業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み経済活動正常化の動きが見られましたが、年末以降感染が再拡大し個人消費は一進一退の状況となりました。また、輸出は増加基調に陰りが見られ、インバウンド需要も引き続き低迷するなど依然として厳しい状況が続いています。世界経済は、中国の景気拡大に頭打ち感が見られる上、経済活動の正常化を背景に景気が回復基調にある米国・欧州もロシアによるウクライナ侵攻を受け先行き不透明な状況となりました。

化学業界におきましては、為替相場は米国の利上げ観測などにより足元で急激に円安が進み、原料価格は需要回復に対し供給が追い付かず上昇基調にあるなか、地政学リスクの顕在化により更に値上がりするなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。

このような環境下における当連結会計年度の売上高は1,625億2千6百万円(前期比12.3%増)となりました。利益面では、営業利益は118億6千8百万円(前期比0.5%減)、経常利益は為替差益の増加などにより127億7千1百万円(前期比6.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券評価損の計上などにより66億9千9百万円(前期比8.0%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<生活・健康産業関連分野>

生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールが国内外ともに売り上げを伸ばし、また製紙関連薬剤が回復したことにより、売上高は好調に推移しました。

健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が主力の中国市場においてエネルギー不足問題による急激な生産調整により一時的に販売が落ち込みましたが、その後回復基調となり売上高は横ばいとなりました。

以上の結果、当セグメントの売上高は549億2千2百万円(前期比1.1%増)、営業利益は17億8百万円(前期比46.5%減)となりました。

 

<石油・輸送機産業関連分野>

石油・輸送機産業関連分野は、自動車内装表皮材用ウレタンビーズの販売が横ばいとなりましたが、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、潤滑油添加剤が好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は425億4千万円(前期比14.0%増)、営業利益は32億6千5百万円(前期比3.0%減)となりました。

 

<プラスチック・繊維産業関連分野>

プラスチック産業関連分野は、主力の永久帯電防止剤が引き続き好調に推移したことに加え、塗料コーティング用薬剤・添加剤、塗料用バインダーとして使われる樹脂改質剤も海外向けの需要が回復し、売上高は大幅に増加しました。

繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤が売り上げを伸ばし、また自動車に使われる合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂、タイヤコード糸等の製造時に使用される油剤の販売が好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は254億6千6百万円(前期比22.4%増)、営業利益は33億4千6百万円(前期比23.7%増)となりました。

 

<情報・電気電子産業関連分野>

情報産業関連分野は、コロナ禍で落ち込んだオフィスでの印刷需要が回復し、重合トナー用ポリエステルビーズ、粉砕トナー用バインダーの販売がともに好調に推移したため、売上高は大幅に増加しました。

電気電子産業関連分野は、半導体の需要が引き続き旺盛で、半導体用レジスト原料の販売が好調継続したことに加え、ディスプレイ用UV樹脂の販売も大幅に増加し、売上高は好調に推移しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は209億8千9百万円(前期比22.8%増)、営業利益は21億1千万円(前期比46.6%増)となりました。

<環境・住設産業関連分野他>

環境産業関連分野は、海外向け高分子凝集剤用のカチオンモノマーが売り上げを伸ばし、売上高は大幅に増加しました。

住設産業関連分野は、建築シーラント用原料および家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売がともに好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。

以上の結果、当セグメントの売上高は186億7百万円(前期比22.1%増)、営業利益は14億3千7百万円(前期比17.2%増)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

22,300

11,328

△10,971

投資活動によるキャッシュ・フロー

△12,498

△11,704

794

財務活動によるキャッシュ・フロー

△4,146

△5,979

△1,833

現金及び現金同等物に係る換算差額

523

878

355

現金及び現金同等物の増減額

6,179

△5,475

△11,655

現金及び現金同等物の期末残高

23,647

18,171

△5,475

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し54億7千5百万円減少し、181億7千1百万円となりました。

 

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、113億2千8百万円(前期は223億円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益107億3千4百万円、減価償却費96億6千2百万円などによる資金の増加が、売上債権の増加40億5千2百万円、棚卸資産の増加41億1百万円、法人税等の支払額29億8千4百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、117億4百万円(前期は124億9千8百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に85億9千7百万円を支出したことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、59億7千9百万円(前期は41億4千6百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額36億3千4百万円、長期借入金の返済による支出14億円による資金の減少などによるものです。

