当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度においては、医療や介護の提供体制を担う人材の不足や財源問題が引き続き継続し、有効求人倍率も全産業平均と比較して高い水準で推移いたしました。また、COVID-19の感染の再拡大を受け、2021年4月に、東京・大阪等の大都市圏を中心とした緊急事態宣言が発令され、同年6月に沖縄県を除き解除されました。しかしながら、再度7月に東京に同宣言が発令され、8月にはさらに神奈川・埼玉・千葉・大阪にまで対象地域が再拡大し、同年9月に解除されました。また、主に発症や重症化の予防が期待されるワクチンの接種が全国的に開始され、4月以降、急速にワクチン接種者数が増加しました。
このような事業環境のもと、人材プラットフォーム事業の売上高は、人材採用システム「ジョブメドレー」においてワクチン接種による採用プロセスの遅延等の影響が主に医科・介護領域にて発生したものの、株式会社メディパスのオンライン研修事業の連結化等により、増収となりました。 また、医療プラットフォーム事業においても、医療機関のワクチン接種対応による影響が一部見られたものの、プロダクトの販売が堅調に推移したことに加え、株式会社メディパスの一部事業及び株式会社パシフィックメディカルの連結化により、増収となりました。売上高が伸長する一方で、引き続き事業規模拡大に向けて人材プラットフォーム事業におけるシステムの機能開発や人員増強等の継続成長投資、並びに医療プラットフォーム事業における開発人員の増強をはじめとした先行投資を積極的に実施しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高10,863,568千円(前年同期比59.0%増)、EBITDA1,218,778千円(前年同期比124.6%増)、営業利益733,247千円(前年同期比85.1%増)、経常利益743,485千円(前年同期比75.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は563,251千円(前年同期比23.5%増)となりました。
なお、人材プラットフォーム事業においては、当社グループのサービスを利用して入職した求職者が求人事業所に入職した日付を基準として売上高を計上しているため、一般的に年度の始まりとされている4月に入職が増え、同月に売上高が偏重する傾向があります。そのため、当社グループの業績は、第2四半期連結会計期間に売上高が偏重する傾向があります。
セグメントごとの業績を示すと、以下のとおりです。
なお、セグメント間取引消去額及び各セグメントに配賦されてない全社共通費用の総額は1,956,740千円(前年同期比36.6%増)です。
a. 人材プラットフォーム事業
当連結会計年度では、人材採用システム「ジョブメドレー」において、引き続きCOVID-19のワクチン接種による入職時期の遅延等、採用プロセスへの影響が一定程度見られたものの、利便性の向上に向けたサービスサイトの機能改善を継続的に実施したこと等により応募数が伸長し、顧客事業所数が前連結会計年度末比17.4%増の253,000件強、掲載求人数は前連結会計年度末比17.5%増の252,000件強となりました。 また、2021年3月に連結子会社化(完全子会社化)した株式会社メディパスのオンライン研修事業が当セグメントに加わり、順調に推移しました。
以上の結果、セグメント売上高は7,878,737千円(前年同期比39.4%増)、全社共通費用配賦前のセグメント利益(営業利益)は3,188,694千円(前年同期比34.5%増)となりました。
b. 医療プラットフォーム事業
当連結会計年度においては、引き続き医療機関におけるCOVID-19のワクチン接種対応による影響を一定程度受けたものの、2021年1月に中小病院向けの電子カルテ「MALL」の開発及び提供を行う株式会社パシフィックメディカルを連結子会社化した結果、医療プラットフォーム事業全体の利用医療機関数は前連結会計年度に引き続き増加し、前連結会計年度末比89%増の10,611件に至っております。また、医療情報提供サービス「MEDLEY」においては、継続的なコンテンツの更新及び拡充を実施しました。加えて、2021年3月に連結子会社化(完全子会社化)した株式会社メディパスの一部事業が当セグメントに新たに加わりました。
以上の結果、セグメント売上高は2,676,746千円(前年同期比149.7%増)、全社共通費用配賦前のセグメント損失(営業損失)は457,258千円(前年同期は営業損失461,415千円)となりました。
なお、当該営業損失が発生している要因としては、主にかかりつけ薬局支援システム「Pharms」の新規利用医療機関の獲得や機能拡充、並びにクラウド診療システム「CLINICS」の患者ユーザー向け機能拡充に向けた成長投資に加え、株式会社パシフィックメディカル及び株式会社メディパスの連結子会社化によるのれん償却費の計上等が挙げられます。
c. 新規開発サービス
当連結会計年度においては、「介護のほんね」は継続的なコンテンツ拡充及び紹介可能施設数の拡充のための積極的な営業活動を実施しました。また、株式会社メディパスの一部事業が当セグメントに加わりました。
以上の結果、セグメント売上高は308,284千円(前年同期比184.9%増)、全社共通費用配賦前のセグメント損失(営業損失)は41,447千円(前年同期は営業損失80,682千円)となりました。
なお、当該営業損失が発生している要因としては、「介護のほんね」の最適な収益構造の確立に向けた投資を実施していることが挙げられます。
② 財政状態及びその分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は15,541,314千円となり、前連結会計年度末に比べ995,650千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が242,428千円、売掛金が548,415千円及び前払費用が96,972千円増加したことによるものであります。固定資産は4,600,354千円となり、前連結会計年度末に比べ3,666,884千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が99,234千円、無形固定資産が2,221,053千円及び投資その他の資産が1,346,595千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は20,208,356千円となり、前連結会計年度末に比べ4,688,363千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は3,341,685千円となり、前連結会計年度末に比べ397,855千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が263,914千円、未払金が217,261千円、前受金が117,855千円、1年内返済予定の長期借入金が108,414千円、買掛金が52,340千円、預り金27,901千円及び未払費用が20,311千円増加した一方で、短期借入金が500,000千円減少したこと等によるものであります。固定負債は2,817,098千円となり、前連結会計年度末に比べ41,470千円減少いたしました。これは繰延税金負債が518,442千円増加した一方で、長期借入金が686,302千円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は6,158,783千円となり、前連結会計年度末に比べ356,385千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は14,049,572千円となり、前連結会計年度末に比べ4,331,978千円増加いたしました。