業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①  経営成績の状況

当社グループは、当連結会計年度の期首より、収益認識に関する会計基準等を早期適用しております(注)。この影響等から、当連結会計年度の売上高は、前期から58億3千6百万円増加し、525億4千2百万円(前期比12.5%増)となりました。利益面につきましては、開発品の進展に伴う研究開発費の増加等による販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益15億7百万円(前期比15.5%減)、経常利益17億1千5百万円(前期比13.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は当社研究所移転に伴う特別損失等を計上したことにより、6億4千9百万円(前期比62.8%減)といずれも減益となりました。

(注)詳細につきましては、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 会計方針の変更」に記載しております。

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

(医薬品事業)

2019年10月の薬価改定による減収要因があったものの、新会計基準適用に加えて2019年3月に発売したGnRHアンタゴニスト「レルミナ」や2018年12月に発売したオーソライズド・ジェネリック「フリウェル配合錠」などの産婦人科領域の新製品の売上拡大、難吸収性リファマイシン系抗菌薬「リフキシマ」の売上伸長等により、売上高は478億5千1百万円(前期比14.6%増)と増収となりました。

利益面では、新製品発売に伴い販売権の償却を開始したこと等による減価償却費の増加や、開発ステージの進展に伴う研究開発費の増大を受け、セグメント利益は49億7百万円(前期比1.9%減)と減益となりました。

 

(その他)

動物用医薬品、検査、医療機器、食品等の各事業を展開しているその他事業の業績は、いずれも売上高は減少となったものの、販売費及び一般管理費も減少し、売上高46億9千万円(前期比5.2%減)、セグメント利益2億6千5百万円(前期比34.0%増)と減収増益となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ19億5千4百万円減少し、802億3千9百万円となりました。これは主に受取手形及び売掛金は増加しましたが、現金及び預金および販売権が減少したためであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、7千2百万円減少し、386億6千5百万円となりました。これは主に、流動負債のその他および長期借入金は増加しましたが、支払手形及び買掛金および1年内返済予定の長期借入金が減少したためであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、18億8千2百万円減少し、415億7千3百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上はありましたが、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の当期首残高が減少したことにより、利益剰余金が減少したためであります。

その結果、自己資本比率は前連結会計年度末から1.06ポイント低下し51.81%となっております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ38億1千2百万円減少し、72億9千4百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果減少した資金は、4億9千2百万円(前年同期は25億4百万円の増加)となりました。これは減価償却費の計上および未払消費税等の増加並びにたな卸資産の減少はありましたが、売上債権の増加および仕入債務の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、29億2千7百万円(前年同期は147億8千万円の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、3億9千2百万円(前年同期は130億3千6百万円の増加)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業(百万円)

11,547

93.5

合計(百万円)

11,547

93.5

 (注)前連結会計年度までは販売価格による金額を表示しておりましたが、当連結会計年度より製造原価による金額での表示に変更しております。この変更に伴い、前年同期比につきましても製造原価による金額により表示しております。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業(百万円)

10,903

82.5

その他(百万円)

3,544

94.9

合計(百万円)

14,448

85.2

 (注)1.金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記金額は消費税等を含んでおりません。

 

c.受注実績

当社グループは販売計画、在庫状況に基づいて生産計画を立て、これによって生産しているため、受注生産は行っておりません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業(百万円)

47,851

114.6

その他(百万円)

4,690

94.8

合計(百万円)

52,542

112.5

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当社グループは、当連結会計年度の期首より、収益認識に関する会計基準等を早期適用しております。詳細につきましては、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 会計方針の変更」に記載しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

武田薬品工業㈱

39,829

85.3

46,140

87.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①  重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、過去の実績や現状等を勘案し合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積り等の不確実性があるため実際の結果は異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大による当社グループへの影響につきましては現時点では限定的であり、当連結会計年度の見積りに大きな影響を与えるものではないと判断しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

