文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは「くふうで生活を賢く・楽しく」を経営理念とし、ユーザーが様々なライフイベントにおいて、より賢く、楽しく意思決定を行えるようメディアとサービスの提供を行っております。さらなる事業規模拡大及び持続的成長により企業価値の向上を図るため、新規事業開発やM&A等も機動的に実施しております。
当連結会計年度における日本経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症のリスク拡大に伴い経済活動が停滞するとともに、同感染症の収束時期を予測することが困難なことから、先行きの不透明な状況が続きました。当社グループにおいては、結婚関連事業における結婚式の開催延期または中止、不動産関連事業における米国ハワイ州での富裕層向け事業の一時活動停止等が発生しました。
このような環境のもと、当社グループは従来の成長戦略を見直すとともに、生活者の行動変容を踏まえた新たな課題に向き合い、くらしを豊かにするサービスの創出に取り組んでまいりました。さらなる事業規模拡大と企業価値の向上を目指し、当連結会計年度において、ふくろう少額短期保険株式会社(2020年4月1日付でくふう少額短期保険株式会社に商号変更)の株式を取得し、同社を連結子会社としました。株式会社くらしにくふうは従来の支援機能としての位置付けを変更し、グループメディア支援に加えて新規事業領域のメディア開発を推進しました。また、株式会社おうちのアドバイザーから株式会社おうちのくふうへ商号変更を行い、不動産関連事業におけるサービスとして買取再販事業を本格始動しました。さらに、当社グループの投資の機動性を高めることを目的に、株式会社くふうキャピタルを新設しました。結婚関連事業においては、新しい結婚価値を創出するためのブランド展開を早期に実現していくことを目的に、連結子会社3社(株式会社みんなのウェディング、株式会社アールキューブ、株式会社フルスロットルズ)の統合を推進しました。
当連結会計年度の業績については、売上高は4,548,097千円(前連結会計年度比1.2%増)、営業利益は235,616千円(前連結会計年度比12.8%減)、経常利益は247,821千円(前連結会計年度比6.5%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は94,779千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益16,384千円)となりました。2020年3月27日付で株式を取得したふくろう少額短期保険株式会社については、みなし取得日を2020年3月31日としているため、2020年4月1日以降の損益計算書を連結しております。
当連結会計年度末における総資産は6,374,745千円となり、前連結会計年度末と比較し532,094千円増加しました。負債は1,943,665千円となり、前連結会計年度末と比較し983,676千円増加しました。純資産は4,431,080千円となり、前連結会計年度末と比較し451,582千円減少しました。
報告セグメント別の業績の概況は次のとおりであります。
<結婚関連事業>
当事業は、株式会社みんなのウェディングによるウェディング総合情報メディア「みんなのウェディング」、株式会社アールキューブによる会費制を中心とした結婚式プロデュースサービス「会費婚」、株式会社フルスロットルズによるインポートブランドを中心としたウェディングドレス販売「DRESS EVERY」等で構成されております。3社の運営一体化を推進し、花嫁花婿による結婚式の情報収集から開催までを一気通貫で支援できるサービスづくりに注力しております。
当連結会計年度においては、国内外における新型コロナウイルス感染症のリスク拡大に伴い結婚式の開催が見合わされる中、「みんなのウェディング」においてはサイト利用者数及び有料掲載式場数が減少しました。また、結婚関連事業の業容拡大に貢献してきた「会費婚」においても、3月以降は結婚式の開催延期または中止が相次ぎ、想定していた成長を維持することが難しい状況となりました。ドレス販売は百貨店催事の中止や、店舗の一時的な営業休止が発生しました。
このような環境のもと、新しい結婚価値を創出するためのブランド展開を早期に実現していくことを目的に、3社の統合を推進することで、意思決定スピードの向上やリソースの最適化に伴う固定費の削減を進めました。当連結会計年度においてはドレス販売の2店舗を「会費婚」の表参道サロンへ移転し集約した他、コロナ禍で生じた新たなニーズに応える結婚サービスの開発等を推進しました。
以上の結果、当連結会計年度の結婚関連事業の売上高は2,856,528千円(前連結会計年度比15.4%減)、営業利益は350,480千円(前連結会計年度比41.8%減)となりました。
<不動産関連事業>
当事業は、株式会社オウチーノによる住宅・不動産専門メディア「オウチーノ」、株式会社おうちのくふうによる生活者向けの買取再販サービス、株式会社Seven Signatures International による富裕層向けコンサルティングサービス等で構成されております。
