業績

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概況

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により、経済活動正常化が徐々に進み、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられました。しかしながら、新たな変異株による感染症再拡大の懸念は強く、原材料価格の高騰、世界的な半導体不足、サプライチェーン停滞等が続く中、ウクライナ情勢が経済に与える影響も加わって、先行き不透明感が一層高まる状況で推移いたしました。

こうした状況のもと、当社グループは、徹底した感染症拡大防止策を講じながら、新中期経営計画の基本戦略に掲げる収益基盤の強化、新技術・新製品開発、サステナビリティ経営の推進等に注力し、企業価値向上に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度における売上高は 547億7千9百万円 (前期比 14.1%増 )となり、前期比では大きく回復いたしました。

損益面につきましては、原材料価格高騰等の影響を受けたものの、売上高の回復、原価低減活動・経費低減策の推進により、 営業利益は14億8千2百万円 (前期比 72.6%増 )となりました。経常利益は、持分法による投資利益や為替変動の影響等により 26億2千5百万円 (前期比 9.2%増 )、 親会社株主に帰属する当期純利益は13億円 (前期比 0.1%減 )となりました。

 

前年同期との比較については、以下のとおりとなっております。

 

 

売上高
(百万円)

営業利益
(百万円)

経常利益
(百万円)

親会社株主に帰属
する当期純利益
(百万円)

当連結会計年度

54,779

1,482

2,625

1,300

前連結会計年度

48,004

858

2,403

1,301

増減率(%)

14.1%

72.6%

9.2%

△0.1%

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります(各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高消去後の数値を記載)。

 

[ 塗料関連事業 ]

国内需要は回復基調にあることから、主力製品の防水材を中心に建築・構築物用塗料の販売は順調に推移いたしました。特に、集合住宅大規模改修工事等の工事関連売上は前期比81.5%増となり、増収増益に大きく貢献いたしました。また、原材料価格高騰の影響を受ける中、一部製品の販売価格見直しとともに、原価低減活動・経費低減策を徹底してまいりました。

この結果、当セグメントの 売上高は193億5千1百万円 (前期比 30.3%増 )、 セグメント利益は3億7千3百万円 (前期比 87.0%増 )となりました。

 

[ 自動車製品関連事業 ]

主要顧客である自動車メーカーにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響をはじめとした世界的な半導体不足、サプライチェーンの混乱等から、先行き不透明な状況が続いてまいりましたが、一定の需要回復を受け、吸・遮音材を中心に販売が増加いたしました。また、当セグメントにおいても、原材料価格高騰の影響を受ける中、効率的な生産体制の構築を目指し、多面的な原価低減活動・経費低減策を推進してまいりました。

この結果、当セグメントの 売上高は354億1千2百万円 (前期比 6.8%増 )、 セグメント利益は11億円 (前期比 69.2%増 )となりました。

 

[ その他 ]

保険代理業の 売上高は1千5百万円 (前期比 0.3%減)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ24億1千2百万円増加し、89億3千1百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金は、50億1千9百万円の収入(前期比19億3千4百万円の増加)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益30億7千4百万円、売上債権の増加額15億5百万円、仕入債務の増加額12億9千6百万円、利息及び配当金の受取額14億2千6百万円、法人税等の支払額8億円によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金は、12億6千6百万円の支出(前期比43億6千9百万円の増加)となりました。この主な要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出22億4千万円、投資有価証券の売却による収入5億3千3百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金は、16億9千9百万円の支出(前期比27億5千8百万円の減少)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入10億円、長期借入金の返済による支出15億5千2百万円、配当金の支払額8億4千7百万円によるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

 a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

塗料関連事業

9,090

6.0

自動車製品関連事業

23,946

5.5

合計

33,037

5.6

 

(注) 1 金額は販売価格によっております。

 

 b. 受注実績

当社グループは受注による生産は僅かであり、主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残高について特に記載すべき事項はありません。

 

 c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

塗料関連事業

19,351

30.3

自動車製品関連事業

35,412

6.8

その他

15

△0.3

合計

54,779

14.1

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

本田技研工業㈱

4,818

10.0

トヨタ自動車㈱

5,780

10.6

 

 3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 4 前連結会計年度のトヨタ自動車㈱及び当連結会計年度の本田技研工業㈱に対する販売実績は、

   当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1〔連結財務諸表等〕 連結財務諸表 注記事項 〔重要な会計上の見積り〕」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討

a.経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は、塗料関連事業セグメントでは前連結会計年度に比べ30.3%増193億5千1百万円、自動車製品関連事業セグメントでは前期比6.8%増354億1千2百万円となり、全体売上高は547億7千9百万円(前期比14.1%増)となりました。

