課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、2021年7月に新たに策定した企業ビジョン「日本から、世界最先端のインフラシ

ェアリングを。」のもと、従来は携帯キャリア各社単独で行われてきた携帯基地局関連インフラに係

る装置、アンテナ、工事、構築物等の設備投資を当社で一本化し、各社へシェアリングする事業を国

内外で展開することで、より快適な明日の実現に貢献してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2022年5月に公表した2027年3月期をターゲットとする中長期財務目標において、

売上高、売上高成長率、EBITDA(注1)、EBITDAマージンを重要指標としております。当社グループ

は、国内外において自社で共用設備を導入し、各社にシェアリングを行うソリューションを提供して

おり、設備投資を要するビジネスであることから、売上高に加えて、EBITDAの成長を通じて企業価値

の向上を図ってまいります。

 なお、上記中長期財務目標を達成するための前提として、国内IBS事業における累計導入済物件

数、Tenancy Ratio、タワー事業におけるタワー本数、Tenancy RatioのKPI目標を設定しておりま

す。

 2027年3月期をターゲットとする中長期財務目標の各指標の目標は、後記「(4)中長期的な会社

の経営戦略」をご参照ください。

(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額+長期前払費用償却額

 

(3)経営環境

 国内において、各携帯キャリアの5Gサービスの開始、政府による地方の通信インフラ整備の支

援、サステナビリティへの関心の高まり等を背景にインフラシェアリングの需要が拡大しておりま

す。

 2018年12月には、総務省より「移動通信分野におけるインフラシェアリングに係る電気通信事業法

及び電波法の適用に関するガイドライン」が公表され、5Gの基地局整備においてインフラシェアリ

ングの活用がこれまで以上に重要になることが言及されております。その後においても、総務省は

「Beyond 5G推進戦略」や「モバイル市場の公正な競争環境に向けたアクション・プラン」におい

て、インフラシェアリングを推進する方針を打ち出し、政府が取り組む「デジタル田園都市国家構

想」においても通信インフラの重要性がより一層認識されております。

 また、海外においても、新興国を中心に、新規大型施設の開発や将来的な5Gの展開需要を背景

に、屋内インフラシェアリングの必要性が高まっております。

 こうした経営環境を踏まえ、当社グループは、主力事業であるIBS事業、タワー事業の成長を加速

し、国内外におけるより一層のインフラシェアリングの拡大・浸透を推進してまいります。

 

(4)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、以下の強みを背景に中長期的な経営戦略を推進しております。

 

(当社グループの強み)

①市場を創出し、市場拡大を牽引する通信インフラシェアリングのパイオニア

 当社グループは、これまで一般的ではなかった通信インフラシェアリングを国内で実現し、国内

IBS事業を中心に通信インフラシェアリングのパイオニアとして事業を拡大してまいりました。さら

に、2021年3月期より、国内におけるインフラシェアリングの新たな取組みとして、屋外インフラシ

ェアリングであるタワー事業の立ち上げを行い、ルーラルタワーシェアリングやスマートポールとい

った新設タワーに加えて、通信事業者が保有する既存タワーのカーブアウトを推進しており、通信イ

ンフラシェアリング市場において、豊富な導入実績と事業基盤を有しております。

 

②高い成長性及び収益性を実現するビジネスモデル

 当社グループの売上高の大部分となるインフラシェア売上高は、長期契約に基づくストック収入

で、長期安定的に収益を創出可能なビジネスモデルとなっております。2022年5月に公表した2027年3

月期をターゲットとする中長期財務目標において、これまでの中核事業である国内IBS事業に加え

て、タワー事業の大幅な成長によるインフラシェア売上高の拡大を見込み、以下の目標数値を設定

し、更なる成長拡大を目指しております。

 

2027年3月期 財務目標

売上高

売上高年平均成長率

EBITDAマージン

EBITDA

300億円

+51%

60%

180億円

 

2027年3月期 財務目標のKPI前提

国内IBS事業

タワー事業

4G累計導入済

物件数

4G Tenancy

Ratio(既設

リプレースは

含まない)

5G累計導入

済物件数

5G Tenancy

Ratio

タワー本数

Tenancy Ratio

1,000物件

新設:600物件

既設リプレース

:400物件

3.0x

450物件

2.0x

10,000本

1.8x

 

③通信業界での豊富な経験を持つ経営陣

 創業者で代表取締役社長である田中敦史が率いる当社グループの経営陣は、携帯キャリアなどの創

業や経営幹部としての経験を有するメンバーを中心に構成されています。当社グループの経営陣は、

携帯キャリアの通信インフラ構築において、主要顧客である携帯キャリアや不動産事業者等のニーズ

を把握し、最適なソリューションを提供するための豊富な経験を有しております。

 

(当社グループの経営戦略)

①通信インフラシェアリングの事業基盤の強化

 インフラシェアリング事業者として、当社が今後も高い成長率を維持していくためには、屋内外に

おけるインフラシェアリング事業の拡大が必要不可欠となります。そのために当社グループは、建

設、営業、技術、保守等の事業体制を拡充していくと共に、携帯キャリアとの資本業務提携等を通じ

た関係強化により、インフラシェアリングのリーディングカンパニーとしてのポジショニングを強化

していくことで、更なる成長拡大を目指してまいります。

 

