業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

 

 

 

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

2021年12月

287,989

13,005

15,442

9,492

伸長率(%)

11.8

0.7

23.1

57.7

2020年12月

257,675

12,909

12,543

6,019

 

 

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、変異株の影響もあり、先行きが依然として不透明な状況にあります。また、当企業グループの事業環境におきましては、原材料の供給面での制約や価格高騰の継続により企業活動に大きな影響がありました。

このような厳しい環境ではありましたが、当企業グループは次の3つを経営方針として掲げ、経営活動を行ってまいりました。

第一の方針である「事業の収益力強化」について、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料では好調な市場需要を背景に中国や台湾市場での拡販を進めるとともに、パッケージ向けのリキッドインキ及び接着剤をアジア市場中心に拡大しました。海外拠点での生産能力向上として、中国に建設した新工場の稼働を開始しましたことに加え、米国やインドでも粘着剤の新製造設備を立ち上げました。また競争力強化のための事業再編として、ポリマー・塗加工関連事業ではトーヨーケム株式会社と東洋アドレ株式会社を合併することでグループ内の粘接着関連技術を融合し、色材・機能材関連事業ではトーヨーカラー株式会社でインクジェットインキ事業の顔料合成からインキまでの一貫開発体制を構築しました。一方、欧州及び東南アジアでのプラスチック用着色剤事業の不採算拠点撤退や、国内で印刷・情報関連事業の構造改革などにも取り組み収益基盤の改善も図りました。

第二の方針である「重点開発領域の創出と拡大」については3つの注力領域を掲げており、「サステナビリティ・サイエンス」では世界的な電気自動車の普及を見据え自動車4大市場(欧州・米国・中国・日本)に向けた車載用リチウムイオン電池材料の供給体制構築が進み、北米及び欧州拠点でも生産を開始しました。また、再生可能な植物由来原料を用いたバイオマスインキや水性インキなどの環境対応製品の開発も進めました。「コミュニケーション・サイエンス」では、5G通信向け機能性フィルムの開発・販売を好調に進めましたうえ、自動運転のキー技術となるミリ波レーダー向けの電波吸収コンパウンドなど次世代ニーズに向けた新製品の開発を行いました。「ライフ・サイエンス」では、高透湿粘着剤や低皮膚刺激性粘着剤などヘルスケア向けのポリマー製品を展開しましたほか、貼付型医薬品事業拡大のため医薬品新工場を着工しました。またこれらの重点領域における中期的な開発を加速するため中核事業会社に新たな研究所体制を構築しました。

第三の方針である「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」については、DX(デジタルトランスフォーメーション)を引き続き推進し、特にデジタルマーケティング、M.I.(マテリアルズ・インフォマティクス)、スマートファクトリー化などの施策に注力しました。またESG(環境・社会・ガバナンス)に対する社会的要請の高まりに応えるべく、持続可能な社会の実現に向けたサステナビリティビジョン「TSV2050/2030」を策定し、定量的な環境負荷低減KPIも設定しましたことに加え、社外取締役の増員、役員報酬の業績連動性を高めることなどにより企業ガバナンスを強化しました。これらESG関連を含めたあらゆる企業活動について全てのステークホルダーへ適切に開示を行うため統合報告書の発行を開始しました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,879億89百万円(前期比11.8%増)、営業利益は130億5百万円(前期比0.7%増)と増収増益となりました。また、経常利益は154億42百万円(前期比23.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は94億92百万円(前期比57.7%増)と、それぞれ増益になりました。

 

 

セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。

なお、当連結会計年度より、一部事業について、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。

 

売上高

営業利益

セグメントの名称

前連結
会計年度

(百万円)

当連結
会計年度
(百万円)

増減率
(%)

前連結
会計年度

(百万円)

当連結
会計年度
(百万円)

増減率

(%)

