ここに記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものであり、当該将来に関する事項については、その達成を保証するものではありません。
(1) 会社の経営方針
当社グループは、「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションを掲げ、医療ヘルスケア領域において事業を展開しております。インターネット技術等を活用して医療ヘルスケア領域のデジタルトランスフォーメーションを推進し、患者と医療従事者の双方にとって納得できる医療を実現することを目指しております。
(2) 経営戦略及び経営上の目標達成状況を判断するための経営指標等
当社グループは、長期フリーキャッシュ・フローの最大化を重視しており、現在はその源泉となる売上高及び売上高総利益を大きくするフェーズであると考えております。その中期目標として、2025年売上高230億円というマイルストーンを設定し、積極的な投資により早期達成を目指しています。
具体的には売上高を「顧客事業所数」×「ARPU(注)」に分解し、「顧客数の最大化」と、「ARPUの継続改善」に取り組んでおります。これらのために、継続的な顧客獲得に加え、当社グループの顧客によるサービス利用率の向上や、プロダクトラインナップの強化に積極的な投資を行っていきます。
(注) ARPU(Average Revenue Per User)とは、当社グループの顧客事業所当たりの売上額を指します。
(3) 経営環境及び市場戦略
当社グループの事業が対象とする市場は、医療ヘルスケア領域の人材市場及び医療システム市場です。当社グループは、医療ヘルスケア領域の人材市場の市場規模を約3,700億円(注1)、医療システム市場の市場規模を約4,700億円(注2)と推計しております。それぞれの市場規模は巨大ですが、一般産業界における人材市場やシステム市場と比較すると、顧客の事業規模が小さいことから顧客当たりの売上が低単価となる傾向にあります。そこで当社グループでは、このような市場環境下において多数の顧客を獲得するため、人材プラットフォーム事業において低単価な人材採用システム「ジョブメドレー」を提供することにより、顧客事業所数及び医療ヘルスケア領域の従事者会員数の拡大に取り組んでまいりました。今後もかかるコストリーダーシップ戦略を継続し、顧客基盤の強化を図ってまいります。
さらに、当社グループでは、ジョブメドレーの提供を経て獲得した業界最大級の25.4万事業所(注3)の顧客基盤を活用する形で、医療プラットフォーム事業の展開を行っております。医療システム市場においては、業界特性としてオンプレミス型のシステムが未だに多く利用されている状況ですが、医療機関の業務を効率化し、医療情報の利活用を促進して患者の負担軽減を実現するためには、医療機関に開かれたクラウド型のシステムの普及が非常に重要であると考えております。近年では規制緩和等を背景に医療システムのクラウド型への移行が進んでおり、クラウド型の医療システム市場は拡大が見込まれておりますが、当社グループはジョブメドレーの顧客基盤を活用し、病院、診療所、歯科診療所及び調剤薬局等の事業所に向けて様々なラインナップのSaaSを自社サービスや他社連携サービスとして提供していくことを戦略としています。
また、当社グループは、医療情報提供サービス「MEDLEY」等の患者向けサービスを提供していくことで、医療ヘルスケア領域の顧客事業所と患者の双方にアクセスを持つことをその戦略としております。かかる戦略の下で、医療ヘルスケアに関するデータの利活用を促進させ、医療に対する患者の様々なハードルを下げ、「患者が医療を使いこなせる未来」ひいては「納得のできる医療」を実現することを目指しております。
(注) 1.医療ヘルスケアの従事者人口990万人のうち、2019年度雇用動向調査結果の「医療・福祉」「生活関連サービス」に該当する職種の年間平均入職率(「医療・福祉」約16%、「生活関連サービス」約28%、計約168万人)に対して、各職種におけるジョブメドレーの平均採用単価を乗じた場合、約3,700億円の市場規模となります。
2.出典:株式会社富士経済「2020年医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望」
3.2021年12月末日現在。
(4) 対処すべき課題
上記を踏まえ、当社グループは以下の8項目を対処すべき課題として認識しており、これに対処してまいります。
当社グループでは、高い売上高成長率の継続のために、既に収益化している既存事業への成長投資のみならず、新規事業開発に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
