課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、創業以来『品質第一、原価逓減、研究努力』の3つの社訓を経営の規範として会社を運営してまいりました。創業者は『品質第一』と『原価逓減』が、「より良い製品を、より安価に、お客様に提供することが会社隆昌の基本」であり、この「2つの社訓を実現する原動力となるのは不断の研究活動である」と3つ目の『研究努力』を説いています。これら3つの創業精神に則り、以下の素材で区分した6つのセグメント別の連結事業運営を行っております。

①非イオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤を中心とする『界面活性剤』

②セルロース系高分子材料、ショ糖脂肪酸エステル、アクリル系高分子材料及びビニル系高分子材料を中心とする『アメニティ材料』

③ポリエーテルポリオール及びウレタンプレポリマーを中心とする『ウレタン材料』

④光硬化樹脂用材料、難燃剤及び水系ウレタン樹脂を中心とする『機能材料』

⑤導電性ペースト及び射出成形用ペレットを中心とする『電子デバイス材料』

⑥健康補助食品を中心とする『ライフサイエンス』

 安定的な収益を生み出すための企業体質強化の取り組みを継続します。その一方で、「京都から、世界へ未来へ。」と飛躍を志した当社グループの成長戦略を確実に軌道に乗せるための諸施策を、全社員が一丸となり確実に実行し、新たな会社の歴史を作ります。

 3つの社訓『品質第一、原価逓減、研究努力』を礎に、社是「産業を通じて、国家・社会に貢献する」の実現に努めてまいります。

(2)経営戦略等

 中期経営計画「FELIZ 115」では、以下の経営方針を掲げて取り組んでいます。

①2030年の業績は、アクチャル(既存)、ネクスト(周辺)、ドリーム(新規)が各1/3となる事業構成を目指します。アクチャルの質的充実、ネクストの拡大増強、ドリームの開発・育成を図ります。

②計画的設備投資の結果である総資産を最大活用し、年間売上高に匹敵する総資産回転率1.0を目標とします。製品別管理と並行して、顧客別のマーケティングを強化します。

③営業、研究、生産、管理の本部制を敷き、経営資源の最適配分を行います。貢献に報いる業績評価体系により、社員幸福度経営を実践します。企業を取り巻く4つのステークホルダーの期待に応え、企業価値を高めます。

 当社は、健康経営に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所が共同で取り組む「健康経営銘柄」に3年連続で選定されました。従業員の健康を維持・増進することで会社の生産性向上を、ひいては企業価値の向上をめざします。この取り組みは、担当役員の出席する委員会、会議において結果の報告とそれに基づき策定された計画の承認を得ています。

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2020年4月から始動した中期経営計画「FELIZ 115」の2年目が終了しました。2年目の計画値には届かなかったものの、前期比で増収増益を達成し、売上高は過去最高となりました。計画通り、最初の2年で不採算事業の整理をはじめとする事業ポートフォリオの見直し、利益体質の改善を進めました。計画3年目となる2023年3月期は、原材料価格の高騰や地政学リスクなどの課題はあるものの、先行投資した事業収益の刈り取りとライフサイエンス事業の実績化に努め、着実な計画達成を目指します。

 中期経営計画「FELIZ 115」では、2025年3月期を最終年度として、数値目標を掲げています。

①連結売上高 850億円

②連結営業利益 100億円

③連結営業利益率 11.7%

④総資産 920億円(予想)

⑤総資産回転率 1.0回

⑥設備投資額 120億円(5年累計)

⑦売上高研究開発費率 5.0%

⑧ROE 10%以上

(4)経営環境

 5カ年経営計画「FELIZ 115」の第二年度である第158期は、新型コロナウイルス感染症流行の長期化、原材料高騰、半導体ショック等、激しい変化が続いた1年でした。21世紀に起こり得ないと考えていた世界戦争的なロシアによるウクライナへの軍事侵攻が勃発しました。アナログからデジタル、ハードからソフトへの傾斜と不均衡が、急進展していました。人間の弱さを露呈したコロナ禍とウクライナ問題は、人間本来のアナログ性回帰への警鐘と見ています。現計画の最初の2年間に足元の充実を図り、取り組みの妥当性を確認しました。計画の第三年度である第159期は、諸施策を着実に実行し事業の拡充を図ります。

 当連結会計年度は、前期に比べて増収増益となり過去最高の売上高となりました。原油・ナフサや原材料価格の高騰、半導体をはじめとする部材不足、物流遅延が利益に大きく影響しました。しかし、目標に掲げていた不採算事業の整理をはじめとする事業ポートフォリオの見直しや利益体質の改善が業績に貢献しました。ロシアのウクライナ軍事侵攻によって先行き不透明感はさらに高まっています。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 企業価値を高めていくために会社が対処すべき課題は、次の3点と認識しています。

 第一に、高騰が続く原材料への対応です。不安定な状況下でも事業運営に不可欠な原料を確実に確保できるように原料調達プロセスを見直します。原料の値上がりは販売価格に反映させ、利益を確保します。予測できない事態の中、腰を据えて耐える時期です。地政学の激変を慎重に見極めながら、企業としてできることを確実に実行します。

 第二に、経営資源最適化の加速です。昨年より研究体制の見直しに着手し、優位性と将来性を軸に資源を集中させる経営資源の最適配分を実施しています。2022年4月には、管理本部にITインフラとDXを推進するデジタル戦略部を設置しました。データによる事業の高度化、効率化を推進します。さらに、社長直轄の事業戦略室、マーケティング室のタスクフォースを創設しました。ここに、さまざまなデータを集めて素早く事業の方向性を決定し、既存事業の拡大と新規事業の拡充を加速させます。

 第三に、先行投資した事業収益の早期刈り取りと次期投資の絞り込みです。三重県四日市市に投資したプラントは問題なく稼働しており、業績に貢献しています。フル稼働の状態になれば、5カ年経営計画「FELIZ 115」の目標値を実現する可能性が高くなります。パートナー企業との連携を強化して早期の投資回収を実現します。ライフサイエンス事業では、国際学術誌へ認知機能に関する論文を発表し、臨床試験を進めています。また、関連する健康食品はリニューアルしました。2030年を展望した新テーマによる設備投資を検討します。

 5カ年経営計画「FELIZ 115」の最終年度の目標は、連結売上高850億円の実現です。将来を見据えたバリュー・クリエイターの道を示し、計画的な設備投資を行ってまいりました。5カ年経営計画業績目標に向かい全力を注ぎます。「FELIZ」はスペイン語で人間の幸福を意味します。幸福度経営に取り組み、すべてのステークホルダーが幸せになる企業価値を創り続けます。株主の皆様にはご理解と変わらぬご支援ご協力を賜りますようお願い申しあげます。

 

(免責・注意事項)

 本計画に記載されている当社の現在の計画、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の実績等

に関する見通しであり、リスクや不確定な要因を含んでおります。そのため、実際の業績につきましては、一般

的経済状況、製品需給や市場価格の状況、市場での競争の状況、為替の変動等のさまざまな要因により、これら

見通しと大きく異なる結果となることがあり得ます。

 従って、当社として、その確実性を保証するものではありませんので、ご承知おきください。

 

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