(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
また、当社への新型コロナウイルス感染症の影響については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」、「2 事業等のリスク (4)その他 ①新型コロナウイルス感染症」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度はパッケージ販売からクラウドサービス中心のビジネスモデルへの転換期となりました。このビジネスモデルの転換を一気に進めるために、上期はクラウドサービスの新規受注及び既存ユーザーへの展開に注力しました。下期は実証実験店舗での導入を短期間で成功させ、全店舗への展開フェーズに早期に移行できるようにユーザーを支援してまいりました。
その結果、2021年12月31日時点でARR(注1)は698,285千円(前年同期比27.2%増)、シェア率は17.4%(同2.3pt増)、契約企業数は100社(同15社増)、クラウドサービスの有償アカウント数は2,946アカウント(前事業年度末比2,703アカウント増)(注2)、クラウドサービスの有償店舗数1,381店舗(注3)、に増加しております。当事業年度における売上高は1,201,955千円(前期比32.1%増)、営業利益は142,886千円(同523.1%増)、経常利益は156,421千円(同1,223.0%増)、当期純利益は101,299千円(同1,160.5%増)となりました。
また、当事業年度末の総資産は1,990,613千円(前事業年度末比271,678千円の増加)、負債は549,956千円(前事業年度末比160,330千円の増加)、純資産は1,440,657千円(前事業年度末比111,348千円の増加)となりました。
(注1)Annual Recurring Revenueの略語。2021年12月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。
(注2)有償契約しているクラウドサービス利用数(旧レンタルサービスを除く)。
(注3)有償契約でクラウドサービスを利用している店舗数(旧レンタルサービス利用店舗を除く)。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて348,274千円増加し、1,425,541千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は464,795千円(前期は224,821千円の収入)となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益151,977千円、減価償却費84,926千円、売上債権の減少68,894千円、未払金の増加76,008千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は92,369千円(前期は135,669千円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出105,676千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は24,150千円(前期は191,543千円の収入)となりました。主な要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入10,120千円があった一方で、長期借入金の返済による支出34,200千円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分 |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|||
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|
パッケージ販売業務 |
292,955 |
125.9 |
54,781 |
737.2 |
導入支援業務 |
289,277 |
119.0 |
88,825 |
69.0 |
サポート業務 |
293,175 |
87.1 |
146,428 |
90.5 |
クラウド業務 |
355,484 |
138.9 |
156,824 |
130.6 |
合計 |
1,230,892 |
115.2 |
446,859 |
106.9 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、業務区分別の実績を記載しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績を業務区分別に示すと、次のとおりであります。
業務区分 |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
販売高(千円) |
前期比(%) |
|
パッケージ販売業務 |
245,605 |
107.8 |
導入支援業務 |
329,179 |
230.0 |
サポート業務 |
308,462 |
112.1 |
クラウド業務 |
318,707 |
120.8 |
合計 |
1,201,955 |
132.1 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当事業年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
株式会社日本アクセス |
230,344 |
25.3 |
197,789 |
16.5 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたって、見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症による重要な影響はないものとして見積りを行っております。
②経営成績の分析
当事業年度の売上高は1,201,955千円(前期比32.1%増)、営業利益は142,886千円(同523.1%増)、経常利益は156,421千円(同1,223.0%増)、当期純利益は101,299千円(同1,160.5%増)となりました。
(単位:千円)
|
前事業年度 |
当事業年度 |
増減額 |
増減率 |
売上高 |
909,828 |
1,201,955 |
292,126 |
32.1% |
売上原価 |
515,969 |
635,637 |
119,667 |
23.2% |
売上総利益 |
393,859 |
566,317 |
172,458 |
43.8% |
販売費及び一般管理費 |
370,926 |
423,431 |
52,505 |
14.2% |
営業利益 |
22,932 |
142,886 |
119,953 |
523.1% |
経常利益 |
11,823 |
156,421 |
144,597 |
1,223.0% |
当期純利益 |
8,036 |
101,299 |
93,262 |
1,160.5% |
(売上高)
クラウド売上高(過去の経営成績の分析におけるレンタル売上高を含めております。)は、クラウドサービスを中心とした新規受注の増加、実証実験フェーズから店舗展開フェーズに移行したユーザーが増加したことが主要因となり、318,707千円(前期比54,895千円増・20.8%増)となりました。パッケージ売上高は、大型案件の新規受注が主要因となり、245,605千円(前期比17,802千円増・7.8%増)となりました。導入支援売上高は、クラウドサービスを中心とした実証実験数が前年比2.2倍となったことが主要因となり、329,179千円(前期比186,065千円増・130.0%増)となりました。サポート売上高は既存ユーザーの店舗展開が順調に進んだことが主要因となり、308,462千円(前期比33,362千円増・12.1%増)となりました。
その結果、当事業年度における売上高は1,201,955千円(前期比292,126千円増・32.1%増)となりました。
(売上総利益)
当事業年度は、全社員のリモートワーク推進により旅費交通費等が減少した一方で、クラウドサービスの展開に伴い製造部門の社員数やサーバー利用料が増加したことが主要因となり、売上原価が前期比119,667千円増加(前期比23.2%増)となりました。その結果、売上総利益が566,317千円(前期比172,458千円増・43.8%増)となりました。
(営業利益・経常利益)
当事業年度は、リモートワークの定着に伴い実施した本社オフィスの縮小により家賃が減少、WEB会議推進により旅費交通費が減少した一方で、クラウドサービス拡販に伴う営業部門の社員数増加、ウェビナーの開催や実践リテールDX研究会の運営・活動に要した広告宣伝費の増加が主要因となり、販売費及び一般管理費が前期比52,505千円増加(前期比14.2%増)となりました。その結果、営業利益が142,886千円(前期比119,953千円増・523.1%増)、経常利益が156,421千円(前期比144,597千円増・1,223.0%増)となりました。
(当期純利益)
当事業年度における当期純利益は101,299千円(前期比93,262千円増・1,160.5%増)となりました。
なお、当社は「sinops事業」の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。
③財政状態の分析
(資産)
当事業年度末における総資産は1,990,613千円(前事業年度末比271,678千円の増加)となりました。主な要因は、売掛金が68,894千円、流動資産のその他に含まれる未収法人税等が41,237千円減少した一方で、現金及び預金が348,274千円、ソフトウエアが40,434千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債は549,956千円(前事業年度末比160,330千円の増加)となりました。主な要因は、長期借入金が34,200千円減少した一方で、未払金が76,008千円、未払法人税等が78,417千円、未払消費税等が21,098千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産は1,440,657千円(前事業年度末比111,348千円の増加)となりました。主な要因は、当期純利益の計上により繰越利益剰余金が101,299千円増加したこと等によるものであります。
④キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤資本の財源及び資金の流動性
資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社の資金需要は、主として人件費、「sinops」の新製品開発にかかる研究開発費、知的財産の取得に係る費用及び運転資金であります。運転資金は原則として営業活動によるキャッシュ・フローによって賄われておりますが、状況に応じて直接金融並びに間接金融を利用していく方針であります。
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