(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①当期の経営成績の概況
当連結会計年度におきまして、国内外で新型コロナウイルスに対するワクチン接種が進むとともに治療薬の研究に伴い、感染拡大が落ち着き経済の回復の兆しが見えておりましたが、新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株が確認されて以来、本変異株による爆発的流行が世界規模で続くとともにその系統の株が変化することで流行が長期化しています。また、世界的な半導体不足により様々な機器の生産が滞るとともに、品薄状態も依然として続いており、さらには、ウクライナ情勢に起因し、エネルギーや食料品の価格高騰から物価高となるなど国内外経済の先行きはより一層不透明な状況となっております。一方、このような経済情勢下においても国内では「Society 5.0」を実現するための先行的な場として、政府をあげてスーパーシティへの取り組みが推進されております。加えて、次世代通信規格「5G」やAI機能等を用いたIoT化、法整備をはじめとした規制改革、インフラ整備など、経済発展と社会的課題の解決を両立した新たな社会を目指すための議論が各方面で進んでおります。
こうした状況の中で、2021年10月1日に株式会社三和を当社グループに迎え入れ、創業来行ってきた測量分野における事業の深化を目指し新たなスタートを切りました。また、前連結会計年度より「withコロナ」での新たな様式の働き方を進めるとともに、社内規程や人事制度等を改定し、それに適した労務環境の整備に努めるなど、当社グループが創業より培ってきた知恵・技術・経験を活用したESG経営を推進しております。
また、当社グループでは「Investment & Innovation」をスローガンに、新たな中期経営計画がスタートいたしました。その初年度となる当連結会計年度は、成長分野に対する研究開発投資や、幅広い人財の採用及び教育といった人財投資を進めるなど、2024年3月期において営業利益7億円を目指すための投資局面と位置付けております。事業活動としては引き続き、「未来の社会インフラを創造する」をキーワードに国土強靭化、高精度地理空間技術といった分野への取り組みとともに、Society5.0、スマートシティ、自動運転社会の実現へ向けた、積極的な活動を行っております。
当連結会計年度においては、前連結会計年度から引き続き、お客様に各種補助金制度を活用した投資を促し、お客様の生産性向上に資する自社製品や三次元計測機器を中心とする各計測機器への購買動機を高める活動を行ってまいりました。MMS機器販売、高精度三次元地図の作成請負業務及び自動運転実証実験請負については、期中では新型コロナウイルス感染症等の影響もありましたが、成果物の納品は翌年度への延期することなく、完了しました。
(前連結会計年度との比較)
A)自社ソフトウェアに関連する事業は、主に、当社主力商品である「WingneoINFINITY」および測量・土木分野向け点群処理ツール「WingEarth」のライセンス販売ならびにそれらのサポートサービスによるものとなります。当連結会計年度においては、補助金制度の効果による三次元計測機器及びその後処理ソフトウェアの需要増加とともに、新たなバージョンとサポートサービスをリリースした「WingEarth」は前連結会計年度を上回る売上となりました。一方、主力製品の「WingneoINFINITY」は、サポートサービスの契約更新が堅調に推移しましたが、新規ならびに追加のライセンス販売は伸びず、前連結会計年度から売上高は減少しました。以上より、自社ソフトウェアに関連する事業の売上高は前連結会計年度と比較し、微増となりました。
B)MMS(Mobile Mapping System)計測機器販売は、測量・不動産市場において、新たなMMS計測機器を複数台販売するとともにインフラ事業者にも新規販売をいたしました。その他に、過去に販売したMMS保守契約に係る売上計上も行っております。保守契約の販売は、その契約内容の見直しを提案し、受注金額の増加に至った一方で、当連結会計年度より適用している「収益認識に関する会計基準」等の影響を受け、従来は契約開始時に収益を認識しておりましたが、一定の期間にわたり収益を認識する方法に変更しております。その影響から、収益認識できる金額が前連結会計年度を下回りましたが、新規MMS販売・保守契約の受注の増加により、MMS計測機器販売は前連結会計年度と比較し、売上高は増加しました。
C)三次元計測請負業務及び高精度三次元地図データベース整備は、安全・安心な自動運転社会の実現を目指し、自動車向け高精度三次元地図の継続的な提供を進めるとともに、全国各地の自治体における自動運転移動サービスの実現を目指した実証実験へのデータ提供など、高精度三次元地図を中心とした事業と技術研究開発を積極的に進めております。以上より、高精度三次元地図の受注が堅調に推移したことと、生産体制の強化・効率化も実施した結果、前連結会計年度と比較し、売上高・利益ともに増加しました。
D)株式会社三和をM&Aによって新たに企業集団に加え、同社が創業来事業活動を行ってきた神奈川県を中心とした官公庁ならびに取引先様との測量業務、ソフト開発、データ処理の売上高及び利益が計上されております。
E)自動走行システムの販売および実用化に向けた実証実験は、実用化を見据えた地域、パートナー企業とともに積極的に行ってまいりました。また、新たなパートナー連携やプロジェクトへの参加などを推進してまいりました。自動運転システム構築事業では、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足による事業への影響も危惧されましたが、当連結会計年度においては、その影響も受けることなく売上を計上しました。前連結会計年度に高額のセンサー機器の大量一括納品による売上計上していたことから、前連結会計年度と比較し、売上高は減少しましたが、利益は同水準を維持することができました。
