業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)MD&Aに共通する事項

 当社グループは、2021年8月10日開催の取締役会においてNPEを解散及び清算することを決議し、2021年8月27日にNPIの株式、NPAEの株式及びBNPAの株式をINCに譲渡したため、連結財務諸表の作成上、これらの事業を非継続事業に分類しております。このため、売上収益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を記載しております。そのため、前連結会計年度については、遡及適用後の数値となっております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.非継続事業」に記載のとおりであります。

 また、当連結会計年度において、クラウドコンピューティング契約にかかる導入費用の会計処理の変更を行い、前連結会計年度については、遡及適用後の数値となっております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)会計方針の変更」に記載のとおりであります。
 

① 連結業績の概況

(a)前期比

当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、アジア合弁事業の100%子会社化や、Wuthelamグループが保有するインドネシア事業の子会社化に加え、主力事業である中国の汎用塗料が好調に推移したことなどにより、連結売上収益は9,982億76百万円(前期比29.2%増)となりました。連結営業利益は、各地で原材料価格が上昇したにも拘わらず、増収効果により、876億15百万円(前期比0.0%増)となりました。

連結税引前利益は864億67百万円(前期比3.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は675億69百万円(前期比53.8%増)となりました。

 

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※実質ベース:継続的な事業の収益力の前期からの変化を示すため、M&Aによる新規連結影響や一時的な要因により発生した損益を調整して算出した金額

実質ベースにおける主な調整項目

為替影響、補助金等、M&A関連費用、貸倒引当金、新規連結

以降の図表に記載された実質ベースの数値は同趣旨

 

(注) 当連結会計年度より、従来日本セグメントに配分しておりました提出会社における本部費用を各セグメントに帰属しない「連結調整」として表示する方法に変更しております。

 

(b)資産、負債及び資本の状況

 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して3,405億2百万円増加し、1兆9,550億83百万円となりました。

 流動資産につきましては、前連結会計年度末と比較して427億59百万円減少しております。主な要因は、現金及び現金同等物が減少したことなどによるものです。また、非流動資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,832億62百万円増加しております。主な要因は、インドネシア事業買収に伴いのれんが増加したことなどによるものです。

 負債につきましては、前連結会計年度末と比較して708億9百万円増加し、9,863億88百万円となりました。主な要因は、営業債務及びその他の債務が増加したことなどによるものです。

 資本につきましては、前連結会計年度末と比較して2,696億92百万円増加し、9,686億94百万円となりました。主な要因は、第三者割当による新株式の発行に伴い資本金が増加したことなどによるものです。

 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の35.2%から49.1%となりました。

 

 

(c)連結業績の推移

 連結業績の推移は下図のとおりであります。

 

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(注) 「当期利益」には「非支配持分」は含まれておりません。

 

② セグメント別業績の概況

(a)概要

 セグメントの状況は次のとおりであります。

 

≪日本≫

 当地域では、自動車用塗料については、半導体供給不足等の影響を受けたことで、自動車生産台数が前期を下回ったものの、売上収益は前期を上回りました。工業用塗料の売上収益については、新設住宅着工戸数など市況が堅調に推移したことに加え、建設機械市場など新型コロナウイルス感染症の影響からの回復が見られ、前期を上回りました。汎用塗料の売上収益については、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響を受けたものの、遅延していた塗装工事が進捗するなど、前期を上回りました。

 これらにより、当地域セグメントの連結売上収益は1,646億35百万円(前期比1.6%増)となりました。連結営業利益は、原材料価格の上昇により、102億89百万円(前期比36.2%減)となりました。なお、当連結会計年度より、各セグメントの経営成績をより適切に反映するため、従来日本セグメントに配分しておりました提出会社における本部費用を各セグメントに帰属しない「調整額」として表示する方法に変更しております。

 

≪アジア≫

 当地域では、2021年1月からのインドネシア事業の損益を当社グループの連結業績に反映しております。自動車用塗料の売上収益については、中国・タイにおいて、足元は半導体不足等の影響を受けるも、自動車生産台数が前期を上回るなど、前期を上回りました。アジアの主力事業である汎用塗料の売上収益については、インドネシア事業の貢献に加え、中国において既存住宅向け内装需要の回復が継続したこと、また中国、マレーシア、インドネシア等の主要市場において、積極的な拡大策の結果、市場シェアも向上したこともあり、前期を上回りました。