②5G関連需要を背景とした通信インフラシェアリングサービスの本格展開

 今後、5G基地局への設備投資本格化により、屋内外における5Gインフラシェアリングの需要拡大が

予想されます。これらのニーズに対応するため、当社グループは、タワー事業への参入や5G IBS事業

の展開等、5Gインフラシェアリングに対応したサービスの拡大をはかってまいります。また、ローカ

ル5G事業の立ち上げ等、インフラシェアリングとのシナジーが見込まれるサービスの展開を推進して

まいります。

 

③通信インフラシェアリングの高度化

 当社グループは、5GのSub6やミリ波の周波数帯域に対応した共用設備の開発等、先進的な技術開発

を推進しております。また、資本業務提携等を通じて、携帯キャリアとの技術支援やノウハウの共有

をはかり、将来的に割当される新たな周波数帯域に対応した共用中継装置や、さらに上位レイヤーと

なる無線機を対象とした共用無線機等の早期開発と早期展開の実現をはかってまいります。

 

④海外市場における通信インフラシェアリングの拡大

 ベトナムを中心とした継続的な導入物件拡大による安定的なオーガニック成長に加え、同国内での

他事業者からの資産買取・M&A等によるインオーガニック成長も目指してまいります。また、他国で

の同事業の展開についても、進出における基本方針を据え、事業参入を検討してまいります。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

①タワー事業における共用タワーの導入拡大

 各携帯キャリアの5Gサービスの開始、政府による地方の通信インフラ整備の支援、サステナビリ

ティへの関心の高まり等を背景に、日本国内におけるタワーシェアリング市場は、今後大きな拡大が

期待されます。当社グループは、これまでのインフラシェアリング事業で培った事業知見や携帯キャ

リアとの強固な関係性を活かし、タワーシェアリング市場においても、カーブアウトを含めた実績を

拡大していくことで、市場を牽引していくことが当社グループの成長においても重要であると考えて

おります。

 

②国内IBS事業における導入物件数の継続的な拡大

 当社グループにおいて、重要な経営評価指標である導入物件数を継続的に拡大していくことは、当

社グループが今後も高い成長率を持続していくために重要な取り組みとなります。これまでの4G

IBSに加え、5G対応共用装置の本格導入をはかっていくことで、導入物件数を拡大してまいります。

対象物件につきましては、これまでの主な導入先である新築物件だけでなく、携帯キャリアの屋内5

G対策の本格化や4G既存設備のリプレース需要等にも対応し、ポテンシャルの大きな既設市場におい

ても拡大を目指してまいります。

 

③海外戦略の更なる強化

 当社グループの海外戦略においては、ベトナムでは、安定した事業基盤から継続的な事業拡大を目

指すと共に、他事業者からのIBS資産の買取りやM&Aを推進してまいります。また、新たな国・地域へ

の進出を行う場合は、カントリーリスクを見極めた上で、既存インフラシェアリング事業者のM&Aに

よる参入や高い成長性が期待できる市場での事業パートナーとの資本参加等を基本方針とした海外展

開戦略を推進してまいります。

 

④顧客ニーズ充足を意識した付加価値ソリューションの強化

 当社グループは、通信インフラシェアリングにおいて、提供先の顧客のニーズを更に充足するため

に、クラウドWi-FiソリューションやSITE LOCATORサービス、ローカル5Gサービスを提供しておりま

す。事業環境の変化のなかで多様化する顧客ニーズを的確に捉え、このような付加価値ソリューショ

ンの提供を更に強化していくとともに、新たなソリューションの提供にも継続的に取り組んでまいり

ます。

 

⑤人材の確保・育成

 当社グループが、今後更なる成長をしていくためには、専門スキル及びノウハウをもった優秀な人

材を継続的に確保していくことが重要であると考えております。そのためにも、採用活動強化の施策

により、積極的な採用活動を行っていくとともに、人事制度、研修制度の充実等により従業員が中長

期で働きやすい環境の整備も実施してまいります。

 

⑥内部管理体制の強化

 当社グループを取り巻く事業環境の変化及び事業の継続的な発展に伴い、業務運営の効率化、コー

ポレート・ガバナンス機能の強化は必須であり、そのための方策の1つとして、財務報告の信頼性を

確保するための内部統制システムの適切な運用が重要であると考えております。そのため、内部統制

システムの継続的な整備、改善を行い、経営の公正性・透明性を確保するための組織体制の強化に取

り組んでまいります。また、タワーカーブアウト等を含めた今後のタワー事業拡大を見据えて、より

一層の業務基盤の強化を図ってまいります。

 

⑦サステナビリティの推進

 当社グループは、インフラシェアリングの普及そのものが「サステナブルな社会」の実現につな

がると考えております。インフラシェアリングの推進により、環境負荷の軽減や「つながる」社会の

実現等、社会課題の解決に貢献しながら、社会とともに持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目

指してまいります。

 

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