業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

国内の医薬品産業を取り巻く環境は、国の社会保障費の増加抑制の観点から薬価制度の抜本改革による医療費抑制の流れが加速しており、依然として厳しい状況が続いております。

このような事業環境のもと、当期の連結業績は、米国でのALS治療剤「ラジカヴァ」の売上が大きく伸長したものの、ロイヤリティ収入等や国内医療用医薬品の減収の影響により、売上収益は減収となりました。また、利益面については、後期開発へのステージアップや前期におけるニューロダーム社の買収などによる研究開発費の増加により、コア営業利益以下の各段階利益すべてで減益となりました。

 

(a) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ78億円増加し、1兆562億円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ76億円減少し、1,459億円となりました。

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ155億円増加し、9,103億円となりました。

 

(b) 経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上収益4,247億円(前年同期比2.1%減)、コア営業利益558億円(同28.9%減)、営業利益503億円(同34.9%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益373億円(同35.5%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

 

 

2018年3月期

2019年3月期

増減

 

営業キャッシュ・フロー

66,943

41,460

△25,483

 

投資キャッシュ・フロー

△19,178

△31,212

△12,034

 

財務キャッシュ・フロー

△32,501

△25,869

+6,632

現金・現金同等物増減額

13,807

△15,090

△28,897

現金・現金同等物期首残高

113,215

127,030

+13,815

現金・現金同等物期末残高

127,030

111,850

△15,180

 

連結会計年度におけるキャッシュ・フローは150億円の支出となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は1,118億円となりました。

・営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益504億円などの収入要因が法人所得税の支払額355億円などの支出要因を上回り、414億円の収入となりました。

・投資活動によるキャッシュ・フローは、主に 手元資金の運用により 312億円の支出 となりました。

・財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、258億円の支出となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは、単一の医薬品事業に従事し、複数の事業セグメントを有しておりません。

 

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品

100,427

△21.1

(注)1 金額は生産数量を正味販売価格により換算したものであります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 受注実績

当社グループ製品のほとんどは販売計画に基づいた生産であり、受注実績の記載を省略しております。

 

(c) 商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品

124,893

△8.7

(注)1 金額は実際仕入額によるものであります。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(d) 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

医薬品

424,767

△2.1

(注)1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額

(百万円)

割合

(%)

金額

(百万円)

割合

(%)

株式会社スズケン

63,660

14.7

57,974

13.6

東邦薬品株式会社

58,906

13.6

53,762

12.7

Novartis Pharma AG(※)

57,708

13.3

49,748

11.7

アルフレッサ株式会社

54,114

12.5

48,558

11.4

株式会社メディセオ

44,068

10.2

38,664

9.1

(※)当該公表金額にかかわらず、当社は、Novartis Pharma AGが契約に従って支払うべきロイヤリティの全額を受領する権利があると主張しており、今後、仲裁において適切にこの権利を追求していきます。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上等を目的として、IFRSを適用しております。

 この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しているとおりであります。

 なお、これらの会計方針に基づく連結財務諸表上の資産・負債および収益・費用等の額の決定に際しては、当該取引の実態や過去の実績等に照らし合理的と考えられる見積りや判断が行われることがあり、実際の結果は、見積りに特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 経営成績等

1) 財政状態

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度末

(2018年3月末)

当連結会計年度末

(2019年3月末)

増減

非流動資産

462,919

467,853

+4,934

流動資産

585,525

588,433

+2,908

資産合計

1,048,444

1,056,286

+7,842

負債

153,617

145,954

△7,663

資本

894,827

910,332

+15,505

負債及び資本合計

1,048,444

1,056,286

+7,842

 

当連結会計年度末における資産合計は、前期末比78億円増加の1兆562億円となりました。前連結会計年度末と比較した連結財政状態計算書上の主な変動要因は以下のとおりです。

・非流動資産は、 繰延税金資産の増加、為替変動等による 製品に係る無形資産の増加、当社戸田事業所の閉鎖決定に伴う減損等による有形固定資産の減少、退職給付に係る資産の減少 により、前期末比 49億円増加 4,678億円 となりました。

・流動資産は、 主として有価証券の増加によるその他の金融資産の増加、現金及び現金同等物や営業債権の減少等により 、前期末比 29億円増加 5,884億円 となりました。

