業績

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度(2021年3月1日から2022年2月28日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済活動に大きな制約を受ける非常に厳しい状況で推移いたしました。ワクチン接種の普及に伴う感染者数の減少や、各種経済政策等の効果もあり緩やかな回復基調も見られましたが、新たな変異株の感染拡大が再度懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループは、教育サービス分野及び介護福祉サービス分野の2つを主要なビジネスセグメントとして事業展開を行っております。教育サービスの分野におきましては、様々な教育制度改革や、オンライン授業サービスなど新たな教育コンテンツへのニーズの高まり、さらには教育ICT環境において文科省のGIGAスクール構想が進むなど、大きな変革の時期を迎えております。また、介護福祉サービスの分野におきましては、今後も高齢者人口が増加する中、介護サービスの需要は益々高まることが見込まれる一方で、人材確保や新たな介護報酬制度への適切な対応が重要課題となっております。

このような経営環境のもと、当社グループは「一生涯を通じた幅広い『学び』の機会を提供することで、ともに人間力を高め、笑顔あふれる社会を実現すること」をグループの理念とし、企業価値を向上させ、すべてのステークホルダーの皆さまへ貢献できるよう永続的な発展を目指しております。

当連結会計年度の連結業績は、売上高17,318百万円(前年同期比108.2%)、営業利益830百万円(前年同期比152.8%)、経常利益693百万円(前年同期比253.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益421百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失401百万円)となりました。

 

 

セグメント別の概況は以下のとおりです。なお、セグメントの連結売上高には、セグメント間売上高が含まれております。

<教育サービス事業>

学習塾事業をはじめとする教育サービス事業におきましては、「ウイングキッズ・パンセ」など小学校低学年からの教育に注力することで、学習機会の拡充による子供たちの学力向上を図るとともに、在籍生徒数においても全体の底上げが実現できております。また、全国学びの比較テストなど公開模試も好評であり、入会者数の増加に寄与しております。地域的には千葉県・東京都東部地域・茨城県を中心に、神奈川県・埼玉県においても展開し、各地域でのニーズに応じた教育サービスの提供、地域ごとの合格実績の確立に取り組み、集客力をより高めております。特に高校受験においては、地域ごとの都県別入試対策講座、定期テスト対策講座を開催することで、地域に根差した教育サービスの提供に努めており、保護者、生徒の皆さまからご好評をいただいております。新設拠点としましては、千葉県において、「ウイングキッズ・パンセ」を奏の杜に開校し、「市進学院」の教室としては薬園台教室を冬期講習から開校したほか、千葉ニュータウン中央教室と柏の葉教室において在籍生徒数の増加からそれぞれ2号館を新設するなど、千葉県内のドミナントをさらに強固にしております。また、埼玉県においては、吉川美南教室を夏期講習から開校し、こちらも順調に推移しております。茨城県においては「茨進」つくば梅園校を移転リニューアルする形でつくば並木校を新設いたしました。こちらは、並木中等教育学校の合格実績を盤石にするため、生徒がより通塾しやすい立地に移転しております。なお、茨城県での県立高校、県立中高一貫教育校においては、2022年度入試においても地域一番店として十分な合格実績を残すことができております。個別指導塾の「個太郎塾」では、世田谷上町教室、北池袋教室など直営教室の出店を進めるとともに、フランチャイズ教室の展開にも引き続き注力し、堅調に推移しております。

コンテンツ事業をはじめとする教育関連事業では、映像授業コンテンツ「ウイングネット」を全国の学習塾向けに販売しておりますが、様々な教育制度改革が進む中、変革する教育環境に対応できる学びのトータルサポートを併せて推進しております。「ウイングネット」の加盟校数、拠点数は当連結会計年度においても伸長し、業績は好調に推移しております。

経費面におきましては、必要な投資については積極的に進める一方、業務効率改善、人材適正配置、施設費の適正化など経費統制について継続して取り組んでおります。

当連結会計年度のセグメントの経営成績は売上高15,537百万円(前年同期比106.5%)、セグメント利益(営業利益)661百万円(前年同期比147.6%)となりました。 

 