色材・機能材関連事業

65,049

74,995

15.3

2,259

5,391

138.6

ポリマー・塗加工関連事業

62,328

70,736

13.5

5,937

3,570

△39.9

パッケージ関連事業

66,589

73,645

10.6

3,885

1,813

△53.3

印刷・情報関連事業

62,188

66,695

7.2

597

1,730

189.4

その他

6,229

5,746

△7.7

234

531

126.2

262,385

291,820

11.2

12,915

13,036

0.9

 調整額

△4,709

△3,831

△6

△30

連結

257,675

287,989

11.8

12,909

13,005

0.7

 

 

a. 色材・機能材関連事業

高機能顔料や液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、外出自粛に伴いテレビやタブレット、パソコン用のディスプレイ向けに需要が好調でしたうえ、台湾や中国での拡販も進みました。

汎用顔料は、リキッドインキ用は堅調に推移しましたが、情報系印刷インキ用は低調が続いたことに加え、原材料価格高騰の影響も受けました。インクジェットインキは、中国や欧米など海外を中心にデジタル印刷需要が堅調に推移しました。

プラスチック用着色剤は、日用品や容器向けが好調でしたほか、欧州や東南アジアの不採算拠点からの撤退により採算改善が進みました。また、原材料価格の上昇を受けて販売価格の改定も進めさせていただいております。

車載用リチウムイオン電池材料は、米国の拠点を立ち上げ、現地生産を開始しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は749億95百万円(前期比15.3%増)、営業利益は53億91百万円(前期比138.6%増)と、増収増益になりました。

 

b. ポリマー・塗加工関連事業

塗工材料は、スマートフォン向けに導電性接着シートや電磁波シールドフィルムが拡大したうえ、液晶パネルや自動車向けの耐熱微粘着フィルムも好調に推移しました。

接着剤は、スナックやペットフード向けなど包装用が堅調に推移し、粘着剤もラベル用や偏光板用が国内外で伸長しました。一方で、世界的な原材料の調達難や急激な価格高騰が継続しており、コスト削減や販売価格の改定を進めさせていただいているものの、利益は大きく圧迫されました。

缶用塗料は、国内では巣ごもり需要の取り込みや新製品の拡販により、飲料缶用が堅調に推移し、海外でも中国やタイで需要が回復したものの、原材料価格高騰の影響を受けました。

これらの結果、当事業全体の売上高は707億36百万円(前期比13.5%増)と増収になりましたが、営業利益は35億70百万円(前期比39.9%減)と、減益になりました。

 

c. パッケージ関連事業

リキッドインキは、国内では、外出自粛に伴いお土産や衣料品の紙袋向けが低調でしたが、冷食や麺類等の家庭用食品向けが堅調に推移しましたうえ拡販も進み、建装材用も需要が回復しました。海外でも、東南アジアでの食品包装用の需要が堅調でしたうえ、中国やインド、中東でも好調に推移しました。一方、世界的な原材料の調達難や価格高騰が継続しており、販売価格の改定を進めさせていただいておりますが、利益面で大きく影響を受けました。

グラビアのシリンダー製版事業は、エレクトロニクス関連の精密製版が堅調で、軟包装や紙器関連の包装用も回復しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は736億45百万円(前期比10.6%増)と増収になりましたが、営業利益は18億13百万円(前期比53.3%減)と減益になりました。

 

 

d. 印刷・情報関連事業

情報系印刷市場の構造的な縮小が、新型コロナウイルスの感染拡大と長期化、経済活動の制限でさらに進み、国内ではチラシや広告、出版向けが低調でしたが、同業他社との協業やコストダウン、原材料価格上昇に対する販売価格への一部転嫁など、事業体質の改善が進みました。

海外では、中国やインドで需要が回復しましたほか、食品や医療品などの紙器向けが堅調に推移しました。また需要に合わせて、グローバルでの供給体制最適化や、各拠点の事業体制再構築にも取り組みました。

これらの結果、当事業全体の売上高は666億95百万円(前期比7.2%増)、営業利益は17億30百万円(前期比189.4%増)と増収増益になりました。

 

e. その他

上記のセグメントに含まれない事業や、東洋インキSCホールディングスなどによる役務提供などを対象にしています。売上高は57億46百万円(前期比7.7%減)と減収になりましたが、営業利益は5億31百万円(前期比126.2%増)と増益になりました。

