文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて580,159千円減少し、5,074,335千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が397,211千円減少したことに加え、売掛金が382,114千円減少したことによるものであります。また、固定資産は、前事業年度末に比べて42,473千円減少し、1,773,935千円となりました。この主な要因は、自社サーバー設備やレンタル資産が増加したものの減価償却による減少があり有形固定資産は4,737千円減少、ソフトウェア資産・ソフトウェア仮勘定を含む無形固定資産が43,857千円増加し、繰延税金資産の減少により投資その他の資産は81,593千円減少となりました。この結果、総資産は、前事業年度末に比べ622,632千円減少し、6,848,271千円となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて1,151,410千円減少し、2,114,206千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が675,850千円減少、未払消費税等が252,519千円減少、賞与引当金が184,048千円減少したこと等によるものであります。固定負債は、長期契約負債が前事業年度末に比べて1,328千円増加し、3,180千円となりました。この結果、総負債は、前事業年度末に比べて1,150,081千円減少し、2,117,386千円となりました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて527,448千円増加し、4,730,885千円となりました。これは、主に新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金が17,726千円ずつ増加したこと、当期純利益411,703千円を計上したこと等によるものです。
なお、当事業年度末における自己資本比率は69.1%となり、前事業年度末に比べ、12.8ポイント増加しております。
近年我が国において、少子高齢化や人口減により生産年齢人口が減少する一方、人によるデータ入力に関する外部委託市場は2020年度実績で5,970億円あり、この市場は今後成長していくと予想されております(市場規模は全て「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 2021-2022(株式会社矢野経済研究所)」より)。企業は、労働者の在宅ワーク導入など働き方改革をこれまで以上に意識した事業運営が求められていることから、社会的なデジタルトランスフォーメーション(DX)推進は加速していくものとみられます。
このような市場環境において、当社は、ディープラーニングによる手書き文字認識AIを活用した生産性向上のためのAI-OCRサービス「DX Suite」、および当社の企業理念「世界中の人・物にAIを届け 豊かな未来社会に貢献する」を実現するための製品「Learning Center」の開発・提供を進めてまいりました。
その結果、売上高および各段階利益については以下の実績となりました。
(売上高)
当事業年度の売上高は3,310,744千円(前年同期比72.0%)となりました。これは、主に2021年4月28日公表の「大口販売先ライセンスの不更新見込に関するお知らせ」のとおり、前事業年度にOEMパートナーである西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本とする)向けに発行した「DX Suite」Liteプランのライセンスの多くが第1四半期累計期間において、大幅に減少したことによります。
一方で、当事業年度における当社及びその他販売パートナーがそれぞれの顧客へ提供している「DX Suite」利用ライセンスは前年同期の1,346件から2,082件に増加、売上高は2,962,434千円(前年同期比120.5%)と堅調に増加しております。またチャーンレート(解約率)の実績は低水準で推移しており、営業活動による新規案件の獲得により売上高の積上げを進めてまいりました。
売上高のうち、リカーリング型モデル(注1)及びセリング型モデル(注2)の内訳は以下のとおりとなりました。なお、セリング型モデルの売上高が前年同期比50.1%と減少しておりますが、これは当社のリカーリング型モデルの収益を重視するという方針からサービスの料金設計を改訂してきた結果であります。
(注)1. リカーリング型:顧客が当社のサービスを利用する限り継続的に計上される収益形態を表します。
2. セリング型:特定の取引毎に計上される収益形態を表します。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は821,149千円(前年同期比272.4%)となりました。これは、主にサーバ費用が166,560千円発生したこと、また従来から開発を継続してきた「DX Suite」の後継プロダクト「Workflows」及びNo CodeでAIアプリケーションを作成できる「Learning Center」を2021年4月に製品リリースしたことにより、リリース後の保守費用を売上原価として認識した結果、労務費244,647千円、外注費328,553千円が発生したこと等によるものです。この結果、売上総利益は2,489,595千円(前年同期比58.0%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は1,920,210千円(前年同期比99.2%)となりました。これは、主に開発フェーズの進捗により、予定していた販売費及び一般管理費の一部が売上原価へ振替されたことによるものです。この結果、営業利益は569,384千円(前年同期比24.1%)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度において、営業外収益は11,694千円発生しました。これは、受取配当金が11,512千円が発生したことによるものです。また、営業外費用は17,185千円発生しました。これは、主に短期借入金に係る支払利息9,871千円、為替差損7,252千円が発生したこと等によるものです。この結果、経常利益は563,893千円(前年同期比24.1%)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度において特別損益は発生しておらず、法人税、住民税及び事業税を52,583千円、法人税等調整額99,606千円を計上した結果、当期純利益は411,703千円(前年同期比24.8%)となりました。
なお、セグメントについては、当社は人工知能事業の単一セグメントであるため、記載しておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ397,211千円減少し、4,419,240千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は208,832千円(前事業年度は2,090,066千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益563,893千円、支出の主な内訳は、法人税等の支払額698,061千円等であります。これは第6期事業年度の当期純利益が高水準となり、法人税等の支払額が多額になったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は223,635千円(前事業年度は1,503,834千円の使用)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出112,129千円、無形固定資産の取得による支出111,506千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は35,256千円(前事業年度は1,696,130千円の獲得)となりました。主な要因は、株式発行による収入35,452千円であります。
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。
当社で行う事業は、受注から役務提供の開始までの期間が短く、受注状況には重要性がないため記載を省略しております。
当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は人工知能事業の単一セグメントであるため、収益計上のモデル別に記載しております。
(注) 1.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。また、当社が行なっております会計上の見積りのうち特に重要なものは以下のとおりであります。
a. 繰延税金資産の計上
当社は繰延税金資産の回収可能性について毎期検討を行なっております。当社の繰延税金資産の回収可能額は、将来の課税所得の予測に大きく依存しておりますが、課税所得の予測は将来の事業環境や当社の事業活動の推移、その他の要因により変化いたします。将来、課税所得の予測に影響を与える諸要因に変化があり、当社が繰延税金資産の回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産を取り崩し、損益計算書の法人税等調整額が増加し、当期純利益が減少いたします。
b. 固定資産の減損
当社は固定資産の減損について、主として事業の種類別に資産をグルーピングし、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フロー等を見積り、減損の要否を判定いたします。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減損処理いたします。
財政状態に関する分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。
経営成績に関する分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、また研究開発に係る費用であります。これらの資金については自己資金にて充当する方針です。
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
お知らせ