当連結会計年度においては、株式会社オウチーノが提供する不動産会社向け営業支援ツール「オウチーノくらすマッチ」について、非接触・非対面で物件周辺情報を提供できるツールとして販売が拡大し、不動産関連事業全体の黒字化に寄与しました。富裕層向けコンサルティングサービスにおいては、国内外における新型コロナウイルス感染症のリスク拡大に伴う渡航規制や、米国ハワイ州におけるロックダウン措置の実行等に伴い、事業活動を一時中断せざるを得ない状況が発生しました。国内に軸足を移し、リモートワークやワーケーション需要を捉えた物件販売プロジェクトに注力しました。
また、国内におけるオフィス賃貸を中心とした不動産仲介を提供していた株式会社おうちのアドバイザーについて、2020年7月に株式会社おうちのくふうへ商号変更を行い、事業内容を生活者向けの買取再販サービスに刷新して本格始動しました。
以上の結果、当連結会計年度の不動産関連事業の売上高は719,282千円(前連結会計年度比21.4%減)、営業利益は75,285 千円(前連結会計年度は営業損失80,077千円)となりました。買取再販事業においては、人件費や販売用物件の仕入れ等、先行して発生している費用のみを計上しています。
<その他>
その他事業には主に、株式会社保険のくふう及びくふう少額短期保険株式会社による保険サービス並びに株式会社Zaimによる900万ダウンロードを超えるオンライン家計簿サービス「Zaim」等の金融関連事業、株式会社くらしにくふうによるくらしに関する総合情報メディア「ヨムーノ」及びグループ内外の各メディアの企画・制作・運営支援等で構成されるメディア関連事業、株式会社Da Vinci Studioによる当社グループ内外向け技術支援等といった支援機能が含まれます。
当連結会計年度において、金融関連事業については、保険サービスはくふう少額短期保険株式会社の参画に伴い、取扱保険商品の収益性改善やオンライン販売の強化に向けた体制整備とサイトリニューアルを実施しました。オンライン家計簿サービス「Zaim」は「毎日のお金も、一生のお金も、あなたらしく改善。」をコンセプトに、個人のニーズに合わせて家計を改善していくための新機能開発を推進し、また、金融機関との口座同期に必要なAPI接続等について、従前より連携しているすべての金融機関と改正銀行法に基づいた個別契約を締結しました。
メディア関連事業については、くらしに関する総合情報メディア「ヨムーノ」の利用者数増加に伴い広告収入が伸長するとともに、日用品の紹介サイト「買えるヨムーノ」、新しい働き方支援サイト「リモートワークのくふう」、3歳からのはぐくみメディア「おやこのくふう」など、コロナ禍による社会変化に対応する多様なメディアの開発に注力しました。また、グループ内の各メディアの利用者拡大に向けた支援をより一層強化しました。
株式会社Da Vinci Studioは、当社グループの独立したテクノロジー・デザイン組織として、グループ内各事業会社のサービス開発支援及び新規事業の創出に注力しました。また、グループ外の開発案件の受託を通じて、特定の事業領域にとどまらない技術や知見の獲得に取り組みました。
以上の結果、当連結会計年度のその他事業の売上高は708,913千円(前連結会計年度比224.1%増)、営業利益は34,302千円(前連結会計年度は営業損失13,706千円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末と比べ18,727千円増加し、1,989,186千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は569,861千円(前連結会計年度は367,730千円の収入)となりました。これは主に、のれん償却額190,441千円、減損損失132,442千円の計上があった一方、販売用不動産の増加615,128千円、仕入債務の減少175,530千円、法人税等の支払213,804千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は222,162千円(前連結会計年度は2,438,071千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得115,579千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出76,401千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は811,493千円(前連結会計年度は23,610千円の支出)となりました。これは主に、長期借入による収入1,120,000千円、短期借入による収入552,590千円があった一方、短期借入金の返済による支出430,000千円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出421,657千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
該当事項はありません。
(受注実績)
該当事項はありません。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、資産・負債及び収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内でかつ合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があることにご留意ください。
