文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念及び経営ビジョン
経営理念:私たち新日本理化グループは、もの創りを通して広く社会の発展に貢献します。
ビジョン2030(2030年のありたい姿):Be the best SPICE!~心躍る極上のスパイスになる~
当社は、1919年の創業からこれまで、上記経営理念のもと着実に事業を継続してまいりました。そして2030年のありたい姿を示すものとして、ビジョン2030「Be the best SPICE!~心躍る極上のスパイスになる~」を策定しております。
当社が創るものは、社会の様々なシーンを支える、キラリと光る唯一無二の特性をもった素材です。それらの素材は、当社自身が、多様な価値観を活かす、精鋭の集まりであってこそ生み出されるものだと考えております。当社の一人ひとりが、スパイスのようにお互いを引き立て合い、そして人々の心を躍らせるようなスパイスを提供する企業となること、それが2030年に向けて、当社が目指す姿です。
(2)中期経営計画の進捗と対処すべき課題
ビジョン2030の達成に向け、2021年4月からの5か年の中期経営計画を策定し、以下の事業戦略に基づき取組みを進めております。
<中期経営計画の基本コンセプト>
・環境・社会・人(命)に関わる課題に果敢にチャレンジし、価値創造企業を目指す。
・「情報・通信」「モビリティ」「ライフサイエンス」「環境ソリューション」の4領域に経営資源を集中し、成長戦略を実現する。
<経営目標(連結)>
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2025年度目標 |
売上高 |
360億円 |
営業利益 |
22億円 |
ROE |
8.0% |
なお、2021年度は、売上高(連結)323億円、営業利益(連結)12億円、ROE(連結)5.2%となりました。詳細な結果については「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
<事業戦略の進捗状況及び対処すべき課題>
①稼ぐ力の再構築
事業ポートフォリオ改革という「攻め」と、リスク対応の強化という「守り」の両輪で進めております。
「攻め」の側面としましては、ウィズコロナにおける市場の変化と成長に対応しながら事業の最適化を図るため、「情報・通信」「モビリティ」「ライフサイエンス」「環境ソリューション」の4つを重点領域として定め、各領域への製品の投入を加速しております。
「情報・通信」分野では、耐熱性に優れ、かつ溶剤溶解型のポリイミドワニスを開発いたしました。5G関連製品など、高い耐熱性が求められる分野での採用を目指しております。また、「環境」分野では、バイオマス由来の可塑剤やエステル油など、環境価値を高めた製品のラインアップを拡充し、お客様への提案を強化しております。
さらに2022年4月に新設した新事業企画室において、事業ポートフォリオ改革を加速するべく、事業のスクラップ&ビルドに着手いたしました。
一方、「守り」の側面としましては、感染症の蔓延や国際情勢の悪化など、より多様かつ複雑化するリスクへの対応が急務となっております。当社事業においては、原材料の調達難や価格の高騰、物流の停滞による製品入出荷の遅れなどのマイナスの影響が生じております。これらのリスク要因は今後も一定期間続くと予測されるため、サプライチェーンの見直しを急ぎ、より柔軟で強固な事業体制とすることで、マイナスを最小限に止めるべく尽力してまいります。
②技術革新による競争優位の獲得
2021年5月に開設した新拠点「京都R&Dセンター」を多様なパートナーとの共創の場と位置づけ、他社や学術機関とのオープンイノベーションを進めております。さらに、外部から技術顧問を招聘しその知見を取り入れるな
ど、従来の自前主義からの脱却を加速させております。
また、全社的に業務のデジタル化を進め、データ活用による製造プロセスの最適化や営業活動の再構築に取り組んでおります。これにより、将来的なデジタルトランスフォーメーションによる事業革新に向けた、素地を整えてまいります。
③CSRの推進
CSR委員会において11要素のマテリアリティ(重要課題)を特定し、各項目にKPIを設定した上で取組みを進めております。詳細については、後記の「(3)持続的成長に向けた取組み」をご参照ください。
④組織再編と人材育成の強化
企業価値向上の源泉となる人材に対し、積極的な投資を行っております。人材育成プログラムを見直し、次世代経営層の候補者育成を目的とした選抜型研修を導入したほか、階層別・職種別の各教育も拡充しました。また、人事評価制度の改革にも着手し、「挑戦する人材」を評価するというメッセージを明確に打ち出すことで、従業員のチャレンジ精神の醸成を図っております。そのほか、多様な人材が互いに刺激し合う「the best SPICE」と言うべき企業を目指すため、異業種でキャリアを積んだ人材の登用を進めるなど、「ダイバーシティ&インクルージョ
ン」の取組みを加速しております。
(3)持続的成長に向けた取組み
当社グループは、事業を通して社会価値を創造することが経営理念の実現そのものであると考え、以下のとおり
CSR方針及びCSR目標を策定しております。
<CSR方針>
1.社会課題の解決 |
社会課題の解決に事業を通して貢献することで企業の持続的な成長を目指します。 |
2.環境への責任 |
事業活動の環境影響に責任を持ち、地球環境と調和した事業活動を行います。 |
3.安全への責任 |
安全を事業運営上の最優先に位置付け、職場と地域社会に安全・安心を提供します。 |
4.人権の尊重 |
基本的人権を尊重し、あらゆる差別、不当労働やハラスメントなどの非人道的な行いを排除します。 |
5.企業統治の責任 |
健全かつ透明度の高い経営に努め、全てのステークホルダーの理解と信頼を深めます。 |
6.従業員への責任 |
従業員の自己実現を支援し、安全で働きがいのある職場を創ります。 |
<CSR目標>
①中期目標(2025年度):環境・社会・人(命)に関わる課題に果敢にチャレンジし、価値創造企業を目指す。
