新薬の研究開発については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「CiCLE事業」に採用されている、オピオイドデルタ受容体作動薬「NC-2800」(抗うつ、抗不安薬)については、2021年6月に住友ファーマ株式会社(旧 大日本住友製薬株式会社)と共同研究開発契約及びオプション契約を締結し、同社がCiCLE事業の研究開発に分担機関として参画しました。P2X4受容体拮抗薬「NC-2600」については、これまでの神経障害性疼痛に加え、複数の適応症にフォーカスした開発を展開しています。そのうち慢性咳嗽治療薬としては、既存薬にはない新しい機序を有する可能性が示されており、さらに開発を進め早期の導出を目指していきます。
また、進歩が著しいAIなど新技術を活用した手法を導入することで、有望な創薬テーマの創出や開発プロセスの迅速化、業務の効率化などにつなげたいと考え、現在、デジタル技術に強みを持つベンチャー企業2社への出資や業務提携を行っています。
さらに、当社グループがウラリットで培ってきたアルカリ化療法剤については、さまざまな方面で展開が進んでいます。
まず、創薬ベンチャーであるDelta-Fly Pharma株式会社(以下、DFP社)とライセンス契約を締結した抗がん剤「DFP-17729」は、がん細胞周辺の微小環境改善作用を有し、酸性に傾いているがん細胞周囲の微小環境をアルカリ化することによる難治性がんの画期的治療効果が期待されています。DFP社は2021年4月にDFP-17729と他の抗がん剤の併用群、並びに他の抗がん剤単独群との比較試験であるフェーズⅡをスタートしており、2022年度中には、本剤の有用性を検証し、その結果次第で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ承認申請を行うことが可能か、あるいはフェーズⅢの準備に取り掛かるかの判断を行う予定です。試験の対象となる膵臓がんは早期発見が難しく、特に末期では満足できる治療剤がない状況にあるため、一日も早い新薬の開発が期待されています。
また、当社グループが協力を行いながら東北大学で進められている、アルカリ化療法剤と慢性腎臓病との関連を解明する臨床研究「CKOALA Study」は、初期的なデータ解析を終えて手ごたえを得たことから、AIリアルワールドデータを活用した追加の解析を行っています。研究結果についてはいずれ学会で発表が行われ、論文化されるものと見込んでおり、当社といたしましてはそれらの成果を踏まえ適応拡大に向けた検討を進めていきます。さらにこの研究で集められたデータを応用し、クエン酸塩の機能性表示食品としての開発を進めているところで、現在は1品目が消費者庁に受理されています。
なお、医薬品事業における研究開発費の総額は
(注) 「その他」の事業では、研究開発活動を行っていないため記載しておりません。
お知らせ