これは主に第三者割当による株式発行や新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ2,726,654千円、利益剰余金が563,251千円増加した一方で、自己株式取得により1,763,973千円減少したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34,478千円減少し、当連結会計年度末には14,017,556千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、1,038,925千円(前連結会計年度は805,762千円の獲得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益764,860千円に、減価償却費308,340千円、のれん償却費128,730千円、売上債権の増加額202,789千円を調整し、また法人税等の支払額159,155千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、3,294,298千円(前連結会計年度は283,149千円の支出)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得1,910,558千円や有価証券の取得による支出901,852千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、2,220,895千円(前連結会計年度は9,052,025千円の獲得)となりました。これは主として、株式の発行による収入5,398,733千円、自己株式取得による支出1,773,145千円及び長期借入金の返済による支出864,692千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.セグメント間取引については、相殺消去しております。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、人材プラットフォーム事業において顧客事業所数及び従事者会員数が順調に推移したことや、医療プラットフォーム事業においてクラウド診療支援システムCLINICS及びかかりつけ薬局支援システムPharmsの利用医療機関数の増加、並びに株式会社パシフィックメディカル及び株式会社メディパスを連結子会社化したことによるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案して合理的と考えられる金額を計上しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、見積もった数値と実際の結果は異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度において、売上高は10,863,568千円となりました。主な要因は、人材プラットフォーム事業において顧客事業所数及び従事者会員数が順調に推移し、セグメント売上高が7,878,737千円と伸長したことに加え、医療プラットフォーム事業において、クラウド診療支援システムCLINICS及びかかりつけ薬局支援システムPharmsの利用医療機関数の増加や、中小病院向けの電子カルテ「MALL」の開発及び提供を行う株式会社パシフィックメディカルを連結子会社化したことを受け、セグメント売上高が2,676,746千円となったことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度において、売上原価は3,877,788千円となりました。主な要因は、人材プラットフォーム事業の売上原価として計上している従事者会員獲得のための広告宣伝費が増加したことによるものです。この結果、売上総利益は6,985,780千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は6,252,532千円となりました。主な要因は、事業拡大に伴う人件費等の増加及び成長投資、並びにマーケティング活動のための広告宣伝費の増加によるものです。この結果、営業利益は733,247千円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益が78,609千円及び営業外費用が68,371千円となりました。この結果、経常利益は743,485千円となりました 。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度において、特別利益が22,408千円及び特別損失1,033千円となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は764,860千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税が354,173千円となりました。また、当連結会計年度及び今後の業績見通し等を勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を計上することとし、当連結会計年度において、法人税等調整額△147,194千円を計上しました。加えて、非支配株主に帰属する当期純損失として△5,370千円を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は563,251千円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、情報管理体制の強化、成長事業領域への継続投資等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループの資金需要のうち主なものは、各事業におけるシステム開発及び事業拡大のための人件費、ソフトウェア開発のための設備投資、並びに認知度の向上及びユーザー数の拡大のための広告宣伝費及び販促費等となっております。当社グループの資金需要については、自己資金、金融機関からの借入れ及びエクイティ・ファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。
また、資金の流動性については、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14,017,556千円であり、それに加え、複数の取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結し、資金調達手段を確保することにより、四半期ごとに変動する資金需要に対応し、流動性リスクをコントロールしております。
当社グループが今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続的に提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針です。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略及び経営上の目標達成状況を判断するための経営指標等」に記載のとおり、売上高を重要な経営指標と位置づけ、売上高を「顧客事業所数」×「ARPU(注1)」と捉えて高い売上高成長率の継続に向けた事業展開を行っております。顧客事業所数及びARPUの進捗については、下表のとおり継続的に増加しており、当連結会計年度末時点における顧客事業所数は前年同期比18.3%増、ARPUは前年同期比で43.9%増となっており、売上高成長率の継続に向けた事業展開も順調に推移しているものと認識しております。
(注) 1.ARPU(Average Revenue Per User)とは、当社グループの顧客事業所当たりの売上額を指します。
2.人材プラットフォーム事業及び医療プラットフォーム事業の顧客事業所数の合計であり、新規開発サービスの顧客事業所数は含んでおりません。ただし、2019年12月期期末より、両プラットフォーム事業における重複顧客事業所は、1事業所として算出しております。
3. 当社グループでは、人材プラットフォーム事業の売上高が第2四半期に偏重するため、ARPUも第2四半期に偏重しております。
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