F)当連結会計年度では、新中期経営計画に基づき様々な投資活動を実施しました。10月に実施した株式会社三和とのM&A、新卒採用、即戦力となるキャリア採用により、当連結会計年度末における連結従業員数(嘱託社員・パートタイマーを除く)は140名と前連結会計年度末より25名の増加となる人財強化への投資を行いました。また、新たなソフトウェアの開発や、ウェブを活用した新たな顧客接点の構築、自動運転に関する技術の開発推進など、積極的に投資を行った結果、前連結会計年度と比較し、販売費及び一般管理費は増加しました。
以上の結果、当社グループにおける当連結会計年度の業績は以下の通りとなりました。
(単位:千円)
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
対前期増減額 |
対前期増減率 |
売上高 |
4,300,662 |
3,589,088 |
4,190,776 |
601,688 |
16.8% |
営業利益 |
482,095 |
244,877 |
257,509 |
12,632 |
5.2% |
経常利益 |
495,383 |
242,421 |
253,431 |
11,010 |
4.5% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
333,045 |
181,848 |
203,327 |
21,479 |
11.8% |
セグメント別においては、次の通りであります。なお、当連結会計年度よりターゲット市場に対し適切な意思決定を行うことを目的に組織体制の見直しを行ったことから、報告セグメントを市場別に「公共セグメント」「モビリティセグメント」「その他」の3区分へと変更いたしました 。各セグメントの主要な市場と製品等は以下の通りです。
a.報告セグメント別の業績
(単位:千円)
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|
2021年3月期 |
2022年3月期 |
対前期増減額 |
対前期増減率 |
公共 セグメント |
売上高 |
2,405,721 |
2,925,449 |
519,728 |
21.6% |
セグメント利益 |
482,718 |
396,876 |
△85,841 |
△17.8% |
|
営業利益率 |
20.1% |
13.6% |
|
|
|
モビリティ セグメント |
売上高 |
1,172,656 |
1,254,540 |
81,884 |
7.0% |
セグメント利益 |
46,926 |
77,931 |
31,004 |
66.1% |
|
営業利益率 |
4.0% |
6.2% |
|
|
|
その他 |
売上高 |
10,710 |
10,786 |
75 |
0.7% |
セグメント利益 |
5,346 |
5,197 |
△148 |
△2.8% |
|
営業利益率 |
49.9% |
48.2% |
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b.報告セグメント別の概要
公共セグメント
公共セグメントにおきましては、当社グループの主力製品である「WingneoINFINITY 2022」のバージョンアップを、当該製品のサポートサービスの一つとして、対象となるサポートサービスに加入しているお客様に対し、第1四半期連結会計期間に提供したことにより、当該役務の完了に応じた収益を計上しました。加えて、従前の訪問営業だけではなく、測量・不動産登記・衛星測位・点群といった、当社製品及びサービス、ならびに当社が保有する技術に関するオンラインセミナーを積極的に開催するなど、環境に即した新たな営業スタイルの構築を進めてまいりました。2022年3月には、「WingneoINFINITY 2023」をリリースし、サポートサービスの加入促進の活動を実施し、契約加入数の増加に至りました。
測量・土木分野向け点群処理ツール「WingEarth」は、前連結会計年度における受注残案件の売上計上、補助金制度を活用した販売活動も一定の効果がありました。また、2021年5月には新たなバージョンとなる「WingEarth Version2」をリリースすると共に、専用サポートサービスである「WingEarth-ATM’S」を提供開始したことで、販売は順調に推移しました。2021年9月には新機能をリリースし、それをオンラインセミナーで紹介、お問い合わせ等にスムーズに対応するなどお客様からの満足度向上を図りつつ、新たな顧客確保にも努めてまいりました。以上より、売上高は前連結会計年度と比べ増加いたしました。
測量機器の利活用をサポートする測量機器総合マーケット「GEOMARKETセンター」を2020年8月に開設し、リユース・リペア・レンタルの3Rサービスをウェブ展開することにより、遠方のお客様とも円滑に取引を行っております。新規のお客様との取引から利益率の高い自社製品の販売につなげるだけでなく、半導体不足の影響に伴い、国内における新品測量機器の生産に抑制が掛かる中、リユース販売やレンタルの需要が高まり収益に貢献しました。
MMS計測機器販売においては、公共分野、インフラ分野のお客様への新規導入提案活動に加え、既存のMMS計測機器保有ユーザー様への営業活動を積極的に実施したことにより、当連結会計年度において、新規MMSの販売、既存顧客へのMMSの保守契約を行った一方、MMS計測機器の納品には受注から生産、納品まで一定期間を要するとともに、世界規模の半導体不足による影響も受けました。加えて、前述の「前連結会計年度との比較 B)」に記載の通り、「収益認識に関する会計基準」等による影響もありましたが、前連結会計年度の実績を上回る結果となりました。また、株式会社三和の子会社化に伴い、三次元データ取得業務の生産能力が増強され、利益率が向上しました。