 これらにより、当地域セグメントの連結売上収益は5,302億16百万円(前期比49.6%増)、連結営業利益は608億62百万円(前期比10.1%増)となりました。

 

≪オセアニア≫

 当地域では、汎用塗料においては、前年の山火事や洪水の影響がなくなったことに加えて、住宅リノベーション需要が堅調に推移したことで、前期を上回りました。塗料周辺事業についても、同住宅リノベーション需要が堅調に推移したことで、前期を上回りました。

 これらにより、当地域セグメントの連結売上収益は1,762億37百万円(前期比18.8%増)、連結営業利益は190億48百万円(前期比23.7%増)となりました。

 

≪米州≫

 当地域では、自動車用塗料の売上収益については、中核地域であるアメリカにおいて、半導体供給不足による生産調整の影響を受け、自動車生産台数が前期並みにとどまったものの、前期を上回りました。汎用塗料の売上収益については、底堅い住宅需要や好天が影響し、前期を上回りました。

 これらにより、当地域セグメントの連結売上収益は764億8百万円(前期比9.0%増)となりました。連結営業利益は、原材料価格の上昇により、36億円(前期比20.1%減)となりました。

 

≪その他≫

 当地域では、汎用塗料及び塗料周辺事業の売上収益については、旺盛な市況の継続と販促活動の奏功により、前期を上回りました。

 これらにより、当地域セグメントの連結売上収益は507億78百万円(前期比35.0%増)、連結営業利益は71億41百万円(前期比31.5%増)となりました。

 

 

(b)生産、受注及び販売の状況

当連結会計年度において、前期比で、アジアセグメント、オセアニアセグメント、米州セグメント及びその他における生産及び販売の実績に著しい増加がありました。

その内容については、「(1)MD&Aに共通する事項 ② セグメント別業績の概況 (a)概要」に記載しております。

(ⅰ)生産実績

 生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

104,464

8.5

アジア

347,071

65.5

オセアニア

88,566

21.1

米州

44,576

20.6

その他

35,988

49.6

合      計

620,667

41.0

(注) 金額は製造原価で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

(ⅱ)受注実績

 当社グループは、主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残高等について特に記載すべき事項はありません。

 

(ⅲ)販売実績

 販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

164,635

1.6

アジア

530,216

49.6

オセアニア

176,237

18.8

米州

76,408

9.0

その他

50,778

35.0

合      計

998,276

29.2

(注)1 セグメント間の取引については含めておりません。

2 金額に、消費税等は含まれておりません。

 

(c)売上収益・営業利益の推移

 過去5年間のセグメント毎の売上収益・営業利益の推移は下図のとおりであります。

 

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(注)1 売上収益は、セグメント間売上収益を除いております。

2 2017年~2019年の日本セグメントの営業利益は、当社が受取った海外グループ会社からの受取配当金を除いております。また、当連結会計年度より 従来日本セグメントに配分しておりました提出会社における本部費用を除いて表示する方法に変更しております なお、前連結会計年度のセグメント情報は、変更後の算定方法に基づき作成したものを記載しております。

 

 

 

(d)セグメント別投資対成果

 連結業績に対するセグメント毎の貢献の割合は、下図のとおりであります。

 

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(注)1 売上収益は、セグメント間売上収益を除いております。

2 当連結会計年度より 従来日本セグメントに配分しておりました提出会社における本部費用を各セグメントに帰属しない 全社(共通) として表示する方法に変更しております

 

(e)事業別売上収益の推移

 過去3年間のセグメント毎の事業別売上収益の推移は下図のとおりであります。

 

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(注) 売上収益は、セグメント間売上収益を除いております。

 

(f)NIPSEA中国の事業別状況

 NIPSEA中国の事業別の状況は次のとおりであります。

 自動車用塗料の売上収益につきましては、半導体不足や部品供給の停滞を受け、自動車生産台数が前年並みにとどまったものの、原材料価格の高騰に伴う値上げ浸透により増収となりました。

 汎用塗料の売上収益につきましては、DIYにおいては上期に前年の新型コロナウイルス感染症の影響の反動も要因となり高い成長率を達成したことに加え、下期も各都市で力強い市場成長が継続、製品ラインアップ拡充やブランドの強化、製品値上げ実施なども奏功し増収となりました。Projectにおいても戦略顧客への注力や製品ラインアップ拡充により増収となりました。

