課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を約束するものではありません。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「経営理念」に掲げる「楽しい社会の実現」を不変のものとして受け継ぎ、「経営基本方針」を環境と戦略の変化に合わせて柔軟に見直しながら発展を続ける所存です。

 

 経営理念

 我がグループの「あらゆる技術」を高め、革新的な製品をもって、夢あるさまざまなモノをグローバルに生み出し、楽しい社会を実現します。

 

経営基本方針

1.我がグループは利益を生み出し企業価値を高めることで、お客様・地域社会・株主及び従業者の幸福と繁栄に寄与します。

2.我がグループは経営理念の達成にあたり法令遵守、環境保護、品質管理の徹底、社会貢献を含め企業の社会的責任を全うします。

3.我がグループはグローバル体制を活用し、常に優れた製品とサービスの提供を行います。

4.我がグループは常に従業者が挑戦し成長できる機会を生み出し、自ら目標を立て、その実現に向けて高い志を持つ集団を目指します。

5.我がグループは「スピード&コミュニケーション」をキーワードに、グループ内各社の連携と全員のチームワークを活性化することで、企業総合力を高めます。

6.我がグループは絶えず技術革新に努め、新製品や新事業を創造することで、楽しい社会の実現に貢献できるグローバル企業を目指します。

 

(2)目標とする経営指標

 2022年3月期を初年度とする2031年3月期までの長期経営構想「Beyond Imagination 2030」における目標は次のとおりです。

経営指標

目標

ROE(自己資本利益率)

18%以上

DOE(株主資本配当率)

5%以上維持

 

(3)経営環境、経営戦略、並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 経営環境

 当期(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における世界経済は、2020年1月頃から拡大した新型コロナウイルス感染症やロシア連邦・ウクライナ情勢など、経済政策に関する不透明感が高まる状況が継続したことにより停滞し、依然として厳しい事業環境が続いています。

① 電子機器用部材業界

 電子機器用部材業界は、エレクトロニクス産業全体の動向の影響を強く受けます。エレクトロニクス産業においては、IoT・AI・仮想空間等の社会への浸透に伴い、データ収集・集積・分析へのニーズが高まっており、それに応えるべく電子機器・部材の技術革新や積極的な研究開発・設備投資が期待されています。特に、第5世代移動通信システム(5G)の普及やオンライン化・リモート化の定着が、半導体をはじめとする関連需要の拡大につながっています。

② 医療・医薬品業界

 医療・医薬品業界は医療保険財政への影響から薬価制度の見直しが継続的に進められる中、製薬産業の構造変化や、医療ニーズの多様化が進んでいます。特に、医薬品業界においては、技術革新や産官学連携による革新的医薬品の創出が期待される一方で、医療保険財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進などの医療費抑制政策が図られ、さらなる医療制度改革の議論が続けられています。

 

 

 経営戦略

 このような状況の中、当社は、当社グループが持つ「化学」というキーワードを軸に、当社の経営理念である「楽しい社会」を実現するため、長期経営構想に沿ってグループ全体で各種施策に取り組んでおり、特に以下の施策に重点的に取り組んでいます。

<グループ共通>

① 多様化する組織や社会に対応する自律型人材の育成・活用

多様化する組織や社会に対応し、企業として成長していくには、それを支えていく人材の育成が重要な課題と考えています。自ら目標を立て、目標の実現に向け高い志を持つ自律型人材の育成に努めています。教育・人事ローテーションといった、従業者が成長し挑戦できる機会を創出していきます。

② デジタルトランスフォーメーションによる進化と変革

急速な事業環境の変化をとらえつつ、グローバルな競争力を強化していくには、当社グループの業務・仕組み・ビジネスモデルを不断に高度化・革新していくことが重要な課題と考えています。デジタルトランスフォーメーションの推進により、受発注・生産管理・研究開発・新事業開発など、あらゆる業務・仕組みを変革し、新しい価値を顧客に提供していきます。

③ 新たな事業の創出

当社は、中長期的な企業価値の向上のために、既存の事業の強化に加え、新たな事業を継続的に創出するための取り組みを重視しています。エレクトロニクス、医療・医薬品、エネルギー、食糧に続く、当社グループの収益の柱となる新たな事業展開に今後も注力していきます。

④ 戦略的なM&A

既存事業の強化、新規事業の立ち上げ加速のために、当社の保有する経営資源の活用だけではなく、戦略的に他社との業務提携や資本提携、M&Aを今後も積極的に行っていきます。

⑤ SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み強化

当社グループは、SDGsの重要性が世界的に広く注目される以前より、持続的な企業価値の向上に不可欠のものとして、SDGsと親和性のある取り組みを進めてきました。当社の主力製品であるSRは、テクノロジーの進化を実現し、産業と技術革新の基盤を形成するうえで重要な役割を果たします。それ以外にも、事業を通じて実現する取り組みとして、自然環境にやさしい「再生可能エネルギー」の普及促進や、将来的な食糧危機を見据えた葉菜や果実の栽培、昆虫養殖、また、医療・医薬品事業などを行っています。

