文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当企業グループが判断したものであります。
当企業グループは、「人間尊重の経営」を経営哲学に掲げ、「世界にひろがる生活文化創造企業を目指す」ことを経営理念とし、「CS(顧客満足)、ES(社員満足)、SS(社会満足)、SHS(株主満足)を向上させる」ことを行動指針として、全ての企業活動を進めています。
時代を超えてこれらの経営哲学や経営理念、行動指針は不変のものとし継続しながらも、時代に応じて読み替えながら進化させることで、創業200周年に向け持続的な成長を目指していきます。
具体的には、生活文化創造企業として貢献する対象を、生活者だけでなく、生命や地球環境まで拡げ、これらの課題解決に取り組むことで、すべての対象がいきいきと共生する世界の実現に貢献してまいります。
また価値革新への追求や、リスクマネジメントの高度化も含めた、自らの持続的成長を可能にする企業体質への変革と、すべてのステークホルダーの持続に貢献する長期的な視点での満足度の向上に努めていきます。
当企業グループでは、持続的成長を可能にする企業体質へと変革する観点から、売上高や利益を重要な経営指標と位置付け、事業の拡大と企業価値の向上に努めてまいります。
当企業グループでは10年単位の長期構想を掲げており、次なるターゲットである2027年に向けて提供していく価値を「For a Vibrant World」と定め、「100年レンジでの持続的成長が可能な企業体質に変革し、すべての生活者・生命・地球環境がいきいきと共生する世界に貢献する企業グループ」を目指し、2018年度から3回の中期経営計画を進めています。2021年度からは第二ステップの中期経営計画である「SIC(Scientific Innovation Chain)-Ⅱ」(2021年度~2023年度)を推進し、変わりつつある新たな社会ニーズに対して、真に必要とされる価値を提供し続けていく企業となるべく、「新たな時代に貢献する生活文化創造企業」を目指す姿として掲げ、3つの基本方針「事業の収益力強化」「重点開発領域の創出と拡大」「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」のもと、その実現に取り組んでいます。
「事業の収益力強化」では、高付加価値品へのシフトを通じて戦略的な高収益事業群を増加させるとともに、構造的な課題を抱える事業に関しては大胆な施策を講じていきます。今後も成長が見込まれるグローバルのパッケージ市場に向けた環境調和型製品の投入や、エレクトロニクス関連素材の拡販、また貼付型医薬品の開発促進やリチウムイオン電池材料ビジネスの立上げにより新たな収益の柱を育成する一方で、商業印刷向けインキ事業や顔料事業では市場構造変化に応じた改革を継続し収益体質を強化していきます。
「重点開発領域の創出と拡大」については、withコロナ/afterコロナの社会で真に必要とされるニーズを捉え自社の強みと競争優位に基づく価値提供モデルを設計していきます。3つの注力領域のうち「サステナブル・サイエンス」では、バイオマスインキや環境対応型粘接着剤、次世代エネルギー向け素材を提供し持続可能でグリーンな社会の実現に貢献します。「コミュニケーション・サイエンス」では、センサー・ディスプレイ・IoTデバイス関連材料など社会のデジタル化の基盤となるキー素材とソリューションを展開していきます。「ライフ・サイエンス」では、医薬品・ヘルスケア素材・次世代印刷分野の製品を通じて人々の生活を豊か・健やかにする事業の創出へ挑戦いたします。
「持続的成長に向けた経営資源の価値向上」については、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み強化により企業体質を改善し、企業インフラである経営資源の価値向上に努めていきます。
中期経営計画「SIC-Ⅱ」の2年目である次期連結会計年度では、各事業を以下の通り推進していきます。
色材・機能材関連事業では、液晶ディスプレイカラーフィルター用材料で中国市場での更なるシェア拡大のために現地企業とのアライアンスやコストダウン施策に取り組みます。また、車載用リチウムイオン電池材料につきましては、北米及び欧州製造拠点の確実な軌道化を進めるとともに自動車4大市場(欧州・米国・中国・日本)での採用拡大を図ります。
ポリマー・塗加工関連事業では、粘着剤及び接着剤事業の高付加価値製品へのシフトと各国拠点の新製造設備の確実な軌道化で収益を向上させるとともに、5Gや光学などの市場に向けた新たな製品やソリューションを提案していきます。また年々高まるサステナビリティニーズに応え、無溶剤やバイオマス、生分解など環境調和型製品群の開発・展開を進めます。
パッケージ関連事業では、高バイオマスインキや水性印刷ソリューション、脱プラスチック関連材料など環境対応トレンドに応じた製品展開を一層加速させるとともに、海外では中国及びインドでの新工場安定稼働と収益貢献、トルコ新工場の早期立ち上げ、東南アジア及びインドでのシェア拡大に向けた戦略製品群の拡販に取り組んでまいります。
印刷・情報関連事業では、国内外での構造改革とSCM改善による事業体質強化に継続して取り組むことに加え、環境対応UVインキをラベル・容器市場へ投入し競争優位性を確立していきます。
これらに加え、サステナビリティビジョン「TSV2050/2030」に基づき、モノづくりと製品提供を通じた環境負荷低減に貢献していきますほか、東京工業大学との協働研究拠点を設置し、最先端の科学技術分野における共同研究により革新的なテクノロジーを生み出していきます。また、定時株主総会の承認を経て監査等委員会設置会社に移行することにより、取締役会の監督機能を強化するとともに、意思決定と業務執行の迅速化を図り、更なるコーポレートガバナンスの充実と企業価値向上を目指していきます。
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