<介護福祉サービス事業>

介護福祉サービス事業においては、コロナ禍の厳しい環境が続く中、感染拡大防止に最大限の注意を払いつつ良質なサービスの提供継続に努めてまいりました。現在首都圏1都3県において、デイサービス、グループホーム、小規模多機能事業などのサービスを、5つの事業会社、計33ヶ所の拠点で展開しており、居宅介護支援、障がい者介助なども含め、総合的な介護福祉サービスの提供に取り組んでおります。いずれも多くのご利用者様にご活用いただき順調に稼働しております。また埼玉県において介護職初任者研修、実務者研修等の介護研修事業も実施し、教育サービス事業で培ったノウハウを活かし就労希望者向けに資格取得支援とキャリアアップの機会を提供しております。この介護研修事業は、業績への貢献だけではなく、人材育成や人材確保にも寄与しております。介護福祉サービス事業においては、信頼獲得を第一義とした質の高い介護サービスを心掛けており、今後も高い稼働率、入居率を継続できるよう取り組んでまいります。

当連結会計年度のセグメントの経営成績は売上高1,845百万円(前年同期比125.3%)、セグメント利益(営業利益)168百万円(前年同期比177.5%)となりました。

 

 

(2)財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較し324百万円増加し、12,705百万円となりました。前連結会計年度末と比較して、流動資産は635百万円増加6,082百万円となり、固定資産は310百万円減少6,622百万円となっております。

流動資産の増加要因は、現金及び預金の増加などであります。

固定資産の減少要因は、のれんの減少などによるものであります。

また、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較し125百万円減少し、10,637百万円となりました。前連結会計年度末と比較して、流動負債は21百万円増加3,879百万円となり、固定負債は147百万円減少6,757百万円となっております。

流動負債の増加要因は、賞与引当金の増加などであります。

固定負債の減少要因は、リース債務の減少などによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較し450百万円増加し、2,068百万円となりました。

主な要因としましては利益剰余金の増加によるものであります。

この結果、当連結会計年度における自己資本比率は16.2%(前連結会計年度13.0%)となり、当連結会計年度における1株当たり純資産額は202円72銭(前連結会計年度160円02銭)となっております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、3,640百万円(前年同期比130.6%)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは1,610百万円の収入(前年同期比305.9%)となりました。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益の計上532百万円の他、減価償却費536百万円を計上している点等が挙げられます。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは481百万円の支出(前年同期比36.6%)となりました。主な要因としましては、有形固定資産の取得による支出319百万円(新規教室開校の他、既存拠点のリニューアル費用等)、定期預金の増加額138百万円、映像授業コンテンツの制作による支出133百万円を計上している点等が挙げられます。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは276百万円の支出(前年同期は788百万円の収入)となりました。主な要因としましては、長期借入金の返済による支出969百万円、長期借入れによる収入950百万円、リース債務の返済による支出170百万円を計上している点等が挙げられます。

 

 

(4)生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当社グループは、主に生徒に対して授業を行うことを業務としておりますので、生産能力として表示すべき適当な指標はありません。

 

ロ.受注実績

該当事項はありません。

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

教育サービス事業

15,537

106.5

介護福祉サービス事業

1,845

125.3

合計

17,383

108.2

 

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの主要な資金需要は、運転資金と戦略的投資資金であります。運転資金需要の主なものは、季節講習など売上の季節変動に伴うものであり、戦略的投資資金としては、拠点展開等の設備投資、映像コンテンツ関連の投資、企業買収などであります。運転資金及び戦略的投資資金は、主に内部留保資金及び金融機関からの借入により、資金調達することとしております。

 

(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結売上高、連結営業利益の達成度を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。また、収益性の判断指標としては、売上高営業利益率を重視しており、中期的には5%を目指しております。

当連結会計年度の売上高営業利益率は4.8%でした。教育サービス事業、介護福祉サービス事業とも業績は順調に推移し、営業利益率は前期の3.4%から1.4ポイント改善いたしました。今後、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び優先的に対処すべき課題」に記載した課題への対応等を踏まえ、中期的には営業利益率5%を目指してまいります。

 

(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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