業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症への対応としてワクチン接種の全国的な進展など、社会的な対応が見られ、全国的に緊急事態宣言が解除されることとなり、経済環境には持ち直しの兆候も見受けられますが、依然として一部の産業においては厳しい環境も続いております。

 当社グループが属する情報・サービス系の産業においては、持ち直しの動きがみられます。BtoB情報プラットフォーム市場の売上高規模は、2021年1月~12月の合計で3,720億円(前年同期比約23%増)となっております(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2022年2月公表)」の「データベース」及び「各種調査」を合計)。

 このような状況の下、当連結会計年度における知見プラットフォーム事業は、一部で新型コロナウイルス感染症による影響を受けたものの、法人クライアント口座数の増加により堅調な成長を維持しました。特に、フルサポート形式のスポットコンサル設営サービス「ビザスクinterview」を中心とする当社サービス群においては、積極的なマーケティング施策により国内事業法人及び海外顧客の新規拡大が寄与しました。また、国内のコンサルティング・ファームとの良好な取引関係のもと、当社への依頼は前年同期間に比べて増加しております。このほか、「ビザスクexpert survey」、「ビザスクpartner」「ビザスクlite」などのサービスも順調に成長を続けております。

 また、当社は、米国においてエキスパートネットワークサービス事業を中心にグローバルに事業展開しているColeman Research Group, Inc.(本社:米国ニューヨーク州、CEO:Kevin C. Coleman、以下「Coleman社」といいます。)の発行済株式を2021年11月1日(日本時間)に100%取得し、子会社化しております。これにより、同社の業績を当第4四半期連結会計期間から連結しております。Coleman社は、主に米国におけるコンサルティング・ファームや金融機関を対象にスポットコンサル設営サービスやサーベイを提供しており、当社と類似した事業を展開しております。本買収により、両社がそれぞれ持つアドバイザー登録者基盤、顧客基盤及びプロダクトを相互に活用することができ、これにより様々な事業シナジーを獲得することが可能であると考えております。例えば、当社の国内法人クライアントにおいて益々増加している、米国を筆頭とした海外に関する情報収集のニーズに対しては、Coleman 社のアドバイザーをマッチング候補に加えた上で、より精度が高いマッチングを、よりスピーディーに、より生産性高く提供することが可能となると想定しております。また、より多くの顧客・アドバイザーが当社プラットフォームに集うことにより、プラットフォームとしての魅力が増すことやブランド力が向上すること、アドバイザーやクライアントの稼働率上昇、また主力サービスだけではなく多様なサービス活用が相乗効果的に増加することも期待され、更なる加速度的な事業拡大を追求できるものと考えております。以上より、本買収は、グローバル展開を加速させ、ナレッジプラットフォームの拡大と強化を目指す当社グループの戦略に沿うものであり、企業価値の向上に資するものであると考えております。  以上の結果、当連結会計年度末時点で登録者数は46万人超、グローバル7拠点、取扱高5,693百万円(Coleman社の第4四半期会計期間のみを連結)となりました。

 また、当連結会計年度における営業収益は3,702,461千円(前年同期比130.78%増)、営業損失112,430千

円(前年同期は208,448千円の営業利益)、経常損失389,762千円(前年同期は197,232千円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失475,557千円(前年同期は201,953千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となり

ました。営業損失等が発生した理由は、本買収において必要となる費用(営業費用の支払報酬等として688百万円、営業外費用として261百万円、計949百万円)が発生したことによるものです。

 なお、当社グループは知見プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は5,076,265千円となり、前連結会計年度末に比べ3,276,842千円増加いたしました。これは主に本買収を目的とする新たな株式発行による現金及び預金の増加のほか、本買収の結果、Coleman社を連結したことに伴い流動資産が増加したことによるものであります。

 また、当連結会計年度末における固定資産は13,674,490千円となり、前連結会計年度末に比べ13,504,771千円増加いたしました。これは主にColeman社の買収により、のれんやその他の無形資産等が増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は、18,750,755千円となり、前連結会計年度末に比べ16,781,613千円増加いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,996,306千円となり、前連結会計年度末に比べ2,237,346千円増加いたしました。これは主に事業規模の拡大に伴い法人クライアントから収受する前受金や買掛金が増加したことのほか、Coleman社の買収によるものであります。なお、法人クライアントから収受する前受金は、事前購入制としている当社サービスの利用に用いるチケットの購入代金のうち、未利用の金額となります。

