当連結会計年度の研究開発費は
心臓血管カンパニー
TIS事業では、日本で薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスターナゴミ」を発売しました。従来品の基本デザインを継承しつつ、より使い勝手の良い製品ラインアップへ拡充しました。具体的には、血管の分岐部など、径の大きい病変にも使用できるよう、拡張限界が国内最大のサイズや、長い病変も1つのステントで治療できるよう、50mm長を品揃えしました。2022年度以降には、販売地域も拡大する予定です。
ニューロバスキュラー事業では、米国で、脳動脈瘤治療に用いる血流改変ステント「FRED X」を発売しました。独自に開発したナノポリマーがステントの表面に塗布されており、合併症リスクを低減することが期待されています。欧州でも販売を開始しており、さらに販売地域も拡大する予定です。
血管事業では、胸部大動脈用ステントグラフト「RelayPro」が、米国と日本で胸部下行大動脈瘤への適応を取得しました。ステントグラフトを収納して、血管内を運ぶデリバリーシステム(シース)を細径化したことで、血管アクセスがしやすくなり、簡便な操作が期待できます。今後は、胸部下行大動脈瘤以外の適応も追加取得する予定です。
当事業に係る研究開発費は
メディカルケアソリューションズカンパニー
ホスピタルケアソリューション事業では、輸液ポンプの新モデル「テルフュージョン輸液ポンプ18型」を日本で発売しました。従来からの使いやすさを維持し、視認性・持ち運びやすさを向上させ、近距離無線通信機能を付加した製品です。あらゆる医療現場で使用できるエントリーモデルとして、2022年度以降は海外展開も予定しており、将来的には、グローバルで約1万台の販売を目指します。
ライフケアソリューション事業では、持続血糖測定器「Dexcom G6 CGMシステム」を日本で発売しました。従来品では、測定値の受信に専用のモニターが必要でしたが、スマートフォンのアプリで測定値の閲覧や管理ができるようになりました。また、アプリを介して測定値を10人まで共有できるため、医療機関による遠隔診療などにも活用可能です。本製品は、Dexcom社(米国)が開発・製造しており、テルモは、2018年に同社と提携、持続血糖測定器の国内での独占販売権を取得しています。
ファーマシューティカルソリューション事業では、協和キリン株式会社が、当社と共同開発中の薬剤自動投与デバイスを用いた製品について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認申請を行ったことを発表しました。本デバイスは、薬剤の投与が自動で行われるため、がん化学療法と同日に使用することで、翌日に投与するための通院が不要となり、患者さんの通院負担と医療従事者の業務負担の軽減につながることが期待されています。
当事業に係る研究開発費は
血液・細胞テクノロジーカンパニー
アフェレシス治療・細胞採取関連製品では、がん免疫療法に関して、Immunicom社(米国)と、欧州における共同販売提携を締結しました。テルモの遠心型血液成分分離装置「スペクトラ オプティア」と、同社の吸着カラム「LW-02 Column」を組み合わせて使用することで、患者さんのがん細胞から発せられる免疫を抑制するサイトカイン(タンパク質の一種)を減らし、免疫力を向上させることができると期待されています。今後、トリプルネガティブ乳がんの患者さんに対するスペクトラ オプティアとLW-02 Columnを用いたがん免疫療法の臨床効果を検証していきます。
新たに、CSL Plasma社(米国)と原料血漿採取における協業を開始しました。また、この協業に向けて、テルモが開発した原料血漿採取システム「Rika」が、米国食品医薬品局(FDA)より、510(k)認証を取得しました。Rikaは、採血時間が平均35分以下に抑えられ、かつ、体外に循環する血液量が200mL以下になる構造になっており、採血を受けるドナーと、採血業務を担う医療従事者双方の負担の軽減が期待されています。今後はCSL Plasma社に対し、Rikaの導入に加えて、ITプラットフォームや現場支援などを含めた総合的なソリューションを提供し、原料血漿採取のエコシステム全体に貢献していきます。
当事業に係る研究開発費は
その他
カンパニーや事業の枠を超えた全社的な連携を推進するR&D部門では、自社開発による戦略的ポートフォリオの構築や競争優位の源泉となるコア技術の深化・応用展開に加え、必要技術獲得のための外部投資やオープンイノベーション(社外との連携)にも取り組んでいます。2021年度は、GS26で掲げている、技術軸のCenter of Excellence(CoE、組織を横断する取り組みを継続的に行う際に中核となる部門)の導入準備を進めました。テルモのCoEは、具体的には、機構設計と加工技術、マテリアル・医薬・再生、生体センシング、デジタル、評価という5つの技術領域を対象としています。
加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)については、2021年4月に発足したDX推進室が、各カンパニーやオペレーション部門が進めるDX関連プロジェクトに関する情報を集約し、その連携を促すなど、「事業創出のDX」と「オペレーションのDX」の2つを推進しています。2021年度には、「One Terumo DXコンソーシアム」を立ち上げて、社内ネットワークづくりを開始し、人財開発室とはデジタル人財の育成で連携し、「Terumo DX College」という研修プログラムをスタートさせました。
なお、当連結会計年度の研究開発費総額には、各事業分野に配分できない基礎研究費用71億円が含まれております。
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