文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
《ミッション》
「すべての人を、創造する人に。」
すべての人が創造性を発揮し、人の数だけ世界を変えていく。
チームスピリットは、変化を巻き起こす機会を創る会社であり続けます。
《ビジョン》
「個を強く。チームを強く。」
一人ひとりの挑戦するチカラに加速力をもたらし、一人ひとりが主人公となって動く。
強い「個の集団」が生まれ、あらゆる壁を超えていく世の中を実現します。
《コアバリュー》
Customer Value
お客様自身が気付いていない価値の創造にこだわります
Team Spirit
誠実にリスペクトの気持ちを持って、関係者と貢献の輪を創ります
Innovation
理想のビジョンを描き、光速で実験し、失敗から学びます
Re:Start-up
毎日スタートアップ初日に戻り、未知を探索します
当社グループはこのようなミッション、ビジョン、コアバリューにより「働く人の創造的な時間を生み出し、チームの力を最大限引き出す」ことを基本方針に、「お客様の成功」を判断基準として経営しております。
《経営方針》
今、DXという大きな波が押し寄せています。DXはITを活用した単なる業務の効率化ではなく、デジタル技術を駆使してビジネスの仕組みを変革することを意味しています。時代の変化に対応し新しい挑戦を続けることは、全ての企業にとって最も根源的な経営課題であります。
当社グループも、創業当時の受託開発型ビジネスから現在のSaaSビジネスへ移行するという「強烈な変化」を体験しました。「変化を恐れるのでなく、自ら変化を創り出す」ことが当社グループの経営方針の根幹です。
当社グループが提供するサービスは、多くのお客様によって支えられています。また、安定的に事業を持続・拡大できるのは株主の皆様のご理解・ご支援があってのものです。従業員が成長し創造的に仕事に取り組むことがサービスの進化につながり、それがお客様と当社グループの成功につながり、企業価値の向上を通じて株主の皆様に利益を還元していく、この循環を持続して全てのステークホルダーの成功を実現していくことが当社グループの経営方針です。
(2)目標とする経営指標
当社グループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、契約ライセンス数を増加させ解約率を低位に留めることで、売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上と株主への利益還元を目指します。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
我が国は、少子高齢化による労働力人口の減少という大きな社会課題に直面しており、多くの日本企業にとって生産性の改善や多様な人材が活躍できる労働環境の整備が重要な経営課題となっています。政府は2017年3月に「働き方改革実行計画」を発表し、生産性の向上や長時間労働の是正、多様な働き方の実現などを進める方針を示しました。2019年4月に施行された「働き方改革関連法」では、残業時間の上限規制や、正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」、年次有給休暇取得の一部義務化、勤務間インターバル制度の普及促進などが盛り込まれました。2020年4月から中小企業への適用も開始され、日本の労働慣行は大きな転換点を迎えております。
加えて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でテレワークが急速に広まったことで、働き方そのもののパラダイムシフトが起こり始めており、高度な労務管理や働き方の可視化による生産性の改善の重要性は今後もさらに高まっていくものと考えております。
このような状況の中で、当社グループは「働き方改革」を実現するためのツールやソリューションの市場が急拡大すると考えており、幅広い業種や規模の企業の「働き方改革」の実現に貢献するべく、「TeamSpiritシリーズ」を強化し、営業活動を拡大してまいる方針であります。特に、エンタープライズ企業のフロントウェア領域で現在主流となっている、手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたパッケージシステムを「TeamSpiritシリーズ」でリプレイスしていく「エンタープライズ市場開拓戦略」を中期的な経営戦略として位置付けております。
なお、このような経営環境における当社グループの商品、ビジネスモデルは「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが提供するサービスは、ポストコロナ時代の多様な働き方への対応やDXの推進による生産性の改善といった、「働くこと」を取り巻く企業の課題意識の高まりを背景に、今後もますますの需要増加が期待されます。当社グループのさらなる成長を実現するため、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
①エンタープライズ市場の開拓
エンタープライズ企業のフロントウェアシステム(勤怠管理、工数管理、経費精算、ワークフロー等)のDXニーズに応えるため、一部のエンタープライズ企業のお客様に先行販売中であった「TeamSpirit WSP」を「TeamSpirit EX」に名称変更し、2021年3月1日より本格販売を開始しております 。そして、「エンタープライズ市場開拓戦略」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、マーケティング、営業の各領域に積極的な投資を行ってまいりました。2022年8月期において、GBセグメントで複数の新規受注を獲得しており、エンタープライズ市場開拓戦略の加速に向けた手ごたえを感じております。
当社は、同戦略を成功させることが中長期的な企業価値・株主価値の向上に資すると考えており、費用対効果の検証を行いながら、戦略的に先行投資を増大させていく方針です。
②ミッド・スモール市場の成長再加速
ミッド・スモール市場には多くの競合が存在しており、足もとの成長率はやや鈍化傾向にあります。運用利便性を向上させるUIの改善や継続的な新機能のリリースといった「TeamSpirit」の機能強化に加え、インサイドセールスやWebマーケティングの強化等、ミッド・スモール市場の成長を再加速させるために各種施策を推進してまいります。また、カスタマーサクセスの継続的な強化を行い、解約率の削減にも鋭意努めてまいります。
③優秀な人材の確保と育成
当社グループの中長期的な企業価値の向上に向けて、優秀で意欲的な人材を採用し、その定着を図ることは経営基盤を強固にしていくために非常に重要な課題であると認識しております。当社グループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。また、従業員の職位、職務に応じた適切な研修を積極的に行い、人材の教育・育成を進めてまいります。
④「TeamSpirit」並びに「TeamSpirit EX」の知名度向上と契約ライセンス数の拡大
当社グループは2022年8月末時点で契約ライセンス数382,046ライセンス、契約社数1,644社と、クラウド・IT業界で一定の知名度を構築できているものと考えておりますが、日本国内企業の従業員数と当社契約ライセンス数を比較した場合、そのシェアは約1%程度と未だ低水準であり、大きな拡大余地が残されております。
当社プロダクトの「フロントウェア×Employee Success」という独自のポジショニングについて、見込み客となる企業により一層認知、評価していただき、契約ライセンス数を拡大させていくためには、戦略的かつ積極的なPR・マーケティング活動、セールス活動が重要であると考えております。
⑤中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出
当社グループは、中長期的なARR成長のために開発投資を中心に積極的な先行投資を進めており、2023年8月期は営業損失を計上する見通しとなっております。
主力製品である「TeamSpirit」は、高い収益性を誇り安定したキャッシュ・フローの創出に貢献しておりますが、「TeamSpirit EX」は未だ先行投資が続く状態であります。「エンタープライズ市場開拓戦略」を成功させることで「TeamSpirit EX」の早期黒字化を達成し、中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出を目指してまいります。なお、先行投資に関しては、その費用対効果を見極めながら規律を持った投資を行い、2026年8月期において営業利益率20~25%程度を目指していく方針です。
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