業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症におけるまん延防止等重点措置が全国的に解除され、一部で経済活動の持ち直しが見られました。一方で、原油・ナフサや原材料価格の高騰、加えて半導体をはじめとする原材料の供給不足やサプライチェーンの混乱は引き続き課題となっています。ロシアのウクライナへの軍事侵攻によって世界情勢が緊迫し、先行き不透明な状況に追い打ちをかけることになりました。

このような環境のもと、当社グループは中期経営計画「FELIZ 115」2年目の計画値には届かなかったものの、前期比で増収増益を達成し、売上高は過去最高となりました。計画通り、最初の2年で不採算事業の整理をはじめとする事業ポートフォリオの見直し、利益体質の改善を進めました。計画3年目となる2023年3月期は、原材料価格の高騰や地政学リスクなどの課題はあるものの、先行投資した事業収益の刈り取りとライフサイエンス事業の実績化に努め、着実な計画達成を目指します。

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億36百万円増加し、864億69百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ15億42百万円減少し、460億86百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ29億79百万円増加し、403億83百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は626億72百万円(前期比6.0%増)、営業利益は46億26百万円(前期比3.1%増)、経常利益は41億92百万円(前期比2.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は24億92百万円(前期比2.8%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 界面活性剤の売上高は185億64百万円(前期比7.3%増)、営業利益は24億76百万円(前期比41.3%増)となりました。

 アメニティ材料の売上高は80億92百万円(前期比14.3%増)、営業利益は5億66百万円(前期は72百万円の利益)となりました。

 ウレタン材料の売上高は82億94百万円(前期比10.8%増)、営業利益は55百万円(前期は2億82百万円の損失)となりました。

 機能材料の売上高は199億28百万円(前期比5.5%減)、営業利益は13億55百万円(前期比53.8%減)となりました。

 電子デバイス材料の売上高は73億16百万円(前期比27.0%増)、営業利益は7億15百万円(前期比66.2%増)となりました。

 ライフサイエンスの売上高は4億76百万円(前期比9.6%増)、営業損失は5億43百万円(前期は4億21百万円の損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べて6億19百万円増加し、121億51百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は55億20百万円(前期は49億55百万円)となりました。これは、棚卸資産の増加20億16百万円(前期は7億70百万円)、法人税等の支払い11億27百万円(前期は9億72百万円)などにより資金が減少したことに対し、税金等調整前当期純利益41億79百万円(前期は37億59百万円)、減価償却費34億30百万円(前期は32億63百万円)、仕入債務の増加7億44百万円(前期は15億57百万円の減少)及び売上債権の減少5億19百万円(前期は5億60百万円)などにより資金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は27億円(前期は38億4百万円)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出26億61百万円(前期は43億98百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は23億36百万円(前期は2億55百万円の調達)となりました。これは、長期借入れによる収入48億90百万円(前期は59億8百万円)、短期借入金の純増加額6億73百万円(前期は純減少額75百万円)により資金が増加したことに対し、長期借入金の返済65億95百万円(前期は72億66百万円)、配当金の支払い7億12百万円(前期は7億12百万円)及びリース債務の返済5億71百万円(前期は4億77百万円)などにより資金が減少したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

16,306

125.4

アメニティ材料(百万円)

5,357

107.3

ウレタン材料(百万円)

7,218

127.6

機能材料(百万円)

9,940

94.6

電子デバイス材料(百万円)

6,739

134.0

ライフサイエンス(百万円)

546

94.5

合計(百万円)

46,109

115.9

(注)生産実績の金額は平均販売価格で表示しております。

 

b.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

界面活性剤(百万円)

18,564

107.3

アメニティ材料(百万円)

8,092

114.3

ウレタン材料(百万円)

8,294

110.8

機能材料(百万円)

19,928

94.5

電子デバイス材料(百万円)

7,316

127.0

ライフサイエンス(百万円)

476

109.6

合計(百万円)

62,672

106.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価について
は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しているため省略しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ14億36百万円増加し、864億69百万円となりました。

 流動資産は465億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億36百万円増加しました。これは主に商品及び製品などの棚卸資産の合計が22億60百万円、現金及び預金が6億28百万円増加したことなどによるものです。

 固定資産は399億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億円減少しました。これは主に建物及び構築物などの有形固定資産の合計が9億59百万円、投資有価証券が3億67百万円減少したことなどによるものです。
 

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ15億42百万円減少し、460億86百万円となりました。

 流動負債は217億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億45百万円減少しました。これは主に支払手形及び買掛金が8億円増加したものの、設備関係未払金などのその他(流動負債)が7億32百万円、廃棄物処理費用引当金が3億75百万円減少したことなどによるものです。

 固定負債は243億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億97百万円減少しました。これは主に長期借入金が7億79百万円減少したことなどによるものです。
 

(純資産合計)

 当連結会計年度末における純資産合計は403億83百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億79百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益24億92百万円及び剰余金の配当7億12百万円などにより利益剰余金が17億64百万円、非支配株主持分が8億60百万円増加したことなどによるものです。

 

2)経営成績

 当連結会計年度の業績といたしましては、『機能材料』セグメントの光硬化樹脂用材料は大きく落ち込みましたが、『電子デバイス材料』セグメントの太陽電池用途の導電性ペーストが大幅に伸長したことにより、売上高は626億72百万円(前期比6.0%増)となりました。

 損益面につきましては、営業努力により『界面活性剤』セグメントを中心に価格是正の効果が顕著となったことに加え、将来に向けた研究開発費の増加があったものの、全社的なコストダウンの取り組みにより、営業利益は46億26百万円(前期比3.1%増)となりました。また、営業外収支が悪化したことにより、経常利益は41億92百万円(前期比2.8%減)となりました。これに税金費用等を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は24億92百万円(前期比2.8%減)となりました。
 

