当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及等により、年末にかけて、社会生活や経済活動は回復の兆しを見せたものの、年明けからオミクロン株感染拡大により過去最多の蔓延拡大に加え、3月にはウクライナ情勢等に起因する世界的なエネルギー、食糧等の安定的な供給不安など、経済活動の停滞が懸念されることから、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
この様な経済状況の中、世界の医薬品業界は、前年度に続き新型コロナウイルスの広範囲な感染拡大によって、医薬品製造に必要な物資の移動制限や、新薬開発における臨床試験の遅延などが発生し、成長が鈍化してきております。パンデミックに対応するための抗ウイルス薬やワクチンの開発が、米国を中心として急速に進められ、複数回に亘るワクチン接種も進められております。一方、わが国においては、継続的な医療費抑制の推進による影響を受け、引き続き厳しい状況が予想されています。
当社では、がん患者の高齢化による治療への懸念や新薬の高額化による費用への不安が進む中、経済的にも安心して家族のがん患者にも勧められる治療法を提供することを目指して、「モジュール創薬」に基づく研究開発に取り組み、各パイプラインの臨床開発を前進させました。
抗がん剤候補化合物DFP-10917は、米国における臨床第3相試験の症例登録を進めました。多くの医療機関で新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けておりますが、治験対象範囲の拡大や治験参加施設の拡大などの対応を行い、現在も臨床試験を継続しています。また、日本におけるライセンスパートナーの日本新薬㈱が国内の臨床第1相試験の症例登録を始めています。抗がん剤候補化合物DFP-14323は国内における臨床第2相試験の症例登録を完了し、無増悪生存期間と全生存期間を明らかにするための経過観察を終了しました。抗がん剤候補化合物DFP-17729は国内における臨床第1/2相試験を開始し、第2相試験部分の症例登録の完了まで進めました。抗がん剤候補化合物DFP-11207は治験薬の製造を行い、臨床第2相試験の開始に向けて、新型コロナウイルス感染拡大の影響の少ない日本での実施の検討を開始しました。抗がん剤候補化合物DFP-14927は、米国において臨床第1相試験を進め、第6段階の投与量までの安全性が確認できました。また、抗がん剤候補化合物DFP-10825は日本における臨床第1相試験の開始に向けて、治験用原薬の製造並びに前臨床試験を実施しました。
以上の結果、当事業年度の事業収益は、日本ケミファ㈱とのライセンス契約によるDFP-14323に係る契約一時金とDFP-17729に係るマイルストーン収入を取得したことに伴い、 300百万円(前事業年度と同額)となりました。事業費用につきましては、開発パイプラインの臨床試験における医療機関並びに症例数の増加、次試験に向けた治験薬となる原薬や製剤の製造などを進めたことなどに伴い、1,261百万円(前事業年度比9.5%の増加)となりました。この結果、営業損失は961百万円(前事業年度は852百万円の損失)、経常損失は964百万円(前事業年度は859百万円の損失)、当期純損失は967百万円(前事業年度は862百万円の損失)となりました。
なお、当社は医薬品事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績を記載しておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純損失の計上等により、前事業年度末比820百万円減少し、1,268百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動に使用した資金は940百万円(前事業年度は726百万円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失964百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動によるキャッシュ・フローはありませんでした(前事業年度は0百万円の支出)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果得られた資金は119百万円(前事業年度は875百万円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入120百万円によるものであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注) 1.当社の事業セグメントは単一であるため、セグメント別の販売実績は記載しておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
当社の財政状態は、以下のとおりであります。
a.資産
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末比836百万円減少し、1,324百万円となりました。これは主に、現金及び預金が820百万円減少したことによるものであります。
b.負債
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末比8百万円増加し、91百万円となりました。これは主に、未払法人税等が4百万円増加したことによるものであります。
c.純資産
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末比845百万円減少し、1,233百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使等により資本金及び資本剰余金がそれぞれ61百万円増加したものの、当期純損失の計上により利益剰余金が967百万円減少したことによるものであります。
当社の経営成績は、以下のとおりであります。
a.事業収益
当事業年度における事業収益は、日本ケミファ㈱とのライセンス契約によるDFP-14323に係る契約一時金とDFP-17729に係るマイルストーン収入を取得したことに伴い、300百万円(前事業年度と同額)となりました。
b.事業費用、営業損益
当事業年度における事業費用は1,261百万円(前事業年度比9.5%の増加)となりました。これは主に、開発パイプラインの臨床試験における医療機関並びに症例数の増加、次試験に向けた治験薬となる原薬や製剤の製造などを進めたことなどに伴い、研究開発費が940百万円(前事業年度比8.5%の増加)となったことによるものであります。
この結果、営業損失は961百万円(前事業年度は営業損失852百万円)となりました。
c.経常損益
主に株式交付費1百万円(前事業年度比54.3%の減少)を計上したことにより、当事業年度における経常損失は964百万円(前事業年度は経常損失859百万円)となりました。
d.当期純損益
当事業年度における当期純損失は967百万円(前事業年度は当期純損失862百万円)となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当事業年度末における現金及び現金同等物は1,268百万円であり、当社の運転資金については、主に自己資金及び新株予約権の発行による資金調達により充当しています。
当社の中長期における最重要課題は、新規抗がん剤の研究開発を着実に推進すると共に、新たな提携パートナーを開拓してライセンス契約を締結し、承認を取得して製品販売による安定的な収益源を確保することです。当事業年度では、DFP-10917、DFP-14323、DFP-17729及びDFP-14927の臨床試験が概ね順調に進んでおります。DFP-11207は臨床第2相試験の準備を進め、DFP-10825も臨床試験の開始に向けた準備を進めてまいります。今後も開発パイプラインを着実に進捗させ、抗がん剤の早期上市を実現できるよう、当社は提携パートナーの製薬会社との連携を模索しながら、経営資源を結集して開発に取り組んでまいります。
経営者の問題意識と今後の方針は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
お知らせ