 ③生産、受注及び販売の実績

 

(a)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

53,634

△3.2

石油・輸送機産業関連分野

41,995

15.7

プラスチック・繊維産業関連分野

26,198

41.5

情報・電気電子産業関連分野

24,358

29.2

環境・住設産業関連分野他

18,311

24.7

合計

164,497

14.4

(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。

 

(b)受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

前期比

(%)

金額(百万円)

生活・健康産業関連分野

54,922

1.1

石油・輸送機産業関連分野

42,540

14.0

プラスチック・繊維産業関連分野

25,466

22.4

情報・電気電子産業関連分野

20,989

22.8

環境・住設産業関連分野他

18,607

22.1

合計

162,526

12.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及びその総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

豊田通商㈱

13,910

9.6

14,875

9.2

豊通ケミプラス㈱

12,979

9.0

15,465

9.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 ①経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、原料価格上昇に伴う製品価格改定などにより、1,625億2千6百万円(前期比12.3%増)となりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前期比164億5千万円増加し、売上原価率も前連結会計年度の76.9%から78.6%へ1.7ポイント増加しました。

 販売費及び一般管理費は、前期比13億8千2百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の14.9%から14.1%へ0.8ポイント減少しました。

 研究開発費は、前期比2億6千5百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の3.7%から3.5%へ0.2ポイント減少しました。

 

(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業利益は、118億6千8百万円(前期比0.5%減)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.2%から7.3%へ0.9ポイント減少しました。

 経常利益は、為替差益の増加などにより、127億7千1百万円(前期比6.4%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損の計上などにより66億9千9百万円(前期比8.0%減)となりました。

 

 ②財政状態の分析

(流動資産)

 流動資産は、現金及び預金が54億7千5百万円減少しましたが、受取手形及び売掛金が47億4百万円、商品及び製品が23億8百万円、原材料及び貯蔵品が18億1千3百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて44億2千3百万円増加し、937億6千4百万円となりました。

 

(固定資産)

 固定資産は、投資有価証券が25億2千4百万円減少しましたが、無形固定資産が16億6千3百万円、長期貸付金が10億7千4百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて4千7百万円増加し、1,064億2千9百万円となりました。

 

(流動負債)

 流動負債は、1年内返済予定の長期借入金が5億5千万円減少しましたが、買掛金が26億7千1百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて16億8千1百万円増加し、479億4百万円となりました。

 

(固定負債)

 固定負債は、長期借入金が8億5千万円、繰延税金負債が3億3千1百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて12億9千1百万円減少し、52億5千7百万円となりました。

 

 流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は458億6千万円、流動比率は195.7%となりました。

(純資産)

 純資産は、前連結会計年度末に比べ40億8千万円増加し、1,470億3千2百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末の71.8%から0.4ポイント増加し72.2%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,371.77円から6,549.60円と177.83円増加しました。

 

 

 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、一定水準の営業キャッシュ・フローを毎期、安定して計上しています。

 パフォーマンス・ケミカルスは、新興国の生活水準向上等による海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、最近ではタイ・韓国等における製造拠点新設や設備増強を図っています。

 グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後についても同様の方針で取組む予定です。

 当社では、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の改善や企業価値向上に繋げていく所存です。

 

 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2021年度の目標として連結売上高1,700億円、連結営業利益135億円、連結経常利益135億円、親会社株主に帰属する当期純利益90億円を掲げておりました。

 当連結会計年度の売上高は、原料価格上昇に伴う製品価格改定などにより1,625億2千6百万円(前期比12.3%増)、営業利益は118億6千8百万円(前期比0.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券評価損の計上などにより66億9千9百万円(前期比8.0%減)となり、ROEは4.7%(前期比0.7ポイント減)になりました。

 2023年3月期は新型コロナウイルス感染症の社会・経済活動への影響は徐々に沈静化すると期待されますが、地政学リスクの顕在化により、原料価格動向や為替動向などは益々予断を許さない状況が続くと予想されます。このような状況のもと、当社グループの2023年3月期の連結業績については、高付加価値製品の拡販等により、

売上高2,060億円、営業利益125億円、経常利益130億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を見込んでおります。

 

 ⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しておりますのでご参照ください。

 

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