は11,546百万円となり、前事業年度末に比べ2,695百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が新たな借入を行ったことと、長期借入金の返済及び1年内返済予定の長期借入金へ振替わったことにより2,704百万円増加したことによるものであります。

 

e.純資産

当連結会計年度末における純資産合計は9,312百万円となり、前事業年度末に比べ1,316百万円増加いたしました。これは主に譲渡制限付株式報酬としての新株式発行等により資本金が241百万円、資本準備金が241百万円増加したことに加え、株式報酬費用の計上により新株予約権が401百万円増加、さらに親会社株主に帰属する当期純利益を1,021百万円計上したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は29.3%(前事業年度末は34.1%)となりました。

 

③当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ235百万円増加し、当連結会計年度末には13,682百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は837百万円(前事業年度は1,539百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を497百万円、減価償却費を227百万円、株式報酬費用を695百万円計上したことに加え、売上債権が1,294百万円増加、仕入債務が567百万円増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2,808百万円(前事業年度は3,618百万円の使用)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,789百万円、投資有価証券の取得による支出418百万円、関係会社株式の取得による支出387百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は2,206百万円(前事業年度は75百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入3,600百万円、長期借入金の返済による支出1,684百万円があったことによるものであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当社グループで行う事業は、インターネットを利用して、顧客と提携先の印刷会社や広告代理店、運送会社を繋ぐプラットフォーム事業であり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

②受注実績

当社グループで行う事業は、インターネットを利用して、顧客と提携先の印刷会社や広告代理店、運送会社を繋ぐプラットフォーム事業であり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

販売高(百万円)

前年同期比

増減額(百万円)

増減率(%)

ラクスル

27,325

7,072

34.9

ノバセル

2,824

782

38.4

ハコベル

3,478

541

18.5

報告セグメント計

33,628

8,396

33.3

その他

351

60

20.9

合計

33,980

8,457

33.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループが財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

当連結会計年度の売上高は、33,980百万円(前事業年度比33.1%増)となりました。外部環境の様々な変化を受けつつも、素早く順応できた結果として各事業は堅調に拡大し、2022年2月に完全子会社化した株式会社ダンボールワンも売上高の増加に大きく寄与しております。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は、24,176百万円(前事業年度比31.2%増)となりました。この結果、売上総利益は9,803百万円(前事業年度比38.3%増)となりました。当社グループは、売上総利益を「プラットフォームの価値を示す、付加価値の総和」として最重要の指標と位置付けております。セグメント毎に利益率が異なるため全社合計での絶対額の増加及び対前年同期比の増加率を重視しております。

「ラクスル」においては、プライシングの最適化を実施し、サプライヤーの生産性や原価改善支援、資材の共同調達による原価改善を行いました。「ノバセル」においては、SaaS事業が拡大を見せております。また「ハコベル」においても、運送会社への発注アルゴリズムを最適化するとともに、SaaS事業が拡大しております。これらの要因により売上総利益率の改善及び増加に寄与しました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、9,340百万円(前事業年度比36.0%増)となりました。これは主に、「ラクスル」において登録ユーザー数増加に向けた広告宣伝投資をコントロールしながらも積極的に行ったことによるものであります。この結果、営業利益は462百万円(前事業年度比109.9%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上及びユーザー数の拡大に努めてまいりました。積極的に広告宣伝投資を実施することにより新規ユーザーを獲得するとともに、高い定着性を有する顧客基盤を構築すべく、今後もシステム開発を継続して行う方針であります。これらの資金需要につきましては、必要な資金を自己資金、金融機関からの借入、社債の発行及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。

なお、当連結会計年度末においては13,682百万円の現金及び預金を有しており、自己資本比率も29.3%と適正水準を維持しており財務健全性は高い状態にあります。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化、シェアリングによる生産体制、人材の確保・育成、法的規制、自然災害等のリスク、情報システムリスク、訴訟に係るリスク等、様々な要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

また、新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見通せないほか、ウクライナ情勢の長期化などが懸念され、世界的なエネルギー・原材料価格の高騰による消費マインドの低下、円安・金融資本市場の変動等、依然として先行きの不透明な状況が続いております。当社グループにおいては2023年7月期においても引き続き不透明な状況にあると仮定しておりますが、今後状況が変化した場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。

そのため、当社グループは、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することで、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

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