業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は25,005,022千円となり、前連結会計年度末に比べ8,259,656千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が6,437,029千円、機械装置及び運搬具が1,242,660千円増加したこと等によるものであります。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は9,785,030千円となり、前連結会計年度末に比べ176,828千円増加いたしました。これは主に導入済み物件数の増加に伴い、契約負債が317,348千円増加したこと、リース債務が返済により252,261千円減少したこと、借入金の返済により長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が210,000千円減少したこと等によるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は15,219,992千円となり、前連結会計年度末に比べ8,082,827千円増加いたしました。これは主に新株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ3,688,250千円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益644,386千円を計上したこと、主に株式給付信託(J-ESOP)制度の導入に伴い自己株式が99,688千円増加したこと、円安の影響により為替換算調整勘定が161,627千円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は60.9%(前連結会計年度末は42.6%)となりました。

 

② 経営成績の状況

 国内通信市場においては、各携帯キャリアの5Gサービスの開始、政府による地方の通信インフラ整備の支援、サステナビリティへの関心の高まり等を背景にインフラシェアリングの需要が拡大しております。 当連結会計年度においては、国内IBS事業において、新型コロナウイルス感染症の影響により一部の物件でサービス開始の遅れが生じたものの、64物件への新規導入が完了し、累計導入済み物件数は291件となりました。更に、5G対応共用装置を用いたインフラシェアリングや4G既存設備のリプレイス等の新たな需要を開拓し、国内IBS事業の更なる成長に向けた取り組みを強化しました。

 また、海外事業を展開するベトナムにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が生じたものの、前連結会計年度にTHIEN VIET COMPANY LIMITEDと買取契約を締結したIBS資産について、契約移管手続きが進捗し、当連結会計年度の海外IBS事業における累計導入済み物件数は230件となりました。

 更に、タワー事業においては、2021年7月に、西日本電信電話株式会社が保有する通信鉄塔71本のカーブアウト(買取)に係る基本契約の締結を契機に、2022年3月には、東日本電信電話株式会社が保有する通信鉄塔136本並びに株式会社NTTドコモが保有する通信鉄塔最大6,002本のカーブアウトに係る基本契約を締結する等、タワーシェアリング会社としての事業基盤を大きく拡大しました。翌連結会計年度以降、順次資産の移管を進めていくと共に、携帯キャリアを含む通信事業者からの更なるカーブアウトの取り組み拡大を目指してまいります。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は4,216,037千円(前連結会計年度比20.4%増)、営業利益は560,453千円(前連結会計年度比33.9%増)となりました。経常利益は主に前連結会計年度に計上した持分法による投資損失の反動により555,603千円(前連結会計年度比210.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は株式会社ナビックの株式を売却したことによる利益等の影響により644,386千円(前連結会計年度比27.2%増)となりました。

 なお、当社グループは通信インフラシェアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,384,967千円増加し、14,375,112千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,949,530千円(前連結会計年度比41.1%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上797,081千円、減価償却費の計上1,102,581千円、契約負債の増加316,667千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は2,378,805千円(同3.7%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,585,342千円、定期預金の預入による支出843,519千円、定期預金の払戻による収入844,477千円、関係会社株式の売却による収入240,165千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は6,781,769千円(前連結会計年度は418,299千円)となりました。これは主に、株式の発行による収入7,343,718千円、リース債務の返済による支出268,929千円、長期借入金の返済による支出210,000千円、自己株式の取得による支出99,688千円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは通信インフラシェアリング事業の単一セグメントであるため、事業別に記載しております。

事業の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

国内IBS事業     (千円)

3,381,126

121.4

海外IBS事業     (千円)

569,154

114.8

ソリューション事業 (千円)

209,988

94.8

タワー事業     (千円)

55,768

合計 (千円)

4,216,037

120.4

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソフトバンク株式会社

885,909

25.3

1,088,564

25.8

株式会社NTTドコモ

740,142

21.1

931,354

22.1

KDDI株式会社

718,827

20.5

910,243

21.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②経営成績の分析

a.売上高

 当連結会計年度における売上高は4,216,037千円(前年同期比20.4%増)となりました。これは主に、営業活動の強化に努めた結果、国内IBS事業において64物件への新規導入が完了し、累計導入済み物件数は291件となったことによります。

 

b.売上原価、売上総利益

 当連結会計年度における売上原価は2,050,953千円(前年同期比21.7%増)となりました。これは主に、導入済み物件数の増加により、運用物件に係る減価償却費及び運用保守費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は2,165,084千円(前年同期比19.2%増)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業損益

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,604,630千円(前年同期比14.8%増)となりました。これは主に、事業の拡大に伴う人員の増加による人件費の増加及び固定資産税の増加等による租税公課の増加によるものであります。この結果、営業利益は560,453千円(前年同期比33.9%増)となりました。

 

d.営業外収益、営業外費用、経常損益

 当連結会計年度において、営業外収益は為替差益の計上等により49,097千円(前年同期比73.2%増)、営業外費用は株式交付費の計上等により53,947千円(前年同期比79.9%減)発生しております。この結果、経常利益は555,603千円(前年同期比210.5%増)となりました。

 

e.特別損益、法人税等、親会社株主に帰属する当期純損益

 当連結会計年度において、投資有価証券売却益、補助金収入及び工事負担金等受入額等の計上により特別利益が478,017千円、固定資産圧縮損及び工事負担金等圧縮損等の計上により特別損失が236,539千円発生しております。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は644,386千円(前年同期比27.2%増)となりました。

 

f.EBITDA

 当連結会計年度において、EBITDAは1,696,259千円(前年同期比25.7%増)となりました。これは主に、国内IBS事業における導入済み物件数の増加によるものであります。

 

③財政状態の分析

 当連結会計年度における財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。

④経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。

 これらのリスクに対して継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、平時から対応策を検討し、リスクの最小化・分散化を図っていきます。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.資本の財源

 当社グループの資金使途は、主に通信インフラシェアリング事業の設備導入に係る設備投資並びに販売費及び一般管理費等の営業活動に必要な運転資金であります。これらの資金需要に対する資金財源は、手持資金、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入、増資等により必要とする資金を調達しております。また、今後につきまして、2022年3月25日に公表した株式会社NTTドコモが保有する通信鉄塔最大6,002本の取得実行を計画しており、SPC(特別目的会社)としての子会社を設立するスキームを活用したファイナンスストラクチャーにより、必要に応じてその他の融資手法を用いて、金融機関からの借入等により資金調達を行うことを予定しております。

 

b.資金の流動性に関する分析

 月次での資金計画などにより資金管理に努めており、また、当座貸越契約等により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。

 

⑥経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

⑦経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループは、2021年7月に新たに策定した企業ビジョン「日本から、世界最先端のインフラシェアリングを。」のもと、従来は携帯キャリア各社単独で行われてきた携帯基地局関連インフラに係る装置、アンテナ、工事、構築物等の設備投資を当社で一本化し、各社へシェアリングする事業を国内外で展開しております。これは、世界でも高い品質を誇る日本の通信業界で培ってきた技術、サービス品質、ビジネスモデルをさらに磨き上げ、世界最先端のインフラシェアリングの提供を目指していく決意を意味しております。

 当社グループがこの企業ビジョンの下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者が常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していく必要があると認識しております。

 

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