課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)経営方針

 当社グループは、「バイオから宇宙まで幅広い分野で新しい価値を創造し、人と社会に貢献する」ことを経営理念としております。具体的には、「環境との調和」および「製品と事業活動における安全」を前提として「総合力を発揮し、未来を拓く先端技術と優れた商品を開発」し、「カスタマーニーズに応えた最高の品質とサービスのグローバルな提供」により「適切な利益水準を維持」し、株主、社員、取引先、地域社会などのステークホルダーに「公正に還元」してまいります。

 また、社員に挑戦と成長を求め、「意欲ある挑戦を支援する」こと等により、事業の継続的な発展を目指しております。

 

 (2)経営戦略等

 当社グループは、新たな事業環境に対応したコスト構造の実現に向け、生産性の向上とコストダウンの徹底を図るとともに、当社が目指す方向であるライフ・ヘルスケア、電子・情報、環境・エネルギーの3分野へ積極的に経営資源を投入し、持続的成長のための収益基盤の確立を進めてまいります。また、事業の基盤をなす安全の確保、環境の保全、品質管理の徹底、コンプライアンスの強化および内部統制システムの一層の充実を図り、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営の主たる指標については、グループの業績評価における重要指標である営業利益のほか、株主重視の視点から個別事業における業績管理など経営効率の評価基準として、自己資本当期純利益率(ROE)、総資産経常利益率(ROA)および売上高営業利益率を活用しております。

 

 (4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 新型コロナウイルス感染症については、変異株による感染の再拡大の恐れはあるものの、今後のワクチン接種のさらなる普及や社会経済活動との両立に向けた政策によって、徐々にその影響は小さくなるものと見込んでおります。しかしながら、ウクライナ危機や半導体の供給不足によるサプライチェーンの混乱、原燃料価格の高止まり等の懸念もあり、世界経済の先行きは不透明な状況が継続すると想定されます。

 このような情勢下、当社グループは、目指す3分野「ライフ・ヘルスケア」「電子・情報」「環境・エネルギー」において、市場ニーズの変化に柔軟に対応し、人と化学の力で新たな価値を創造し、すべてのステークホルダーの皆様の信頼にお応えし続けることで、安心で豊かな社会の実現に向けて挑戦してまいります。

 本年度も引き続き、「2022中期経営計画」における基本方針「挑戦と協創」に沿って、「成長市場への事業拡大」「新製品・新技術開発の加速」「社内外との連携強化」「生産性の向上」「CSR活動の推進」の各課題に取り組んでまいります。

 「成長市場への事業拡大」を加速するため、目指す3分野での積極的な戦略投資を推進してまいります。ライフサイエンス事業においては、将来の核酸医薬品等バイオ医薬品市場の成長を見込み、愛知事業所内にDDS医薬用製剤原料の製造設備を新設する計画を進めてまいります。

 「新製品・新技術開発の加速」については、研究本部内に設置した新規事業開発室における、再生医療を始めとした先端医薬医療関連素材の事業化等に取り組み、新規事業領域の拡大に努めてまいります。

 「生産性の向上」として、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、データサイエンスを活用したMI(マテリアルズ・インフォマティクス)による新規化合物の探索および品質安定化等の研究開発の効率化、生産・品質管理システムの導入とネットワーク構築等によるスマートファクトリー化に取り組んでまいります。

 「CSR活動の推進」では、サステナビリティに関する11項目のマテリアリティを特定し、これを「豊かで持続可能な社会実現のための新たな価値の提供」「事業基盤の強化」「レスポンシブル・ケア活動の推進」の3つに大別し、項目毎に目標(KPI)を設定し、その取り組みを推進しております。「豊かで持続可能な社会実現のための新たな価値の提供」では、先進医療・医薬、人の健康・アンチエイジング、環境負荷の低減、資源循環、スマート社会等、さまざまな要請に貢献するため、目指す3分野に当社の独自技術・素材を活かした製品供給を目指してまいります。「事業基盤の強化」では、収益力の強化、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した働き方改革の推進、価値観の多様性を受け入れる企業風土作り、レジリエンスを向上させる事業継続計画の充実等を深化してまいります。「レスポンシブル・ケア活動の推進」では、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた施策の検討や、化学物質の管理等の施策に取り組みます。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、気候関連の情報開示の拡充に取り組んでまいります。

当社グループは、持続可能な社会実現へ貢献するため、これらの課題への取り組みを遂行し、さらなる事業革新を進め、国際競争力のある強靭な企業体質を築いてまいります。

 新型コロナウイルス感染症に対しては、グループ社員ならびに関係者の皆様の安全確保を最優先に、感染拡大の防止に努めていくとともに、収束後の社会・経済情勢を見極めながら適切な事業運営に最大限努力してまいります。

 

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