研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、パフォーマンス・ケミカルス(機能化学品)を通じて社会に貢献することを基本方針として、基盤となる技術の深耕、新製品開発ならびに顧客への対応力の強化等、積極的な研究開発活動を行っております。

当社グループの研究開発は、潤滑油添加剤事業本部の研究部、画像材料事業本部の研究部、バイオ・メディカル事業本部の研究部、界面活性剤事業本部の研究部、高機能マテリアル事業本部の研究部、ウレタン材料事業本部の研究部、インダストリアル事業本部の研究部、Beauty & Personal Care統括部の研究グループ、事業企画本部の企画開発部とエネルギー事業推進部の研究開発グループ及びプロセス開発グループ、研究業務本部、及び連結子会社のSDPグローバル㈱の研究部、サンノプコ㈱の研究本部、サンアプロ㈱の研究所で推進しています。研究開発人員数はグループ全体で397名であり、これは当社グループ全人員の約五分の一に当たります。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は5,650百万円であり、各セグメントの主な研究開発成果は次のとおりであります。

 

(1) 生活・健康産業関連分野

本分野では、生活に密着した日用品向けの多様なニーズにきめ細かく対応するシャンプー基材や洗剤用の界面活性剤応用製品、紙オムツ用高吸水性樹脂、臨床検査試薬キットならびに医療用機材などの製品を開発しております。主な成果としては高吸水性樹脂「サンウェット」でヨウ素移動重合を用いて吸水性能を改良した新製品の採用が広がっていること、昨年度開発した脱水性に優れる高吸水性樹脂を始め、製品ライフサイクル全体におけるCO2発生量削減に向けた新たな開発が推進できたこと、ふけかゆみ低減に効果的なアミノ酸系シャンプー成分が国内外で高く評価され、採用実績が大きく伸びていること、界面活性剤の使用量を低減でき環境負荷低減に貢献する洗浄剤基剤「ミセランドシリーズ」を開発したこと、高吸水性樹脂の技術を用いてエクソソームを高精度・高収率で回収する精製法を開発したこと、機能性たんぱく質「シルクエラスチン」を用いた「皮膚欠損創に対するシルクエラスチンスポンジ(P47K-WAS)の検証的臨床試験」の企業治験が全国5施設にて開始したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,111百万円であります。

 

(2) 石油・輸送機産業関連分野

本分野では、自動車シートクッション用ポリウレタンフォーム原料、潤滑油・燃料油の添加剤など自動車関連の化学品ならびに切削油といった金属加工用薬剤のベース基材などの製品を開発しております。主な成果としては、自動車エンジンオイルの国際規格「ILSAC GF-6」に適合したエンジンオイル向けに開発した省燃費型新規粘度指数向上剤が多数のユーザーに採用され順調に販売数量を伸ばしていること、「高強度で表面形状を制御したスラッシュ成形用ウレタンビーズ『メルテックスLF』の技術確立と製品化」の業績が認められ、一般社団法人近畿化学協会より「化学技術賞」の表彰を受けたこと、また乗り心地良好な自動車シート用原料として副生物の少ない高純度かつ高分子量のPPGの拡販が進んでいることなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,133百万円であります。

 

(3) プラスチック・繊維産業関連分野

本分野では、電子部品搬送トレーなどに使用される永久帯電防止剤、樹脂用の顔料分散剤、モデル用合成木材といったプラスチック関連製品ならびに化学繊維やガラス繊維、炭素繊維などの各種繊維用の薬剤などを開発しております。主な成果としては、酢酸エチルやイソプロパノール系などの環境対応型のインキに使用可能な帯電防止剤・顔料分散剤として、『ケミスタット3600』を開発したこと、また、ABS樹脂に耐薬品性を付与できる樹脂改質剤「ファンクティブ」シリーズについて、透明ABS樹脂に適用可能なグレードを開発したこと、紙おむつに使用される不織布用処理剤として、繰り返し透水時の耐久親水性および液残りが少なくドライ性に優れた親水化剤「ハイドロスルーシリーズ」を開発したこと、一昨年上市した高硬度タイプのウレタン系合成木材「サンモジュール」が寸法精度と切削性、重量の観点からアルミ製の検査冶具の代替や真空成型用型として需要が増え拡販が進んだこと、消泡剤ノプタムシリーズについて、GOTS(オーガニックコットン製品の国際基準)や米国FDA、中国GB9685等の食品関連法規制に適合したユニバーサル消泡剤を開発したことがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,402百万円であります。

 

(4) 情報・電気電子産業関連分野

本分野では、複写機やプリンター用のトナーバインダー、電子部品製造用の工程薬剤、コンデンサ用電解液など情報・電気電子産業に使用される製品を開発しております。主な成果としては、省エネ性にすぐれる低温定着性トナーバインダーの採用が決まったこと、UV硬化樹脂「ファインキュア―」シリーズについて基材密着性が高くディスプレイ用途向けの新製品を開発したことなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は1,456百万円であります。

 

(5) 環境・住設産業関連分野他

本分野では、環境浄化用の水処理薬剤、住宅用断熱材に用いられるポリウレタンフォーム原料、建築シーラント原料などの製品を開発しております。主な成果としては、カチオン基含有モノマーについて親水性やアニオン性化合物との吸着性などの機能を有したポリマーを生成できることから塗料用途で拡販が進んでいること、押出成形用セメント分散剤「レベフロー」シリーズについて少量で流動性が向上する新製品の採用が進んでいることなどがあげられます。当連結会計年度における当分野に係る研究開発費は546百万円であります。

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