(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の資産の部は、前事業年度末に比べて342,690千円増加し、1,910,378千円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加(前事業年度末に比べて276,067千円の増加)、商品及び製品の増加(前事業年度末に比べて190,145千円の増加)、現金及び預金の減少(前事業年度末に比べて133,192千円の減少)、前払費用の増加(前事業年度末に比べて15,120千円の増加)、繰延税金資産の減少(前事業年度末に比べて4,154千円の減少)によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債の部は、前事業年度末に比べて183,329千円増加し、1,019,112千円となりました。これは主に、長期前受金の増加(前事業年度末に比べて140,998千円の増加)、長期借入金の減少(前事業年度末に比べて51,818千円の減少)、前受金の増加(前事業年度末に比べて51,066千円の増加)、未払金の増加(前事業年度末に比べて23,852千円の増加)、買掛金の増加(前事業年度末に比べて14,999千円の増加)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産の部は、前事業年度末に比べて159,360千円増加し、891,266千円となりました。これは、当期純利益183,715千円を計上したことによる利益剰余金の増加、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用したことによる利益剰余金の24,289千円減少、自己株式の取得により65千円減少したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度(2021年10月1日~2022年9月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中でワクチン追加接種等の各種政策の効果により持ち直しの動きが見られましたが、半導体供給不足の継続やウクライナ情勢による原材料価格の上昇、世界的な金融引き締めが続く中での円安の進行などにより経済活動への影響が懸念される、先行き不透明な状況が継続しました。
当社の属する情報通信業界は、半導体供給不足の懸念は依然としてあるものの、デジタル化等の流れを受けたソフトウエア投資増加の動きが見られ、競争力の向上のためのDX(デジタル・トランスフォーメーション)に向けた企業の投資意欲が活発です。
自治体、教育機関などの公共分野や関東圏の企業において、サイバー攻撃やシステム障害への耐性を高める投資や、自然災害等に対する事業継続計画(BCP)を見直しの機運が、「必須のレジリエンス」という事業コンセプトを推進する当社のセキュアクラウドシステム事業の追い風となっています。
メタバース(ネットワーク上の仮想空間)が社会課題の解決手段や企業のDXの一環として注目を集めており、当社のビジネスチャンスの拡大につながると当社は考えています。当社では2022年1月に設置したメタバース推進部が中心となり、3D仮想空間の構築経験やクラウドIT基盤構築などの当社がこれまで蓄積したノウハウを活かして協業体制の構築やメタバースソリューションのプロトタイプ開発を進めています。
このような事業環境の中、当社は自治体や教育機関などの公共分野や中堅企業へのレジリエンス(障害やサイバー攻撃に対する防御と回復の仕組み)に対応したクラウド基盤構築サービスの販売など「必須のレジリエンス」という事業コンセプトを推進し、関東圏の顧客開拓においては、東京に本社を置くIT企業との協業を進め、プライベートクラウドとパブリッククラウド(Citrix Cloud)を組み合わせたVDIなどの先進的なハイブリッドクラウドを顧客に導入するなど、協業を起点とした販売拡大にも取り組みました。関東の中堅企業向けのクラウド基盤構築やSaaS事業者の旺盛なクラウド基盤拡張需要についても関東圏の協力会社を開拓して生産力を高めて対応に取り組みました。
その結果、当事業年度における売上高は2,503,247千円(前事業年度は2,165,368千円)、営業利益は270,275千円(前事業年度は230,780千円)、経常利益は262,380千円(前事業年度は230,709千円)、当期純利益は183,715千円(前事業年度は164,808千円)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。
(セキュアクラウドシステム事業)
関東圏の大手SaaS事業者向けクラウド基盤関連の販売や自治体や教育機関などの公共分野や関東圏の中堅企業向けレジリエンスソリューション販売が堅調に推移した結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は、2,451,638千円(前事業年度は2,151,966千円)、営業利益は503,904千円(前事業年度は466,841千円)となりました。
(エモーショナルシステム事業)
4DOHを活用したイベント運営サービスの販売を積極的に推進した結果、エモーショナルシステム事業の売上高は、51,608千円(前事業年度は13,402千円)、営業損失は3,561千円(前事業年度は営業損失29,693千円)となりました。
なお、全社営業利益は、各セグメントの営業損益の合計から、報告セグメントに分配していない全社費用230,067千円を差し引いた数値となっています。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費です。
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前年同期増減率は記載しておりません。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の減少が73,115千円、投資活動による資金の減少が4,636千円、財務活動による資金の減少が56,093千円であったことにより、前事業年度末に比べ133,192千円減少し、660,106千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は73,115千円(前事業年度は232,446千円の増加)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加292,463千円、税引前当期純利益の計上262,380千円、棚卸資産の増加67,039千円、前受金の増加52,160千円、未払金及び未払費用の増加28,110千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は4,636千円(前事業年度は14,923千円の減少)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出4,636千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は56,093千円(前事業年度は80,930千円の減少)となりました。これは、長期借入金の返済による支出56,028千円、自己株式の取得による支出65千円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
セキュアクラウドシステム事業(千円) |
1,993,365 |
- |
エモーショナルシステム事業(千円) |
32,522 |
- |
合計(千円) |
2,025,887 |
- |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、前年同期比は記載しておりません。
