課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営環境

① 経営理念、2030年ビジョン、経営の基本方針

当社は、経営理念、2030年ビジョン、経営の基本方針を2021年1月1日付で以下の通り制定しました。当社は1991年1月に「東華色素化学工業株式会社」から「株式会社T&K TOKA」に社名を変更しましたが、これは創業以来のモットーである「Technology and Kindness:技術と真心」の頭文字を取って命名されたものです。この社名変更から30年が経過し、人の入れ替わりやさまざまな環境変化がある中で、当社が何を目指しているのか、自分たち役職員は何をなすべきかを明確なものとし方向性を共有するため、当社が経営を通じて果たすべき使命と目指す姿、基本方針を定義しました。当社は新たな経営理念の下、企業精神の象徴である「Technology and Kindness」をグループ一丸となって推し進めてまいります。

 

Corporate Slogan

Technology and Kindness

 

経営理念

2030年ビジョン

経営の基本方針

「独自のテクノロジー」で

「お客様にとって真によいもの」

を提供し、社会に貢献する

個人と組織が共に成長し
社会から信頼される
グローバル企業となる

お客様起点で考え行動し、
価値を創造する

自ら成長に努力する社員を支援し、
成果を公正に評価する

事業活動を通じて社会課題を

解決する

 

 

② サステナビリティビジョン(長期経営戦略)

当社グループは、2030年に向けて、「経済価値の向上と環境・社会価値の向上を両立し、長期に持続する在り方を構築する」ため、事業面においては「ドメインを明確化、経営資源を適切に配分し、当社グループならではの共通価値を創造」し、その基盤として「事業の持続的成長に必要不可欠な前提・基盤として、環境・社会価値を維持増強」してまいります。その実現に向けた活動の基本方針を、「差別化した顧客価値を適正な価格で提供し、高い顧客満足を実現する」、「組織と個人の役割をより明確にし、業務プロセスを高品質かつ生産性高く再構築する」といたしました。

当社グループは、2030年ビジョンが指し示している最も大切な姿のひとつを、「株主価値とステークホルダー価値の向上の両立」と捉えており、これを実現するため「UV・EBを中心とする製品ポートフォリオ改革」、「課題解決型ビジネスモデルへの転換」、「サステナビリティ貢献製品へ特化」を3つの長期事業施策として取り組んでまいります。


 

③ 中期経営計画

『株主価値とステークホルダー価値の向上を両立』に向けたファーストステップとなる第二期中期経営計画「With You toward 2024」(2023年3月期~2025年3月期)の位置付けは“収益力回復と質的成長への基盤整備”であり、概要は以下の通りです。

[経営目標]

 

2022年3月期(実績)

2025年3月期(最終年度)

連結売上高

44,456百万円

50,000百万円(参考値)

連結営業利益(率)

228百万円(0.5%)

3,000百万円(6.0%)

親会社株主に帰属する当期純利益

2,651百万円

3,000百万円

自己資本利益率(ROE)

5.8%

6.0%

 

 

[事業戦略]

・お客様価値の創出と提供

・お客様(需要先・代理店等)の課題解決や事業発展に寄与する製品・サービスの拡充

・提供する製品とサービスを一体化、お客様価値を見える化し、価値に応じた価格で提供

・サステナビリティ課題への貢献

・サステナビリティ貢献製品(省エネ・省資源・安全等)の拡大

・事業活動における温室効果ガス(GHG)排出量の削減

[財務・資本政策]

・企業価値向上に向けた取り組み

新たな企業価値創造

・ROE目標 6%

収益の改善

・既存事業の構造改革と強化

・成長領域における事業育成

利益成長

・製品ポートフォリオの適切な管理

・コスト削減による利益率の向上

経営資源配分の最適化

・コア事業及び人材への積極投資

・機動的な人材配置転換

バランスシートの改善

・投資戦略の再構築

・資本コストの最適化

 

株主還元の強化

・配当性向50%以上の配当実施

・機動的な自社株買いの実施

投資・M&A

・投資委員会の議論に基づく規律ある投資活動の実施

 

 

[サステナビリティへの取り組み]

経済価値の向上と環境・社会価値の向上を両立し、長期に持続する在り方を構築する

分類

主要課題

取り組み

気候変動への対応

環境保全の推進

GHG排出量の削減

TCFD提言への賛同

ダイバーシティの推進

従業員エンゲージメント

人権尊重

管理職・中核人材の多様性比率向上

ワークライフバランスの推進

「ビジネスと人権」への取り組み実施

ESG経営の推進

公正な事業慣行の推進

グループマネジメントの強化

積極的な情報開示

サステナビリティ委員会による監督強化

倫理的で誠実な取り引きの実践

管理体制の実効性・有効性向上

記述情報の充実、統合報告書等の発刊

 

 

④ 2023年3月期における取り組み

2023年3月期は、第二期中期経営計画の初年度にあたり、当社グループが2030年ビジョンを達成するための重要な年度となります。印刷インキ製品については、「軟包装分野へのEBインキ展開に向けた基礎活動」、「ラベル、紙器分野へのUVインキ拡販に向けた製品開発および販売促進」、「UVインキへの集中のための基盤整備」、機能性材料製品では、「中国新子会社の事業立ち上げ」、「新規開発目標の達成」、「生産キャパシティーの引き上げ」を重点施策として取り組み、また「IRの質的向上」、「IT基盤整備」、「人材育成の推進」など、事業を支える基盤整備を進めてまいります。

 

(2) 経営環境

2023年3月期の経済環境については、景気は資源高による下押しの影響を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで回復していくことが期待されますが、変異株を含めた感染症の影響に加えウクライナ情勢の帰趨とその資源・エネルギー価格への影響などを中心に不確実性が高い状況にあり、当社グループにおいても、原材料の調達制約や物流の混乱および価格高騰の継続などに留意する必要があります。

印刷インキの需要先である印刷業界の状況としては、デジタル化の進展による紙媒体の需要減少が継続しており、出版印刷は減少傾向、商業印刷は横這いで推移、パッケージ印刷は全体として成長を維持している状況にありますが、いずれの分野においてもサステナビリティへの対応が中心的なテーマとなっております。

 

(3) 対処すべき課題

前中期経営計画の実績を踏まえ、東証市場再編を契機として、企業価値・株主価値向上のためにプライム市場に相応しい上場会社を目指して課題への取り組みを断行し、投資家視点を取り入れ、加速度的に下記施策を実行してまいります。

 

財務・資本収益性

事業戦略

ガバナンス体制

課 題

・資本コストを下回る資本収益性

 (=低ROE)

・M&A戦略

 (既存事業とのシナジー創出)

・資本性の低い非事業用資産

・原価率・販管費率の悪化

・有形固定資産の増加に対し、利益率は低迷(=投資が収益に繋がっていない)

・欧州のM&A戦略失敗による収益の悪化

・企業価値向上のためのスキルセットの再考

・企業価値向上へのインセンティブの不足

・投資・M&Aに関する監督強化

取り組み

施策

・事業戦略の取り組みによる収益性の改善

・バランスシートの見直し

・「量から質へ」成長方針の転換

・サステナビリティ貢献製品への事業集中

・海外インキ事業拡大戦略の再構築

・取締役会構成の見直し

・業績連動・株式報酬割合、KPIの見直し

・投資委員会による投資規律の維持強化

 

 

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