文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
当社は「データと知恵で未来をつくる」という企業理念のもと、誰もが新しいデジタル時代の道具であるビッグデータとテクノロジーをマーケティングに活用できるようになり、あらゆる企業の持続的な成長に貢献することを目指しております。また、当社データを活用することで、企業は過剰な商品数を市場に投下することがなくなり、在庫削減やコスト効率が向上し、大量生産・大量消費時代からの脱却、顧客や企業のサステナビリティに貢献することを目指しております。
当社は、データやテクノロジーは新しいパワフルな道具だからこそ、道具を使う「人」の育成が重要であり、持続的な成長と社会課題の解決を両立させたいとの志のもと、以下の行動指針を掲げて経営に取り組んでおります。
① 社会に貢献し、持続的な成長を追求します。
② 地域や規模を超え、あらゆる組織のデータ活用を支援します。
③ データやテクノロジーを使う人の教育を推進します。
当社は、日本最大規模の消費者マーケティングデータ(ID-POSデータ)を取り扱う企業として、企業各社の顧客分析から販促支援、外部へのデータガバナンスに基づくデータ提供支援、AIなどテクノロジー支援、データ活用教育支援に至るまでフルサポートする購買データプラットフォームを同業他社に先駆けて構築・展開してきたと自負しております。
このビジネスコアをベースに、小売業に対しては、顧客の購買データを精製・蓄積・管理・分析するツールとして「ショッピングスキャン」を主に提供しております。
また、消費財メーカーに対しては、全国や地域における消費者の購買行動を詳細に分析できるツールとして、「イーグルアイ」を主に提供しております。
① サービス利用小売業の増加による、消費者との「顧客接点」であるID-POSデータの増加
・小売業への提案強化 (ドラッグストア、スーパーマーケットから、ホームセンター、コンビニ、ECなどに対象を拡大)
(注)当社の現在の中核商品領域である『日用品・化粧品・食品・飲料』を製造・販売する消費財メーカーでは、ドラッグストア・スーパーマーケット以外のマスチャネルやプレステージチャネル、EC、あるいは日本以外の海外で事業展開している企業が多く存在するため、これらの領域でID-POSデータを増加させることによる消費財メーカーのニーズへの対応
・当社協業パートナーとの関係強化を進めることによる東南アジアの小売業の購買データ、ID-POSデータの獲得および活用開始
② ソリューションの改善や充実による事業拡大、取引の深耕
・「ショッピングスキャン」、「イーグルアイ」など既存サービスの提供に加え、販促支援、顧客のロイヤル化促進、在庫/廃棄ロス削減、SDGs支援など、企業ニーズが強くデータ活用に親和性の高いソリューションのリリースおよびクロスセル強化
・「ショッピングスキャン」で蓄積した技術・ノウハウを活用した価格競争力の向上およびサービス利用体験の改善(使いやすいグラフや検索機能など)
・提供ソリューションは、自社開発に加えて、協業パートナーであるグローバルプラットフォーム企業のテクノロジーの選定とサービスへの導入を進め、スピーディーな提供価値の向上を実現
(注)例えば、世界最大のデータマーケティング企業であるNielsenは当社と資本業務提携関係にあり、同社のサステナビリティやデジタルマーケティング関連のソリューションなどグローバルに競争力あるプロダクツを日本仕様へ適合させた上で提供する等
③ 対象とするデータ領域の拡張
・AIや機械学習の提供に組み合わせて、AIや機械学習に必要な教師データである「KURASHI360」やID-POSデータを提供することによる差別化
・データサプライヤーとの連携強化による「KURASHI360」に連携する外部ビッグデータの充実
(注)「KURASHI360」の嗜好分析は外食企業の顧客対応や販促活動に活用することが可能。また、自動車や耐久消費財メーカーにとっては、自社で保有する顧客データと当社の購買データをかけ合わせることで、顧客の日常活動に対する理解が深まり、より精度の高い顧客アプローチやマーケティング活動を行えるようになる。外食・自動車・耐久消費財のみならず、保険・不動産・健康関連等、様々な領域でこのようなデータのかけ合わせニーズが顕在化し始めており、当社は購買データプラットフォームのリーディング企業として、サービス提供を進める。
④ ストック型サービス(「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」「POS分析クラウド」など)の拡大による収益構造の強化
・無償のインターネット情報サービスである「ウレコン」を通じた将来の潜在顧客層の拡大
・協業パートナーや販売パートナーを通じた小売業、消費財メーカー企業への提案強化
・新たな領域でのストック型サービスの追加
(他の消費者ビッグデータとのかけ合わせによるデータ領域、AI・機械学習など分析領域、デジタル広告やデジタルサイネージと連携するマーケティングソリューション領域など)
当社は、主要な経営指標として、成長性については売上高の対前期増加額、収益性については営業利益の対前期増加額を重視しており、それらの向上を図る経営に努めてまいります。
また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとなるKPIは、データの網羅性やデータ価値を示す「分析対象とする小売業の購買データ金額」及び事業成長の持続性と安定性を示す「ストック型契約」の成長であります。
① ブランドの知名度向上
当社が主な事業領域とする小売業界、消費財メーカーのサービス利用企業の確保は、当社事業において重要な要素であり、ブランドの知名度向上が重要な課題であると認識しております。無償サービスである「ウレコン」の利用やメディアでのデータ活用機会の増加、サービス導入企業の増加に伴って当社サービスの利用者数が拡大したこと等により、知名度は一定程度高まってはいるものの、持続的な事業成長のためには、更なる知名度の向上が不可欠と考えております。この課題に対処するため、サービスの利便性向上、更なる消費者ビッグデータの充実など提供価値の向上を積極的に行うことにより、利用者向けサービスクオリティを強化し続けることで「イーグルアイ」「ショッピングスキャン」はじめ当社サービス利用者の満足度向上に努め、クオリティの高いソリューションであるとのブランドの確立を着実に進めてまいります。