地域別売上高では、海外売上が前期比11億2千4百万円増加(前期比15.1%増)し、国内売上は前期比56億5千万円の増加(前期比13.9%増)となりました。これは、塗料製品関連事業セグメントにおける工事関連売上、自動車製品関連事業セグメントにおける自動車用防音材(主に吸・遮音材)や金型等その他売上が前期を大きく上回ったことによるものです。なお、報告セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、塗料関連事業が35.3%(前期は30.9%)、自動車製品関連事業が64.6%(前期は69.0%)となりました。

利益面では、原材料価格高騰の影響を受ける中、売上高の増加に加え、多面的な原価低減活動・経費低減策推進により、営業利益は前連結会計年度に比べ6億2千3百万円増加し、14億8千2百万円(前期比72.6%増)となりました。

なお、セグメント利益につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

経常利益は、前連結会計年度に比べ2億2千1百万円増加し、26億2千5百万円(前期比9.2%増)となりました。これは営業利益が増加したものの、営業外収益で海外関連会社の持分法による投資利益が5億5千4百万円減少したこと等によるものです。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度とほぼ同水準の13億円(前期比0.1%減)となりました。これは経常利益が増加したものの、主に法人税等の増加2億2千万円、非支配株主に帰属する当期純利益の増加1億3千4百万円等によるものです。

 

b.財政状態の分析

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ42億8千9百万円増加し、797億9千2百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加24億1千2百万円、受取手形及び売掛金の減少110億9千3百万円、売掛金の増加106億6千2百万円、契約資産の増加23億4千7百万円、仕掛品の増加9億9千2百万円、有形固定資産の減少19億4千7百万円によるものです。

なお、「第5 経理の状況 1〔連結財務諸表等〕 連結財務諸表 注記事項 〔会計方針の変更〕」に記載のとおり、収益認識会計基準等を適用したため、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」に表示していた「受取手形及び売掛金」は、当連結会計年度より「受取手形」、「売掛金」および「契約資産」に区分して表示しております。

負債については、前連結会計年度末に比べ17億1千9百万円増加し、300億6千6百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加14億8千5百万円によるものです。

純資産については、前連結会計年度末に比べ25億7千万円増加し、497億2千5百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加4億8千2百万円、為替換算調整勘定の増加13億3千9百万円、非支配株主持分の増加8億7千万円によるものです。

以上の結果、自己資本比率は0.9%減少55.5%となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用になります。投資を目的とした資金需要は、主に能力の増強及び更新に係る生産設備等への投資によるものです。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債は91億3千1百万円、営業キャッシュ・フロー対有利子負債比率は55.0%となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は89億3千1百万円となっております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、前期対比売上高成長率、売上高営業利益率、売上高経常利益率及び自己資本利益率を重要な経営指標としております。

直近5期の実績は、以下のとおりとなっております(連結業績)。

 

 

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

売上高(百万円)

57,260

59,417

57,191

48,004

54,779

前期対比売上高成長率(%)

19.3

3.8

△3.7

△16.1

14.1

売上高営業利益率(%)

5.7

5.0

4.9

1.8

2.7

売上高経常利益率(%)

10.3

8.0

7.5

5.0

4.8

自己資本利益率(%)

10.3

6.9

5.7

3.1

3.0

 

 

売上高成長率については、自動車製品関連事業における防音材(吸・遮音材)の伸張が貢献し、2018年3月期までは高い成長率を継続してまいりましたが、2019年3月期は塗料関連事業の減収等により成長率が低下、さらにその後は、主に自動車製品関連事業において、製品市場全体の需要低迷や市場構造・製品構成の変化等から売上高が減少しております。特に前連結会計年度(2021年3月期)におきましては、新型コロナウイルス感染症の甚大な影響を受け、売上高は大きく減収しマイナス成長となりましたが、当連結会計年度(2022年3月期)はその反動増もあり、一転して二桁成長を遂げる結果となりました。

売上高営業利益率につきましては、2020年3月期までは概ね5.0%程度を維持しておりましたが、前連結会計年度は、前述のとおり売上高の減少幅が大きく、売上高営業利益率は大幅な低下となりました。当連結会計年度は、増収効果があったものの、原材料価格高騰等の影響を受け、売上高営業利益率は2.7%と一定の回復にとどまりました。

売上高経常利益率につきましては、高い利益率を達成してきた主因は、持分法による投資利益でありましたが、近年は製品構成の変化、前連結会計年度以降の新型コロナウイルス感染症の影響等から、持分法投資利益は低下傾向にあり、売上高経常利益率は4.8%(前期比0.2%減)となりました。

自己資本利益率につきましては、上記の利益率低下が主因となって低下傾向が継続し、当連結会計年度は3.0%となりました。

 

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