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 2020年4月から始動した中期経営計画「FELIZ 115」の2年目が終了しました。売上高は、IT・電子用途の光硬化樹脂用材料は大きく落ち込みましたが、太陽電池用途の導電性ペーストが大幅に伸長したことにより増収となりました。また、営業努力により『界面活性剤』セグメントを中心に価格是正の効果が顕著となったことに加え、将来に向けた研究開発費の増加があったものの、全社的なコストダウンの取り組みにより営業利益は昨年から増益となりました。一方、営業外収支が悪化したことにより経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、昨年から減益となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

1) 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

2) 資金需要

 当社グループの事業活動による資金需要は主に、製品の原材料の仕入、製造に要した費用、外注費及び販売費といった運転資金需要や、新製品を創製するための研究開発費などがあります。また、投資活動による資金需要は主に、生産性の向上や新製品の製造のための設備の購入、IT設備投資及び事業展開上必要な投資有価証券の取得などがあります。

3) 財務政策

 当社グループは中期経営計画「FELIZ 115」の資金として2020年2月に銀行保証付私募債を発行し、60億円を調達しております。また、かねてより78億円のコミットメントライン契約(契約期間3年)を締結することで、機動的な資金確保にも留意しております。今後も、資本市場からの調達を視野に入れた財務体質の改善強化、あるいは流動資産をはじめとする資産効率の改善に努めます。

 なお、海外子会社につきましては、邦銀の現地拠点等から直接に資金を調達しております。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画「FELIZ 115」では、2025年3月期を最終年度として、数値目標を掲げております。

①連結売上高 850億円

②連結営業利益 100億円

③連結営業利益率 11.7%

④総資産 920億円(予想)

⑤総資産回転率 1.0回

⑥設備投資額 120億円(5年累計)

⑦売上高研究開発費率 5.0%

⑧ROE 10%以上

 世界経済の不確実性、地勢力学の変化により、先行き不透明な状況が続きますが、中期経営計画の最終年度の数値目標は変えずに、全社一丸となって実現に励みます。

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(界面活性剤)

 界面活性剤の売上高は、総じて堅調に推移しました。

 国内では、ゴム・プラスチック用途、土木・建築用途は大きく落ち込みましたが、IT・電子用途、塗料・色材用途は堅調に推移しました。石鹸・洗剤用途は大幅に伸長しました。

 海外では、繊維用途、ゴム・プラスチック用途は堅調に推移しました。

 その結果、当セグメントの売上高は185億64百万円(前期比7.3%増)となりました。

 営業利益は、販売価格の是正や営業経費の削減により24億76百万円(前期比41.3%増)となりました。

 

(アメニティ材料)

 アメニティ材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

 国内では、セルロース系高分子材料は食品用途が低調に推移しましたが、医薬品用途が堅調に推移し、エネルギー・環境用途は大幅に伸長しました。ショ糖脂肪酸エステルは香粧品用途が低調に推移しましたが、食品用途は堅調に推移しました。

 海外では、ショ糖脂肪酸エステルは香粧品用途が堅調に推移し、食品用途は大幅に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は80億92百万円(前期比14.3%増)となりました。

 営業利益は、売上高の伸長や営業経費の削減により5億66百万円(前期は72百万円の利益)となりました。

 

(ウレタン材料)

 ウレタン材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

 公共工事に関連する土木用薬剤は堅調に推移しました。自動車関連分野の回復からフロン規制に関連する環境配慮型の合成潤滑油は大幅に伸長しました。

 機能性ウレタンは建築用途等が低調に推移しましたが、IT・電子用途が堅調に推移しました。

 その結果、当セグメントの売上高は82億94百万円(前期比10.8%増)となりました。

 営業利益は、売上高の大幅な伸長や研究開発の効率化による経費圧縮により55百万円(前期は2億82百万円の損失)となりました。

 

(機能材料)

 機能材料の売上高は、総じて低調に推移しました。

 国内では、水系ウレタンは繊維用途とIT・電子用途が堅調に推移しましたが、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が大きく落ち込みました。

 海外では、難燃剤はゴム・プラスチック用途が大幅に伸長し、光硬化樹脂用材料はIT・電子用途が大幅に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は199億28百万円(前期比5.5%減)となりました。

 営業利益は、売上高の大きな落ち込みに加え、研究開発費を中心に営業経費がかさみ13億55百万円(前期比53.8%減)となりました。
 

(電子デバイス材料)

 電子デバイス材料の売上高は、総じて大幅に伸長しました。

 ディスプレイ用途のイオン液体は低調に推移しましたが、太陽電池用途の導電性ペーストが大幅に伸長しました。

 その結果、当セグメントの売上高は73億16百万円(前期比27.0%増)となりました。

 営業利益は、売上高の大幅な伸長や営業経費の削減により7億15百万円(前期比66.2%増)となりました。
 

(ライフサイエンス)

 ライフサイエンスの売上高は、前期と比べ41百万円増加し、4億76百万円(前期比9.6%増)となりました。医薬品添加物や天然素材からの抽出物の濃縮化、粉末化による健康食品等の受託事業は堅調に推移し、カイコ冬虫夏草事業は堅調に推移しました。

 営業利益は、売上高は伸長しましたが、研究開発費を中心に営業経費がかさみ5億43百万円の営業損失(前期は4億21百万円の損失)となりました。

 

 

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