当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当社では、「データと知恵で未来をつくる」とのパーパスのもと、大企業でなければ活用できなかったビッグデータを、専門家のいない中堅・中小企業や個人でも活用ができ、あらゆる業種や地域が、その恩恵を受けられるような社会にするために、購買ビッグデータ活用のフィールドをあらゆる分野へ広げるべく事業を展開しております。
当社が購買データの 提供を受けている小売業界におきましては、長引くコロナ禍の影響によってもたらされた生活習慣の変化に伴う需要の高まりは継続したものの、企業収益や雇用環境の悪化、個人所得・消費マインドの低下などが続いております。食品スーパー業界では、新型コロナウイルス感染症の影響の他に、高齢化や人口減少によるマーケット規模の縮小、その状況下における各社の出店攻勢によるオーバーストア状態、人手不足の問題や、人件費や物流コストの増加など、従来に増して厳しい経営環境が続いております。また、ドラッグストア業界においても、同業大手による業界再編や異業種を含む競争が激化しているほか、競合他社の出店や価格競争が引き続き激化しており、物流コストの増加等も重なり、依然厳しい状況が続いております。
これらの経済・経営環境から、ビッグデータを効果的に活用したマーケティングにより経営効率を高めようとする企業活動は益々活発化しており、当社におきましては、メーカー・卸・小売業界の顧客企業への開拓深耕が一層進み、その他の業界企業とも、事業提携等の協業や当社のサービスを提供する取引関係の構築が進みました。
当事業年度におきましては、引き続き持続的な事業成長を確固たるものにするため、ストック型売上の消費財メーカー向け主力サービスである「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の拡販に注力し、小売り企業向けサービスである「ショッピングスキャン」に関しましても、新規取引先の開拓を進めてまいりました。
以上の結果、当事業年度における当社の売上高は1,313,834千円と前事業年度と比べ147,773千円の増加、営業利益は22,493千円(前事業年度は営業損失64,433千円)、経常利益は22,670千円(前事業年度は経常損失64,335千円)、当期純利益は15,485千円(前事業年度は当期純損失60,804千円)となりました。
なお、当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ406,966千円増加し1,297,455千円となりました。流動資産は、公募増資や売上の入金などにより現金及び預金が増加し、1,016,890千円と前事業年度末に比べ453,113千円増加いたしました。固定資産は、主にソフトウエアの減価償却が進んだことによる無形固定資産の減少により、273,023千円と前事業年度末に比べ53,687千円減少いたしました。繰延資産は、株式交付費を7,541千円計上いたしました。
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ19,762千円増加し372,085千円となりました。流動負債は、消費税等の納付等により未払消費税等が減少した一方、買掛金や未払金等の増加により、305,260千円と前事業年度末に比べ50,088千円増加いたしました。固定負債は、主に「オンプレミスからクラウドへの構造転換」の推進による新基幹システム開発に要した長期借入金の返済が進み、66,824千円と前事業年度末に比べ30,325千円減少いたしました。
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ387,203千円増加し925,370千円となりました。利益剰余金が15,485千円増加、当社株式の東京証券取引所マザーズ上場に伴う公募増資の実施等による資本金が185,859千円増加し、さらに資本剰余金も185,859千円増加いたしました。
当事業年度末における現金および現金同等物(以下、「資金」という。)は847,376千円と、前事業年度末に比べ413,351千円増加いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況および変動要因は、次のとおりであります。
当事業年度末における営業活動により獲得した資金は137,007千円となりました。これは主に、税引前当期純利益22,670千円及びソフトウエア等の減価償却費を139,191千円計上いたしましたが、一方で売上債権が40,686千円増加し、未払消費税等の減少8,415千円により資金が減少したことなどによるものです。
当事業年度末における投資活動により減少した資金は56,529千円となりました。これは主に、社内共有サーバーの入替等による有形固定資産の取得による支出4,801千円、既存システムの機能追加等の無形固定資産の取得による支出13,545千円及び投資有価証券の取得による支出38,182千円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における財務活動により獲得した資金は332,874千円となりました。これは、新株の発行による収入が371,718千円及び長期借入金の返済30,360千円などによるものです。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
生産実績と同様の理由により、受注状況に関する記載はしておりません。
第22期事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.当社は、データマーケティング事業の単一セグメントであるため、取扱データ分野別に記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%未満のため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表を作成するにあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
当事業年度の売上高は前事業年度に比べ147,773千円増加し、1,313,834千円となりました。
当社ストック型売上の主力サービスである「イーグルアイ」、「ドルフィンアイ」の顧客数増によりメーカー向けソリューションが順調に成長しており(前事業年度に比べ94,815千円増加)、さらに「ショッピングスキャン」も順調に推移し、リテール向けソリューションも増加(前事業年度に比べ58,925千円増加)しております。
当事業年度の売上原価は新基盤システムの減価償却費の増加等の影響により、前事業年度に比べ1,554千円増加し、664,461千円となりました。
この主な内訳は、労務費153,605千円、減価償却費134,813千円、データセンター使用料116,760千円であります。
以上の結果、当事業年度における売上総利益は前事業年度に比べ146,219千円増加し、649,373千円となりました。
当事業年度の販売費及び一般管理費は従業員数の増加による人件費(給与手当等)の増加等の影響により、前事業年度に比べ59,291千円増加し、626,879千円となりました。
この主な内訳は、給与手当308,457千円、役員報酬50,604千円によるものであります。
以上の結果、当事業年度における営業利益は22,493千円(前事業年度は営業損失64,433千円)となりました。
当事業年度における営業外収益は1,518千円(前事業年度は511千円)を計上しております。これは、主に雑収入であります。当事業年度における営業外費用は1,341千円(前事業年度は413千円)を計上しております。これは主に支払利息及び株式交付費償却であります。
以上の結果、当事業年度における経常利益は22,670千円(前事業年度は経常損失64,335千円)となりました。
当事業年度における当期純利益につきましては、法人税等7,184千円を計上したことにより、15,845千円(前事業年度は当期純損失60,804千円)となりました。
財政状態の分析については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況 b 財政状態の状況」に含めて記載しております。
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の資金需要のうち主なものは、システムの運用費及び人件費となっております。当社の資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達することを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。また、資金の流動性については、当事業年度における現金及び現金同等物の残高が、前事業年度末より413,351千円増加し、847,376千円となっており、流動比率は333.1%と高い水準となっております。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
当社は、「データと知恵で未来をつくる」という企業理念の下、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようになり、あらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。当社保有のビッグデータとオープンデータや協力企業が保有するデータ等、ビッグデータ同士をかけ合わせるプロジェクトが進行中であり、小売業、消費財メーカーだけでなく、金融・保険、広告等、業種や企業規模に関わらず当社データの活用は広がっております。
そのため、現在、経営指標を成長性については売上高の対前期増加額、収益性については営業利益の対前期増加額を設定しております。当事業年度における当社の売上高は、前期比で147,773千円(前期比12.7%)増加し1,313,834千円となりました。営業利益は、前期比で86,927千円増加し22,493千円となりました。
この原因としては、「イーグルアイ」「ドルフィンアイ」の新規顧客が増加し、さらに「ショッピングスキャン」の取引も増加しております。なかでも「イーグルアイ」は売上成長率13.0%、期末契約者数が前期比14件増加しており、これらの月額課金のストック型売上が順調に成長したためとなります。
また、ショッピングスキャンについても、分析対象となる小売業の購買データ(一年間に集信された購買データの合計金額)が、前期比2,981億円増加し4兆8,079億円となりました。
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