業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

 当期における世界経済は、国・地域ごとにばらつきを伴いつつも総じて回復傾向にありましたが、地政学リスクの顕在化を背景とした供給制約及び原材料価格の高騰が継続しており、先行き不透明な状況で推移いたしました。そのような状況下、欧州、米国、中国及びその他アジア新興国においては、感染症の再拡大や供給制約の影響はあったものの、経済活動の再開を受け、回復が見られました。アフリカにおいては、景気は感染症の再拡大が見られる一部の地域を除いて持ち直しの動きが見られました。一方、当期におけるわが国経済は、供給制約の影響は残りつつも企業収益や業況感は全体的に改善を続けており、感染症の影響から一部に弱めの動きがあったものの、基調としては持ち直した形で推移いたしました。

 当社グループの当連結会計年度における売上高は4,191億90百万円(前期比15.0%増)となりました。営業利益は原材料価格高騰や販売費及び一般管理費が増加したことなどにより300億96百万円(前期比3.6%減)となりました。経常利益は持分法投資利益の増加や為替差益に転じたことなどにより376億11百万円(前期比4.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益の計上等により265億25百万円(前期比32.4%増)となりました。

 

 各セグメントの状況は次のとおりであります。

1)日本

 自動車分野は、新車用分野及び自動車部品向け塗料では自動車生産台数が前期を下回り、国内向け売上は減少しましたが、輸出が増加したことから、売上は前期並となりました。工業分野では、産業機械向け塗料などが堅調に推移し、売上は前期を上回りました。建築分野では家庭用塗料の需要の低下により、売上は前期を僅かながら下回りました。自動車分野(補修用)及び防食分野では、国内市況の本格的な回復には至らなかったものの、売上は前期を上回りました。船舶分野では、売上は前期を僅かながら上回りました。利益は、為替差益が増加した一方、原材料価格高騰の影響を受け、前期を下回りました。

 これらの結果、売上高は1,386億20百万円(前期比3.1%減)、経常利益は143億91百万円(前期比7.3%減)となりました。

 

2)インド

 自動車分野及び建築分野では、新型コロナウイルス感染症による経済活動低迷の影響を受けたものの、前期が年初における新型コロナウイルス感染症拡大を抑止するためのロックダウンの影響を大きく受けていたこともあり、売上は前期を上回りました。利益は、原材料価格高騰の影響を受け、前期を下回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は971億33百万円(前期比32.9%増)、経常利益は72億40百万円(前期比29.0%減)となりました。

 

3)欧州

 トルコでは、現地通貨ベースでの売上は伸長しましたが、通貨安による原材料価格への影響等が収益を圧迫しました。また、持分法適用会社において前期に受けた、設備投資優遇措置による租税負担減少の反動により持分法投資利益は減少しました。その他欧州各国においては、工業分野及び自動車分野(補修用)を中心に堅調な需要に支えられ売上は前期を上回り、欧州全体の売上は前期を上回りました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は843億20百万円(前期比27.8%増)、経常利益は56億8百万円(前期比7.4%増)となりました。

 

4)アジア

 中国においては、自動車生産台数の回復を受け、自動車分野での売上は前期を上回りました。工業分野では産業機械向け塗料が堅調に推移し、売上は前期を上回りました。これらの結果、中国全体での売上は前期を上回りました。インドネシア、タイにおいては、自動車生産台数の回復を受け、売上は前期を上回りました。利益は、売上が増加した影響に加え、中国における持分法投資利益が増加したことなどにより増加しました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は576億31百万円(前期比16.4%増)、経常利益は72億59百万円(前期比56.5%増)となりました。

 

 

5)アフリカ

 南アフリカ及び近隣諸国の経済は新型コロナウイルス感染症の再拡大により厳しい状況が続いたものの、建築分野の需要を取り込み、南アフリカ地域の売上は伸長しました。東アフリカ地域においても、建築分野における堅調な需要を取り込み売上は伸長し、アフリカ全体の売上は前期を上回りました。また、前期より不採算事業の整理及び固定費の削減を進めた結果、収益性が改善されました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は361億31百万円(前期比29.4%増)、経常利益は13億54百万円(前期比- %)となりました。

 

6)その他

 北米では、自動車生産台数は前期並みとなったものの、自動車部品向け塗料などの売上は前期を上回り、また持分法投資利益も増加しました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は53億52百万円(前期比4.7%増)、経常利益は17億56百万円(前期比52.8%増)となりました。

 

 なお、前連結会計年度まで工業分野に区分しておりました自動車部品向け塗料につきましては、当連結会計年度より自動車分野に区分しております。

 

(財政状態の状況)