一方、人財投資や役員体制の見直しによる人件費増加、オンラインセミナー開催等のウェブを活用した新たな販売施策のための設備投資、新たなソフトウェア開発のための積極的な研究開発を進めた結果、販売費及び一般管理費は前連結会計年度から増加いたしました。
モビリティセグメント
モビリティセグメントにおきましては、依然として国内の多くの企業や自治体などとの商談、打ち合わせがオンライン中心に実施されています。また、世界規模の半導体不足の影響により、一部自動走行車両の構築業務案件において、納期への影響も危惧されましたが、当連結会計年度においては、その影響も受けることなく売上を計上しました。 加えて、既に自動車メーカーより自動運転レベル2から3に対応した車種が発売されるなど、自動走行社会の実現に向け、国を挙げての取り組みが加速しており、自動車業界における各社の投資意欲も継続し、新たな商談が発生しております。
高精度三次元地図データベース整備は、自動走行の研究目的利用に加え実用化を見据えた利用を目的とした高精度三次元地図の業務を前連結会計年度に堅調に受注いたしました。当連結会計年度においては、受注済みの仕掛案件への納品対応を行ったことに加え、前連結会計年度に納品予定だった案件の一部が納期延長となり、当連結会計年度に売上計上されることとなりました。また、新たな商談の獲得や、様々なプロジェクトへの参加なども進捗しております。加えて、株式会社三和の子会社化に伴い当社グループ内での計測及び生産可能範囲が広がりました。更なる案件の獲得や、売上原価の圧縮を図るため、グループ間でのシナジーを生み出す検証を進めております。これらの結果、前連結会計年度と比較し、売上高、利益は増加いたしました。
自動走行システムの販売および実用化に向けた実証実験は、前連結会計年度に引き続き、国内の多くの企業や地方自治体などで需要がある状況です。そのような中、自動走行の実用化に向けた実証実験は、特に実用化が期待される地域におけるものを中心に積極的に進めてまいりました。自動走行システム構築においては、前連結会計年度に受注し、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足による影響のため、延期となっていた仕掛案件の対応が完了するとともに、新たに受注した案件の納品も完了いたしました。
自動運転の実用化は、政府目標として2025年に全国各地で40か所以上の社会実装を目指すとされています。当社は、株式会社ティアフォー、損害保険ジャパン株式会社、KDDI株式会社等のパートナー企業と連携し、全国自治体との対話を進め、将来の実用化に向け積極的に推進してまいります。それまでの間は、当事業分野は投資フェーズと捉えており、将来の事業モデル確立に向けた先行投資として、当連結会計年度においても、事業推進に必要な人財確保、システム構築や機材などの調達を積極的に行いました。以上より、前連結会計年度に大型の受注案件を売上計上していたため、前連結会計年度と比較し、売上高は減少しましたが、利益は同水準となりました。
その他
自社保有の不動産に係る賃貸収入については、前年同期と同水準の結果となりました。
②当期の財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて556百万円増加し、7,716百万円となりました。このうち、流動資産は5,784百万円となり、その内訳は現金及び預金が4,277百万円等であります。また、固定資産は1,931百万円となり、その内訳は有形固定資産が797百万円、ソフトウェア製品をはじめとする無形固定資産が255百万円、投資その他の資産が878百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて615百万円増加し、1,970百万円となりました。このうち流動負債は1,545百万円となり、固定負債は424百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて58百万円減少し、5,746百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上203百万円の一方、自己株式の取得200百万円によるものであります。この結果、1株当たり純資産額は1,057円34銭となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は4,197百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は586百万円となりました。これは主に税金等調整前当期純利益270百万円、減価償却費208百万円、仕入債務の増加193百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は201百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出117百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は320百万円となりました。これは、自己株式の取得による支出200百万円、配当金の支払額72百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
公共セグメント(千円) |
956,625 |
104.2 |
モビリティセグメント(千円) |
1,194,346 |
108.5 |
その他(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
2,150,971 |
106.5 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
公共セグメント(千円) |
1,304,509 |
150.4 |
モビリティセグメント(千円) |
60,193 |
10.6 |
その他(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