 

財政状態につきましては、次のとおりです。

 

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

増減(百万円)

総資産

380,227

406,896

26,668

負債

162,902

179,948

17,046

純資産

217,325

226,947

9,622

 

 

当連結会計年度末における総資産は4,068億96百万円で、前連結会計年度末より266億68百万円増加しました。負債は1,799億48百万円で、前連結会計年度末より170億46百万円増加しました。純資産は2,269億47百万円で、前連結会計年度末より96億22百万円増加しました。

当連結会計年度末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円安外貨高に振れたため、海外子会社で保有する資産及び負債、為替換算調整勘定が増加しました。 また、原材料価格の上昇に伴い、たな卸資産や支払手形及び買掛金が増加しました。さらに、日本国内の株価上昇を反映し、投資有価証券、繰延税金負債、その他有価証券評価差額金が増加しました。 一方、有形固定資産の取得、自己株式の取得、配当金の支払いに伴う支出により、現金及び預金は減少しました。なお、返済期限の1年以内到来に伴い、短期借入金が増加し、長期借入金は減少しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度(百万円)

当連結会計年度(百万円)

増減(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

16,743

15,760

△982

投資活動によるキャッシュ・フロー

△13,294

△17,576

△4,281

財務活動によるキャッシュ・フロー

16,221

△11,988

△28,210

現金及び現金同等物の期末残高

73,117

60,949

△12,168

 

 

当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の期末残高は、前期末残高より121億68百万円減少し、609億49百万円となりました。

営業活動により得られた資金は157億60百万円(前連結会計年度比9億82百万円減)となりました。税金等調整前当期純利益計上による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の減少などがありました。

投資活動により使用した資金は175億76百万円(前連結会計年度比42億81百万円増)となりました。有形固定資産の取得などに伴う支出などによるものです。

財務活動により使用した資金は119億88百万円(前連結会計年度は162億21百万円の収入)となりました。 短期借入金の純減、自己株式の取得、配当金の支払いによる資金の減少などがありました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

色材・機能材関連事業

82,486

12.5

ポリマー・塗加工関連事業

55,899

17.8

パッケージ関連事業

57,552

14.0

印刷・情報関連事業

47,016

14.7

    報告セグメント計

242,954

15.0

その他

122

△31.5

合計

243,077

15.0

 

(注) 生産金額は製造原価によっており、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

当企業グループにおける受注生産は極めて少なく、大部分が計画生産のため、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

色材・機能材関連事業

73,217

16.6

ポリマー・塗加工関連事業

70,477

13.6

パッケージ関連事業

72,827

10.4

印刷・情報関連事業

66,689

7.3

    報告セグメント計

283,211

12.0

その他

4,777

1.5

合計

287,989

11.8

 

(注) 1  上記の金額は、連結会社間の内部売上高を除いております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されていますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性がありますため、これらの見積りと異なる場合があります。

当企業グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は、前期比303億13百万円(11.8%)増の2,879億89百万円(期初計画 2,700億円、2021年8月6日公表修正計画 2,800億円)となりました。その内容は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しており、新型コロナウイルス感染症による厳しい経済環境が海外を中心に徐々に緩和されつつあるなか、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料やエレクトロニクス関連材料が好調に推移したことに加え、為替変動に伴う海外子会社の円換算額の増加もあり、増収となりました。

営業利益は、前期比96百万円(0.7%)増の130億5百万円(期初計画 140億円、修正計画 145億円)となりました。ナフサ価格の上昇や世界的な供給不足に伴う原材料価格の急激な高騰の影響が大きく、価格改定やコストダウンの施策を実施するも前期並みの利益に留まりました。

経常利益は、為替差益が大きく発生しましたため、前期比28億98百万円(23.1%)増の154億42百万円(期初計画 140億円、修正計画 150億円)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、生産機能や研究機能の構造改善に伴う損失が発生したものの、経常利益の増加に加え、保有資産の見直しによる利益も発生しましたため前期比34億72百万円(57.7%)増の94億92百万円(期初計画 75億円、修正計画 85億円)となりました。

なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

b. 財政状態の分析

財政状態の分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメント別の財政状態は、成長事業や地域への積極的な設備投資などにより、以下となりました。

色材・機能材関連事業の資産1,149億29百万円(前期末より47億2百万円増加)。

ポリマー・塗加工関連事業の資産1,009億62百万円(前期末より117億47百万円増加)。

パッケージ関連事業の資産906億94百万円(前期末より45億32百万円増加)。

印刷・情報関連事業の資産915億2百万円(前期末より58億14百万円増加)。

その他の事業の資産88億8百万円(前期末より1億27百万円減少)。

 

c. キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、成長を促進させる設備投資の実施や、機動的な資本政策の遂行を可能とする自己株式の取得などにより、609億49百万円と前期末より減少しております。今後とも、手元資金を確保しつつも将来の成長に向けた資金運用に努めてまいります。

 

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当企業グループが提供する製品の市場は多岐に渡っておりますが、一般的な消費動向や、石油化学系原料の仕入価格、為替レートなどは、当企業グループの経営成績に大きく影響を与える要因になっております。

当連結会計年度では、世界経済の回復に伴う原材料の供給不足や、原材料製造元の事故等による操業停止及び供給制限があり、企業活動に大きな影響がありました。また、ナフサ価格の高騰や、世界的環境規制の強化が継続しており、原材料価格が高止まりしております。この厳しい事業環境のなか、製品の供給責任を優先したうえで、グループ会社間のグローバル規模での生産協力や、生産や物流の効率化、原材料の代替対応などの対策を講じてまいりました。

その他、海外活動や災害への対応など、当企業グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりですが、これらの発生を抑制する活動を、サステナビリティ統括委員会傘下のリスクマネジメント部会を中心に、引き続き積極的に推進していきます。

 

④ 経営戦略の現状と見通し

当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。

また、長期構想「Scientific Innovation Chain 2027 (SIC27)」では、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループを目指し、2018年度から3回の中期経営計画を進めています。これに伴いドメインについても、これまでの枠組みを戦略的に拡大し、成長市場のみならず、社会課題の解決や、生命や地球環境の持続成長可能性に繋がる領域にも注力しています。

2021年度からは第二ステップの中期経営計画である「SIC-Ⅱ」(2021年度~2023年度)を推進し、変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、3つの基本方針「事業の収益力強化」「重点開発領域の創出と拡大」「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」のもと、その実現に取り組んでいます。本中期経営計画期間の初年度となる当連結会計年度におきましては、原材料の供給面での制約や価格高騰の継続により企業活動に大きく影響を受けましたが、3つの方針に基づく事業活動を着実に進めてまいりました。

次期につきましても、原材料の供給面での制約や物流の混乱、価格高騰の継続など、厳しい事業環境が続くものと予想されますが、事業別には「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりの活動を実行することで、長期構想の実現に向かって着実な成果を積み重ねてまいります。

なお、次期の目標とする年度計画指標としては、売上高2,950億円、営業利益145億円、経常利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益100億円となっております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当企業グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、販売費及び一般管理費、新製品創出や事業領域拡大のための研究開発活動費などにあります。また、設備投資では、成長領域や事業拡大に合わせた生産設備投資によるグローバル供給体制の強化や、統合システム整備による事業や業績のグローバル一体管理を進めています。さらには、事業拡大を目的とした各種アライアンスや、人材・技術・事業などの戦略投資についても機動的に実施してまいります。

なお、これらの資金需要につきましては、主に手元資金や営業活動によるキャッシュ・フローから創出するとともに、必要に応じて、金融機関からの借入なども実施してまいります。当連結会計年度の有利子負債残高は、新型コロナウイルス感染症の長期化に備えた長期借入金の影響もあり、810億7百万円となっております。また、国内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、当企業グループの余剰資金を効率的に運用しております。

 

 

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