1)流動資産

 当連結会計年度末における流動資産合計は、2,766億50百万円(前期末比238億21百万円減)となりました。

 流動資産の減少は、主に現金及び預金などが減少したことによるものであります。

2)固定資産

 当連結会計年度末における固定資産合計は、3,234億7百万円(前期末比172億98百万円増)となりました。

 固定資産の増加は、主に投資有価証券などが増加したことによるものであります。

3)流動負債

 当連結会計年度末における流動負債合計は、1,730億83百万円(前期末比167億26百万円増)となりました。

 流動負債の増加は、1年内返済予定の長期借入金が減少したものの、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債などが増加したことによるものであります。

4)固定負債

 当連結会計年度末における固定負債合計は、518億59百万円(前期末比595億4百万円減)となりました。

 固定負債の減少は、主に転換社債型新株予約権付社債などが減少したことによるものであります。

5)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、3,751億14百万円(前期末比362億55百万円増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ486億67百万円減少し597億9百万円となりました。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比271億22百万円収入が減少し、155億24百万円の収入となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益438億36百万円及び減価償却費142億91百万円などの収入、棚卸資産の増加額173億40百万円及び法人税等の支払額170億61百万円の支出などによるものであります。

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前期比15億79百万円支出が増加し、20億87百万円の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出額145億69百万円などの支出、有価証券の減少額72億22百万円及び有形固定資産の売却による収入額45億73百万円の収入などによるものであります。

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、641億円(前連結会計年度は168億28百万円の収入)の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出額511億73百万円、配当金の支払額77億46百万円及び非支配株主への配当金の支払額48億26百万円などの支出によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

日本

81,689

8.9

インド

71,624

50.4

欧州

59,674

32.9

アジア

46,630

19.9

アフリカ

23,464

30.6

 報告セグメント計

283,084

26.1

その他

3,060

24.7

合計

286,144

26.1

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2.金額は、製造原価によっております。

 

2)受注実績

当社グループは、主として見込生産によっておりますので、特に記載すべき事項はありません。

 

3)販売実績

当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

日本

138,620

△3.1

インド

97,133

32.9

欧州

84,320

27.8

アジア

57,631

16.4

アフリカ

36,131

29.4

 報告セグメント計

413,837

15.1

その他

5,352

4.7

合計

419,190

15.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの目標とする経営指標と当連結会計年度の実績は次のとおりであります。

指標

当連結会計年度(実績)

2022年度見込

連結売上高(百万円)

419,190

460,000

営業利益(百万円)

30,096

29,000

経常利益(百万円)

37,611

36,000

連結EBITDA(百万円)

53,679

53,000

連結EBITDAマージン(%)

12.8%

11.5%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

26,525

21,000

調整後ROE(%)

10.0%

7.6%

(注)1.EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+持分法投資損益

2.調整後ROE=(当期純利益+のれん償却費) / 株主資本(期首期末平均)

 

 

 当連結会計年度の連結売上高は4,191億円(前期比15.0%増)、営業利益は300億円(前期比3.6%減)となりました。また、売上高は増加したものの原料費高騰の影響により、連結EBITDAマージンは12.8%(前期比2.0ポイント減)、当社東京事業所の土地一部売却に伴う固定資産売却益の計上等により調整後ROEは10.0%(前期比1.5ポイント増)となりました。2022年度は第17次中期経営計画の初年度であり、第16次中期経営計画で積み上げた成果を基軸に連結売上高4,600億円と過去最高売上高を計画しております。

 

 

(第17次中期経営計画位置づけ)

 

0102010_001.png

 2021年度を最終年度とする第16次中期経営計画において、当社は「資本生産性・収益性の向上を伴う利益成長」、「事業競争力の向上」及び「グループ総合力の向上」の重点方針のもと、連結売上高4,900億円、連結EBITDAマージン15.5%、調整後ROE10%超を目標に始動しました。しかしながら、新型コロナウイルスの発生により目標を途中で修正せざるを得ず、また2021年度に原材料費高騰があり修正後の目標に対しても利益率の目標を達成することができませんでした。一方で、低収益資産の整理、戦略的投資、総資産圧縮による成長投資資金の捻出等により調整後ROE10%超を達成したことは企業体質の改善の成果であると考えております。

 なお、当連結会計年度において政策保有株式17億円の売却が完了しており、既存不動産の削減・有効活用として当社東京事業所の土地一部売却が完了しております。

 第17次中期経営計画では、2021年11月17日に公表した成長戦略で設定した2050年時点の長期目標(マテリアリティ)達成に向け、持続的成長サイクルへの転換を確立させる3か年計画として策定しております。その重点方針としては「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げており、具体的には下記の図にある活動を計画しております。第17次中期経営計画の最終年度である2024年度の目標として、連結売上高5,000億円、連結EBITDAマージン17%、調整後ROE13%超を設定しております。