 工業用塗料の売上収益につきましては、堅調なコーティング需要に加え、一般工業用塗料や粉体塗料の力強い需要により、増収となりました。

 営業利益につきましては、上記の増収効果はあったものの原材料費率の悪化や貸倒引当金の増加により減益となりました。

 

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(注) 売上収益は、セグメント間売上収益を除いております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

① キャッシュ・フローの状況の分析

当期は営業活動により674億28百万円の収入、投資活動により1,023億55百万円の支出、財務活動により623億9百万円の支出があり、結果として現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,388億13百万円となり、前連結会計年度末と比較して933億20百万円減少いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による収入は、674億28百万円(前期比202億5百万円減)となりました。主な要因は、継続事業からの税引前利益に減価償却費及び償却費等の非資金支出費用等を加味したキャッシュ・フロー収入(運転資本の増減を除く)が1,155億82百万円あった一方で、運転資本の増加による資金の減少225億68百万円、法人所得税の支払額が228億59百万円、非継続事業からの営業活動によるキャッシュ・フローによる支出が27億25百万円あったことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による支出は、1,023億55百万円(前期比669億15百万円増)となりました。主な要因は、定期預金の減少による318億60百万円の収入、有価証券の減少による155億25百万円の収入、非継続事業からの投資活動キャッシュ・フローによる収入が138億9百万円あった一方で、有形固定資産の取得による349億28百万円の支出、子会社株式の取得による987億91百万円の支出、持分法で処理される投資の株式の取得による200億93百万円の支出があったことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による支出は、623億9百万円(前期は608億69百万円の収入)となりました。主な要因は、借入金の減少による137億82百万円の支出、配当金の支払いによる313億57百万円の支出、リース負債の返済による82億13百万円の支出、株式の発行による52億14百万円の支出があったことなどによるものです。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは営業活動から得た収益が事業活動の財源ともなっており、設備投資や研究開発投資、運転資本充当や配当の支払い、借入金の返済に利用しております。また、持続的な成長の実現に向けた戦略投資に必要な資金需要に対しては、今後の収益見通し、全体的な資金需要、返済能力を考慮して財務規律を維持し外部より資金調達を実施いたします。今年度におきましては、手元流動性を確保するのに400億円の外部借入を行っており、当連結会計年度末の社債及び借入金残高は当社が4,900億36百万円、連結子会社が329億98百万円となっております。また、当連結会計年度末の運転資本は1,900億20百万円となっております。

 当連結会計年度の現預金残高は1,388億13百万円となっており、当社の現預金保有残高は421億60百万円、国内子会社、海外子会社の現預金保有残高はそれぞれ29億18百万円、937億34百万円となっております。国内子会社の現預金はCMS(キャッシュマネジメントシステム)によって当社が集中管理しております。海外子会社の保有する現預金は、主として現地での拡大再生産のために利用する事を目的として保有しており、余剰資金が発生した場合に通常配当とは別に特別配当として資金を回収しております。

 現時点で当社グループの事業活動を円滑に維持して行く上で十分な手許資金を有しており、将来の資金需要に対しても不足が生じる懸念は少ないと判断しております。

 

③ 資本政策

 当社は、お客様・従業員・取引先・社会などステークホルダーへの責務を果たしたうえで残存する「株主価値の最大化」を経営の最重要目標としております。

 その際、当社は財務規律を維持しつつ、成長投資を優先的に実施し、基本的1株当たり当期利益(EPS)の増大を通じて株主の皆様のトータル・シェアホルダー・リターン(TSR、株主総利回り)を向上させることに主眼を置いています。

 そして、TSRのうち配当については、業績動向、投資機会を総合的に勘案しながらも、配当性向30%を目途に安定的かつ継続的に行う方針としております。

 

《基本的1株当たり当期利益(EPS)、1株当たり配当額及び配当性向の推移》

 基本的1株当たり当期利益(EPS)、1株当たり配当額及び配当性向の推移は下図のとおりであります。当社は2015年度よりIFRSベースの配当性向に基づき配当額を決定しております。また、2021年3月31日を基準日及び2021年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。基本的1株当たり当期利益(EPS)及び1株当たり配当額は、2017年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。

 

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(注) 2017年のIFRS配当性向は、日本基準数値にのれん償却額を調整し、算定しております。

 

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は国際財務報告基準(IFRS)に基づいて作成されております。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っております。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、棚卸資産の正味実現可能価額、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の公正価値の評価及び開示に反映しております。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。

 重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、連結財務諸表の「注記3.重要な会計方針」及び「注記4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載しております。

 

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