b.受注実績
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
セキュアクラウドシステム事業 |
2,798,624 |
117.2 |
906,764 |
201.4 |
エモーショナルシステム事業 |
53,027 |
392.1 |
1,592 |
912.3 |
合計 |
2,851,651 |
118.7 |
908,357 |
201.7 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
セキュアクラウドシステム事業(千円) |
2,451,638 |
- |
エモーショナルシステム事業(千円) |
51,608 |
- |
合計(千円) |
2,503,247 |
- |
(注)1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しており、各数値については当該会計基準等を適用した後の数値となっているため、前年同期比は記載しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
エヌ・デーソフトウェア株式会社 |
825,382 |
38.1 |
919,610 |
36.7 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりまして、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症について、感染拡大の収束時期を見通すのは困難な状況であります。そのため、当社では、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響は2023年9月期の一定期間にわたり続くものと仮定し、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性などの会計上の見積りを行っております。
②経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境をはじめとした様々なリスクが存在していることを認識しております。当社が属する情報通信業界においては、技術革新のスピードが早いため、業界動向や環境変化等を把握しながら技術を堅実に積み重ねることで、高品質なサービスを提供し続けることができるよう対応してまいります。
③経営者の問題意識と今後の方針
「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した様々な課題を適切に対処することが必要であると認識しております。常に業界動向等の変化を捉えながら主力事業であるセキュアクラウドシステム事業の事業基盤の強化と、エモーショナルシステム事業の黒字転換を図るとともに、優秀な人材の確保をはじめとした内部管理体制の充実を図ることで、持続的な成長及び効率的な事業運営を実現させる所存であります。
④当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中でワクチン追加接種等の各種政策の効果により持ち直しの動きが見られましたが、半導体供給不足の継続やウクライナ情勢による原材料価格の上昇、世界的な金融引き締めが続く中での円安の進行などにより経済活動への影響が懸念される、先行き不透明な状況が継続しました。
当社の属する情報通信業界は、半導体供給不足の懸念は依然としてあるものの、デジタル化等の流れを受けたソフトウエア投資増加の動きが見られ、競争力の向上のためのDX(デジタル・トランスフォーメーション)に向けた企業の投資意欲が活発です。
自治体、教育機関などの公共分野や関東圏の企業において、サイバー攻撃やシステム障害への耐性を高める投資や、自然災害等に対する事業継続計画(BCP)を見直しの機運が、「必須のレジリエンス」という事業コンセプトを推進する当社のセキュアクラウドシステム事業の追い風となっています。
メタバース(ネットワーク上の仮想空間)が社会課題の解決手段や企業のDXの一環として注目を集めており、当社のビジネスチャンスの拡大につながると当社は考えています。当社では2022年1月に設置したメタバース推進部が中心となり、3D仮想空間の構築経験やクラウドIT基盤構築などの当社がこれまで蓄積したノウハウを活かして協業体制の構築やメタバースソリューションのプロトタイプ開発を進めています。
このような事業環境の中、当社は自治体や教育機関などの公共分野や中堅企業へのレジリエンス(障害やサイバー攻撃に対する防御と回復の仕組み)に対応したクラウド基盤構築サービスの販売など「必須のレジリエンス」という事業コンセプトを推進し、関東圏の顧客開拓においては、東京に本社を置くIT企業との協業を進め、プライベートクラウドとパブリッククラウド(Citrix Cloud)を組み合わせたVDIなどの先進的なハイブリッドクラウドを顧客に導入するなど、協業を起点とした販売拡大にも取り組みました。関東の中堅企業向けのクラウド基盤構築やSaaS事業者の旺盛なクラウド基盤拡張需要についても関東圏の協力会社を開拓して生産力を高めて対応に取り組みました。
その結果、当事業年度における売上高は2,503,247千円(前事業年度は2,165,368千円)、営業利益は270,275千円(前事業年度は230,780千円)、経常利益は262,380千円(前事業年度は230,709千円)、当期純利益は183,715千円(前事業年度は164,808千円)となりました。
当社の主力事業であるセキュアクラウドシステム事業は、関東圏の大手SaaS事業者向けクラウド基盤関連の販売や自治体や教育機関などの公共分野や関東圏の中堅企業向けレジリエンスソリューション販売が堅調に推移した結果、セキュアクラウドシステム事業の売上高は、2,451,638千円(前事業年度は2,151,966千円)、営業利益は503,904千円(前事業年度は466,841千円)となりました。
一方、エモーショナルシステム事業においては、4DOHを活用したイベント運営サービスの販売を積極的に推進した結果、エモーショナルシステム事業の売上高は、51,608千円(前事業年度は13,402千円)、営業損失は3,561千円(前事業年度は営業損失29,693千円)となりました。
当社は、セキュアクラウドシステム事業を「必須のレジリエンス」という事業コンセプトのもと、回復力と強靭化を意味する「レジリエンス」を企業、自治体に向けて発信し、「基幹システムのクラウド化」と並ぶ、セキュアクラウドシステム事業の柱として発展させていきます。また、エモーショナルシステム事業については、固定費を抑制することで、全社収益に与える影響を好転させるとともに、メタバース分野への応用を前提とした4DOHの技術開発及び製造販売と、4DOHを活用したイベント運営サービスの事業の推進により、黒字転換を図って参ります。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の主な資金需要は、各事業の営業活動に必要な商品の仕入、販売費及び一般管理費の営業費用並びに各種税金の納付等であります。これらの資金需要は、営業キャッシュ・フローから生じる自己資金、金融機関からの借入等によって賄っております。
資金の流動性につきましては、経常運転資金に十分対応できる手元資金の確保に努めており、当期末現在の現金及び現金同等物は、660,106千円となっております。また、資金の流動性に支障をきたす事態の発生に備えて、金融機関との間で合計330,000千円の当座貸越契約を締結し、一定の流動性を維持できる体制を確保しております。
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