業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況

第19期事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

経営成績の状況は次のとおりであります。

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み経済活動に回復の兆しが見え始めましたが、急激な円安による為替相場の変動や、ロシア・ウクライナ情勢に起因する世界的な資源価格や燃料価格の高騰など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社が事業展開する国内のソフトウェア市場におきましては、働き方改革や人手不足の解消などの課題解決に向けコミュニケーションの促進や業務の自動化・効率化につながるソフトウェアの導入が進み、2022年度は前年度比10.2%増の1兆8,643億円※1が見込まれております。また、机の前に座らない最前線で活躍するデスクレスワーカーが働く現場においては、法人向けモバイル通信端末市場の拡大、AIや画像認識等の精度向上、ウェアラブルカメラ等ハードウェアの開発と導入コストの低減、5Gの普及による映像等大容量データの活用など、様々な分野のイノベーションの発展に伴い、さらなるDX化の拡大が期待されます。当社の提供するサービス「Buddycom」の国内における潜在市場規模については、約1,400億円と推計※2しております。当社は「世界中の人々を美しくつなげる」ことをミッションに掲げ、「デスクレスワーカーをつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム」の新たな市場の創出を図りながら、開発・販売を行ってまいります。

このような経営環境のもと、当社の主力サービスであるBuddycomの開発及び販売に注力いたしました。売上高は順調に推移した一方、Buddycomの開発及び販売強化のための人員増加による人件費の増加、東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う費用等により、販売費及び一般管理費も増加いたしました。

以上の結果、当事業年度における売上高は659,988千円(前年同期比80.3%増)、営業利益は11,307千円(前年同期営業損失97,199千円)、経常利益は9,840千円(前年同期経常損失95,666千円)、当期純利益は9,006千円(前年同期当期純損失95,288千円)となりました。

 

※1 株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2022年版」(2022年8月)

※2 国内における全ての潜在顧客、デスクレスワーカーに導入された場合の、顧客による年間支出総金額。(日本のデスクレスワーカー人口(2022年5月の総務省統計局「令和3年 労働力調査年報」より当社推計)×ID当たりの平均年間課金額)

 

セグメント別の業績は、以下のとおりであります。

 

(Buddycom事業)

Buddycom事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、営業活動が制限されたことや、オリンピック・パラリンピック開催期間の短期利用契約の解約等がありましたが、マーケティング強化による知名度の向上、代理店営業力の強化等により契約社数は増加し、当事業年度末の契約社数は593社(前事業年度末400社)となりました。また、アミューズメントや鉄道等の大口案件を受注したこと等により、ARRは440,472千円(前事業年度末295,703千円(オリンピック・パラリンピック開催期間の短期利用契約分17,970千円を含んでおります。))となりました。以上の結果、当事業年度における、Buddycom利用料売上が346,759千円(前年同期比54.3%増)、アクセサリー売上が306,441千円(前年同期比133.2%増)となり、セグメント売上高は653,201千円(前年同期比83.5%増)、セグメント利益は6,149千円(前年同期セグメント損失103,611千円)となりました。

 

(その他)

ALTIBASE事業を「その他」に含めております。ALTIBASE事業については、積極的には展開しない方針であり、当事業年度におけるその他の売上高は6,786千円(前年同期比31.7%減)となり、セグメント利益は5,157千円(前年同期比19.6%減)となりました。

 

また、当事業年度末の財政状態は、次のとおりであります。

 

(総資産)

当事業年度末における総資産につきましては、前事業年度末に比べ449,781千円増加し、801,128千円(前事業年度末比128.0%増)となりました。

 

(流動資産)

当事業年度末における流動資産につきましては、前事業年度末に比べ415,647千円増加し、739,423千円(前事業年度末比128.4%増)となりました。

これは主に、売掛金が10,947千円減少した一方で、2021年11月24日付での東京証券取引所マザーズ市場への上場に伴う自己株式の処分による、現金及び預金の増加(前事業年度末比403,381千円増)等によるものであります。

 

(固定資産)

当事業年度末における固定資産につきましては、前事業年度末に比べ34,133千円増加し、61,704千円(前事業年度末比123.8%増)となりました。

これは主に、本社オフィスの増床に伴う有形固定資産の増加(前事業年度末比17,963千円増)及び敷金及び保証金の増加(前事業年度末比11,192千円増)等によるものであります。

 

(負債合計)

当事業年度末における負債合計につきましては、前事業年度末に比べ112,635千円増加し、230,518千円(前事業年度末比95.5%増)となりました。

 

(流動負債)

当事業年度末における流動負債につきましては、前事業年度末に比べ93,187千円増加し、206,162千円(前事業年度末比82.5%増)となりました。

これは主に、Buddycomの利用ユーザー数が増加したことによる前受収益の増加(前事業年度末比72,285千円増)、事業拡大に伴う販売費及び一般管理費の増加による未払金の増加(前事業年度末比17,374千円増)等によるものであります。

 

(固定負債)