また、企業として貢献する取り組みとして、地域のイベントやボランティア活動への参加、社員食堂での地元食材の使用など、地域社会に根差した活動や、LGBTトイレの導入や女性取締役比率の向上など、ジェンダー平等に向けた取り組みを行っています。

 

<電子機器用部材事業>

当社グループの電子機器用部材事業は、主力製品であるSRの市場において世界トップクラスのシェアを有し、また、海外での売上比率が9割を超えています。このような状況において、当社グループの電子機器用部材事業は、既存SR事業の強化(既存顧客×既存技術)、継続的な新製品の上市を迅速化(既存顧客×新規技術)、用途開発の推進(新規顧客×既存技術)の3つの施策を主として、SRについては市場のシェアを拡大し、その他の電子機器用部材についてはSRに続く利益の柱となるような事業を迅速に立ち上げていくことで、企業グループとして永続的に成長していくことができるものと考えています。

今期は、既存顧客×新規技術として「高反射白色ドライフィルム」がグローバルなICTプラットフォーム企業の製品のMini LEDバックライトユニットとして採用され、業績に大きく貢献しました。

また、電子機器用部材事業においては特に以下の施策について重点的に取り組んでいます。

① 研究開発体制の整備

当社グループが継続的に事業を生み出すためには、研究開発体制を整備することが重要な課題であると認識しています。時間軸を基準に研究と開発の役割分担を整理し、製品化にとらわれない中長期的な研究に特化した研究チームを編成することで、基礎研究力の向上を図るとともに、実用化に向けた新技術の開発や既存技術の応用を行う開発部門を設置し、基礎研究の成果を新製品の開発に結び付ける力を高めていきます。

また、研究開発のための積極的な設備投資を行い、国内外の優秀な研究者・技術者の採用と育成にも注力していきます。さらに、外部連携を強めさらなる事業開発を推進していきます。

② 新製品の迅速な事業化

当社グループでは、新製品の開発は事業化により利益を獲得すること、すなわち、事業開発と同義であると考えています。つきましては、製品化の目処が立ったところで、営業部門・製造部門・開発部門から選抜した専属チームを立ち上げ、一定の責任と権限を付与して新製品の事業化に専念できる環境を構築することにより、製品化から事業化までの障壁を乗り越える力を高めていきます。最近では、ディスプレイ事業プロジェクトを立ち上げ、ディスプレイ関連事業にも注力しています。

③ 為替リスク対策

当社グループ製品の販売価格は外貨建てとなっていることが多く、為替レートの変動が業績の変動につながりやすいため、為替リスク対策が重要な課題であると認識しています。そこで、「地産地販」(「現地(各市場)で販売する製品は現地で生産する」という方針)を推し進めるとともに、原材料の現地調達比率を高めることにより、収入と支出の取引通貨の一致を図っていきます。

また、これらの施策は同時に顧客ニーズにあった製品の迅速な開発やオーダーリードタイムの短縮といった顧客対応力の強化や、原材料価格の低減、さらには原材料調達先の複数化による事業継続リスクの低減にも資するものとなります。

 

<医療・医薬品事業>

当社グループの医療・医薬品事業は、国内において急速に進展する少子高齢化等により医療保険財政が悪化する中、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進などの医療費抑制政策が図られ、さらなる医療制度改革の議論が続けられるなど、予見可能性が低下している環境にあります。

このような状況において、当社グループは環境要因に影響されにくい事業形態を模索するとともに、将来を通じて既存製品を安定的に供給するために必要な体制の構築、また医療機関・患者様のニーズに合致した新しい医薬品の提供を目指します。

① 医療用医薬品受託製造事業の継続

太陽ファルマテック株式会社は、医療用医薬品の製造受託事業を行っています。従来どおり既存のお客様に対する安定供給だけでなく、国内外の受託先との共同開発や提携及び新規の受託案件の獲得、医薬品製造受託(CMO)から製剤開発も含めた医薬品開発製造受託(CDMO)への展開も進めています。また、将来的な市場成長が期待される再生医療・遺伝子治療分野にも参入し、最先端の医療技術の商業化を担うことにより、技術力をより一層高めていきます。これらの取り組みにより、医療・医薬品事業の幅を広げ、より強固な体制を構築してまいります。中長期的には、国内工場の強化だけでなく、海外工場へ事業展開および再生医療分野・遺伝子治療分野CDMOのグローバル展開を含めた、さらなる飛躍を目指します。

② 医療用医薬品製造販売事業の安定的な継続

太陽ファルマ株式会社は、当連結会計年度に新たに長期収載品4製品の製造販売承認の承継及び販売移管を完了し、医療用医薬品を確実かつ安定的に医療現場へ提供し続けています。今後も積極的に長期収載品の取得を進めるとともに、新しい医薬品の提供を実現できるよう取り組んでまいります。

③ 医薬品の副作用等リスクへの対策

医薬品の製造販売には、製品回収や販売中止、健康被害に関する賠償責任等に関するリスクが伴います。薬機法(注)及び関連する規制の遵守を徹底するとともに、必要な賠償責任保険に加入することにより、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限に留めるべく対応していきます。

 

(注)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

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