業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

 当連結会計年度については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響を受け、景気は依然として厳しい状況にあります。また、原油価格や原材料価格の上昇、ウクライナ情勢等による景気の下振れリスクにも注視する必要があります。

 

 当社グループが事業展開する情報通信関連市場においては、クラウド利用の拡大やテレワークの普及により新たな高速通信やセキュリティの高いネットワークサービスなどへの需要が引き続き発生しております。

 

 このような事業環境のもと、主力サービスの販売活動ならびにコスト管理などを通じて、業績は全体として順調に推移しております。

 また、当社グループは本業とする情報通信サービスの提供等を通じて持続可能な世界の実現に貢献するための活動を今後さらに推進するため、2030年に向けたグループのサステナビリティ基本計画を策定しました。

 

 インターネットサービスにおいては、FTTx、ISP向けサービス、IP電話サービスの売上が前年と比較し伸長しました。

 FTTxサービスでは、昨年度から引き続き、クラウド利用の拡大やテレワークの推進が進んでおり、上下最大10Gbpsベストエフォート型サービスの販売も順調に拡大しております。

 また、ISP向けサービスにおいても高品質なサービス需要は増大しており、クロスパス(注1)の提供が拡大いたしました。

 さらに、IP電話サービスではクラウドPBX事業者からの需要が拡大し、売上は前年と比較し増加いたしました。

 

 ネットワークサービスにおいても、主力サービスである専用線、VPNサービスの売上が前年と比較し伸長しました。

 専用線サービスでは、DXを推進している一般企業やその他OTT、通信事業者向けの販売好調により売上が拡大しております。

 VPNサービスでは、NFV(注2)技術を活用し、様々なネットワーク機能をクラウド型で提供するサービス、

VANILA (バニラ)の販売を開始いたしました。
 

 マンションインターネットサービスにおいては、分譲市場、賃貸市場ともに順調に売上を拡大しております。

 分譲市場において全戸一括型サービスの導入割合は増加傾向にあり、当グループは安定した受注を堅持しております。さらに、戸建向け全戸一括インターネット接続サービスを開発し、大規模戸建分譲地に提供を開始しております。

 また、賃貸市場を引き続き成長ターゲットとし、高品位なサービスの投入や、スマートロックのような附帯設備との組み合わせ等により競争力強化を図ることで、売上の拡大を実現しております。
 

 DXサービスにおいて、マンションインターネットサービスの導入における他社との差別化にも貢献しているConnectixは特許を取得し、サービス提供可能棟も順次拡大させています。

 さらに、株式会社 GameWithとの共同出資により、e スポーツ大会用の配信スタジオ運営事業及び e スポーツ選手やオンラインゲーマー向けの通信サービス事業等を推進する GameWith ARTERIA株式会社を設立いたしました。

 

 その他サービスとして含まれておりますデータセンター事業に関して、当連結会計年度において「ComSpaceⅠ及びComSpaceⅡ」の譲渡益を計上しております。
 

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比2,073百万円(3.9%)増収の55,402百万円となり、営業利益は前連結会計年度比673百万円(7.6%)増益の9,541百万円、税引前利益は前連結会計年度比783百万円

(9.3%)増益の9,243百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度比498百万円(9.0%)増益の6,033百万円となりました。

 

(注1)NTT東日本、NTT西日本のフレッツに対応した定額制インターネット接続サービス。NTT東西の光コラボレーション事業者の回線にも対応。

(注2)仮想技術等を用いてネットワーク機能を抽象化することで、物理的な制約なく柔軟な機能提供を可能にする技術。

 

(2)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いており、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

(3)財政状態の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

増減

資産合計(百万円)

89,804

99,081

9,276

資本合計(百万円)

25,531

27,930

2,398

資本(親会社の所有者に

帰属する持分)(百万円)

23,608

26,017

2,408

親会社所有者

帰属持分比率(%)

26.3

26.3

0.0

借入金残高(百万円)

38,317

36,163

△2,153

EBITDA(百万円)(注1)

17,970

18,477

507

EBITDAマージン(%)

(注2)

33.7

33.4

△0.3

(注1)EBITDA=当期利益+法人所得税費用-金融収益+金融費用+減価償却費及び償却費+貯蔵品及び顧客へ取り付けた機器の除却による費用(当社の連結損益計算書上の売上原価及びその他の費用の一部)

(注2)EBITDAマージン=EBITDA÷売上高

 

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比9,276百万円増加の99,081百万円となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末比2,408百万円増加の26,017百万円となりました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は26.3%となりました。また、借入金残高は約定返済により前連結会計年度末比2,153百万円減少の36,163百万円となりました。

 

前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、当社グループでは、EBITDAに対する売上高の比率であるEBITDAマージンを重要な経営指標としております。当連結会計年度におけるEBITDAマージンは前連結会計年度の33.7%から0.3ポイント下落し、33.4%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

 当社グループでは、当連結会計年度期間において新型コロナウイルス感染拡大に伴う事業への重大な影響を及ぼす事象は発生しておらず、安定的なキャッシュ・フローを維持しております。

 かかる状況により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度比3,175百万円減少の7,781百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 法人所得税等の支払額の増加等により、前連結会計年度比1,002百万円収入が減少し、13,312百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得があった一方で有形固定資産の売却及び投資有価証券の売却があったことにより、前連結会計年度比874百万円支出が減少し、6,809百万円の支出となりました。

 以上により、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フロー(※)は前年連結会計年度比128百万円減少し、6,503百万円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 中間配当金の支払い等により、前連結会計年度比1,981百万円支出が増加し、9,680百万円の支出となりました。

 

(※)フリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・

フロー

 

(5)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要は、運転資金及びネットワークの維持並びにエリア及び能力の拡大に関連した設備投資によるものであります。当社グループの設備投資計画等につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。

 当社グループは、資金の流動性・安定性の確保のために、通常の営業上の運転資金に対して十分な規模の現金及び現金同等物を保有しているほか、主要金融機関において50億円のコミットメントライン契約を有しております。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

(単位:百万円)

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

インターネットサービス

19,368

104.7

ネットワークサービス

13,309

106.9

マンションインターネットサービス

11,198

103.3

DXサービス

747

103.4

その他

10,778

99.7

合計

55,402

103.9

(注1)当社グループは単一事業を営んでおり、セグメントが単一であるため、サービス毎に記載しております。

(注2)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社USEN及び同グループ

7,699

14.4

7,946

14.3

(注3)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

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