課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社の主たる事業は、「新たな価値を創造するとともに、人々の健康と幸福に貢献する」ため、革新的な治療薬を生み出し、有効な治療法がない患者さんに対し新たな治療を提供することです。

新しいモダリティ技術による遺伝子治療製品や、独自のDDS技術を活用した核酸医薬などの臨床開発を推進し、新しいメカニズムによる難治がんの治療薬や再生医薬の提供などにより、新たな市場を切り開き、人々の健康と幸福に貢献することを目指しております。

 

(2)目標とする経営指標

当社は医薬品等の研究開発を主たる事業として展開しておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要するため、現時点では継続的な事業利益を計上する段階には至っておりません。

当社のビジネスモデルは、①自社開発、②共同研究開発、③ライセンスアウト、④ライセンスインの4つの形態をとっており、既存のパイプラインについては、その進捗状況、提携先の開拓状況、資金等を勘案したうえで、①自社開発から②共同研究開発又は③ライセンスアウトへ、②共同研究開発から③ライセンスアウトへ移行することや、④ライセンスインにより新規のパイプラインを獲得すること、また、化粧品事業等他分野へ進出すること等により、事業進捗の加速化、研究開発費の負担軽減、安定収入の確保等に努めております。

当社は、経営基盤強化策として、早期上市を目的にした導入を推進しています。当社開発力を活かし、アンメットメディカルニーズの高い、後期ステージにある患者さんに必要とされる画期的な製品を導入し、上市までのコストと期間を削減する取り組みを行っています。このような事業活動の推進により、上市製品の積み上げを図ることで、早期に継続的な黒字化を実現することを中長期的な目標としております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当社は、治療法がないなど、未だ十分でない医療ニーズ(アンメットニーズ)を満たす市場を切り開き、「人々の健康と幸福に貢献する」ことをミッションとし、事業を推進しております。

成長戦略として、「一段上の企業ステージへ:人々の健康と幸福に貢献」を掲げ、以下の3項目を重点目標とし、これらを最優先の対処すべき課題と認識しております。

 

①承認取得後を見据えた販売体制の構築

開発ステージ後期のパイプラインであるENT103 、VB-111の承認取得による収益化を見据え販売体制の構築を図ります。ENT103は、共同開発先のセオリアファーマ株式会社が2022年4月、外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行っており、2023年度前半の販売開始を見込んでおります。VB-111は、プラチナ製剤抵抗性再発卵巣がんを対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(OVAL試験)が、2022年3月に目標症例数の登録を完了しており、当社は国内における販売承認申請に向けた準備を進め、併せて販売体制を構築する予定です。標準治療がないプラチナ抵抗性再発卵巣がんに対する新たな治療法を提供するため、本製品の早期の国内上市を目指しております。

 

②ASO/mRNAなどの核酸医薬の臨床ステージアップ

新規マーケットの創出が見込まれる核酸医薬(siRNA医薬、ASO医薬、mRNA医薬)は、臨床パイプラインの拡充を目指し、着実に次ステージへの移行を図ります。核酸創薬においては、siRNA医薬、ASO医薬、mRNA医薬の3つのモダリティを進めており、そのパイプライン及びパイプライン候補は次表のとおりです。核酸創薬の推進により、低分子や抗体医薬では難しいとされた標的分子に対する新しい治療法を提供する臨床パイプラインの拡充を図ります。核酸創薬は新たな治療域を創造し、新たなマーケットを創出すると期待されています。当社が臨床開発中の既存パイプラインにこれら新規パイプラインが加わることで、当社パイプラインのポートフォリオが充実し、当社の収益向上に寄与することを目指します。

■核酸医薬分野のパイプライン候補の概要

モダリティ

ターゲット

適応症

現在の状況

siRNA医薬

PRDM14

乳がん

・慶応大学との共同開発プロジェクト

・公益財団法人がん研究会有明病院において医師主導第Ⅰ相臨床試験実施中

ASO医薬

TUG1

脳腫瘍

・名古屋大学との共同研究プロジェクト

・非臨床試験及びCMC開発実施中

・AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に採択

mRNA医薬

RUNX1

変形性膝関節症

・アクセリードと共同で設立した株式会社PrimRNAが事業推進

・薬理試験及びCMC研究実施中

・AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択

 

③M&A等で新たな後期開発品の獲得、提携/導出を推進

当社は従来より、医薬品事業の経営基盤構築や関連事業や周辺事業の拡大を加速させるべく、資本・事業提携等による外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図るためのM&A等に関する検討を行っており、その一環として、2020年9月にアキュルナ株式会社を吸収合併しております。今後は、1)アンメットニーズを満たすグローバルな製品や後期臨床製品の導入、2)核酸医薬等の創薬事業の拡大およびライセンスイン/アウトの推進、3)医薬品事業の経営基盤強化(開発、製造、販売体制構築等)の上で有力な企業との業務提携等を中心に検討を進めてまいります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症に関しましては、現時点において、主に以下の事象の発生を予想しております。

・臨床開発段階のパイプラインにおける患者登録の遅れに伴う試験期間の延長

・百貨店等における化粧品の店頭販売の低迷等に伴う当社化粧品材料供給収入の減少

当社の主たる事業は医薬品等の研究開発にあるため、当社への影響は限定的と考えております。

 

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