 また、当連結会計年度末における固定負債は5,706,028千円であり、前連結会計年度末に比べ5,516,028千円増加いたしました。これは本買収を目的とした資金の借り入れにより借入金が3,434,687千円増加したことのほか、Coleman社の買収によるものであります。

 この結果、負債合計は、8,702,334千円となり、前連結会計年度末に比べ7,753,374千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は10,048,420千円となり、前連結会計年度末に比べ9,028,238千円増加いたしました。これは、当連結会計年度において本買収を目的として株式並びに新株予約権を発行したことや従業員による新株予約権の行使により資本金、資本剰余金及び新株予約権の合計額が8,981,502千円増加したことのほか、Coleman社の連結に伴い為替換算調整勘定が522,391千円増加したこと、また、親会社株主に帰属する当期純損失475,557千円を計上したことに伴う利益剰余金の減少等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,123,794千円となり、前連結会計年度末と比べ1,766,153千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果による収入は230,970千円(前連結会計年度は393,115千円の収入)となりました。収入の主な内容は、税金等調整前当期純損失の計上389,762千円、減価償却費及びのれん償却額の計上額の合計額256,192千円、仕入債務の増加額78,676千円、前受金の増加額353,998円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果による支出は11,123,020千円(前連結会計年度は60,978千円の支出)となりました。これは主に、人員増加に伴い備品等を取得したことに伴う有形固定資産の取得による支出26,037千円、Coleman社買収に伴う子会社株式取得による支出11,042,562千円、無形固定資産の取得による支出53,412千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果による収入は12,644,660千円(前連結会計年度は703,842千円の収入)となりました。これは主に、Coleman社の買収を主な目的とする株式の発行による収入8,915,557千円並びに長期借入による収入4,000,000千円によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。

 

b.受注実績

 当社グループの行う事業は提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略いたします。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

前年同期比(%)

知見プラットフォーム事業

3,702,461

230.8

合計

3,702,461

230.8

 (注)1.当社グループの事業セグメントは、知見プラットフォーム事業の単一セグメントであります。

2.当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、業績の伸長のほか、2021年11月にColeman Research Group, Inc.を買収し、同社の2021年10月から2021年12月における3か月間の業績を連結することとなったことによるものであります。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年3月1日

至 2021年2月28日)

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ボストン・コンサルティング・グループ

183,729

11.4

403,713

10.9

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用及び損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。

 

② 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容

(営業収益)

 当連結会計年度における営業収益は、3,702,461千円となりました。主な要因は、2021年11月に買収したColeman Research Group, Inc.の10月から12月における業績を連結したこと、また、当社のメインサービスであるフルサポート形式「ビザスク」のスポットコンサル設営サービス「ビザスクinterview」や「ビザスクexpert survey」などが大きく成長したことにより、取扱高が増加したことによるものであります。その背景には、プロフェッショナルファームや事業法人の既存クライアントを中心とした平均的な取扱高の増加や、法人クライアント口座数の増加があります。

 

(営業費用)

 当連結会計年度における営業費用は、3,814,892千円となりました。主な要因は、2021年11月にColeman Research Group, Inc.を買収するために要したM&A関連費用が688,167千円生じたことのほか、事業の拡大に伴う積極的な採用活動による人件費の増加や、これによる採用費の増加、及びマーケティング活動の拡大による広告宣伝費及び関連ツールの利用料による支払手数料等の増加によるものであります。

 

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外費用は、287,119千円となりました。主な要因は、Coleman Research Group, Inc.を買収するために要した資金調達費用が261,681千円発生したことによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は、475,557千円となりました。これは主に、経常損失が389,762千円であったことや、法人税、住民税及び事業税が177,220千円あり、また、賞与引当金等に係る税効果に基づき繰延税金資産が計上されたことにより法人税等調整額△91,425千円を計上したことによるものであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、アドバイザーへの謝礼のほか、人件費、採用費、広告費及び支払報酬などの営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、基本的には業務に利用する情報関連機器です。

 運転資金及び投資資金は、自己資金のほか、増資、金融機関からの借り入れにより調達しております。2022年2月期においては、2021年11月にColeman Research Group, Inc.を買収するために、新株の発行により計8,947,645千円の払込を受け、また、金融機関から4,000,000千円の借入を行い、これらの資金を用いて、当該買収のために11,042,562千円の支払を行っております。なお、この結果、当連結会計年度末の借入金の合計残高は4,114,937千円となっており、このうち、1年内返済予定の長期借入金は490,250千円であります。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は3,123,794千円であり、十分な短期流動性を確保しております。

 

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