 

 

0102010_002.png

 

 これらを元に、2022年度よりスタートする第17次中期経営計画を実効性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革を進めてまいります。

 なお、第17次中期経営計画の詳細は当社ウェブサイトに掲載しております。詳細は「戦略説明会 資料(2022/5/16)」(https://www.kansai.co.jp/ir/news/)をご参照ください。

 

地域別セグメントの業績は次のとおりであります。

セグメント

の名称

売上高

経常利益または経常損失

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率

(%)

2022年度

見込

(百万円)

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

増減率

(%)

2022年度

見込

(百万円)

日本

142,999

138,620

△3.1

152,500

15,532

14,391

△7.3

12,500

インド

73,084

97,133

32.9

115,000

10,198

7,240

△29.0

9,000

欧州

66,002

84,320

27.8

85,000

5,220

5,608

7.4

2,000

アジア

49,504

57,631

16.4

65,000

4,638

7,259

56.5

8,000

アフリカ

27,917

36,131

29.4

37,000

△858

1,354

-

2,500

その他

5,112

5,352

4.7

5,500

1,149

1,756

52.8

2,000

合計

364,620

419,190

15.0

460,000

35,880

37,611

4.8

36,000

 

 

事業部別セグメントの当連結会計年度の売上高と対前期比増減率の内訳は次のとおりであります

セグメント

の名称

自動車塗料

工業塗料

建築塗料

自動車(補修用)船舶・

防食塗料

その他

合計

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

日本

52,025

0.8

32,025

7.0

23,308

△1.8

28,146

3.6

3,114

△70.5

138,620

△3.1

インド

23,867

34.7

13,916

43.0

56,428

28.4

1,552

31.3

1,368

176.4

97,133

32.9

欧州

5,360

3.2

40,867

31.0

5,692

2.5

9,769

18.0

22,631

43.5

84,320

27.8

アジア

31,937

15.3

11,832

22.2

8,439

7.3

2,482

10.5

2,940

46.8

57,631

16.4

アフリカ

546

45.3

3,574

23.5

25,929

29.6

2,128

△12.6

3,952

79.8

36,131

29.4

その他

5,352

6.5

-

△100.0

-

-

-

-

-

-

5,352

4.7

合計

119,089

10.7

102,215

22.4

119,797

18.5

44,079

6.7

34,007

9.6

419,190

15.0

前連結会計年度まで工業分野に区分しておりました自動車部品向け塗料につきましては、当連結会計年度より自動車分野に区分しており、前連結会計年度まで自動車分野に区分しておりました自動車(補修用)塗料につきましては、当連結会計年度より自動車(補修用)・船舶・防食分野に区分しております。また、増減率につきましては前連結会計年度を変更後の区分に基づき計算しております。

 

上記を踏まえた上での経営成績の状況に関する分析は次のとおりであります。

1)売上高及び営業利益

 当期の売上高は前期比15.0%増、545億70百万円増収の4,191億90百万円となり、営業利益は前期比3.6%減、11億32百万円減の300億96百万円となりました。売上高は前年11月時点で見直した公表値を上回る結果となりました。上振れした主たる要因は売上数量増と価格転嫁であります。営業利益は原材料費高騰の影響を受けた結果、減益となっております。日本、インドともに価格転嫁に対して市場が厳しく遅れが生じたことで両国の営業利益が減益となっております。日本とインドの遅れを既に3つ目の柱に成長した欧州を筆頭にアジア、構造改革を成功させ黒字化が定着したアフリカ、自動車が回復基調の北米がカバーしたことで当社グループとしては増収増益を達成しております。

 各セグメントの詳細は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(当社の売上高及び営業利益に影響を与える主要な指標)

国名

自動車生産台数(万台)

前連結会計年度

当連結会計年度

日本

797

755

インド

369

445

中国

2,523

2,608

タイ

143

169

インドネシア

69

112

マレーシア

49

48

トルコ

111

103

日本の2022年度の自動車生産台数は900万台と想定

出所:日本自動車工業会、マークラインズ、日本の当連結会計年度は当社推定

 (単位:円/kl)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

2022年度

上期

下期

上期

下期

通期

国内ナフサ価格

27,600

35,000

50,600

62,600

88,000

上記数値は当社推定値であります。

 

2)営業外損益及び経常利益

 当期の営業外損益は前期比28億62百万円増加の75億14百万円のプラスとなりました。主な増加要因は持分法による投資利益の増加及び為替差益の増加によるものであります。

 これらの結果、当期の経常利益は前期比4.8%増、17億31百万円増益の376億11百万円となりました。

 