② 収益基盤の強化
当社は、購買データプラットフォームとして集信された消費者購買データの分析サービスおよび開示サービスを主な収益源としております。当社が安定的な成長を続けていくためには、データ分析およびマーケティング活用での実績を積み上げ、顧客からの信頼に基づく受注のリピートを促し、収益基盤を強化していくことが課題と認識しております。この課題に対処するため、高度なデータ分析技術やサービス開発力を駆使し、マーケティング業務の効率化などの顧客の要望に応えた新機能や新サービスの開発を行っております。これらの新機能・新サービスの継続的な開発により収益源の多様化を図ってまいります。
③ プラットフォーム機能の強化
当社は、データマーケティングに不可欠な①データ、②テクノロジー、③教育プログラムを含むデータ活用ノウハウ、の3領域全てにおいて提供価値とクオリティを向上しつづけることで、データを収集・精製・管理・分析・多様なマーケティングソリューションで活用するためのビジネスプラットフォーム企業としての位置づけの盤石化を図ります。
データに関してはドラッグストアに加え、スーパーマーケットとのデータ連携強化を図ることが最大の経営課題です。また、ホームセンター、コンビニ、ECなど他業態の小売業のデータ連携を推進しつつ、自動車、キャッシュレス決済など他の消費者ビッグデータホルダーとのデータ連携により、データの付加価値を高めていくことが重要と認識しております。
テクノロジーに関しては、自社開発によるソリューションのクオリティ強化を継続しつつ、テクノロジーパートナーであるグローバルのプラットフォーム企業との協業を通じ、グローバルに競争力を持つ彼らのDXソリューションと自社ソリューションを組み合わせることで、クライアントへの提供価値を更に高めること、そして互いの顧客基盤を連携することで販売の効率化を図ることが重要と考えています。
教育プログラムを含む活用ノウハウに関しては、小売業から消費財メーカーへのデータ外販支援を含め、データマーケティングに関連する様々な活用ノウハウを蓄積しています。これらをベースに事業会社、教育機関、地方公共団体等に対するデータマーケティングに係る教育機会の提供を行っています。今後はデータマーケターの育成活動を通じて地域での雇用創出、地方経済や企業の発展に寄与していくことが、持続的な成長と社会への貢献を両立させる会社として重要であると認識しております。その一環として、地域性を持つデータを分析し、マーケティング戦略の立案・実行につなげる専門性を有した「データマーケティング人材」を育成し、また、地域企業の人材確保のために実践力のあるマーケティング人材の採用支援により、地域の雇用創出、地方創生に貢献することを目的とする一般社団法人ビッグデータマーケティング教育推進協会に出資しております。
④ 自社の持続的成長と社会課題解決への貢献の両立
新型コロナウイルス感染症による社会的影響は深刻さを増しており、データやテクノロジーを活用したマーケティングや市場変化への対応は、大企業のみならず中小企業や地方経済においてもその重要性が高まっております。
当社はかねてよりデータマーケターの育成や、地方行政との連携、教育研究機関や自治体と連携したSDGsやESGに関わる指標づくり、地域雇用の活性化や女性のエンパワーメントをはじめとする取り組みにも力を入れてまいりましたが、こうした社会課題の解決やサステナビリティに関わる領域への価値提供についての社会的な意義は今後ますます高まっていくと認識しており、企業としての持続成長と並ぶ経営活動の基本戦略に位置付けて取り組みを進めています。
⑤ 組織と人材
当社の競争力の源泉は、データの力と人材の力であり、人材に関しては特に採用と教育に力を入れています。スタートアップである当社のような規模の企業にとっては、良質な人材の確保は最重要課題です。当社の価値観に共感し自ら成長を求める人材を幅広く採用し、挑戦する舞台と教育の機会を用意することで、自律的なプロフェッショナルを育成することが、持続的な成長につながると信じています。
そのためにも、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整え、様々な価値観や働き方を支えるインフラや制度を模索し、整備することで自律的なプロフェッショナルにとって魅力ある会社であることを目指しています。新卒採用と中途採用をバランス良く行いながら、人を育てることで組織も成長し、互いの成長を支援する風土を醸成しております。
教育プログラムとしては、専門性向上のためのテクニカル・スキルの教育プログラムのみならず、リーダーシップ開発や人間力の向上を目指したヒューマンスキルのプログラムを提供しています。具体的には、研修等のプログラムに加え、リーダーシップに関する気付きを得られるようなワークショップの機会やビジネスコーチによるコーチングプログラムの提供がそれにあたります。
会社としては、全社員が安心して自らの持つ力を存分に発揮できる環境を用意することで、組織としてのレジリエンシーを高めることが何よりも重要だと考えております。
⑥ 情報管理体制の強化
当社の事業は、将来的な発展を期待される領域であると同時に個人情報の取り扱いをベースとするため、その社会的責任は極めて重いものと認識しています。堅確な情報セキュリティは当社ビジネスを継続する上での大前提であり、最優先で取り組むべき課題です。プライバシーマークなど個人情報保護体制についても第三者機関から基準への適合性の認証を取得し、厳格な運用を心がけておりますが、グローバルレベルの関連規制を遵守することは当然とし、データマーケティングのリーディングカンパニーとして、社内の統制や社員教育等、お客さまや取引先に信頼される確かな取り組み、更なるデータガバナンスとセキュリティ強化に向けた取り組みを継続してまいります。
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