②2022年度目標:
・ESG活動に対する当事者意識の醸成(意識)
・目標を数字で語り、覚悟を持って実行する(行動)
また、上記目標の達成に向けて当社グループが取り組むCSR重要課題(マテリアリティ)を以下のとおり特定しました。各項目にKPIを設定の上、部門別の業務計画に落とし込み取組みを進めております。
<CSR重要課題>
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重要課題 |
E (環境) |
カーボンニュートラルの実現 |
資源(水・燃料)の有効利用 |
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人・環境にやさしい製品の拡充 |
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S (社会) |
人権の尊重 |
多様な人材の育成と確保 |
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安全で働きやすい職場づくり |
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サプライチェーンマネジメント |
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地域活性化への貢献 |
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G (企業統治) |
ステークホルダーエンゲージメントの実践 |
リスクマネジメントの徹底 |
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迅速果断な意思決定を支えるガバナンスの構築 |
<カーボンニュートラルへの取組み>
脱炭素社会の実現を目指す動きが世界で加速するなか、当社は、2030年度までに国内事業所からのCO2排出量を50%削減(2013年度比)し、2050年度にはカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げました。2022年4月には、社長直轄かつグループ横断型の新組織として「CN(カーボンニュートラル)推進室」を立ち上げました。カ
ーボンニュートラルの推進を事業の根幹に据え、当社グループ一丸となり取組みを進めてまいります。
①製造時のCO2排出量削減に向けて
事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー化を進め、2030年度までに国内事業所における再生可能エネルギー化率100%を目指します。また、工場で使用する燃料ガスをカーボンニュートラルなものに切り替えるほか、製品製造プロセスの見直しによりエネルギー効率の向上を図ってまいります。
第1段階として、2022年度から、当社京都工場・京都R&Dセンター及び製造子会社である日新理化株式会社において、使用する全電力を再生可能エネルギーに切り替えるとともに、京都工場では、カーボンニュートラルな都市ガスの調達を開始します。これにより、京都工場で使用するエネルギーについて、再生可能エネルギー化率100%と
なります。
②製品の環境負荷低減に向けて
バイオマス原料を用いた製品の開発を進めるほか、お客様の環境価値向上に寄与する製品の展開に注力してまいります。これまでに、パーム油などを主原料に製造した可塑剤についてバイオマスマークの認定を取得したほか、植物原料由来のエステル油を開発しました。そのほか、樹脂の軽量性や成形サイクル性を向上させる製品など、環境性能を高めた製品のラインアップを強化し、お客様が当社製品を使用される際のCO2排出量削減に貢献してまい
ります。
<人的資本及び多様性に関する取組み>
当社は、中期経営計画に掲げる戦略の一つとして「ダイバーシティ&インクルージョンの推進と、誰もがやりがいを持って働ける組織の実現」を掲げ、多様な人材が各々の能力を発揮できる環境の整備及び個の成長支援を積極的に進めております。
①ダイバーシティ&インクルージョンの推進
異業種でのキャリアを有する人材及び女性の採用と管理職登用を進めております。特に、女性の活躍推進については、2025年度までに管理職に占める女性割合を7%以上にすることを目標に、キャリア意識の醸成及び候補者の育成に力を入れてまいります。
・キャリア人材採用人数(2021年度):7名
・管理職に占める女性の割合(2022年4月1日時点):4.8%
・取締役及び執行役員に占める女性の割合(2022年4月1日時点):8.3%
②人材育成の強化
人事制度及び研修制度の改革を通じて人材育成の強化を図っております。挑戦する人材を積極的に評価し従業員のチャレンジ精神を醸成するため、人事評価制度の段階的な刷新を進めております。また、研修制度については、誰もが成長機会を得られるよう階層別・職種別の各教育を拡充したほか、次世代経営層の候補者育成のため選抜型研修を導入しました。これらの研修制度には公開型セミナーを取り入れることで、他社と交流し視野を広げる機会を設けております。
③多様な働き方を実現する環境整備
多様な人材が活躍できる組織の実現を目指し、働き方の見直しを進めております。2020年4月に健康経営宣言を公表するとともに、従業員の健康の維持・増進に向けた施策を拡充しており、2022年3月には「健康経営優良法人」に2年連続で認定されました。また、コアタイムを設けないフレックスタイム制の適用職種を拡大することで柔軟な働き方を推進しているほか、新型コロナウイルス感染症の影響下においては、在宅勤務を積極的に活用することで、感染リスクを回避しながら事業を継続できるよう環境整備を進めました。そのほか、仕事と育児との両立
支援策として、男女を問わず育児に関する制度の周知や育休取得のサポートに力を入れております。
・男性の育児休業取得率(2021年度):58.8%
・女性の育児休業取得率(2021年度):100.0%
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