経営の安定性の観点から、全社での黒字を確保できる範囲内であることを原則とした積極的な成長投資を実行しております。新規事業開発においては、当社グループの既存事業とのシナジーを活かすことを重視しております。各事業への投資に関しては、複数の分析指標を用いて費用対効果及び投資回収期間などの評価を行うとともに、ユニットエコノミクスが健全化したプロダクトについては、プロダクト毎に黒字化のタイミングを設定しております。
今後も、高い売上高成長率の継続のため、規律ある成長投資を実行してまいります。
当社グループは、長期フリーキャッシュ・フローの最大化のために、事業連携及びM&Aの取り組みが有用であると認識しております。当社グループが有する顧客基盤やプロダクトラインナップの活用等のシナジーを重視した事業連携及びM&Aを積極的に実施することで、全社としての収益力強化に取り組んでまいります。
当社グループは、顧客基盤の拡大、サービスの利便性向上及び新規サービスの開発等の多面的な取り組みにより高い売上高成長率を継続していくため、医師・エンジニアをはじめとする多様なバックグラウンドを有する優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると認識しております。当社グループの経営理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が高いモチベーションを持って働ける就業環境や人事制度の整備を行うことで、組織力の強化を目指してまいります。
当社グループは、インターネット技術を活用して事業を運営していることから、事業運営上、システムの安定稼働が極めて重要であると認識しております。このため、当社グループは、利用者の増加、取扱データ容量拡大に応じたサーバーの増強を含め、システム安定化のための人員確保及び継続的なシステム強化に取り組んでまいります。
当社グループは、医療ヘルスケア領域のデジタルトランスフォーメーションに取り組む中で、エンドユーザー(求職者や患者等)の個人情報を中心とした情報資産を当社グループのシステム上に多く保有しております。かかる個人情報を中心とした情報資産の管理を強化していくことが、当社グループミッションの達成に向けた当社グループへの社会からの信頼性構築のために非常に重要であると考えております。個人情報やインサイダー情報等の機密情報について、社内規程の厳格な運用、定期的な社内研修の実施、セキュリティシステムの整備、及び各種セキュリティ認証の取得等により、情報管理体制の強化徹底を図ってまいります。
当社グループは、現在成長段階にあり、継続的な成長を続けることのできる強固な組織基盤の確立に向けて、コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の更なる強化が経営上の重要な課題であると認識しております。特に、事業連携及びM&A等を実施しながら事業拡大を行っていくことを前提に、子会社管理体制を強化し、連結グループとしての財務報告の信頼性確保並びにコンプライアンス体制及び内部管理体制の強化を図ってまいります。
当社グループでは、顧客数の最大化と、ARPUの継続改善に今後も取り組んでいく中で、事業領域を継続的に拡大し、サービスの機能を拡充していくことを企図しています。そのような中で、顧客やエンドユーザー(求職者や患者等)からのクレーム対応や、新たに発生する想定リスクを堅実に管理していく体制を強化することが重要であると認識しております。このため、当社グループではリスク管理を統括する内部組織としてリスク管理委員会を設置し、リスク管理体制の強化を図っております。リスク管理委員会は、当社グループの経営及び事業運営にリスク管理の視点を定着させることをミッションとし、取締役会においてその活動報告を行うこととなっている等、より実効的なリスクマネジメント体制を構築することを基本方針としています。また、2018年1月に内部監査部門を新設しておりますが、今後とも当社グループではリスク管理を含めた内部管理体制の強化に努めてまいります。
当社グループは、運営するサービスの飛躍的な成長にとって、医療ヘルスケア領域の事業所のみならず、エンドユーザー(求職者や患者等)における健全な知名度の向上が必要であると考えております。また、当社グループの知名度の向上は、他企業との提携等も含めた事業展開をより有利に進めることや、サービスを支える優秀な人材を採用・確保することに寄与すると考えております。そうした考えから、当社グループでは、各サービスの知名度の向上を目指した広告宣伝活動に加え、全社的な広報活動を推進してまいります。
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