当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度における国内外の市場環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種普及に伴い、経済活動に一部持ち直しの動きもありますが、今後もオミクロン株等の変異株拡大による感染状況の推移やそれに伴う経済活動の回復は予断を許さない状況が続くことが想定されております。体外診断用医薬品の国内市場においては、同感染症による医療機関への外来患者数・入院患者数の影響が見受けられる等、厳しい環境が続いております。食品企業等の品質検査の国内市場では、コロナ禍において需要が低下している業種がある等、全体的に厳しい情勢が続いております。再生医療分野においては、当初経済産業省の試算した計画に対しては遅延気味ではありますが、臨床治験の実施、治療法確立のための活動等が実施されております。
このような状況のもと、当社グループでは経営方針として掲げている「長期的に持続的成長をする企業」の実現に向けて、現中期経営計画の重要課題として挙げた「利益ある成長」「新たな企業イメージの醸成」「ステークホルダーへの還元」に対して、事業の拡大、原価低減・業務効率化等のコスト削減、異業種テクノロジーの活用を推進しました。
国内販売では、基幹病院や検査センター、食品企業や製薬企業へ向けて、Web会議・ITツールなどを活用し、検査機器、各種試薬、培地、および再生医療等関連製品の営業活動を展開しました。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)遺伝子検査薬につきましては、「AmpdirectTM 2019-nCoV検出キット」(株式会社島津製作所)および「2019新型コロナウイルス RNA 検出試薬 TRCReady® SARS-CoV-2 i」(東ソー株式会社)が売上に大きく貢献しました。また、新たな変異株として拡大しているオミクロン株の特徴的な変異(E484A変異)を検出できる遺伝子検査薬「E484Aプライマー/プローブセット」(研究用試薬:株式会社島津製作所)の販売も開始しました。引き続き新型コロナウイルス感染症(COVID-19)遺伝子検査薬の迅速かつ安定的な供給体制を図り同感染症拡大防止へ貢献すべく努めてまいります。また、再生医療分野では、当社関連製品・サービスに関する情報発信の場として、再生医療分野細胞培養関連サービスサイト(Cell Culture サイト)を公開しました。今後当該サイトには製品・サービスの情報を掲載するだけでなく、定期的に開催しているセミナーとそのアーカイブ、技術的な情報、法律・ガイドラインや関連分野のコラム記事など、お客様の役に立つ情報を発信していく場として、より一層充実させてまいります。
海外販売については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、海外渡航が制限されている状況が続く中、Web会議を実施して海外代理店とのコミュニケーションと情報収集強化を実施し、地域ごとにWeb広告を出稿しオンラインでの集客を継続してまいりました。
この結果、売上高は前連結会計年度が119億71百万円に対し当連結会計年度は166億57百万円(前連結会計年度から46億86百万円増加、前連結会計年度比39.1%増加)となりました。利益面におきましては、営業利益は前連結会計年度が8億4百万円に対し当連結会計年度は15億64百万円(前連結会計年度から7億59百万円増加、前連結会計年度比94.4%増加)、経常利益は前連結会計年度が9億56百万円に対し当連結会計年度は15億93百万円(前連結会計年度から6億37百万円増加、前連結会計年度比66.6%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度が6億56百万円に対し当連結会計年度は11億46百万円(前連結会計年度から4億90百万円増加、前連結会計年度比74.7%増加)となりました。
要因として、国内基幹病院や検査センターへの販売において、深在性真菌症の補助診断キット「ファンギテック®Gテスト」シリーズの拡売(前連結会計年度比:39.4%増加)等に伴う既存製品の持ち直しと共に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)遺伝子検査薬の販売が大きく寄与しており、前連結会計年度に比べ当連結会計年度の売上は好調に推移いたしました(前連結会計年度比:55.2%増加)。
また、食品・製薬企業への販売は、経済活動の自粛および消費の減少等が見受けられるものの、前連結会計年度に比べ当連結会計年度の売上は増加いたしました(前連結会計年度比:6.5%増加)。
海外販売においては、ワクチン接種普及に伴う経済活動の再開の影響もあり、前連結会計年度に比べ当連結会計年度の売上は回復傾向となりました(前連結会計年度比:17.1%増加)。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前年同期に比べ46億86百万円(39.1%)増加し166億57百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、前年同期に比べ35億27百万円(44.8%)増加し113億99百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ3億99百万円(12.1%)増加し36億94百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は、前年同期に比べ7億59百万円(94.4%)増加し15億64百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用)
当連結会計年度の営業外収益は、前年同期に比べ57百万円(28.0%)減少し1億49百万円となりました。これは主に受取利息および投資有価証券売却益によるものです。
当連結会計年度の営業外費用は前年同期に比べ64百万円(115.8%)増加し1億20百万円となりました。これは主に持分法による投資損失によるものです。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は、前年同期に比べ6億37百万円(66.6%)増加し15億93百万円となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別利益は58百万円となりました。これは主に持分変動利益によるものです(前連結会計年度の特別利益は発生しておりません)。
当連結会計年度の特別損失は前年同期に比べ10百万円(84.0%)減少し1百万円となりました。これは主に固定資産処分損によるものです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比べ4億90百万円(74.7%)増加し11億46百万円となりました。
なお、当社グループは診断薬事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注および販売の実績については製品および商品の種別区分ごとに記載しております。
当連結会計年度における生産実績を種別区分ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は売価換算額によっております。
② 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績を種別区分ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は実際仕入額によっております。
当社グループは販売計画に基づく生産計画により生産を行っておりますので、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績を種別区分ごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度の数値は当該会計基準等を遡って適用した後の数値によっております。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11億22百万円(3.1%)増加し369億24百万円となりました。主な増加は現金及び預金3億45百万円、受取手形及び売掛金8億58百万円、商品及び製品2億0百万円によるもので、主な減少は機械装置及び運搬具1億0百万円、投資有価証券4億44百万円によるものです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ9億90百万円(29.7%)増加し43億18百万円となりました。これは主に買掛金3億6百万円、未払法人税等2億69百万円、賞与引当金1億26百万円の増加によるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ1億32百万円(0.4%)増加し326億5百万円となりました。
この結果、自己資本比率は88.3%となりました。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ 3億69百万円 (8.2%)増加 し 48億97百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、10億6百万円の収入(前年同期は4億85百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益16億49百万円、減価償却費2億36百万円、引当金の増加額1億41百万円、持分法による投資損失1億16百万円、仕入債務の増加額3億6百万円に対し、売上債権の増加額8億58百万円、棚卸資産の増加額3億32百万円、法人税等の支払額2億97百万円があったためです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、3億61百万円の収入(前年同期は9億38百万円の収入)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入5億10百万円、利息及び配当金の受取額1億5百万円に対し、投資有価証券の取得による支出1億30百万円があったためです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、10億10百万円の支出(前年同期は4億76百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払によるものです。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、営業活動については生産活動に必要な運転資金(材料・外注費および人件費等)、受注獲得のための販売費、新たな成長分野への積極的投資を目的とした研究開発費が主な内容であります。
投資活動については、既存事業の育成、生産性向上、海外展開および再生医療分野における新規事業立上げを目的とした設備投資が主な内容であります。
今後、成長分野に対して必要な設備投資や研究開発投資を継続していく予定であります。全体的には、将来見込まれる成長分野での資金需要も見据え、最新の市場環境や受注動向も勘案し、投資案件の選別を行っていく予定であります。
当社グループは、運転資金および投資資金について、自己資金より充当しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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