・負債は、主に未払法人所得税の減少等により、前期末比76億円減少1,459億円となりました。

・資本は、当期利益の計上による増加、剰余金の配当等により、前期末比155億円増加9,103億円となりました。

 

2) 経営成績

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

売上収益

433,855

424,767

△9,088

△2.1%

コア営業利益

78,549

55,832

△22,717

△28.9%

営業利益

77,285

50,303

△26,982

△34.9%

税引前利益

78,764

50,439

△28,325

△36.0%

親会社の所有者に帰属

する当期利益

57,963

37,372

△20,591

△35.5%

 

(売上収益)

売上収益は、前期比△2.1%90億円減収4,247億円となりました。

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

医薬品事業

433,855

424,767

△9,088

△2.1%

国内医療用医薬品

309,372

298,798

△10,574

△3.4%

海外医療用医薬品

38,574

55,119

+16,545

+42.9%

ロイヤリティ収入等

79,151

63,117

△16,034

△20.3%

一般用医薬品

3,732

3,771

+39

+1.0%

その他

3,026

3,962

+936

+30.9%

・国内医療用医薬品は、関節リウマチなどの治療剤「シンポニー」の 伸長、2017年9月に発売した2型糖尿病治療剤「カナリア」や2018年7月よりヤンセンファーマ株式会社との販売枠組みを変更したクローン病などの治療剤「ステラーラ」の寄与などにより重点品は増収となったものの、2018年4月の薬価改定や2017年10月のジェネリック医薬品事業の譲渡などの影響により、前期比3.4%減収の2,987億円となりました。

・海外医療用医薬品は、2017年8月に米国で発売したALS治療剤「ラジカヴァ」が大きく寄与し、前期比42.9%増収の551億円となりました。

・ロイヤリティ収入等は 、Novartis Pharma AG(以下「ノバルティス社」)に導出した多発性硬化症治療剤「ジレニア」やJanssen Pharmaceuticals, Inc.(以下「ヤンセンファーマシューティカルズ社」)に導出した2型糖尿病治療剤「インヴォカナ」および同剤とメトホルミンの合剤に係るロイヤリティ収入の減少などにより、前期比20.3%減収の631億円となりました。

「ジレニア ロイヤリティ」収入に関しては、当期は、ノバルティス社との間で仲裁手続きに入ったため「ジレニア ロイヤリティ」の一部について、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行わないことによる減収がありました。当社は、ノバルティス社が契約に従って支払うべきロイヤリティの全額を受領する権利があると主張しており、今後、仲裁において適切にこの権利を追求していきます。なお、「ジレニア ロイヤリティ」について売上収益の認識を行わない部分につきましては、仲裁終結時に、その結果に応じて一括して収益認識されることになります。

 

(コア営業利益)

コア営業利益は、前期比 △28.9% 227億円減益 558億円 となりました。

国内重点品の伸長や米国での「ラジカヴァ」の増収や業務生産性改革の推進に伴う販売費及び一般管理費の減少はあったものの、薬価改定による減収やロイヤリティ収入の減収等の影響に加え、後期開発へのステージアップや前期におけるニューロダーム社の買収などによる研究開発費の増加などにより、減益となりました。

 

(営業利益)

営業利益は、前期比△34.9%、269億円減益の503億円となりました。

非経常項目として、構造改革費用、 減損損失等を計上しております。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比△35.5%、205億円減益の373億円となりました。

 

3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況 については、「 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」 に記載しております。

 

(b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、主に営業活動から得た資金を財源とし、持続的成長の実現に向けた戦略的投資・研究開発投資を行っています。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,118億円であり、また、流動比率(流動資産/流動負債)は641.7%であり、高い流動性を維持しております。

 

(c) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題」に記載しております。

 

(d) セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、単一の医薬品事業に従事し、複数の事業セグメントを有していないため、記載を省略しております。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(のれんの償却)

日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積られる期間にわたり償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降、償却をせず毎期減損テストを行っております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、「販売費及び一般管理費」が11,208百万円減少しております。

 

(研究開発費の資産計上)

日本基準では、製品、技術の導入契約に伴い発生した費用のうち、主に規制当局への承認申請前に発生したものを「研究開発費」に計上しておりましたが、IFRSではこれらの費用のうち、一定の要件を満たしたものを「無形資産」として計上し、見積耐用年数にわたって定額法で償却しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、「研究開発費」が2,771百万円減少しております。

 

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