当事業年度末における固定負債につきましては、前事業年度末に比べ19,447千円増加し、24,356千円(前事業年度末比396.2%増)となりました。

これは主に、Buddycomの長期契約での利用ユーザー数が増加したことによる長期前受収益の増加(前事業年度末比15,696千円増)等によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産につきましては、前事業年度末に比べ337,146千円増加し、570,609千円(前事業年度末比144.4%増)となりました。

これは、2021年11月24日付での東京証券取引所マザーズ市場への上場及び新株予約権の行使に伴う自己株式の処分による、資本剰余金の増加(前事業年度末比314,754千円増)及び自己株式の減少(前事業年度末比13,385千円減)、当期純利益計上による利益剰余金の増加(前事業年度末比9,006千円増)によるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、658,911千円(前事業年度末比403,381千円増、157.9%増)となりました。また、当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動により獲得した資金は、114,249千円(前年同期は97,687千円の支出)となりました。

これは主に、前受収益の増加額87,982千円(前年同期は前受収益の増加額9,128千円)、未払金の増加額16,891千円(前年同期は未払金の減少額959千円)、売上債権の減少額10,947千円(前年同期は売上債権の増加額35,703千円)、税引前当期純利益9,840千円(前年同期税引前当期純損失95,666千円)の収入要因及び、棚卸資産の増加額15,307千円(前年同期は棚卸資産の増加額6,379千円)、仕入債務の減少額11,078千円(前年同期は仕入債務の増加額20,973千円)の支出要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動により支出した資金は、34,654千円(前年同期は691千円の支出)となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出18,462千円(前年同期は有形固定資産の取得による支出753千円)本社オフィスの増床に伴う敷金の差入による支出11,250千円、投資有価証券の取得による支出5,000千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動により獲得した資金は、323,787千円(前年同期は14,679千円の支出)となりました。

これは、2021年11月24日付での東京証券取引所マザーズ市場への上場及び新株予約権の行使に伴う自己株式の処分による収入323,787千円によるものであります。

 

 

③ 仕入、受注及び販売の実績
a 仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度
 (自 2021年9月1日 
  至 2022年8月31日

金額(千円)

前年同期比(%)

Buddycom事業

201,976

253.1

 

(注)金額は、仕入価格によっております。

 

b 受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注から売上計上まで短期間であり、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

 

c 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度
 (自 2021年9月1日 
  至 2022年8月31日

金額(千円)

前年同期比(%)

Buddycom事業

653,201

183.5

その他

6,786

68.3

合計

659,988

180.3

 

 

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度
 (自 2020年9月1日 
  至 2021年8月31日

当事業年度
 (自 2021年9月1日 
  至 2022年8月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

ソフトバンク株式会社

135,403

37.0

213,121

32.3

イオンリテール株式会社

52,929

14.5

92,032

13.9

東日本電信電話株式会社

1,543

0.4

66,788

10.1

 

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5.経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

当事業年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は、659,988千円(前年同期比80.3%増)となりました。これは主に、当社の主力サービスであるBuddycomの契約社数及び利用ユーザー数が増加したことにより、Buddycom利用料売上が346,759千円(前年同期比54.3%増)、アクセサリー売上が306,441千円(前年同期比133.2%増)となったこと等によります。なお、ARRは440,472千円(前事業年度末295,703千円)となっております。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は、224,629千円(前年同期比123.0%増)となりました。これは主に、アクセサリーの販売増によるアクセサリー原価の増加によるものであります。この結果、売上総利益は、435,358千円(前年同期比64.1%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、424,050千円(前年同期比17.0%増)となりました。主な要因は、開発力及び販売力の強化のための人員の増加による人件費の増加(前年同期比34,133千円増)、新規上場に伴う株式上場費用の増加9,316千円等によるものであります。この結果、営業利益は11,307千円(前年同期営業損失97,199千円)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度において、営業外収益は業務受託料3,000千円等により3,378千円、営業外費用は新規上場に伴う株式交付費4,353千円等により4,845千円となりました。この結果、経常利益は、9,840千円(前年同期経常損失95,666千円)となりました。

(当期純利益)

当事業年度において特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税、住民税及び事業税を290千円、税効果会計による法人税等調整額を544千円計上した結果、当期純利益は9,006千円(前年同期当期純損失95,288千円)となりました。

 

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は、中長期的に安定した売上収益を拡大させることが重要であると考えております。そのため、当社は達成状況を判断するための経営上の指標としてARRを重視しております。

当該指標について、第16期事業年度末(2019年8月31日)は95,687千円、第17期事業年度末(2020年8月31日)は162,165千円、第18期事業年度末(2021年8月31日)は295,703千円、第19期事業年度末(2022年8月31日)は440,472千円となっております。

今後も、サービスの機能強化や新規顧客の獲得に注力することによりARRを増加させてまいります。

 

⑦ 資本の財源及び資金の流動性について

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、また研究開発に係る費用であります。これらの資金については自己資金又は金融機関からの借入にて充当する方針です。

 

⑧ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

 

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