当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」 に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は4,548,097千円(前連結会計年度比 1.2%増)となりました。主な要因は、結婚関連事業において、上期は業績が堅調に推移したものの、下期は国内外における新型コロナウイルス感染症のリスク拡大に伴い、結婚式の開催延期または中止が増加したことによるものであります。この結果、想定していた成長を維持することが難しい状況となり、小幅な増収にとどまりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、1,771,923千円(前連結会計年度比8.1%減)となりました。主な要因は、不動産関連事業における事業整理に伴う外注費等の費用削減によるものであります。この結果、当連結会計年度の売上総利益は 2,776,173千円(前連結会計年度比8.3%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,540,556千円(前連結会計年度比10.8%増)となりました。主な要因は、事業規模の拡大による人員増加に伴う人件費等の増加、並びに子会社取得に伴うのれん償却の増加等によるものであります。この結果、当連結会計年度の営業利益は、235,616千円(前連結会計年度比12.8%減)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、22,205千円となりました。主な内訳は、助成金収入20,466千円であります。また、当連結会計年度の営業外費用は、10,000千円となりました。主な内訳は、支払利息4,559千円、為替差損2,946千円であります。この結果、当連結会計年度の経常利益は、247,821千円(前連結会計年度比6.5%減)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、3,084千円となりました。主な内訳は、固定資産売却益1,150千円、資産除去債務戻入益1,718千円であります。また、当連結会計年度の特別損失は、210,687千円となりました。主な内訳は、減損損失132,442千円、事務所移転費用50,164千円であります。この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益40,219千円(前連結会計年度比83.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損失)
親会社株主に帰属する当期純損失は、94,779千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益16,384千円)となりました。
b. 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は6,374,745千円となり、前連結会計年度末と比較し532,094千円増加しました。これは主に販売用不動産が612,676千円増加した一方で、のれんが246,223千円減少したことによるものであります。
(負債の部)
負債は1,943,665千円となり、前連結会計年度末と比較し983,676千円増加しました。これは主に短期借入金、1年内返済予定の長期借入金及び長期借入金が1,182,078千円増加した一方で、買掛金が174,059千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産は4,431,080千円となり、前連結会計年度末と比較し451,582千円減少しました。これは主に資本剰余金が354,761千円減少したことによるものであります。
c. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは2018年10月の発足以降、グループ事業の再構築、新規事業への進出等を行い、継続的な企業価値の向上を目指した将来の成長基盤を築いております。中期では各事業領域における事業成長を重視し、EBITDA(営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加算した額)を重要指標として位置付け、2023年9月期にEBITDA20億円 (第7回及び第8回新株予約権 (有償ストック・オプション) 発行決議に係る株式報酬費用を加算した額)の達成を掲げております。当連結会計年度のEBITDAは、510,125千円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの主な資金需要は運転資金及び投資活動に係る資金であります。運転資金の主なものは、各事業領域及び全社における人件費や、買取再販事業における物件の買取り等によるものであります。また、投資活動に係る資金の主なものは、投資事業並びに新規サービス及び新規事業領域の展開に向けた、投資や買収等に要するものであります。
(財務政策)
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
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