1,364,703 |
71.8 |
(注)金額は仕入価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
公共セグメント(千円) |
2,925,449 |
121.6 |
モビリティセグメント(千円) |
1,254,540 |
107.0 |
その他(千円) |
10,786 |
100.7 |
合計(千円) |
4,190,776 |
116.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針や見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えています。
a.収益及び費用の計上基準
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
b.投資有価証券の減損
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
c.無形固定資産の減価償却の方法
当社グループは、クラウドサービスのような顧客へのサービス提供、及び社内の経営情報の充実化・業務効率化等のため、自社利用のソフトウェアの開発・導入を行う場合やパッケージ製品等の市場販売目的のソフトウェアの開発を行う場合に、その開発コストをソフトウェアとして無形固定資産に計上する場合があります。
その場合、自社利用のソフトウェアについては社内における利用可能期間(5年)に基づく定額法により減価償却を実施し、市場販売目的のソフトウェアについては見込販売数量等に基づく償却額と見込販売可能有効期間(3年)に基づく定額法のいずれか大きい額を償却する方法により減価償却を実施しています。しかし、将来、事業環境等の大幅な変化がある場合には、回収可能額を見直すことにより、損失を計上する可能性があります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針としております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、特に自動運転関連の事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
e.繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、税制の変更や事業環境の変化等により課税所得の見積りが大きく変動した場合等には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
なお、繰延税金資産の詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」及び「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(税効果会計関係)」をご参照下さい。
②当連結会計年度の経営成績の分析
「[ 経営成績等の状況の概要 ]」をご参照ください。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
「[ 事業等のリスク ]」をご参照ください。
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は4,197百万円となりました。
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
|
2018年 3月期 |
2019年 3月期 |
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
自己資本比率(%) |
73.9 |
76.3 |
76.5 |
81.1 |
74.5 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
265.0 |
187.0 |
96.8 |
142.9 |
135.2 |
キャッシュ・フロー 対有利子負債比率(年) |
0.5 |
0.1 |
0.3 |
0.4 |
0.4 |
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
112.5 |
300.3 |
123.5 |
72.8 |
129.7 |
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1) |
連結ベースの財務数値により計算しております。 |
(注2) |
株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。 |
(注3) |
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。 |
(注4) |
有利子負債は貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。 |
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、投資有価証券の取得等によるものであります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金又は金融機関からの借入を基本としております。
当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。
なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は227百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,197百万円となっております。
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