3)特別損益及び税金等調整前当期純利益

 当期の特別損益は前期比12億78百万円増加の62億24百万円のプラスとなりました。主な増加要因は固定資産売却による固定資産売却益の増加等によるものであります。

 これらの結果、当期の税金等調整前当期純利益は前期比7.4%増、30億10百万円増益の438億36百万円となりました。

 

4)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益

 当期の法人税等は、前期比56億68百万円減少の115億91百万円となりました。主な減少要因は当社における税金費用の減少によるものであります。

 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比32.4%増、64億98百万円増益の265億25百万円となりました。

 

財政状態については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は次のとおりであります。

 当社グループは、自動車用、工業用、建築用、船舶用、防食用など幅広い分野を対象とした塗料の製造販売を行っております。国内塗料需要がほぼ横ばいで推移する中、積極的な海外事業展開を行い、海外売上高比率は国内を上回っております。今後も、海外での事業活動の規模は拡大していくものと予想され、事業展開地域、国の法律・規制・政治的要因等が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。こうした中、熾烈なグローバル競争を勝ち抜き、成長していくため、グループ全体でのシナジーを創出していくとともに、企業統治体制を高めていきます。

 当社グループは、各国に製造拠点を設け事業活動を展開することを基本としておりますが、製品・原材料を他拠点から調達する場合等、為替相場の変動が当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。製品の生産移管や、原材料の現地調達を進めていくほか、為替予約の実施等によるリスクヘッジを図っていきます。

 また、当社グループの原材料は主に原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。急激な原材料価格の変動により販売価格への反映が充分でない場合は、当社グループの事業活動・業績に影響を及ぼします。グローバル調達、品種統合の取組等によるコスト削減に努めるほか、迅速な対応が図れるよう原材料供給メーカーとの関係を強化していきます。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大における当社グループの対応といたしましては、代表取締役専務執行役員 古川秀範を委員長とした新型コロナウイルス対策委員会を発足し、全社方針「社員と家族の安全第一」及び「会社機能を維持し事業を継続する」のもと、国内外の情報を集約かつ共有した上で、次のとおりの対応を実施しております。

・安全を確保しながら事業を継続

・在宅勤務とスプリット制の推進

・感染者発生を前提とした事業継続体制の構築

・直接部門でも、ソーシャルディスタンスを確保する業務体制の構築

・感染者発生時には政府・行政と連携し、事業所閉鎖・徹底した消毒の後最短で事業を再開

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの資金需要の主なものは生産活動のための原材料仕入、製造費、営業活動のための販売促進費、製品競争力の強化、市場に適合した新技術の開発を目的とした研究開発費、各事業についての一般管理費等であります。投資活動については、成長投資・収益性向上に資する設備投資、事業拡大に関連した投融資が主な内容であります。また、特に海外での成長投資、国内では収益性向上に繋がる投資に対して、獲得した営業キャッシュ・フローを投入し、不足分については主に銀行借入と社債の発行による資金調達を行っております。短期借入金は主に営業取引に伴う資金調達であり、長期借入金及び社債は主に設備投資や投融資にかかる資金調達であります。

 当社は機動的な社債発行を可能にするため、発行登録制度を利用しており、当連結会計年度末現在の社債の未使用枠は、50,000百万円であります。

 また、2016年6月に、当社は事業拡大に資する成長資金を低コストで調達することに加え、機動的な戦略投資を行っていくための強固で柔軟性の高い財務体質を維持することを目的に新株予約権付社債を発行いたしました。

 さらに、当社グループ内資産効率化のためキャッシュマネジメントサービスの導入、コマーシャル・ペーパーの発行など資金調達方法の多様化を進めております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、収益及び費用並びに資産及び負債等の額の算定に際して様々な見積り及び判断が行われておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点における入手可能な情報を基に検証等を行っております。

 

(有形固定資産及び無形固定資産)

 固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを行っております。資産グループの回収可能価額は、事業用資産については将来キャッシュ・フローを基にした使用価値により、遊休資産及び処分予定の資産については売却予定額を基にした正味売却価額によりそれぞれ測定しております。将来キャッシュ・フローの見積りは合理的であると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

 

(投資有価証券)

 その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得原価に比して50%以上下落した場合は、時価の回復可能性がないものとして一律に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には、時価の回復可能性の判定を行い、減損処理の要否を決定しております。また、市場価格のない株式等の減損処理にあたっては、財政状態の悪化があり、かつ実質価額が取得原価に比して50%以上下落した場合は原則減損としますが、個別に回復可能性を判断し、最終的に減損処理の要否を決定しております。回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。

 

(繰延税金資産)

 回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。

 

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