課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「塗料事業で培った技術と人財を最大限に活かした製品・サービスを通じて、人と社会の発展を支える」ことを企業理念における使命目的としております。この使命目的は、当社の歴史において脈々と受け継がれてきた理念に由来するものであり、言わば「創業の精神」に立脚するものであります。

2020年11月、当社は成長戦略「Good to Great」を策定し、ESGを根幹とする経営への大きな変革の途上にありますが、その変革とは、まさに当社が、「創業の精神」に立ち返り、顧客との信頼関係の下、塗料ビジネスのプロフェッショナルとして、持続的な利益成長と社会貢献をもたらし得る会社であり続けるためのものであります。

当社はこのような考えの下、これからも社会から必要とされる、真のGreatカンパニーとなるべく、企業価値向上に取り組んでまいります。

 

(2)中長期的な経営戦略

当社は、2021年11月、第17次中期経営計画を策定・公表の上、本年4月より始動しました。

本計画は、当社経営が成長戦略「Good to Great」で掲げている「持続的成長サイクル」へ転換するための重要フェーズと位置付けております。2021年度を最終年度とする第16次中期経営計画におきまして、当社は「資本生産性・収益性の向上」「事業競争力の向上」「グループ総合力の向上」の3点を掲げ、事業特性に即し再編した組織体制(社内カンパニー制)の下、数々の施策を断行し「稼ぐ力」を高めるとともに、企業体質の改善を着実に実行してまいりました。

第17次中期経営計画では、これらの積み上げた成果をベースに、成長戦略「Good to Great」で設定した2050年時点の「長期目標(マテリアリティ)」達成に向け、持続的成長サイクルへの転換を確立させていく、ESGを根幹とした骨太な3か年計画として策定しております。そして、その重点方針としては、「収益性強化による資金捻出」「成長分野への積極投資」「経営基盤の強化」の3点を掲げております。

海外事業はこれまでの取組により確保してきた、各セグメント毎の事業競争力を背景として規模拡大に注力してまいります。

欧州セグメントは日本・インドと並ぶ柱として成長してまいりました。Heliosグループを主軸とした各社の協業を推進し、さらなる拡大を図ります。インドセグメントは、建築・自動車・工業の各分野の市場成長に確実に乗じた伸長を図り、アフリカセグメントは引き続き構造改革を完遂の上、現地での地位を確立させます。

一方、日本セグメントにおきましては、当社の強みである自動車用塗料をさらに強化するとともに、より合理的な調達・設計・製造を確立するなどの手法でコスト競争力を確保し収益性向上を図ります。

これら取組を通じて獲得する収益、また、これまでの財務戦略による資産の圧縮等の施策を引き続き実行することで資金を確保の上、本経営計画では、1,000億円規模の成長投資の実行を織り込んでいます。海外事業拡大、国内構造改革、新規事業開発、DX関連投資など、投資構想はすべて成長サイクルの原動力とするためのものであります。また、地域・事業ポートフォリオの整備を行いながら、既存のビジネスモデルを補完するボルトオン型のM&Aも積極的に実行してまいります。また、当社の強固な財務基盤を活用した大型M&Aの機会も探索してまいります。これらの施策を進め、当社グループの成長を牽引していく考えです。

以上のような考え方の下、第17次中期経営計画の最終年度目標としては、売上高5,000億円、EBITDAマージン17%、調整後ROE13% と設定しております。これらは、2021年度に再編した、当社の事業部門が管轄しているグループ会社と共同で策定した現実的な目標値であると考えております。このように当社は積極的な事業成長への投資を通じた適切な株主還元を行ってまいります。なお、配当につきましては配当性向30%を目安として安定的継続的に実施してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

塗料産業をグローバル視点で展望しますと、今後も中長期的には着実な需要伸長を見込みますが、それは持続可能性を前提とする性格のものに大きくシフトしていくことが予想されます。一方、原油価格上昇をはじめとする様々な要因による原材料費・物流費が、引き続き高騰基調にあることは免れず、利益創出の難易度は高まっていくものと考えております。

また、新型コロナウイルス感染症変異株の蔓延、国際的政情不安の高まり、為替・金融資本市場の変動、主要事業である自動車産業の構造変化や半導体需給の影響拡大等、これらのリスク要因は当社グループのすべての市場分野に対し、著しく不透明性を増すものとして引き続き慎重な対応を要する状況です。

 

当社グループは、これらリスクをコントロールし、従業員とその家族の安全確保とステークホルダーへの責務を果たすことを最優先として事業を継続するとともに、大きな環境変化を変革のチャンスと捉え、塗料ビジネスのプロフェッショナルとしての真価を発揮し、成長軌道への舵取りを行うためのさらなる経営基盤強化施策を講じてまいります。

サプライチェーンについては、設計・調達・製造・物流すべての領域を対象に、サステナビリティ観点とコスト・品質・デリバリー等の事業観点の双方から見直し、DX推進とともに、レジリエンスと競争力を高めるための抜本的な刷新を行う計画を立案、まず国内から、この中期計画にて実行着手し、その先はグローバルの次世代サプライチェーンモデルへ展開させていく考えです。サステナビリティ課題については、当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同しており、京都大学と提携し、産学連携で気候変動関連項目のリスクと機会を分析、抽出の上、事業戦略に反映させていく体制としております。

また、グローバル企業としてあるべき企業であり続けるための仕組みを作り、コーポレート・ガバナンスをさらに強化するとともに、人事制度刷新による従業員エンゲージメント、人財育成、ダイバーシティ推進など、サステナブルな成長企業であるための、新たな企業文化醸成を図る施策も実行してまいります。

 

以上の諸施策を推進し、第17次中期経営計画を実効性の高いものとし、持続的に成長するGreatカンパニーへの変革を進めてまいります。

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