当連結会計年度における財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載しております。

 

b.経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比べて58億3千6百万円増加し、525億4千2百万円(前期比12.5%増)となりました。これは、主に医薬品事業において、2019年10月の薬価改定による減収要因があったものの、当連結会計年度の期首より収益認識に関する会計基準等を適用したことにより、医薬品事業の売上高が従来の方法に比べて51億4百万円増加したことに加えて、2019年3月に発売したGnRHアンタゴニスト「レルミナ」や2018年12月に発売したオーソライズド・ジェネリック「フリウェル配合錠」などの産婦人科領域の新製品の売上拡大、難吸収性リファマイシン系抗菌薬「リフキシマ」の売上伸長等があったためであります。

売上原価は、前連結会計年度と比べて7億1千1百万円増加し、285億2千5百万円となりました。この結果、差引売上総利益は、前連結会計年度と比べて51億2千6百万円増加し、240億1千6百万円(前期比27.1%増)となりました。なお、当連結会計年度の差引売上総利益率は、前連結会計年度と比べて5.3ポイント上昇し、45.7%となっております。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べて54億1百万円増加し、225億9百万円となりました。これは主に、収益認識に関する会計基準等を適用したことにより、運送保管料等が従来の方法に比べて48億5千1百万円増加したことや、新製品発売に伴う販売権の償却開始等による減価償却費の増加、開発ステージの進展に伴う研究開発費の増加等があったためであります。この結果、営業利益は、前連結会計年度と比べて2億7千5百万円減少し、15億7百万円(前期比15.5%減)となりました。

営業外収益は、前連結会計年度と比べて5千6百万円減少し、4億2千4百万円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度と比べて6千6百万円減少し、2億1千6百万円となりました。この結果、経常利益は、前連結会計年度と比べて2億6千4百万円減少し、17億1千5百万円(前期比13.4%減)となりました。

特別利益は、前連結会計年度と比べて5千7百万円減少し、4千9百万円となりました。これは、保険代理店事業譲渡益の計上によるものであります。特別損失は、前連結会計年度と比べて6億5千8百万円増加し、8億6千2百万円となりました。これは、川崎研究所の湘南ヘルスイノベーションパークへの全面移転に伴う移転関連費用および減損損失の計上、並びに投資有価証券評価損の計上によるものであります。また、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額の合計は、前連結会計年度と比べて1億1千3百万円増加し、2億5千2百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて10億9千4百万円減少し、6億4千9百万円(前期比62.8%減)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動の維持・拡大に必要な資金を安定的に確保するとともに、資金需要に応じた資金調達を行うことを基本的な方針としております。

当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造費用、商品仕入、研究開発費や販売促進費等の販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、長期資金需要の主なものは、生産および研究開発のための設備投資や開発パイプラインの拡充に向けた投資等であります。運転資金需要は自己資金および取引金融機関からの短期借入を基本としており、長期資金需要は自己資金および取引金融機関からの長期借入を基本としております。

資金の流動性につきましては、現金及び現金同等物に加え、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、手元流動性を確保しております。

なお、当連結会計年度末における借入金の残高は164億2千万円となっております。また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は72億9千4百万円となっております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2020年度を最終年度とする中期経営計画「ASKA PLAN 2020」において、売上高700億円、営業利益率10.0%、ROE8.0%を目標に掲げておりましたが、薬価制度の抜本改革、ジェネリック市場の変化など当中期経営期間での事業環境変化等による影響により、売上高、営業利益率およびROEの予想を引き下げた数値目標に修正いたしました

指標

ASKA PLAN

2020年度業績目標

2020年度

業績予想

目標比

売上高

700億円

530億円

△170億円

営業利益率

10.0%

3.8%

△6.2%

ROE

8.0%

3.6%

△4.4%

 

なお、新型コロナウイルス感染症の拡大による当社グループの業績への影響については、現時点では限定的であり、今後の見通しについては算定が困難であることから、本業績予想には織り込んでおりません。

2021年度以降の経営上の目標数値につきましては、当年度中に策定する新中期経営計画での公表を予定しております。また当社グループは2021年4月より単独株式移転による持株会社体制への移行を予定しております。それに伴い、当社グループの成長戦略に応じた経営指標を設定する予定です。

 

今後も「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題」に記載のとおり、中期経営計画に基づき、目標達成に向けた取り組みを推進してまいります。

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